また当分、休みの無い日々になりそうなんで、本日は出来るところまで自分の事をやろうとした1日でした。
でも、そういう決意の日に限ってトラブルが多いというか、心が逆に休まりません。
結局、仕事でバタついて、ふっと気がつくと日が暮れているという……。
そこで癒しの白人ジャズを――
■Lennie Niehaus Complete Fifties Recordings Two:Octet+Quintet (Lonehilljazz)
1月12日に続いて「Th Lennie Niehaus Project」の第2弾CDを、ご紹介致します。ちょっとジャケットが紛らわしいですが、参加メンバーも中身も似ています――
01 Blue Room
02 Love Is Here To Stay
03 Yes, Yes, honey
04 Circling The Blues
最初の4曲は、1955年1月26日録音、8人編成のオクテット・セッションで、メンバーはスチュ・ウィリアムソン(tp)、ボブ・エネボルゼン(v-tb)、レニー・ニーハウス(as,arr)、ビル・ホールマン(ts)、ジミー・ジェフリー(bs)、ピート・ジョリー(p)、モンティ・バドウィッグ(b)、シェリー・マン(ds) という、西海岸派ファンにはお馴染みの面々が、レニー・ニーハウスの爽やか系アレンジを安定感抜群に演奏しています。
しかし、それゆえにスリルに乏しい雰囲気ですねぇ……。レニー・ニーハウスの脱色度も一層高くなっています。
演目の内、3曲がスタンダートというあたりにも原因があるのでしょうか……。ですから、オリジナル曲の「Circling The Blues」の出来が一番良いと感じます。まあ、そのあたりは個人的嗜好かもしれません。
05 They Say It's Wonderful
06 Cooling It
07 Rose Room
08 Debbie
続くセッションは前回と同じメンツによるオクテット演奏で、録音は1955年2月15日になっていますが、一転、なかなかの出来栄えです。
まずジョン・コルトレーンのバラード演奏として有名な「They Say It's Wonderful」は早いテンポで、室内楽的なサックスアンサンブルとアドリブパートのバランスが絶妙の充実度♪
また「Rose Room」はブラスの2人が大活躍して、ちょっとショーティ・ロジャース風の演奏に近くなっていますが、スバリ、最高です。リズム隊のキレも抜群ですし、各人のアドリブの素晴らしさは言わずもがな、ウキウキワクワクの仕上がりです♪
09 Easy Living
10 All The Things You Are
11 Rondo
この3曲は1955年3月16日の録音で、レニー・ニーハウスが主役のワンホーン・セッションですが、実はバックにストリングス・カルテットが付いているという凝った演奏です。
しかし難解なところは全く無く、逆にどこまでも和んでしまうんですねぇ~♪
メンバーはレニー・ニーハウス(as,arr)、モンティ・バドウィッグ(b)、シェリー・マン(ds) にビオラ3名、チェロ1名のカルテットが参加しています。
まず「Easy Living」がミディアムテンポの桃源郷♪
さらに「All The Things You Are」では初っ端からレニー・ニーハウスとリズム隊のインタープレイが冴えわたり、途中から入ってくるストリングスアンサンブルとアドリブのコントラストが、書き譜疑惑があるほどにキマっています! ベースソロの部分も上手く出来すぎです♪
そして「Rondo」が、もう快適の極み! レニー・ニーハウスのスカスカと滑らかなアルトサックスが、ここまで気持ち良いか!? と痛感させられます。シェリー・マンのビシッしたドラムスも、良い感じですねぇ~♪
全3曲、まさに白人ジャズの極北に辿り着いた名演だと思います。
12 Star Eyes
13 If I Should Lose You
14 Full House
15 Crosswalk
16 Trouble Waters
続くセッションもストリング入りですが、前回主要メンバーにビル・パーキンス(ts) とボブ・ゴードン(bs) が加わって、一層厚みとスイング感が強まった名演になっています。ちなみに録音は1955年3月30日です。
まず結論から言うと、ボブ・ゴードンが加わったことで、演奏全体に厚みとメリハリが顕著になりました。例えば「Star Eyes」でのビシッとしたサックスアンサンブルは、たまりませんねぇ~♪ もちろんストリングスとの相性も抜群です。
そのストリングパートでは「If I Should Lose You」での、嫌味にならないイヤラシサが良いです。レニー・ニーハウスのアルトサックスにアクが無い分だけ、上手く溶け合っているという、アレンジの勝利でしょうか?
また「Full House」での豪快なノリや「Crosswalk」での軽妙な雰囲気も魅力充分です。特に後者でのボブ・ゴードンは最高ですねぇ~~~♪
そして最後の「Trouble Waters」では、泣きのテーマメロディと上手く絡むストリングの調べ、さらに何時に無く湿っぽいレニー・ニーハウスのアルトサックスが一体となって、リスナーを刹那の境地へ追い込んでくれるのでした。
17 More Than The Blues
18 Just One Of Those Things
19 My Heart Stood Still
20 Lens
最後のパートは1955年4月25日録音のクインテット演奏です。メンバーはスチュ・ウィリアムソン(tp,v-tb)、レニー・ニーハウス(as,arr)、ハンプトン・ホーズ(p)、モンティ・バドウィッグ(b)、シェリー・マン(ds) となっていますが、もちろん目玉はハンプトン・ホーズの参加でしょう。
まず「More Than The Blues」では、これしかないの「ハンプ節」がバリバリ出てきますので、思わずニンマリ♪ まさに絶頂期の輝きというか、ちなみにこの約2ヶ月後に名作リーダー盤「トリオVol.1(Contemporary)」を吹き込むんですから、その勢いは、どうにも止まらないでしょう♪
またウルトラ急速調の「Just One Of Those Things」での溌剌プレイ、「Lens」での和み優先モードも素晴らしいと思います。
肝心のリーダー、レニー・ニーハウスも当然素敵なところばっかりで、淀み無い流麗なアドリブと歌心の粋を聴かせてくれますし、スチュ・ウィリアムソンも両刀使いで協調性の高い実力を発揮しています。
ということで、これも「One」に続いて捨てがたい魅力が満載の内容です。特にストリングスが入ったセッションは、甘すぎの先入観念が一層される、聴かず嫌いの名演でしょう。
また絶頂期のハンプトン・ホーズが聴けるのも、ファンにはありがたいところ♪
全くスマートでアクの無いスタイルのレニー・ニーハウスですが、その一芸ぶりが堪能できるブツだと思います。