■Couldn't Stand The Weather Legacy Edition
/ Stevie Ray Vaughan (Epic)
近年大流行の拡張再発盤は大歓迎のサイケおやじですから、そこに死ぬほど好きなスティーヴィ・レイ・ヴォーンの「Couldn't Stand The Weather」が出たとなっては、ノー文句で買う他はありませんでした。
それはCD2枚組の3面見開きデジパックという嬉しい仕様もさることながら、やはり中身の充実も大いに魅力です。
☆Disc One / The Origenal Album
01 Scuttle Buttin'
02 Couldn't Stand The Weather
03 The Things That I Used To Be
04 Voodoo Chile
05 Cold Shot
06 Tin Pan Alley
07 Honey Bee
08 Stang's Swang
まず以上が注釈どおり、オリジナルLPのリマスター復刻なんですが、基本的には現在出回っているボーナストラック付きのCDとそれほど変わるところはないと思います。
う~ん、しかし、やっぱり惹きこまれてしまう狂熱がありますねぇ、この頃のスティーヴィ・レイ・ヴォーンにはっ!
☆Disc One / Bonus Tracks
09 Empty Arms ※
10 Come On (Part.Ⅲ) ▲
11 Look At Little Siste ▲
12 The Sky Is Clying (Previously unreleased 1984 version)
13 Hide Away ▲
14 Give Me Back My Wig ▲
15 Boot Hill (Previously unreleased 1984 version)
16 Wham! ※
17 Close To You ※
18 Little Wing ※
19 Stang's Swang (Previously unreleased 1984 alternate take)
※from「The Sky Is Cling (1991)」
▲from「Couldn't Stand The Weather (1999 CD)」
以上のボーナストラックは基本的にこのアルバム制作時期のアウトテイクや関連音源なんですが、上記したように※印は1991年に出た追悼盤「The Sky Is Cling」から、また▲印は1999年に出たこのアルバムのリマスターCDのボーナストラックからの転用です。
ただし、ひとつの流れを構成するにあたり、音質&音圧を調正したようですね。まあ、それほど拘る必要もないと思います。
しかし大いに気になるのが、完全未発表という3曲でしょう。
まず「The Sky Is Clying」は前述の同名アルバムに収録されたのは1985年の演奏でしたが、こちらはそれ以前の1984年バージョンで、粘っこいチョーキングの多用やじっくり構えたバンド全体のグルーヴ等々、方法論はそれほど変わるところは無いでしょう。ただしこちらはキーボードが入っていない分だけ、リアルなギスギス感がたまりませんよ♪♪~♪
次に「Boot Hill」もまた前述「The Sky Is Clying」に収録の1989年バージョンとは異なるテイクで、それも重厚なエネルギーに溢れていた粘っこい演奏だったんですが、こちらは別の意味で荒っぽく、過激でストレートな演奏が楽しめます。もちろん両バージョンともにエルモア流のスライドギターが、やっぱり凄い!
そして「Stang's Swang」はLP時代からちょいと珍しがられた4ビート演奏の別テイクとあって、最初から相当に出来上がっていた雰囲気が濃厚かもしれません。しかしこちらは本テイクにあったサックスか入っていませんから、よりナチュナルなスイング感が良い感じ♪♪~♪ このあたりは、まあ、好みの問題かもしれません。
☆Disc Two / Live In Montreal
01 Testife
02 Voodoo Chile
03 The Things That I Used To Be
04 Honey Bee
05 Couldn't Stand The Weather
06 Cold Shot
07 Tin Pan Alley
08 Love Struck Baby
09 Texas Flood
10 Band Intros / Encores
11 Stang's Swang
12 Lenny
13 Pride And Joy
こちらはオフィシャルでは完全未発表のライプ音源で、ちょうど新譜として発売した「Couldn't Stand The Weather」のプロモーションも兼ねた巡業ツアーから、1984年8月17日のステージが蔵出しされています。
メンバーはスティーヴィ・レイ・ヴォーン(vo,g) にトミー・シャノン(b)、クリス・レイトン(ds) からなるお馴染みのダブルトラブルですから、何の問題もない白熱のライプが楽しめるんですが、なにか、もっと過激な爆発を期待してしまうのは贅沢でしょうか?
いやいや、やっぱりこれだけの強烈なブルースロックを演じられるのは、スティーヴィ・レイ・ヴォーン以降は皆無ですからねぇ。予定調和の一言で片づけられない狂熱と歓喜には、素直に感涙して然るべきでしょう。
まあ、そんな理屈なんて、この音源の前には不要なんですけどねぇ~♪
スティーヴィ・レイ・ヴォーンのギターは狂おしく、時にはジミヘンに傾倒する本音をストレートに出してくるあたりが、全く憎めません。
ただしダブルトラブルのふたりの姿勢が剛直なんで、決してジミヘンのバンドのような柔軟で宇宙的な広がりへは踏み込んでいけないところに、賛否両論があるかもしれません。このあたりはスティーヴィ・レイ・ヴォーンの夭折によって、今日では如何様にも想像解釈出来る部分ではありますが、おそらくは今後も発掘され続けるであろう未発表音源のあれこれによって、楽しみは増えるばかりだと思います。
ということで、これは先日発売されたばかりのホヤホヤの最新発掘音源集です。
日本盤の発売状況はちょいと分からないのですが、コアなマニアはもちろん、初めてスティーヴィ・レイ・ヴォーンを楽しまれようとされる皆様にもオススメですよ。
なにしろライプ音源のプログラムは前半が新譜だった「Couldn't Stand The Weather」、後半がデビューアルバムからの人気曲がメインですから、当時のベスト盤という意味合いすら楽しめるんですねぇ♪♪~♪
当然ながら、ライプの音質も良好です。
本来ならば、涼しい音楽でも聴きたい最近の厳しい猛暑ですが、こういう逆効果のブルースロックで心身ともに汗だくとなるのも悪くないと思います。