■恋のタッチ・アンド・ゴー / はつみかんな (RCA)
昨日は筒美京平を訃報に接し、朝方まで故人の残したメロディを偲びつつ、あれやこれやとレコード書作を取り出しては針を落とし、あらためて「筒美京平」という天才に感服させられました。
もちろん、夥しい傑作群の中から聴けたのは極一部ですから、故人について何を書き、どのレコードを紹介しようかと迷う事は普通であり、気後れするほどの身の程知らずではないつもりですが、サイケおやじとしては本日、とりあえず掲載のシングル盤A面曲「恋のタッチ・アッド・ゴー」を謹んで「お題」とさせていただきます。
演じている「はつみかんな」とは「しばたはつみ」が公式レコードデビューした時の芸名で、発売されたのは昭和44(1969)年2月ですから、作詞:橋本淳&作編曲:筒美京平という稀代のヒットメーカーが企図したのは、極言すれば黛ジュンが同時期に出していたエレキ&ソウル歌謡の路線に外なりません。
実際、イントロからファズが効いたギターと如何にものハモンドオルガンに耳を惹きつけられ、アップテンポで歌わなければならない主題には、絶対的なボーカルのパンチ力が必須という、まさにノリ優先の歌謡ポップスなんですねぇ~~!
未だ16歳の「はつみかんな」が、これを堂々の真っ向勝負で節回してしまうのは、正に脅威であり、溌剌とした発音のリズム感と中盤における演歌風のコブシの用い方には、後年「しばたはつみ」として大活躍する萌芽を確認出来るほどで、この仕上がりには制作スタッフも大満足だったんじゃ~ないでしょうか。
以下はサイケおやじの完全なる妄想ではありますが、筒美京平が提供したメロディとアレンジには、弘田三枝子を想定していたフシも感じられますから、はつみかんなの歌いっぷりの中に弘田三枝子っぽいウネリというか、共通するグルーヴを要求し、それを実現させてしまったのだとしたら、ストレートにヒット曲を量産する基本姿勢(?)として、自らのメロディを歌ってくれるボーカリストとの相性を見極める能力が、故人は抜群だったんじゃ~ないでしょうか。
だからこそ、この「恋のタッチ・アッド・ゴー」における渦巻く様なストリングスアレンジのパートも書けたのでしょうし、それに全く臆していない彼女のビート感溢れる節回しこそは、堂々の証拠物件なのかもしれません。
そのあたりを故人の諸作全般で考察する事は、当然ながら奥の細道であり、サイケおやじには能力も時間も大いに足りていませんが、どんな時に聴いても心を動かされてしまうのが筒美京平のメロディ♪♪~♪
あらためて故人の偉業には敬意と感謝を覚えるばかりです。
合掌。