分類:観 鹿島町を見て歩こう⑮ 《中央台》 いわき市中央台鹿島3丁目 (旧・鹿島村走熊地域) 嫁送りの松 市立中央台南中学校のバス停付近に、松の木が1本植えられていて 「嫁送りの松」 と刻まれた石碑が建っています=写真。 《昔は鹿島村と高久村の村境の山頂で、淋しい場所だった》
いわきニュータウンの宅地造成が始まる前まで、この周辺は奥深い山林で、ちょうど鹿島と高久の境になっていましたが正規の道路ではなく、双方のを往来するには最短距離になるところでした。 獣道のような道でしたが、結(ゆ)いによる田植えや稲刈り、冠婚葬祭などで使用するには便利な道でした。そういう中で最も思い出が深く残るのは、やはりから嫁を出す時でした。 親戚縁者や村人たちが、この1本松のある所まで送ってくると、そこで名残を惜しんでお別れする場所でした。お目出度くもあり、悲しくもあった印象深い松だったのです。 村の人たちは誰言うとなくその松を 「嫁送りの松」 と呼ぶようになりました。 《嫁送りの松の下に見えるのは市立中央台南中学校体育館》
〈エピソード〉 いまから60年以上も前の話ですが、田植えの応援などで夜になって、自分のへ帰る時には必ず複数の人たちで行動をとるのが暗黙の了解事項になっていました。 ある年、事情があってどうしても1人で後に帰るようになってしまった人が、一晩経っても帰宅しないので、家の人が心配になっての人たちにも応援を頼んで探しに行ったら、帰る途中でキツネに化かされて、着ていた物を頭の上に乗せながら 「おお深い、おお深い」 と独り言を発しながら山の中を彷徨(さまよ)っているところを発見されたという話が残っています。 本人は大きな川越えでもしている積りだったのでしょうが、正気に戻ったら全く覚えていないということでした。 嫁送りの松があった場所は、それほど山の中で薄気味悪いところだったのです。
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