今日も仕事に責められて……。
それでも差し入れの「おはぎ」とか、爽やかに日本晴れが心の慰めになりました。
まあ、夜には仕事絡みの生臭い宴会があるのですが……。
ということで、本日は――
■Thank You, Charlie Christian / Herb Ellis (Verve)
1950年代にオスカー・ピーターソン・トリオのレギュラーだったハーブ・エリスは、白人ながらブルースフィーリングに秀でた凄腕ギタリスト! 加えてカントリー系のリックも得意にしていましたから、ある意味ではモダンジャズというよりも、ロックンロールにおけるギタースタイルの源流なのかもしれません。
さて、このアルバムは、ジャズ系ギタリストであれば必ずや開祖と崇めるチャーリー・クリスチャンに捧げた作品とされていますが、はっきりそうなのは、タイトル曲だけです。
しかし、もちろんチャーリー・クリスチャンへの敬意は、全篇に溢れた快演集♪
録音は1960年6月1&2日、メンバーはハーブ・エリス(g)、フランク・ストラッツェリ(p)、ハリー・ババシン(cello)、チャック・バーグホファー(b)、ケニー・ヒューム(ds) というシブイ実力派揃いで、実は当時のレギュラーバンドだったようです――
A-1 Pickley Wickly
A-2 I Told You I Loved You, Now Get Out
A-3 Cook One
A-4 Karin
A-5 Cherry Kijafa
B-1 Thank You, Charlie Christian
B-2 Alexander's Ragtime Band
B-3 Lemon Twist
B-4 Everything's Pat
B-5 Workin' With The Truth
――という演目の中では、A面ド頭の「Pickley Wickly」が圧倒的に琴線に触れてきます。マイナー調で力強い哀愁のテーマメロディが、本当にたまりません♪ ハーブ・エリスのギターは、アドリブはもちろんのこと、セロやピアノとのコンビネーションでも最高です。
あぁ、全く我国のオマスズこと鈴木勲が演じてくれそうな曲調といえば、ご理解願えるでしょうか。実に良い雰囲気なんですねぇ~♪ 作曲はもちろんハーブ・エリスです。
実は告白すると、このアルバムはタイトル曲が名演とされていますから、ジャズ喫茶ではB面が定番とあって、この曲はアルバムを入手するまで聴いたことがありませんでした。それゆえ、虜になったらもう……♪
ちなみに私有盤はステレオ仕様なので、真ん中にハーブ・エリスのギター、右にハリー・ババシンのセロ、左にフランク・ストラッツェリのピアノが配されたミックスですから、ギターとセロのユニゾンや対位法的絡みが興味深々に楽しめます。
これはアルバム全体を通して、鑑賞する喜びに通じるところでしょう。
そして気になるタイトル曲はリラックスした即興のブルースで、当然、ここでのバンドが一丸となった出来栄えは見事! ハリー・ババシンの凄いセロのアドリブとか、軽妙なスイング感が満点のフランク・ストラッツェリのピアノは聴き応えがありますし、ベースのチャック・バーグホファーも本領発揮の大熱演です。そしてハーブ・エリスのギターからは、もちろんチャーリー・クリスチャン直系のフレーズとノリが飛び出してきますが、それはなにもこの演奏ばかりではなく、アルバム全篇に共通する事です。
和みのスイングが楽しい「I Told You I Loved You, Now Get Out」や「Alexander's Ragtime Band」、カウントベイシー調でブッ飛ばす「Cook One」、リラックスした歌心が滲み出た「Karin」、バンドアンサンブルが見事な「Cherry Kijafa」等々、素晴らしい演奏ばかりなのです。
またオーラスに、これまた哀愁いっぱいの名演「Workin' With The Truth」が配されているのもニクイところです。ちなみにこの曲はハーブ・エリスのギターが多重録音された作り物!
ということで、捨て曲なしで和み盤♪ 特に「Pickley Wickly」は、聴かずに死ねるかの名曲・名演だと思います。
それとハーブ・エリスが様式美っぽいブルースのフレーズを多用していないのも、好感が持てます。むしろ正統派のジャズスケールとかカントリー系のリック、あるいはR&R風のニュアンスを含んだアドリブに凄腕の証明があるのかもしれません。
短めな演奏ばかりですが、バンドの纏まりも素晴らしく、全員がリラックスした好演ばかりなので、疲れないで聞き通せる名盤だと思います。
ハーブ・エリスに感謝!
なかなか中古市場で巡り会えません。
ステレオ初期モノですが、エリスのギターが中央から聞こえるミックスとのこと。
ジャケデザインも好きですし、是非ゲットしたいです。
毎度、コメントありがとうございます。
このアルバムは中古市場でも希少になっているのですか。
確かに一度聴いたらしたら、なかなか手放せないブツだと思います。
全体のミックスは他にドラムスが右、ベースが真ん中になっていますが、分離が嫌味なくて良いですよ。