目指せ! 標高1122メートル

山の神にお供して歩きつづける、ある山のぼら~の記録。ネイチャー、冒険の本もとりあげるよ。

NHK「5度目のエベレストへ~栗城史多 どん底からの挑戦~」

2016-01-05 | テレビ・映画

2016年1月4日(月)NHK総合20:00「5度目のエベレストへ~栗城史多 どん底からの挑戦~」で、栗城史多くんの近況を久々に知った。彼のエベレスト登山は、失敗に次ぐ失敗で、凍傷を負い9本の指を失ったところまでは知っていた。でも、それから4年を経て、去年2015年秋に5回目の挑戦をしたというから驚く。

それにしても、NHKはよくもまあ、栗城くんを追いかけたものだ。冷静に考えれば、条件はどんどん悪くなっているのだから、登頂の可能性はきわめて低いのではないだろうか。
●指を失って、凍傷になりやくなっている
●年齢とともに体力が低下し始めている
●無謀ともいえる無酸素単独登攀に拘泥している
●地球温暖化で気象が読みにくくなっている
●ノーマルルートではない
こうした困難をはねのけての登頂に価値を見出そうとしているのだろうが、登頂できなければ、本人も、応援してくれている人も、スポンサーも意気消沈するだけだ。

しかも悪いことには、エベレストの失敗続きで、ダウラギリやブロードピークへの登頂がかすんでしまい、栗城くんの評価が下がっていることだ。2座とも8000メートル峰で、決して容易には登れない山だが、エベレストからの逃避行のように見えてしまう。そんな悪印象を断ち切るべく、今回の5度目の挑戦では、2013年にピオレドール賞を受賞した日本人登山家、花谷泰広氏に指導を仰いで、万全の態勢で臨んだ。しかし現実はそうそう甘くはなかった。今シーズンのラストチャンスとなるサミットプッシュで、C4から順調にサウスコルへ上がったものの、そこから積雪の多さに行く手を阻まれ、万事休すとなってしまった。

栗城くん、BCまで下山して、例によってビービー泣いていた。果たして6度目はあるのか。仮にあったにせよ、同じルートを同じ条件で登るとすれば、登頂の可能性はさらに低くなるだろう。

参考:栗城史多 オン・ステージ

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五色沼スノーハイク

2016-01-04 | 山行~スノーシュー

標高 約800m 福島県

2015年12月30日(水) 晴れ 

メンバー 山の神と私

コースタイム 11:19磐梯高原駅バス停11:30--柳沼--青沼--るり沼--弁天沼--竜沼(たつぬま)--深泥沼(みどろぬま)--赤沼--12:56毘沙門沼展望ベンチ(昼食)13:27--13:54裏磐梯ビジターセンター

前泊は、磐梯桧原湖畔ホテル。9:00過ぎにチェックアウトし、近所の道の駅 裏磐梯でお土産をチェック。地元で収穫されたじゅんさいのボトルや駄菓子などを購入し、冬の五色沼の前線基地、裏磐梯ビジターセンターへ向かった。10:10センターの駐車場に入る。すでに何台か車が停められていて、お隣さんは、まさに今出ようとしているところだった。われわれはといえば、ピストンにするか、バスを使うかを悩んだ挙句、結局バスを使って磐梯高原駅へ移動するほうを選んだ。バスは9:01発はもう行ってしまっているので、次の11:11発の喜多方駅行きまで待たなければならない。缶コーヒーでも飲んでくつろいでいようかと辺りを見回すと、あいにくビジターセンターは年末年始はお休みで、トイレはあるものの自販機はない。そういえば、先ほどデイリーヤマザキがあったっけと、車で移動した。ヤマザキだけあって、工場直送の出来たてアップルパイが¥49で販売されていた。昨日セブンイレブンでカップめんやパンを買ってしまっていたので、おいしそうだけれど、断念。

