マジョルカピンク

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探偵、暁に走る

2012-05-23 22:49:29 | 
東直己氏作、ススキノ探偵シリーズ第9弾。
ボリュームがあって読みごたえたっぷりの今作。
時代設定も段々現代に追いついてまいりました。
今回ススキノ探偵の「俺」は偶然の出来事から近藤というイラストレーターと知り合いになるのですが、知り合って間もなくその近藤氏が何者かに刺されて亡くなります。
探偵がその事件を追ううちになにやらキナ臭い事件に巻き込まれていくという、いつものハードボイルド展開。

この作品、近藤という人物を好きになれるかどうかで結構評価が分かれるような気がします。で、私は申し訳ないけどこの無骨で熱い人物である近藤氏をあんまり好きになれなくて、ちょっとねえ…って感じ。
少なくとも作者の東氏はこの近藤氏を好ましい愛すべき人物として描こうとしているんだと思います。つか、作者自身を投影したような人物に仕立てていますよね。
BARケラーで飲みながら語る話は、作者自身が世間に対して言いたいことなのかと思います。
でもそれがちとウザイ。今どきの若者は、最近の札幌市民は、みたいな話をされても鼻白んでしまいます。この人の語る「田舎もん!」という言い方も気に障る。いや、わかるんですけどね…言葉通りの意味ではないということぐらい。でも私みたいに本物の田舎から出てきたような人間には、ちょっと引っかかる言葉です。
お婆ちゃんは命賭けで助けるけど地下鉄で携帯をいじっている若者は殴る、とか。
本人弱いものの味方と思っての行動かもしれませんがそれってダブスタだと思ういますよ。YOSAKOIやってる人を犯罪者予備軍みたいに描いている箇所もあって、ちょっとそれはどうかとも思いました。偏見もいいとこ。

結局、物語じたいはまずますなんですが、その近藤氏の描写や探偵がなんでその知り合ったばかりの人に心酔しているのか、会う人会う人みんな近藤氏のことを崇めていたりするのかとか、なんかその辺のおかしさが気になって今ひとつ楽しめなかったような気もします。

あ、このシリーズは結構ススキノ以外の街のことも出てくるのですが、菊水の商店街のことが出てきたりしてそのあたりは新鮮で面白かったです。