OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

フラー、クラーク&ヒューストン

2009-06-23 11:44:19 | Jazz

Bore & Bari / Curtis Fuller (Blue Note)

昨日、ちょっと書きましたカーティス・フラーのアルバムが本日ご紹介です。

そのタイトルどおり、トロンボーンとバリトンサックスによる低音の魅力が横溢したフロント陣、それを支えるリズム隊の繊細にしてハードエッジなグルーヴがたまらない、実に隠れた人気盤♪♪~♪

録音は1957年8月4日、メンバーはカーティス・フラー(tb)、テイト・ヒューストン(bs)、ソニー・クラーク(p)、ポール・チェンバース(b)、アート・テイラー(ds) という、ハードバップど真ん中の人選が嬉しいところです。

A-1 Algonquin
 アップテンポの合奏からして、実にグルーヴィ! これぞブルーノートのサウンドが痛快すぎるマイナーブルースです。
 そしてアドリブ先発は作者のカーティス・フラーですから、魅惑のハスキートーンで調子の良いフレーズを吹きまくるのは「お約束」ですし、続くテイト・ヒューストンのバリトンサックスにしても、ツボを外さないギスギスした表現が流石です。
 さらにソニー・クラークが十八番の「ソニクラ節」しか出さないんですねぇ~~♪ もう、このあたりはハードバップ愛好者には、わかっちゃいるけど、やめられない世界でしょう。パッキングはもちろんのこと、アドリブソロでも冴えを聞かせるポール・チェンバース、ガッツ溢れるシンバルワークのアート・テイラーという役者の揃い踏みは、まさに当時の勢いだと思います。

A-2 Nita's Waltz
 これもカーティス・フラーのオリジナル曲で、タイトルどおりにワルツテンポの愛らしいメロディなんですが、やはり低音楽器のユニゾンで演じられては、些かのガサツな雰囲気が勿体無い……。
 しかしそれを見事に本来の味わいへと引き戻してくれるのが、ソニー・クラークのピアノです。とにかく泣き節のオンパレード♪♪~♪ せつないファンキーフレーズと小粋で真っ黒なピアノタッチにはゾクゾクして感涙させられますよ。
 そしてミディアムグルーヴの4ビートを最高にリードしていくドラムスとベースのコンビネーションも抜群ですから、カーティス・フラーのハートウォームなアドリブも冴えまくり♪♪~♪ 終盤を締めくくるポール・チェンバースのペースソロも意欲的です。

A-3 Bone & Bari
 アルバムタイトル曲は偽り無しというアップテンポの豪快なハードバップですが、ここでもソニー・クラークがテーマのサビ、そして先発のアドリブと大活躍! 実際、見事な「ソニクラ節」が徹頭徹尾、楽しめますよ♪♪~♪
 また、それを追撃して登場するテイト・ヒューストンのバリトンサックスが痛快至極! おそらくこの人はR&B系のプレイヤーだと思うのですが、アタックの強さよりもフレーズの流れや構成に拘った特徴が、場合によっては中途半端に聞こえてしまうように感じます。しかしそれがここでは結果オーライ! ハードバップしか念頭に無いという強靭なリズム隊との相性もバッチリです。
 となれば、リーダーのカーティス・フラーも大ハッスル! ホノボノとした春風の吹き流しのようでもあり、黒人街の埃っぽい土煙りのようでもある、その流麗にしてハスキーなフレーズの連なりは、まさにファンキ~~~♪

B-1 Hear & Soul
 原曲はホギー・カーマイケルが書いたホンワカメロディの人気曲ですから、まさにカーティス・フラーにはジャストミート♪♪~♪ しかもここではワンホーン演奏ですから、尚更にたまりません。
 快適なハードバップのスイング感も満点にテーマを楽しくフェイクしていくカーティス・フラーのトロンボーンは、これぞっ、真骨頂! 伸びやかな歌心が存分に味わえます。
 またソニー・クラークがイントロから絶妙の伴奏、さらにアドリブのファンキーな味わいが本当に絶品の名演です。しかもそれが重心の低いアート・テイラーのドラミング、そして躍動的なポール・チェンバースのペースワークと共謀関係にあるんですから、心底、モダンジャズの気分は最高♪♪~♪ 特にアート・テイラーのシンバルは、何時聴いても素晴らしい限りです。

B-2 Again
 これもスタンダード曲ですが、こちらはテイト・ヒューストンのバリトンサックスをメインにしたワンホーン演奏!? う~ん、このあたりはセッションが双頭リーダー作として企画されたということでしょうか。
 まあ、それはそれとして、ここでのテイト・ヒューストンは、じっくりとしたテンポで息の長いフレーズ、そして幾分モゴモゴした節回しが絶妙の味わいを醸し出すという、実に憎めないことをやってくれます。しかも意想外な歌心の発露というか、原曲メロディを巧みに活かしたアドリブフレーズが日々の演奏の中から生まれたとしたら、それこそがモダンジャズ全盛期の証かもしれません。
 もちろんソニー・クラークのピアノもしぶとく、ポール・チェンバースに至っては十八番のベースワークがツボをしっかりと刺激してくれますから、テイト・ヒューストンのラストテーマの吹奏が、ジンワリとした余韻となって残ります。

B-3 Pick Up
 さてオーラスは、いきなり激烈なテーマリフの合奏からテイト・ヒューストンのゴリ押しブローが飛び出します。さらにバックのリズム隊が過激に後押しすれば、要所で絡んでくるカーティス・フラーのトロンボーンがギトギトに脂っ濃い、ナイスな演出!
 ですからアドリブパートでのツッコミも激ヤバで、こんなアップテンポで演じられるところにハードバップの真髄が堪能出来ますよ。
 あぁ、ついついボリュームを上げてしまいますねぇ~~♪
 久しくジャズモードに入れなかったサイケおやじにしても、思わずイェェェェ~!
 キメのアタックも強いリズム隊は極めて自然体でありながら、しかしバンドが一丸となって突進していく意志の疎通も最高だと思います。

ということで、決してガイド本に掲載されるような歴史的な名盤ではありませんが、ハードバップとしては一級品! ちょっと聴きには、ありきたりという雰囲気も感じられるのですが、それはあまりにも贅沢な我儘です。実際、ここでの安定した出来栄えは、簡単には再現不可能でしょう。

ソニー・クラークも最高ですし、流石はブルーノートを痛感させる人気盤に偽り無し!

本日は、そう断言させていただきます。

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