マジョルカピンク

水曜どうでしょう。大泉洋。大谷翔平。大好き

「追憶」「スキャンダル」

2017-05-30 19:00:39 | 映画
最近面白い映画を見てない。
アニメかマンガ実写化かアクションものとかばっか。大人向けの作品て全然公開されない。
そもそも洋画じたいの公開が少ない。ニーズがないのかなあ?不思議だ。世の中変わったなあ。私が子供の頃は映画イコール洋画だった。邦画というのは別ジャンルって感じだったし、同列では語れなかったような気がする。今のように偏った子供向けの作品ばかりが公開される国になるなんてね。悲しいです。
展開が読めない、あるいはどんでん返しがあるミステリーとか、人生っていいね!みたいなヒューマンコメディとか、そういうのが見たい。でもシネコンではそんなの全く公開されてない。
土曜日は消去法で「追憶」を見た。
岡田准一、小栗旬、長澤まさみなど豪華キャストによる作品。感動的な良作でした。
富山県とタイアップしているようで、富山の美しい四季の風景がふんだんに出てきます。日本海に沈む圧倒的な夕日や、海岸線の道路沿いに白波が立ってて、あー北陸って感じ。人間描写が巧みで家族や夫婦関係について考えさせられるところあり。

ですが。

尺の関係だろうか(としか思えない)現代パートは割と緻密に描いているのに、過去パートが説明不足に感じました。3人の男の子を匿う優しいカフェの女性(安藤サクラ)の背景がちょっと物足りない。わからないわけではないけど、想像つくけど、もうちょっと描いてくれたらもっと感情移入できたと思う。またネタばれになるけど、いくら正当防衛で子供の頃の過ちだといっても、過去の犯罪はこの女性に被せたままでいいのかな。その娘と一緒になって面倒をみるということで、贖罪は済んでいるのかな?感動したけど、「ん?」て感じが残りました。
関係を断ったと言ったって、同じ県内に住んでて相手が今何しているか全く知らないとか。
あと、うちの身内にも警官がいますが、警察ましてや刑事なんて採用の時かなり入念に身元調べられませんかね。これは他の刑事ドラマや映画にも言えることですけど…脛に傷を持つ人、過去曰くつきの人が警察になるケース多いように思うけどそう簡単になれなくない?
…というようなことが気になって、今ひとつ作品にのめり込むことが出来ず少し残念。

んで結局消化不良だったので、週末TSUTAYAで面白そうな作品を探したんですよ。
たくさん枚数はあるのになんでこれ面白そう!っていう作品に出合えないかね。
で、私の様な人にうってつけの発掘良品のコーナーで「スキャンダル」(76’イタリア映画)を借りてきました。
びっくりしたなあ。これ見たことあるわ(^^;
昔私が子供のころって、エマニエル夫人とかO嬢の物語とか青い体験とか、ヨーロッパ製のフソフトポルノというか、R15の官能映画が結構ヒットした時代があったんですよね。
フランスとかイタリアが舞台なので、エロいのに下品じゃないの。美しくてなんか格調があって。女性やカップルがずいぶん見に行ったりして話題になったんです。この作品もその流れで作られたんだと思う。青い体験の監督です。子どもの時見るわけないから、大人になってからどこかで借りたんだろうなあ。全然思い出せない。
カテゴリーではエロティックサスペンスとある今作。今の時代に見てもそんなにエロくないし、別にサスペンス要素もないのよ。むしろ社会派な作品ですね。赤と黒とか、チャタレイ夫人の恋人的な。戒厳令下のイタリアで薬局を営む大学教授の妻が、下男に誘惑され溺れていくお話。下男は貧しく兵役にもついておらず、社会的地位の低い男。満たされない社会的欲求を倦怠期の熟女の奥さんにぶつけ、サディスティックに苛め抜くことによって溜飲を下げるというね。
よくあるお話ではありますが、76年には刺激的だったのかな。夫に相手にされない寂しさを埋めてくれる男のいいなりになる妻の姿は哀しいような、でも何かから解放されたような。背景に戦争があるので、この一家の没落はイタリアの陥落と重なり何やら文学的な香りさえします。
またこの性的な魅力しか武器がない下男も、なんというかめっちゃ嫌いなタイプなのですが(笑)男のプライドとか劣等感くらいややこしいものはないなと思ったり。でも結局非常事態においては金や名誉より性的魅力のほうが最も物をいうんじゃないのかなと思ったりね。
古い作品にもかかわらずこういうラインナップに名を連ねるあたり、それなりな名作なのかなとも思いました。