OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

そして皆、いなくなったのか…

2015-12-13 15:23:00 | Rock

アブラハム・マーティン・アンド・ジョン(魂は今も)/ Dion (Laurie / キングレコード)

さて、次なるリーダーと目されているアメリカのトランプ次期大統領候補の発言が何かと問題になっていますが、その元凶はイスラム系テロ集団であって、決してイスラム圏、あるいはイスラム教信者の人々では無い事が確かな以上、やはり包括的な差別は好ましくありません。

ところがアメリカは多民族による国家形成が是認され、それこそがアメリカであるという歴史がありますから、その裏返しのような人種差別や貧富の差が、これまた堂々とまかり通ってしまうという二律背反の常識があるんですから、件の候補者ばかりか、妙な立場に追い込まれ、ついには命を落としてしまったリーダーが大勢いた事は説明不要かと思います。

極言すれば、アメリカなんていう国は「恥」を売って栄えてきたようなものかもしれません。

そして、思い出してしまったのが、本日掲載のシングル盤A面曲「アブラハム・マーティン・アンド・ジョン(魂は今も)/ Abraham, Martin And John」でした。

ご存じのとおり、この歌はシンガーソングライターのディック・ホラーが、1968年のロバート・ケネディ上院議員の暗殺事件に触発されて書いたと言われ、それを幾つかの競作レコードがある中で最もヒットさせたのが、ご紹介のシングル盤の主役たるディオン(日本盤ジャケ写の表記ではダイオン)でありました。

もちろんロバート・ケネディはアメリカ大統領として同じく暗殺されたジョン・ケネディの実弟であり、共に人種差別問題に深く関与していたことは説明不要でしょう。

そして当然ながら、この「アブラハム・マーティン・アンド・ジョン(魂は今も)/ Abraham, Martin And John」の曲タイトルと歌詞に登場しているのはアブラハム・リンカーン、マーティン・キング、そしてジョン・ケネディという、偉大なるがゆえに葬られたリーダー達であり、その最後にはロバート・ケネディと思しき人物も登場しています。

 彼がどこに行ったのか知っていますか
 大勢の人々を自由にしたけれど
 どうやら善人は早死にするのでしょう
 
 しかし周囲を見ても
 彼はここにいない

 彼等が立ち上がって求めたものを
 君は大切だと思いませんか

 彼等はあなたや私のために
 何か素晴らしいものを見つけようとしていたのでしょう

 私たちは自由になれるでしょう
 きっと何時か 
 きっと何時の日か 早いうちに

というような歌詞の中身は、もちろん前述した偉人を讃えて、歌われているんですが、もちろんサイケおやじがそれを知ったのは後の事で、リアルタイムというか、1969年頃にラジオの深夜放送で偶然にも聴いた「アブラハム・マーティン・アンド・ジョン(魂は今も)/ Abraham, Martin And John」は、とにかく弾むような如何にもフォークロックなメロディ展開と動きまくるベースが印象的な洋楽ポップスであり、しかも流麗にして刺激的なストリングスも良い感じ♪♪~♪

さらに歌っているダイオンじゃ~なくて、ディオンもまた今や説明不要、所謂オールディズの有名スタアとしてディオン&ベルモンツ名義では1958年の「I Wonder Why」、そして続けて翌年からは「A Teenager In Love」や「Where Or When」等をヒットさせ、さらには1960年からソロに転じては「Lonely Teenager」「浮気なスー / Runaround Sue」「The Wonderer」等々、洋楽ファンならずとも、それこそ一度は耳にした事があろうという歴史的な大ヒットを飛ばしていたんですが、告白すればサイケおやじがディオンを強く意識したというか、真っ直ぐに聴くようになったのは、この「アブラハム・マーティン・アンド・ジョン(魂は今も)/ Abraham, Martin And John」がきっかけでしたから、前述した履歴は当然ながら後追い鑑賞による認識です。

それは流行のR&Rから白人系ドゥワップと云われるジャンルであり、だからこその人気を集めたディオンの魅力だったのですが、1960年代に入るとボブ・ディランに触発されたかのような、大衆ヒットとは縁遠いハードフォークな楽曲も吹き込んでいた事をサイケおやじは同時に知ってしまったんですねぇ~~!?!

ということは、ディオンにとっての「アブラハム・マーティン・アンド・ジョン(魂は今も)/ Abraham, Martin And John」は決して突発的な傑作じゃ~ないという真相があるんじゃ~ないでしょうか。

ちなみにディオンは本名がディオン・ディ・ムーチというイタリア系のニューヨーカーで、父親は歌手、そして母親は女優だったという芸能一家に育ちましたから、少年期からテレビ出演やレコーディングもやっていたらしく、だからこそ前述したディオン&ベルモンツから別れてのソロ活動にも場慣れがあったのかもしれません。

実際、なかなか堂々とした歌いっぷりはレコードはもちろん、残されている映像からも感じ取れるあたりは流石の存在感だと思いますので、こ~ゆ~歌手こそ、レコード会社横断のコンプリート&アンソロジーが望まれると願っているのはサイケおやじだけでしょうか。

ということで、冒頭の話に戻れば、渦中の次期大統領候補だって、決して極右的な票集めだけで発言したわけではなく、国を思う気持ちが偏った方向へと表れてしまったような気もします。

そりゃ~、確かにアメリカのような、あっちこっちで恨みや因縁を作ってしまう国家を纏めようとすれば、それなりに過激な思想や行いは必要なはずで、しかし、だからこその自制がなければ、人の上に立つなんてことは困難が付きまとうはず……。

そんな気分のサイケおやじは、もちろん、そうした立場の深層心理は理解出来かねる凡人というわけです。

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