三嶺から名頃へ下山後、バスで見ノ越へ戻って車で国道439号を移動、祖谷のかずら橋を見に行った。あいにくの雨ながらも、ゴールデンウィークということもあり、観光客はひっきりなしにやってきていた。滝美屋の駐車場(¥300、滝美屋で食事をすると返金)に車を置いて、かずら橋へ行く。¥550を支払って、さっそく一歩踏み出したが、こりゃあすごい。足元を見ると、かずらで編まれた角材の間隔はかなり開いていて、きちんと踏みしめないとバランスを崩しそうだ。渡りきるまで、かなり緊張を強いられる。少し進むと眼下の渓谷が、足元の隙間から丸見えで、嫌でも高度感を味わえる。皆おっかなびっくり、手すりにつかまりながら進んでいた。私にいたっては、傘をさしながらのアクロバティックな撮影で肝を冷やしていた。
祖谷のかずら橋。前方に山の神
滝見屋で祖谷そばを食べて、お茶するところはないかと探すと、「森のくまさん」があった。大学いも¥300とコーヒー¥300をオーダー。店内を見渡すと、野鳥の写真がいたるところに展示されていて、オーナーは鳥好きなのかと思った刹那、当のオーナーから話しかけられた。ほら、ヤマガラ。店の隣の木に止まっていたヤマガラがテラスのエサ置き台に何度も何度も舞い降りてくる。あそこには雛がいるんだよと枝の間を指差され、目を凝らすと確かにそこにひそんいる。思わぬところでバードウォッチングができてラッキーだった。
その後宿のチェックインタイムまで時間つぶし。大歩危(おおぼけ)へ移動し、観光船乗り場に行ってみた。もともと時間があれば、吉野川でカヌーをしようといっていたので、その代わりだ。ここの急流と渓谷美は有名で、見て損はないし、観光船なら自分で漕がなくてもいい。乗船申込用紙に記入し始めると、近くにいたお店の人が、今日はあいにくの強風で運行していないんですよと。山の神と肩を落として引き返し、道の駅大歩危へ寄ってお土産をあさった。
時計を見ると、もうだいじょうぶだ。チェックインできると本日のお宿、祖谷の宿かずらや(冒頭写真)へと向かった。かずらやは、山間の静かな宿で、素朴な料理と落ち着いた部屋でくつろげた。翌日は、山の神がぜひとも訪れたいといっていた金刀比羅宮。私は1度訪れているのだが、何一つ覚えていなかった。
左:大門 右:新緑が映える鳥居
祖谷の宿から2時間ほどかかって金刀比羅宮に到着した。民間の駐車場(¥500)に停めて出発。参道に入ると、もうお土産物屋がこれでもかと軒を連ねている。やがて階段が出てきて、奥社まで1368段あると書かれている。一昨日と昨日の2日間の山歩きで筋肉痛に侵された山の神は、お土産屋の傍らにあったレンタル杖を目ざとく見つけ、さっそくゲットしていた。
左:旭社 右:参拝者がひっきりなしに訪れる御本宮
新緑の映える参道だが、ちょっと湿度が高く、さわやかな感じではない。空はどんよりと曇っていて、階段を一所懸命登っていると、汗ばんでくる。桜馬場と呼ばれる広場に出る。傍らの御厩に白い馬がつながれていた。神馬ということだが、狭いところに四六時中閉じ込められ、観光客にじろじろ見られいるためか、かなりのストレスを感じているようだった。目の前の木の囲いをゴリゴリかじっていて、いつもそうしているのか、木はかなり細くなっていた。
桜馬場からさらに階段を上がっていくと、旭社。もうここで参拝終了なのか休憩している人が大勢いる。どんどん上がっていくと、御本宮に到着する。山の神と参拝して、奥社へと向かう。
左:御本宮横のケヤキの神木 右:高台から街を望む
左:白峰神社 右:奥社(厳魂神社)
奥社への道は、きちんと整備された石畳の道だが、完全に山中の道といった様相になる。観光客は、奥社へはあまり行かないのかと思っていたが、こちらの参道もかなりの人がいた。すぐに白峰神社、そこから忍耐力を試されるが、辛抱強く歩いていくと、奥社(厳魂神社)にたどりつく。山の神と最後の参拝をして、延々とつづく階段を戻った。
階段を下りきったところで木彫りの店を発見した。寿老人のお顔だけをレリーフのように彫った讃岐彫りを一体購入した。こんぴらさんもお参りしたことだし、これで何かいいことはないかと思いながら、近所のうどん屋で名物、讃岐うどんを食べる。今回の山旅も終わっちゃったねえと山の神と感慨にふけりながら、帰途についた。ただ一気に東京まで帰るのはきついなと、彦根のビジネスホテル、ホテルレイクランド彦根で1泊。翌朝起き抜けにホテルを後にし、寄り道することなく進み、お昼くらいに自宅に戻った。