収録順にきいているエリザベス・ファーの「Music for Lute Harpsichord」、これからきくのは、2枚目の最後に収められた「サラバンドと変奏」です。このBWV990のサラバンドの主題は、ジャン・バティスト・リュリの「ベレロフォン」序曲にもとづくもので、これに15の変奏が続きます。ただし、「おそらく他者の作」(『バッハ事典』)とのこと。
ところで、リュート・チェンバロを演奏しているファーですが、アルペッジョをゆっくりめに、高音をずらしてひいています。リュート風を試みているのか、それとも好みなのか、確認しようにも手持ちはこれだけ。しかたがないので、ナクソス・ミュージック・ライブラリーで、ほかのバッハの録音(8.572006-07)をきいてみました。
何曲かきいてみましたが、ふつうのチェンバロでの演奏ながら、こちらも同じようなアルペッジョです。つまり、高音をずらすアルペッジョやアゴーギグはファーの趣味ということなのでしょう。それなら、フランスの音楽家エリザベト・ジャケ・ド・ラ・ゲールの録音(8.557654-55)で、ドイツ・レコード批評家をうけているのもなっとくです。
CD : 8.570470-71(NAXOS)