OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

これは飽きない名盤アルバム

2012-03-25 16:51:16 | Rock

East West / The Butterfield Blues Band (Elektra)


これもまたサイケおやじが高校生時代から今日まで聴き続けているアルバムで、巷間事ある度に言われる、擦り切れるまで云々というレコードの1枚として、最初に買った日本ビクターからのLPがそうなったほど愛着しています。

 A-1 Walking Blues
 A-2 Get Out Of My Life Woman
 A-3 I Got A Mind To Give Up Living / 絶望の人生
 A-4 All These Blues
 A-5 Work Song
 B-1 Mary Mary
 B-2 Two Trains Running
 B-3 Never Say No
 B-4 East-West

ご存じのとおり、ポール・バターフィールド(vo.hmc)、マイク・ブルームフィールド(g)、エルビン・ビショップ(g)、マーク・ナフタリン(key)、ジェローム・アーノルド(b)、ビリー・ダヴェンポート(ds) という白黒混成の6人組によって1966年にレコーディングされたこのアルバムは、リアルタイムのブルースロックをベースにしたニューロックの決定的名盤と認定されています。

しかし、サイケおやじは決して最初っから、このアルバムの真価を理解していたわけではありません。

実は何処で、どうやって刷り込まれたのか、当時十代だったサイケおやじは、これを黒人シカゴブルースの同一種として聴いていたのですから、今となっては身も縮む思いです。

で、それをこの機会にちょいと検証してみると、驚くなかれ!? 昭和43(1968)年に発売された件の日本盤には「モダン・ブルースのアイドル」という邦題帯が付けられ、しかも洋楽マスコミの幾つかは、日本のGSがお手本にしているポップスグループ!? とまで喧伝していたのですから、どうやらそこに反発した一部評論家の先生方、あるいはミュージャン達でもあったかもしれませんが、とにかくバターフィールド・ブルース・バンドこそが、本物の黒人ブルースを聞かせてくれると各方面で訴えていたように思います。

そして実際に聴いてみると、これが確かにベースとドラムスが黒人ゆえの本物感は侮れず、さらにギターもハーモニカも、エリック・クラプトンやジョン・メイオール等々の英国勢がやっていた所謂ブルースロックよりは、相当にシンプルでありながら奥が深いという印象が強く残るのです。

しかも随所に隠し様もないジャズっぽい分からなさは、一体に何!?

まあ、そのあたりが所謂「サイケデリックロックの真髄」という事なんでしょうが、それはそれとして、如何にも黒人ブルースがモロに感じられたのは、A面ド頭の「Walking Blues」における力強い足踏みの如きビート感、転がるピアノや躍動的なリフが心地良い「Get Out Of My Life Woman」、ベタベタの泣き節にミステリアスな音色のギターソロが冴えまくりという「絶望の人生」と続く熱い三連発は言わずもがな、さらに濃密なブルース衝動に溢れた「All These Blues」や「Mary Mary」のドロドロしたハードロックフィーリングは、似たような事を既にやっていたストーンズよりも図太い感じで、やっぱり、これは本物!?!

そう、思わずにはいられませんでした。

中でもポール・バターフィールドのハーモノカはブルースハープと呼ぶに相応しいエグ味があって、グリグリに突き刺さってきますし、繊細にして豪胆なリードギターが唯一無二のマイク・ブルームフィールドならば、無手勝流のがむしゃらさがサイドギターの役割を逸脱しているのがエルビン・ビショップの存在証明でしょうか。

とにかくそんなこんながゴッタ煮となって繰り広げられる「Two Trains Running」は、ブルースロックのひとつの典型でしょうし、幾分勿体ぶった「Never Say No」にしても、これまた白人ブルースマンでなければ表現しえないような、逆説的な黒っぽさがあると思います。

で、結局、そこらあたりがサイケおやじに本物のブルース云々という誤解を増幅させてしまった要因かもしれませんが、一方、前述した「ジャズっぽさ」がとんでもない曲者!?!

なにしろキャノンボール・アダレイでお馴染みのモダンジャズヒット「Work Song」は、8分近い4ビートのインストになっていて、2本のギターにオルガン、そしてハーモノカのアドリブ合戦がリスナーの優越意識を鼓舞する快演になっているんですが、特に先発で披露されるマイク・ブルームフィールドのギターソロからは、モザイクのように細かいフレーズが紡ぎ出されて圧巻ですよ♪♪~♪

う~ん、今だから告白も出来ますが、リアルタイムの高校生だったサイケおやじは、そこに何が何だか、さっぱり理解不能の気持良さを感じていたほどです。

そしていよいよオーラスのタイトル曲「East-West」こそが、これまたインストながら、ニューロックの到達点とも言うべき、モードジャズと白人R&Bの幸せな結婚かもしれません。

同系の演奏は既にバーズが「霧の8マイル」でもやっていた、インド音楽の影響下にあるような所謂ラーガロックでもあり、また後にはグレイトフル・デッドやオールマンズが十八番とするジャムバンドプレイの元祖とも言えるほどで、殊更アブナイ雰囲気に満ちているのがマイク・ブルームフィールドの変態的アドリブでしょう。

あぁ、ここにジェリー・ガルシアやデュアン・オールマンが出て来ても、全く問題無いと思いますねぇ~~♪ もう何度聴いても圧倒されるばかりです。

しかし、繰り返しますが、今日まで聴き続けていながら、この曲と演奏の真実には到達出来ていなのがサイケおやじの本音です。それはマイク・ブルームフィールドのアドリブの背後で唸る続けるサイドギターやキーボードの響きに潜む得体の知れなさ、そこに集約されるんですが、どこから湧き上がるのかさえ不明なクールで熱いエモーション!

その濃密さは、永久に解明される事無く、このアルバムの普遍性を支え続けるものと思います。

ということで、これは決して正統派ブルースロックでは無く、そうかと言ってサイケデリックロックでも無い、実に不思議な名作アルバム!

まあ、そこがロックという雑食性汎用音楽の面白さを代表しているのかもしれませんねぇ~♪ ですからサイケおやじが最初に買った日本盤を聴き潰し、現在はバーゲンでゲットしたアメリカ盤に飽きもせず針を落とす行為も、何か正当化されるような気がしています。

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