■恋よ、さようなら / Dionne Warwick (Scepter / テイチク)
バート・バカラックは偉大な作編曲家ですから、これまで発表してきた素敵な歌の中からベストを選ぶなんて作業は愚行に等しいわけですが、しかし単純に自分が好きな曲というポイントでならば、サイケおやじは本日掲載のシングル盤A面に収録された「恋よ、さようなら / I'll Never Fall In Love Again」のディオンヌ・ワーウィックのバージョンを筆頭推薦致します。
ご存じのとおり、ディオンヌ・ワーウィックは黒人歌手でありながら、粘っこい所謂ソウルフィーリングよりは、もっと軽やかなソフトタッチの表現力に長けたボーカリストであり、本来スタジオの仕事が中心のセッションシンガーだったところから、初期に顕著だったオペラ(?)っぽい作風のバート・バカラックに重宝されたように思います。
というか、バート・バカラックのキャリアを後追いながら聴いていくと、ディオンヌ・ワーウィックが歌ったからこそ、完成度が高まったと推察するしかない、そうした楽曲が実に多いんですよねぇ~♪
この「恋よ、さようなら / I'll Never Fall In Love Again」にしても、ボサロック系のリズムアレンジがジャストミートの曲メロ、そして盟友ハル・デヴィッドが綴ったホロ苦い歌詞を明るく、自嘲さえ滲ませて歌ってくれる彼女の上手さは絶品♪♪~♪
まさに1970年の大ヒットになったのはムペなるかな、実は楽曲そのものは1968年に発表されていて、彼女以外が歌ったレコードも既に世に出ているんですが、今となっては夥しく作られたその全てが、ディオンヌ・ワーウィックを意識しているはずという、些かチェスタートン風の逆説(?)さえ成り立つ気がするほどです。
う~ん、バート・バカラック&ハル・デヴィッドが我国の筒美京平&橋本淳だとしたら、ディオンヌ・ワーウィックは誰になるんでしょうねぇ。
そんな事を想う楽しみも、ポップスファンには許されるのですから、大切にしたいものです。
コメント感謝です。
全く仰るとおりで、1970年前後の2~3年で、後のポップスの美味しいメロディやキメは出尽くした感があると思うほどです。
それだけ当時の職業作家は冴えていましたし、それだけの需要と供給のバランスがあればこそ、「黄金時代」が築かれたのでしょうねぇ~♪
コメント感謝です。
もちろん「サンホセ」も大好きですし、アレンジが最初っからディオンヌを想定して作られたように思います。
軽く歌っていく彼女のスイング感、あえてグルーヴとは書きたくないソフトなフィーリングがなければ、全盛期バカラックと瞬時に期待出来る特質はなかったんじゃ~ないでしょうか。
もちろん名曲は誰が歌っても名唱になりうる要素はあるわけですが(微笑)。
ポップス職人というと、ランバート&ポッターの名も忘れ難いですね。「恋のかけひき」(ハミルトンジョーフランク&レイノルズ)、「恋は二人のハーモニー」(グラス・ルーツ)等で、ダンヒル・サウンドを作り上げたコンビです。
ジ・オリジナル・キャストの「ミスター・マンデイ」もこのコンビの作品&プロデュース。ちなみに、このグループは同曲が大ヒットした70年に来日、カーペンターズと共に、東京国際歌謡音楽祭にゲストとして出演しています。例の「カムトゥギャザー」は、なんと日本滞在中に録音された曲だそうです。
この年には、他に「ヴィーナス」「男の世界」、前出「雨にぬれても」などもヒット・チャートを賑わしています。まさにポップスの黄金時代でした。
それで私がベストを選ぶとすれば「サンホセ」の方でしょうね。
なんというか、ポールの心のラブソングとかジョージのマイギターのイントロとかもそうですけど、ひとつの音だけですごくメロディックになっていて
特にサンホセは同じ音の低い音程からサビのまた素晴らしいメロディに移っていくあたりなんか鳥肌モノで大好きですね。
http://www.youtube.com/watch?v=jqWt49o7R-k