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サイケおやじの生活と音楽

心に染みる緑魔子のフォークぶる~す

2022-10-07 18:49:47 | Soundtrack

やさしいにっぽん人 / 緑魔子 (Cine Disc  / キャニオン)

昭和40年代の若者文化の流行のひとつだったのが、所謂アングラ映画鑑賞だった事は、サイケおやじにとっても懐かしい思い出になっています。

それはプロが制作したものから、学生映研が撮ったもの、あるいはブルーフィルム擬きの作品等々が混在していながら、独り善がりと言われながらの熱情が表現されていたんですから、なかなかエネルギッシュな世界に浸れるという鑑賞姿勢は、若さの特権であったかもしれません。

実際、当時は、そんなこんなの映画が各所のイベントで自主上映されていたり、小さな映画館でも、商売を度返しの封切公開(?)があったりして、今となっては「怖いもの見たさ」に近い衝動が、サイケおやじにはありましたですねぇ~(^^;

で、本日掲載のシングル盤は、そんなこんなの作品中、それなりの評価が現在でも高いと云われている「やさしいにっぽん人(昭和47年・東陽一監督・東プロ)」の主題歌として、緑魔子が歌った、せつないフォークブルース歌謡をA面に入れ、B面には同映画からの台詞等々が収められたマニア向けの1枚なんでしょうが、とにかくサイケおやじは、その作詞:東陽一&作曲:海老沼裕・田山雅光が提供のA面曲「やさしいにっぽん人」が気に入っておりまして、もちろん緑魔子が持ち前の倦怠した歌謡フィーリングを全開させれば、伴奏はシンプルなアコースティックギターがメインという、これぞっ!

刹那の歌謡フォークなんですねぇ~~~!?

当然ながら、これだけ聴いても、シビレる事は請け合いなんですが、やるせない情熱と行方知れずの絶望が描かれているであろう映画本篇を鑑賞すれば、何更に心に染み入るのは必定と書けば、これまたサイケおやじの完全なる独断と偏見でしょうか…… (^^;

なにしろ、件の映画には主役の河原崎長一郎に加えて、恋人役に緑魔子、他にも石橋蓮司、蟹江敬三、伊丹十三、横山リエ等々の強い個性派が出演しており、物語は幼少期に戦火の沖縄での集団自決から生き延びた河原崎長一郎が、バイクに情熱を注ぎながらの旅で挫折と希望の混濁した現生に向き合うという展開で、聊かネタばれになりますが、最後には転倒したバイクが発火して……!?

―― というあたりも含め、東陽一監督が十八番のドキュメンタリー的な表現と劇映画の面白さを巧みにミックスしたところは、ニクイばかりの仕上りと思います。

ただし、個人的には育児ノイローゼとか、反戦運動とか、如何にも高度成長期の日本を抉り出した様なパートは好きになれませんでしたし、極言すればアメリカのバイカームービーに影響されたシーンが散見されるのは、賛否両論が当時からありました……。

ちなみに東陽一監督は岩波映画から独立したというキャリアからして、ドキュメンタリー作品を撮る事が多かったみたいですが、この「やさしいにっぽん人」は、確か最初の劇映画であり、きっちりモノクロ作品の特色と優位性を活かした作風は、侮れないものがあると思います。

そして以降、「サード」や「もう頬づえはつかない」等々の大ヒット作を出すのですから、気になる皆様はネットでの探索、そして本篇を鑑賞されんことをオススメしたく思います。

もちろん、この「やさしいにっぽん人」もDVD化されていますよ (^^)

ということで、それにしても緑魔子が歌う主題歌「やさしいにっぽん人」は、やっぱり響きますねぇ~、今のサイケおやじには (^^;

それは、すっかり高齢者となった現在でも、青春の情熱を失っていない証じゃ~なくて、未練なんでしょうねぇ…… (^^;

まあ……、それも自分の生き様として、現在を楽しんでいけばOKかもしれません <(_ _)>


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