思い立ったが吉日
私の直ぐ下の妹が勤め先の会社を定年退職し、その夫婦が近くに住居を構えている関係で私がいつ行っても二人揃って迎えてくれるようになった。
愈々、老後の境地がわかる仲間入りをしたなと言ったら「そうは云っても毎日家の中でお茶ばかり飲んでいても始まらない。私には羽が生えたのよ」と軽く一蹴されてしまった。
私は二日酔いで重い頭を更に垂れて、妹の夫のフォローを待った。
「どうだろう、皆で旅行でもしてみないかね?」
義弟が私と妹の表情を読むようにして「ネ」というような仕種をした。
「ああ、それもいいね」と軽く流す積りで私が言うと、妹が即座に「賛成、それで何処へ行くの?」と急須にお茶を入れるのを止めて目が輝いた。
さっき、妹が「・・・始まらない」と言っていたのは、こういう状況を引き出すための台詞(セリフ)だったのかと思うと、納得と同時に私自身も旅行するにはこの際、良い機会を与えてくれたのかなと心が揺らいでしまったのだ。
そこで、皮肉なことに双方の往来が更に頻繁になってしまった。
全国の観光地や宿をパソコンで検索し、地図を百均のダイソーや書店から買い集めては無い知恵を絞って行き先を探す作業に入った。
妹が「どうせなら、Mの居る九州を重点にして、帰り掛けに各地を観てきながら戻ってくるというのはどうかしら。帰りはMの家に寄ってMの車でMも一緒に乗せてくるという発想なんだけど」とMとも旅行がしたいという妹の提案だった。
話が、ややこしくなってきたので、ここで注釈を入れると私からみて、最初から妹と呼んでいたのは兄妹の中の長女にあたるYであり、Mは次女ということになります。以降は妹の呼称を「Y」と「M」とします。
YがMに電話連絡してみたところ「一年半以上も故郷に帰っていないので、九州に来るのなら是非、同行させて欲しい」と弾んだ声が受話器の中から洩れてきた。
それならばと、私とYの夫は、コップの中に馥郁な薩摩焼酎を注ぎ、お湯で割って日程表の作成に入った。 《続く》
私の直ぐ下の妹が勤め先の会社を定年退職し、その夫婦が近くに住居を構えている関係で私がいつ行っても二人揃って迎えてくれるようになった。
愈々、老後の境地がわかる仲間入りをしたなと言ったら「そうは云っても毎日家の中でお茶ばかり飲んでいても始まらない。私には羽が生えたのよ」と軽く一蹴されてしまった。
私は二日酔いで重い頭を更に垂れて、妹の夫のフォローを待った。
「どうだろう、皆で旅行でもしてみないかね?」
義弟が私と妹の表情を読むようにして「ネ」というような仕種をした。
「ああ、それもいいね」と軽く流す積りで私が言うと、妹が即座に「賛成、それで何処へ行くの?」と急須にお茶を入れるのを止めて目が輝いた。
さっき、妹が「・・・始まらない」と言っていたのは、こういう状況を引き出すための台詞(セリフ)だったのかと思うと、納得と同時に私自身も旅行するにはこの際、良い機会を与えてくれたのかなと心が揺らいでしまったのだ。
そこで、皮肉なことに双方の往来が更に頻繁になってしまった。
全国の観光地や宿をパソコンで検索し、地図を百均のダイソーや書店から買い集めては無い知恵を絞って行き先を探す作業に入った。
妹が「どうせなら、Mの居る九州を重点にして、帰り掛けに各地を観てきながら戻ってくるというのはどうかしら。帰りはMの家に寄ってMの車でMも一緒に乗せてくるという発想なんだけど」とMとも旅行がしたいという妹の提案だった。
話が、ややこしくなってきたので、ここで注釈を入れると私からみて、最初から妹と呼んでいたのは兄妹の中の長女にあたるYであり、Mは次女ということになります。以降は妹の呼称を「Y」と「M」とします。
YがMに電話連絡してみたところ「一年半以上も故郷に帰っていないので、九州に来るのなら是非、同行させて欲しい」と弾んだ声が受話器の中から洩れてきた。
それならばと、私とYの夫は、コップの中に馥郁な薩摩焼酎を注ぎ、お湯で割って日程表の作成に入った。 《続く》
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