駐車場に戻って缶コーヒーを飲みながら、車内でぬくぬくと待機する。そろそろ準備をするかと外に出ると、お隣さんが早くも戻ってきた。毘沙門沼までだったようだ。「雪ありますか?」と聞いてみると、スノーシューは必要ない。邪魔なだけだという。スキー場が雪不足なのだから、ここも同じかと思いながらも、彼らはコースをすべて歩いたわけではないからと、ザックにスノーシューをくくりつけた。

 
左:スタート地点から見える柳沼 右:とりあえずスノーシューをはいた山の神

定刻通りバスがやってきて、2人しか乗っていない車中に山の神と乗り込んだ。すぐに磐梯高原駅に到着する(¥250)。降りたバス停の目の前から五色沼の散策コースは始まる。コースはすでにだいぶ歩かれているようで、試しにスノーシューなしで歩いてみると、なんてことはない。踏み固められた雪はしっかりと締まっている。そんな私を無視するように山の神はザックにつけたまま歩くよりは、はいてしまったほうが楽だとばかりに、一所懸命スノーシューをはいていた。

昼時も近い11:30松林がいい雰囲気をかもし出している柳沼からスタートする。ほどなくして地元のネイチャーガイドに引率されたスノーシュー軍団が次々にやって来た。みなスノーシューを装着し、パタパタと歩いてくるが、無用の長物だ。ツボ足でまったく問題はない。とはいっても、せっかくのスノーシューツアー。スノーシューをはかなくては魅力が半減する。私は結局ツボ足を選択していたから、ザックにスノーシューをくくりつけたままだった。そんな私の姿を見て、彼らはがっかりしたようだ。せっかくスノーシューをはいて楽しんでいるのに、必要ないよと前から来た男が示しているのだから。

 
左:青沼 右:るり沼

柳沼の次は青沼、青沼の次はるり沼と、新たな沼を越えていくたびに、次の沼は何だろうと、案内板を覗き込みながら進んでいく。雪に埋もれることもなく、役割を立派に果たしているのは雪の少ない今だけか。

 
左:弁天沼 右:竜沼

冬場の五色沼は、葉が落ちて、ヤブも勢いがない(本来は埋まっているのか)分、見通しが利いていい。夏場はよく見えない沼も、この季節ならばっちり見られる。また夏のようにひっきりなしに観光客が行きかうこともないので静謐を保っている。自然本来の姿を満喫できるというものだ。

 
左:深泥沼 右:赤沼

深泥沼、赤沼と歩いてきて、山の神がポツリといった。沼の色が、みんな同じ色に見えるねえ。たしかにそうだ。赤沼に至っては、まったく赤くない。しかし撮ってきた写真を今見比べてみると、カメラのせいもあるのだろうけれど、現場での印象以上に色の差(違い)が出ていた。

 
左:カラマツ林が美しい 右:自然の織り成すアートを発見

沼の色ばかりに目を奪われていたが、五色沼の見どころは他にもある。カラマツの美林や赤い実をつけた木、雪面に落ちているノリウツギなどは、自然がつくり出したまさにアートだし、カモや白鳥といった野鳥を観察するのも楽しい。時間を気にせずにのんびり歩けば、もっといろいろ発見できそうだ。


五色沼最大の毘沙門沼。カモと白鳥が飛来していた

12:30を回った頃から、どこか適当な昼食場所はないかと山の神と物色しながら歩いてきたが、結局最後の毘沙門沼まで来てしまった。12:56ベンチが置かれた見晴らしのいい場所に出て、昼食にありついた。お湯を沸かしていると、やがて家族連れもやってきて賑わった。 

昼食後、毘沙門沼の周遊コースを歩いて、13:54愛車の待つビジターセンター駐車場に戻った。

2015年年末裏磐梯のスキー場事情に戻る

参考:
2004年夏の五色沼散策http://blog.goo.ne.jp/aim1122/e/6b8a1f2ab9b6763fca43e4ac9a894f99
スノーシューhttp://blog.goo.ne.jp/aim1122/c/a0af62b0ea805848653b4338d1ed75dd

