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サイケおやじの生活と音楽

花の首飾りはプログレかもしれない?

2010-12-04 15:54:57 | 日本のロック

銀河のロマンス c/w 花の首飾り / ザ・タイガース (ポリドール)

GSブームは間違いなく日本のロック全盛期でありましたが、しかし関連バンドが世に出した楽曲は必ずしもロックとは言い難いものが少なからずありました。

それは歌謡フォークであったり、またはそのものズバリの昭和歌謡曲であったり、ブーム終焉期にはムード歌謡コーラスの世界へ堂々と転身したバンドさえありましたからねぇ……。

で、そうした中で常に誤解され続けていたのが、タイガースじゃないでしょうか。

それは飛び抜けたアイドル性と売らんが為のマスコミ戦略が行き過ぎていた結果として、特に野郎どもからは嫉妬され、心ある(?)音楽評論家の先生方からは蔑まれ、当然ながら浮気なファンの気まぐれも影響しているようです。

しかし残された楽曲をリアルタイムよりは後になって聴くほどに、その凄い制作指向にハッとさせられることが多いサイケおやじです。

例えば本日ご紹介のシングル盤は昭和43(1968)年春に発売され、主演映画だった「世界はボクらを待っている(東宝)」の主題歌&挿入歌だったこともあって、タイガースを代表するヒットになったのですが、結果的に「花の首飾り」も「銀河のロマンス」も、決してロックと分類する人は当時も今も極めて少数でしょう。

ちなみに両曲は当時としては珍しく、両A面扱いでの発売でしたから、ヒットチャートには双方等しく登場していましたしが、テレビ出演では「花の首飾り」を歌うことが多かったように記憶しています。

で、まず「銀河のロマンス」は例のシルビ~、マイ、ラァ~ヴ~♪ のキメが覚え易しい、これがベタベタの歌謡フォークで、沢田研二というよりも、まさにジュリーの甘っちょろいボーカルの魅力が全開していますが、なによりもそうした個性を予め想定して作られた楽曲が素晴らしいと思いますねぇ。

これぞっ、作詩:橋本淳、作編曲:すぎやまこういち!!

そして更に素晴らしいのが「花の首飾り」で、なんとリードボーカルを担当するのが加橋かつみ!?! しかし、その透明感に満ちた声質と繊細で力強い表現はジュリーとは異なる新鮮さでしたから、むしろ「銀河のロマンス」よりもウケていたのは当然でした。

しかも、この歌詞は当時の芸能誌で募集されたもので、見事に作詞を採用された菅原房子というアマチュアの女性は19歳だったと評判になりました。もちろんクレジットされているように、なかにし礼というプロの作家がフォローしているんですが、それにしても歌うほどに微妙な翳りの滲む表現は個人的に大好きですし、すぎやまこういちが書いた曲メロが実に良いんですねぇ~~♪

さらに凄いのが、全体を印象づけるバロック調のストリングスとアレンジの妙で、これは単なるクラシックと歌謡曲の融合なんてものじゃなく、「サテンの夜」でお馴染みのムーディ・ブルースのコンセプトを活かしたプログレかもしれませんよっ!?

そのあたりの真相は当時、ほとんど触れられることも、解明されることもありませんでしたが、当時のタイガースが出していた楽曲には、そうしたクラシック歌謡趣味が横溢していて、このシングル盤の前作だった「君だけに愛を」のB面に収録の「落葉の物語」や同年夏に発売される「シー・シー・シー」のB面曲「白夜の騎士」と続く三部作を聴けば、納得する他はありません。

実はタイガースと言えば、リアルタイムでのサイケおやじは、そのライプの現場における荒っぽい演奏から、R&R直球勝負の魅力を感じていたのですが、現実的なシングルヒットから人気を得ていた部分は結局、「モナリザの微笑み」や「花の首飾り」、そして「廃墟の鳩」や「青い鳥」といった軟弱路線でしたから、どっちが本当の姿なのか分からない部分に誤解の一因もあったように思います。

ただし、デビュー曲がやはり「僕のマリー」であったことは重要なポイントでしょう。

そして現在のサイケおやじは、タイガースの演目で口ずさんでしまうのは、何時も「花の首飾り」や「銀河のロマンス」、そして「青い鳥」あたりなんですよねぇ~♪

最後になりましたが、タイガースがそうした路線を成功させたのは、実は素晴らしいコーラス能力があったバンドだからでしょう。実際、4声ハーモニーとか、上手いんですよねぇ~♪

そのあたりをもっと評価されて然るべきだと思うばかりです。

コメント
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