OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

一味違うBN作品

2007-07-13 19:20:36 | Weblog

参議院選挙がスタートしましたが、どこの党も根本の解決が出来ない夢物語ばっかりだと感じます。

まあ、それは、何時もお馴染みの光景なんですが……。

ということで、本日は――

Blues In Trinity / Dizzy Reece (Blue Note)

名門ブルーノートレーベルでは珍しい海外レコーディング作品です。

主役のディジー・リースはジャマイカ生まれながら英国を中心に活躍していた黒人トランペッターですが、その評判はアメリカでも広まっていたらしく、プロデューサーのアルフレッド・ライオンが直々に渡英した事実を鑑みれば、その実力は本物だったということでしょう。

実際、残された音源を聴けば、それは明白なんですが、こういう隠れ名手的な存在に逸早く光を当てようとするブルーノートという会社の姿勢は、マイナーレーベルならではの小回りと情熱の賜物として、ジャズ者には嬉しいところです。

録音は1958年8月24日のロンドン、メンバーはディジー・リース(p)、タビー・ヘイズ(ts)、テリー・シャノン(p)、ロイド・トンプソン(b) という地元の精鋭達に加えて、丁度、巡業に来ていたドナルド・バード(tp) とアート・テイラー(ds) が入った興味津々のセッションです――

A-1 Blues In Trinity
 テーマ部分はかなり凝っていて、ハードバップのメロディラインに落ち着きの無いリズム隊……。全然、ノリが良くないです。なんだっ!? このアート・テイラーの三倍速みたいなビートはっ???
 したがってアドリブ先発のディジー・リースは迷い道……。ところが続くタビー・ヘイズが豪快極まりないテナーサックスで、王道のハードバップです。おぉ、するとアート・テイラーのやろうとしていたことが、解るんですねぇ♪ セロニアス・モンク(p) みたいなテリー・シャノンの伴奏とアドリブも味わいが違います。ファンキー味も滲ませた不思議な快演でしょうか。
 ディジー・リースも、ようやくラスマエになって踏ん張りますが、またまたタビー・ヘイズに良いところを持っていかれるのでした。

A-2 I Had The Craziest Dream
 あまり有名でないスタンダード曲ですが、ディジー・リースは優しさが漂うメロディを丁寧に吹奏して、前曲での失地を回復しているようです。抑えた感情表現が見事ですねぇ~♪ 一人舞台を立派に務めています。 

A-3 Close-Up
 ここはドナルド・バードが加わった3管セッションですから、クールなテーマも熱くなっていきます。アドリブパートは、まず先発のディジー・リースが引き締まったブルースフィーリングで健闘すれば、続くタビー・ヘイズは正統派の真っ向勝負です。バックで煽るアート・テイラーも最高に素晴らしいですねぇ~♪
 そして、いよいよ登場するドナルド・バードは、流石の存在感というか、本場のハードバップの真髄を聞かせてくれます。またテリー・シャノンのモンク偏愛も憎めません。
 こうして向かえるクライマックスは、ホーン陣3者によるソロチェンジですが、意地のぶつかり合いというよりも、お互いの手の内を探りつつ楽しんでいる雰囲気が、結果オーライだと思います。
 スバリ、主役はアート・テイラーのドラムスでしょうねっ♪

B-1 Shepherd's Serenade
 アップテンポでカッコイイ、ディジー・リースのオリジナル曲ですが、ここでもアート・テイラーが大暴れ! テリー・シャノンの硬いバッキングも良いですねぇ~♪
 アドリブパートでは先発のディジー・リースが、ようやく本領発揮ですし、タビー・ヘイズも期待を裏切らないハードドライブな好演! モリモリに吹きまくって、あたりを圧していくのです。
 するとドナルド・バードも大人しくはしていません。十八番のフレーズを出しまくりながらも、思い切ったハイノートまで駆使して熱くなっています。もちろん、リズム隊の大ハッスルも最高です!
 さらにクライマックスは、ディジー・リース対ドナルド・バードのバトルです! 間に入るのは、もちろんアート・テイラーとタビー・ヘイズなんですが、右チャンネルがディジー・リース、左チャンネルがドナルド・バードになっているステレオバージョンが、一層楽しいはずです♪

B-2 Color Blind
 ディジー・リースが書いた、これまた快適なハードバップです。
 イカしたテーマに続いて登場する作者のアドリブは、ここでも快調ですが、それ以上に良いのが、リズム隊の張り切ったノリです。またタビー・ヘイズが、グルーヴィで素晴らしいですねぇ~~~♪ ちょうどハンク・モブレーとデクスター・ゴードンを混ぜ合わせたような按配で、スピード感もありますから、個人的には最高に好きなテナーサックス奏者のひとりです。
 それとテリー・シャノンはタビー・ヘイズの盟友で、やはり隠れ名手というか、味わい深い存在だと思います。

B-3 `Round About Midnight
 オーラスはセロニアス・モンクが書いた説明不要のモダンジャズ曲ですから、ここではバンドのお手並みは意見です。
 とはいえ、タビー・ヘイズの雰囲気満点のテーマ吹奏で、まずKOされるでしょう。テナーサックスの魅力がいっぱいという音色、サブトーンを駆使しながらのテーマ解釈には、グッときます♪ もちろんアドリブの素晴らしさは言わずもがなで、夥しく残されている同曲の中でも、私が飛び切りに気に入っているバージョンです。
 肝心のディジー・リースが出てこないのも、嬉し哀しの機微があります。

ということで、実はリーダーのディジー・リースが一番、精彩を欠いているようです。しかしタビー・ヘイズの豪快で温か味のあるテナーサックスとアート・テイラーを核としたリズム隊の素晴らしさは特筆すべきでしょう。

そして録音は、ブルーノートではお馴染みのルディ・ヴァン・ゲルダーが渡英して行ったんですが、やはり何時もと勝手が違ったのか、やや音の雰囲気が違います。しかし、それゆえにアート・テイラーのシンバルがくっきりと入っていて、強烈です。リズム隊の素晴らしさは、そこにあると感じるのですが!?

ということで、名盤でも何でもないアルバムなんですが、こういう珍しい作品も作っていたブルーノートの愛情溢れる仕事に、拍手喝采という1枚です。

個人的には、タビー・ヘイズとアート・テイラーに歓喜感涙しています。またディジー・リースは、この後に渡米、同レーベルに傑作盤を残していますから、やっぱり侮れない存在というわけです。

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