2003年のグスタフ・レオンハルトから、毎年、バッハ音楽祭の期間中、作品の普及に貢献してきた音楽家に、ライプツィヒ市によって「バッハ・メダル」が授与されてきました。2012年は鈴木雅明に決定(発表は4月17日)し、日本人初の受賞ということで話題になりました。「日本人初」が強調されましたが、じっさいには「東洋人初」、さらにいえば「非欧州人初」です。
レオンハルト以降の受賞者は、ヘルムート・リリング、ジョン・エリオット・ガーディナー、トン・コープマン、ニコラウス・アーノンクール、ヘルマン・マックス、フリーダー・ベルニウス、フィリッペ・ヘレヴェーゲ(フィリップ・ヘレヴェッヘ)、ヘルベルト・ブロムシュテット。と、これまではすべてヨーロッパの音楽家でした(ブロムシュテットはアメリカ生まれで生後まもなくスウェーデンへ)。
ライプツィヒ市が授与する賞らしく、カンタータ全集の録音にかかわった音楽家が5人もいます。日本でもよく知られているヘレヴェーゲ、知られていないマックスやベルニウスも、声楽曲の録音・上演が評価されているようです。バッハ・メダル、2013年はだれに授与されるのでしょう。この流れだと、カンタータ全集が進行中のシギスヴァルト・クイケンが有力ですかね。
[追記]以下にバッハ・メダル受賞者をまとめてみました。
- 2003年 グスタフ・レオンハルト
- 2004年 ヘルムート・リリング
- 2005年 ジョン・エリオット・ガーディナー
- 2006年 トン・コープマン
- 2007年 ニコラウス・アーノンクール
- 2008年 ヘルマン・マックス
- 2009年 フリーダー・ベルニウス
- 2010年 フィリッペ・ヘレヴェーゲ(フィリップ・ヘレヴェッヘ)
- 2011年 ヘルベルト・ブロムシュテット
- 2012年 鈴木雅明
- 2013年 ペーター・シュライヤー
- 2014年 ベルリン古楽アカデミー
- 2015年 ペーター・ノイマン
- 2016年 ペーター・コーイ
- 2017年 ラインハルト・ゲーベル
- 2018年 ロバート・レヴィン
- 2019年 クラウス・メルテンス
- 2020年 アンジェラ・ヒューイット
- 2021年 ハンス・ヨアヒム・シュルツェとクリストフ・ヴォルフ
- 2022年 アンドラーシュ・シフ
- 2023年 トマス合唱団(聖トーマス教会合唱団)
- 2024年 アンドレアス・シュタイアー
ところで、2012年、鈴木雅明受賞の翌年を、「シギスヴァルト・クイケンが有力ですかね」と予想しましたが、みごとにはずしました。2013年はペーター・シュライヤーでした。たしかに、これまでリヒターをはじめとするバッハ声楽作品の録音に参加し、みずからも指揮者として録音をのこしています。受賞するのはあたりまえですね。昨年の2014年はベルリン古楽アカデミー(ルネ・ヤーコブスではなく)が受賞。受賞者が団体にまでひろがりました。(2015年4月15日)
2015年の受賞者はペーター・ノイマンでした。やはり、声楽作品の上演、録音が評価されたものと思われます。(2015年8月8日)
2016年の受賞者は、バス歌手のペーター・コーイでした。数々のカンタータ、受難曲での歌唱が評価されたようです。(2016年5月24日)
2017年の受賞者は、指揮者(元ムジカ・アンティクヮ・ケルンのヴァイオリン奏者)のラインハルト・ゲーベルです。(2017年7月25日)
2020年の受賞者はアンジェラ・ヒューイットでした。女性初です。2020年のライプツィヒ・バッハ音楽祭は中止。(2020年8月20日)
2021年の受賞者はハンス・ヨアヒム・シュルツェとクリストフ・ヴォルフでした。2人はバッハ・アルヒーフ所長の前々任者、前任者。研究者として、はじめての受賞となります。(2021年5月27日)
2022年の受賞者はアンドラーシュ・シフです。(2022年6月7日)
2023年の受賞者はトマス合唱団(聖トーマス教会合唱団)です。(2023年4月11日)
2024年の受賞者はアンドレアス・シュタイアーです。近年の受賞者は鍵盤楽器奏者が多いですね。(2024年4月4日)