 

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2015年年末裏磐梯のスキー場事情

2016-01-03 | 山雑記

2015年の年末は、当初は北志賀に行こうといっていたのだが、11月、12月と私の仕事が忙しすぎたため、とくに下調べをせずに行ける、おなじみの裏磐梯へと行き先を変えた。さっそく山の神が以前宿泊したことのある磐梯桧原湖畔ホテルに予約を入れた。今まで同じ宿に泊まったことはなかったので、初めて定宿ができてしまうのかと、つまらぬことを考えていた。出発の日12/28(月)が近づいてくると、今度は雪不足が深刻なことに気づいた。どうせ年末になれば降るだろう、くらいにしか思っていなかったのだが、その認識はかなり楽観的すぎるものだった。


すごい人出だったグランデコスノーリゾート

初日の12/28(月)は天候が今いちのため、予定していた五色沼スノーハイクはやめ、グランデコへ直行した。行ってびっくり、すごい人だった。ゴンドラに並ぶと乗車まで30分待ち。ゴンドラの終点にあるレストランBunaBunaで昼食にしようと、並ぶといつまで経っても順番が回ってこない。オーダーまでに40分、オーダーを入れてからも20分待たされる。スパゲティを食べるのにこんなに待たされるのは初めてだった。

コースも雪不足のため全コース滑走はかなわず、一部閉鎖されていた。グランデコは楽しい林間コースとパウダースノーといういいイメージしかなかったのだが、今回の大混雑とコース閉鎖でだいぶ印象が変わってしまった。まあ、事前のチェックを怠ったツケともいえるが。

後から聞いた話だが、裏磐梯のスキー場は雪不足で、オープンしていて比較的滑れるコースが充実しているところにお客さんが集中したようだ。集中したのは、グランデコと猫魔。他のスキー場は、雪が十分になくて12/28(月)オープンというところもあったようだ。


12/29(火)磐梯桧原湖畔ホテルから桧原湖を望む。直後に晴れてきた

翌12/29(火)は、グランデコの大混雑ぶりに懲りて、穴場とにらんだ沼尻スキー場へ向かうことにした。しかし、朝出発するだんになると、晴れ間が見えているではないか。山の神は、五色沼に行こうと目を輝かせている。そのほうがいいかと一瞬迷ったが、いや、現時点で何の準備もしていない。やはり今日は沼尻だと、五色沼を断ち切って宿を後にした。


そこそこ楽しめた沼尻スキー場

沼尻スキー場に到着してみると、ジモティが圧倒的に多く、コースが3本しかまだ滑走できないということもあり、かなり空いていた。これはラッキーかもと山の神と喜んだ。ただ、天気が比較的よく終始青空が覗いていたので、五色沼へ行ったほうがよかったのかもと後ろ髪を引かれまくっていた。とはいえ、天気予報はこれから回復傾向。明日のほうが明らかにスノーハイクにはよさそうだった。

山の神と何本か滑って、昼飯へ。昨日のグランデコの大混雑ぶりとは打って変わって、こちらのレストランでは遅滞なく料理が出てくる(下の写真)。カレーだから当たり前か。


100時間カレーに(沼尻スキー場の)ロゴ入りコロッケをトッピング。¥1,000

14時を回ると、空いていてラッキーといっていたのが嘘のようにコースに人が溜まるようになり、ストレスを感じるようになってきた。それがピークに達した頃、時計を見ると15時。最後の1本と、中級者コースを気持ちよく滑って帰り支度に入った。

この裏磐梯界隈のスキー場で特筆すべきは、50歳からの割引があること。シニアとかマスターとか呼び名は違えども、いずれも50歳以上の割引。割引率は、スキー場の集客力に反比例しているようだ。沼尻スキー場は、なんと1日券が¥2,500で超格安だった。

