■秋はひとりぼっち / Vigrass & Osborne (Uni / 日本ビクター)
洋楽の世界では、ドメスティックなヒット曲ってのが少なくありませんが、本日ご紹介の「秋はひとりぼっち / Forever Autumn」も、1972年秋の日本だけで流行りまくったセンチメンタルなポップスの決定版♪♪~♪
なにしろイントロからして、何処かで聞いたことのあるような歌謡GSのパロック調が全開ですし、メロトロンで作り出したような薄味ストリングで彩ったアレンジ、そしてミディアムアップの曲展開に幾分浮ついた感じのボーカル&ハーモニーが辿るメロディの美しさ♪♪~♪
あぁ~、これがヒットせずして、何が洋楽ポップスか!?!
そう、思わざるを得ないほど、時代にジャストミートした楽曲だったんですが、既に述べたとおり、これはほとんど我国だけの現象で、実は後に知ったところでは、掲載したシングル盤のカップリングをAB面逆にしたものが英米での発売状況だったんですねぇ。もちろん日本とは比較にならないほど、売れませんでした……。
しかし演じているヴィグラスとオズボーンの実力とセンスは流石に本物だと思います。
それは私有シングル盤ジャケット裏の解説や後追いで仕入れた情報を総合しても、まずウィグラス=ポール・ヴィグラスは、このコンビ結成以前、既に1960年代末頃からセッションシンガーとして活躍し、中でもエジソン・ライトハウスのメンバーとして、「恋するペテューラ」や「涙のハプニング」等々のヒット作で歌っていたのは有名でしょう。
また、ヒットはしなかったものの、自己名義のシングル盤も出していたようです。
一方、オズボーン=ゲイリー・オズボーンは十代の頃からプロミュージャンとして活動後、当時は英国RCAのスタッフとして、幾多のCM曲やヒット曲作りに携わっていた中で、前述したポール・ヴィグラスのシングル盤を共作し、プロデュースもやっていたのですから、このコンビが一緒にプロジェクトを組むのも自然の流れという事でしょう。
そしてヴィグラスとオズボーンのプロデューサーであるジェフ・ウェインが、これまた影の実力者というか、イギリスのミュージカルやCMの世界では有名な存在!?!
この「秋はひとりぼっち / Forever Autumn」も、最初はジェフ・ウェインがCM用に作ったメロディだったそうで、そこに新しい歌詞を書いたのがヴィグラスとオズボーンという真相があるようです。
月日が流れ 夏の太陽も消えて……
陰鬱な日々がやってくる
冬の風は もっと冷たいだろう
君はもう ここにはいない
秋の空から 南に飛んでいく鳥たちを眺めている
一羽づつ 消えて……
一緒に 僕も飛んでいけたらいいのになぁ
君はもう ここにはいない
木洩れ日のように 僕を愛し
そよ風に乗った木の葉のように 君は飛んでいってしまった
優しい雨が 静かに疲れた僕の瞳に降りかかる
孤独な涙を隠すかのように
僕の人生は ずっと秋のままさ
君はもう ここにはいないから
う~ん、なんともロマンチックで気分はロンリーな歌詞が、その中身の英語詞は完全に分からなくとも、充分に意図が伝わって来るメロディとサウンド作りの上手さ♪♪~♪
それもまた、プロの良い仕事というべきでしょう。
ヴィグラスとオズボーン、そしてジェフ・ウェインのトリオが作り出した歌の数々は、全くそうした成果がぎっしりで、なかなかポップスファンの琴線に触れまくりの密度は高いんですが、リアルタイムで残された2枚のLPや数枚のシングルは世界的にヒットしたとは決して言えず……。
1970年代中頃からは再び裏方の仕事に徹していったと言われています。
ところが、やっぱり素敵な歌ってのは永遠に不滅という事なんでしょう。
驚くなかれ!?!
それは1978年、ムーディー・ブルースのジャスティン・ヘイワード(vo,g,key) が、ほとんどストレートコピーの如き、素晴らしすぎるカパーバージョンを出し、忽ちリバイバルな人気を集めたんですから、推して知るべし♪♪~♪
もちろんプロデュースは、前述のジェフ・ウェインでありました!
いゃ~、全く「秋はひとりぼっち / Forever Autumn」は永久に不滅と思いましたですねぇ~~♪
ちなみにヴィグラスとオズボーンのオリジナルバージョンが流行っていた同時期の我が国では、やはりギルバート・オサリバンの「Alone Again」やイングランド・ダンとジョン・フォード・コリーの「シーモンの涙/ Simone」等々、所謂胸キュン系ポップスがひとつの主流派を形成していました。
つまり日本の秋には、こういう洋楽ポップスが必須だった時代が、確かにあったのです。
ということで、メロディのある楽曲ほど、好きになったら忘れられない世界はありません。
最後になりましたが、もしかしたら「秋はひとりぼっち / Forever Autumn」は、世に出るのが些か遅かった名曲なのかもしれませんねぇ。それは個人的な気持にすぎませんが、出来得るならばタイガースやアダムス等々、パロック~クラシック調の歌謡曲を十八番にしていたGSに、この歌の日本語バージョンを演じて欲しかった……、なぁ~ん思っていますから!
もちろん英国ならば、ビージーズでも、OKでしょうが、たまにはヴィグラスとオズボーンもお忘れなきよう、お願い申し上げます。
当時は深夜ラジオのリクエスト番組でよくかかり
鼻歌で出てくるほど聴いておりました。
たしかポルナレフの「愛の休日」も同時期ぐらいに
ヒットしていたように記憶がありますが
ほぼ毎日のようにリクエストがあり
トップ10の常連ナンバーの双璧だったように記憶します。
ただもう一方のヒット曲「ミスター・デッドライン」は
なぜか印象にないのですが…。
PS.ミュージックライフ'73年12月に
とあるデパートの英国フェアなるイヴェントに
出演の為に来日した
彼らの記事が掲載されていますが、
来年は是非コンサートで来日したいと
しきりに言っていたそうです。
コメントありがとうございます。
貴兄のプログも定期的に拝読しておりますよ。
素敵な歌は永遠です。
コメント&貴重な情報、ありがとうございます。
当時はラズベリーズの「Go All The Way」、ポルナレフの「渚の想い出」もヒットしていたと記憶しています。
カーペンターズあたりも含めて、素敵なメロディがあってこその洋楽♪ それは復活して欲しいですねぇ。
それとヴィグラスとオズボーンのライブ、なんか地味~なコンサートになりそうな気配ですが、ハートウォームな雰囲気は最高かと思います。