OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

和んで楽しいエロル・ガーナー

2007-08-25 18:07:13 | Weblog

やれやれ、昨夜から仕事でバタついて、ようやく一息出来ました。こんな時は何も考えずに楽しいアルバムでも聞きませう。

ということで――

Concert By The Sea / Erroll Garner (Columbia / Jazzbeat)

ジャズの世界では説明不要という、あまりにも有名なヒット盤! これはその再発CDなんですが、ボーナストラック目当てに買ってしまったのが、サイケおやじの本音です。

演じているエロル・ガーナーという黒人ピアニストは、左手で常に4ビートを刻むという、所謂「ビハインド・ザ・ビート」と呼ばれるスタイルと、右手からの出来すぎアドリブフレーズの対比が魅力の人気者ですが、モダンジャズ創成期のビバップ時代から活動している割には、コアなモダンジャズのファンからは軽視されているようです。

つまり非常にポビュラー色が強い存在なんですねぇ~。畢生の名曲スタンダード「Misty」を自作自演でヒットさせたのも、マイナス要因かもしれませんし、バリバリのビバップ演奏者からはコケにされていたという噂もあります。

そんなところから、我国では評論家の先生も積極的には褒めないみたいですし、ジャズ喫茶でも鳴っている盤は限られています。

で、その中の1枚がライブ盤の「Concert By The Sea」です。これは大手のコロムビアで製作された事情もありましょうが、演目・演奏ともに聴き易くて楽しいという決定的な要素が強く、1956年に発売されると忽ちバカ売れしたそうです。

尤も買っていたのは白人層なんでしょうが、それゆえの粋なフィーリングとか和み感覚が、本当に秀逸な仕上がり――

☆Concert By The Sea:1955年9月19日録音

01 I'll Remember April / 四月の思い出 
02 Teach Me Tonight 
03 Mambo Carmel 
04 Autumn Leaves 
05 It's All Right With Me 
06 Red Top 
07 April In Paris 
08 They Can't Take That Away From Me 
09 How Could You Do A Thing Like That To Me? 
10 Where Or When 
11 Errol's Theme

 既に述べたようにアメリカは西海岸の海辺の町、カーメルでのライブ音源で、メンバーはエロル・ガーナー(p)、エディ・カルホーン(b)、デンジル・ベスト(ds) の鉄壁トリオ♪
 軽快な「四月の思い出」や「It's All Right With Me」では、かなりトリッキーなリックや強烈な左手の動きも聞かれますし、歌心が素敵な「Teach Me Tonight」や思わせぶりな「Autumn Leaves」には、本当に和んでしまいます。ご当地ソング的な「Mambo Carmel」もサービス満点です。
 オリジナルアナログ盤では、これらがA面に入っていて完璧な曲の流れを構成していましたが、B面はやや散漫な印象だったと思います。
 ところが、こうしてCDで連続して聞いてみると、これが侮れません。拍手が途切れなく編集されているのも高得点なんですねぇ♪
 ブルース感覚を洒脱に演じた「Red Top」とか、またまた思わせぶりに撤した「April In Paris」や「They Can't Take That Away From Me」は、一流ホテルのカクテルラウンジさながらの雰囲気に浸れます。
 また矢鱈に楽しい「How Could You Do A Thing Like That To Me ?」や「Where Or When」も捨て難いですねぇ~♪
 ということで、実に楽しい、楽し過ぎる演奏が続きますが、このあたりの感覚やノリがレッド・ガーランドやアーマッド・ジャマルに確実に受け継がれているのは、言わずもがなです。もちろん我国の菅野邦彦もそのひとり♪

さて、ここからがお目当てのボーナストラックです。

☆1963年8月20~25日録音

12 The Way You Look Tonight 
13 Happiness Is A Thing Called Joe 
14 Sweet And Lovely 
15 Mack The Knife
16 Lover Come Back To Me
17 Misty 
18 Dancing Tambourine 
19 Thanks For The Memory 

 この音源は、エロル・ガーナーの最高傑作とされる名盤「One World Concert(Reprise)」の復刻ですが、残念ながら今回も「Movin' Blues」と「Stride Out」の2曲が欠落しています。これは今までのCD復刻でも常に宿命でしたが、う~ん、マスターテープがダメになっているんでしょうか? それとも版権問題?
 しかしリマスターは過去最高で、前半の音源との違和感もありません♪
 肝心の演奏はシアトルでのライブ音源で、メンバーはエロル・ガーナー(p)、エディ・カルホーン(b)、ケリー・マーティン(ds) のレギュラートリオですから、息の合った快演!
 まず初っ端の「The Way You Look Tonight」から明るく楽しい「ガーナー節」が満喫出来ますし、カクテルムードの「Happiness Is A Thing Called Joe」や「Sweet And Lovely」でグッと盛り上がり、極めて楽しい「Mack The Knife」と「Lover Come Back」でジャズを聴く喜びは最高潮♪
 もちろんその直後に出る名曲「Misty」でスウゥ~っとエロル・ガーナーの術中に落ちて和んでしまうあたりは、全て分かっている楽しみに他なりません。もうここまでで完全降伏状態♪
 ですから、2曲の欠落も気にならないのでした。

☆オリジナル・ミスティ:1954年7月27日録音

20 Misty

 最後にこれを入れるところが、このCDのニクイところ♪ シカゴでのスタジオ録音でメンバーはエロル・ガーナー(p) 以下、Wyatt Ruther(b)、Eugene Heard(ds) とされています。
 曲については言わずもがなのムードジャズ決定版♪ ここに収録されたトラックは、もちろんモノラル仕様でリマスターも良好♪ 私には当時のオリジナルシングル盤の味わいも感じられますねぇ。何度聞いても和みます。

ということで、これは些か安直な再発盤ではありますが、リマスターも良く、デジパック仕様というのが、私には嬉しいところでした。

ちなみに現行CDのアメリカ盤はジャケットが似て非なるものですし、個人的に日本盤には、些かリマスターに納得がいかない点があります。

またオリジナルアナログ盤に関しては、まず「Concert By The Sea」はバカ売れ盤なだけに入手は比較的容易なんですが、一家に1枚的なアルバムですから、針圧の強いポータープルプレイヤーで回されまくったのでしょう、なかなか極上盤には巡り合えません。さらに「One World Concert」に至っては、完全に幻の名盤化しています。

完全に満足しているわけでは無いのですが、これはこれで嬉しい再発かと思います。

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