五色沼スノーハイクへつづく 

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進化するサバイバル術『ツンドラ・サバイバル』

2016-01-02 | 山・ネイチャー・冒険・探検の本

 『ツンドラ・サバイバル』 服部文祥(みすず書房)

この本のタイトルを見た瞬間に、NHK BSの番組を思い浮かべた。タイトルを忘れていたが、いま検索してみたら、2014年1月放送の「地球アドベンチャー 冒険者たち 北極圏サバイバル ツンドラの果ての湖へ ~登山家 服部文祥~」だった。服部氏のサバイバル登山の流儀で、ロシアのツンドラ地帯を狩猟しながらエル・ギギトギン湖へ向かい、そこで幻の岩魚を釣るという内容だ。番組自体は、NHKということもあり、淡々と事実を連ねているだけでエキサイティングな場面は少なかった印象があるのだが、本であれば、書きたいことはすべて書ける(?)はず。番組の裏話などもたくさん出ているのだろうと、期待して読んでみると、果たしてその通りだった。番組中、際立って目立っていた猟師にして漁師、カリブー狩りの名手ミーシャとは、本当に偶然出会ったと書かれているし、ロシア人スタッフとやりあう、日本人スタッフたちの百戦錬磨ぶり、ギギトギン湖からの帰還がうまくいかず、食糧が尽きてあわや遭難かというところまで追いつけられたエピソードなど、テレビでは窺い知れない隠された事実が次々に暴露されていて面白すぎた。

さらにこの本には大きなおまけがついている。タイトルからは、ツンドラのことしか書かれていないように受け取れるが、実際はそうではない。2部構成になっていて、第1部に日本編が入っている。服部氏が日本でどんなサバイバル登山を重ねていたのかがよくわかる。彼がしばらく冬のサバイバル登山を控えていたのは、冬場の寒さを思うと億劫になったという率直な記述があって、たしかに行きたくなくなるだろうなと、頷いてしまった。家でぬくぬくしていたほうが、当然ながら快適なのだから。登場してくる各山域では、狩猟のシーンが綿密に描写されていて、射撃の腕は経験を積むごとに格段にアップしていることがわかる。何事も経験とそれを踏まえての研究、工夫で上達するものなのだ。そして獲物を仕留めるごとに、自分が食べるために、生き物の生命を奪う行為の重さを感じていることもヒシヒシと伝わってくる。親子鹿のエピソードは、身にしみた。

日本編でとくに興味を引いたのは、「情熱大陸」の裏話で、撮影者(随行者)として平出和也さん(最近はミャンマーのカカポラジに行っている)が選ばれることだ。サバイバル登山に同行して狩猟の邪魔にならず、しかも撮影が可能な人は、平出さんしか思い浮かばないと服部氏は彼を指名するのだ。道なき道をそこそこのペースで歩け、写真だけでなく、動画も撮れる人となると、そうそう人材はいないだろう。また、本書で採り上げられていたコースとして、面白そうだなと思ったのは、以下2つだ。同じコースをたどるのはムリとしても、一部コースを真似てたどることはできるだろう。

【知床半島秋期サバイバル継続遡下降】
糠真布川~海別岳~熊追川~シュンクンベツ川~斜里岳

【四国、剣山山系、冬季サバイバル登山】
山河内~鰻轟山~湯桶丸~甚吉森~四ッ足峠~三嶺

こんな山の登り方もあるのかと興味本位だけから読んでも、十分楽しめる本。みなさんもどうぞ。

 

参考:
サバイバル~服部文祥の世界 http://blog.goo.ne.jp/aim1122/e/3584f7a1a2c26f1c7ce4530134acf60a
狩猟をしながら探検行『アグルーカの行方』 http://blog.goo.ne.jp/aim1122/e/02f5e833d349dffdc8050e9ebf61bd59

ツンドラ・サバイバル
服部 文祥
みすず書房
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