OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

あそこはヘドラが蘇るんじゃ~ないか

2014-11-24 15:27:39 | Movie

ゴジラ対ヘドラ / 北山和美 (テイチク)

さて、実は隣国へ出張していたんですが、あらためて今更公害!?

という現実に驚かされました。

もちろん報道では知っていましたし、大気汚染はど~にか規制されつつあるものの、海や河川へのゴミ投棄や害毒垂れ流しは呆れるほどでした。

そして思い出したのが、我が国でも公害が大問題化していた昭和46(1971)年に封切られた「ゴジラ対ヘドラ(東宝・坂野義光監督)」です。

ご存じのとおり、この頃のゴジラは悪い(?)怪獣や宇宙からの侵略者をやっつける存在として、子供達のアイドルになっていたんですが、同時に背負っている己の不条理な出自を表に出さないハードボイルドな存在感も実は消していなかったところに、なかなか味わい深いものがありました。

尤も、そんなふうに穿っていたのはゴジラと共に育っていたサイケおやじを含む当時の青年層であり、また映画マニアや制作現場のスタッフ達だったと思いますから、人気シリーズ物とはいえ、ちょっぴり間隔が開いて公開された新作ゴジラに敵対するのが「公害」を体現した怪獣ヘドラというのは、喧々諤々の賛否両論!?

実際、サイケおやじは明らかに子供の集客を狙った同年夏休みの「東宝チャンピオンまつり」の中の1本として封切を鑑賞したんですが、なかなか暗い仕上がりと奇想天外な仕掛の妙に満足させられたと同時に、これでいいのかなぁ……?

という煮え切らないものを感じさせられました。

なにしろ、説明不要とは思いますが、ゴジラがヘドラにやられまくって大怪我させられたり、有毒ガスで大勢の人がバタバタ倒れたり、画面の中のヘドロの海が作り物を超えたリアル感に満ちていたり等々、ある意味では「東宝」という社風に合っていない気さえしたほどです。

サイケデリックど真ん中の特撮映像表現や照明の濁った輝きにも、裏表の危うさが出ていたようです。

すると案の定、後に知った事ではありますが、この「ゴジラ対ヘドラ」はゴジラシリーズや東宝特撮作品をプロデュースし続けてきた田中友幸に猛反発され、撮影半ばで制作中止に追い込まれていたそうで、そんなこんなも前年に特撮の権化だった円谷英二が亡くなった事とも無関係とは言い切れないと思います。

しかし、結果的に作品は完成し、とにかくも賛否両論を呼んだというだけでも、「ゴジラ対ヘドラ」は成功したんじゃ~ないでしょうか?

もちろん、内容について激怒していた田中友幸プロデューサーにしても、そもそも前述「東宝チャンピオンまつり」を始めたのは、厳しい経営環境の中でゴジラシリーズを存続させるのが一番の目的だったと言われていますからねぇ~、ゴジラ愛は不滅!

さて、そこで本日のご紹介は「ゴジラ対ヘドラ」の主題歌「かえせ!太陽を」なんですが、掲載盤の収録は出演もしている麻里圭子が歌った劇中オリジナルバージョンとは異なる、テイチクで制作された北山和子の歌唱によるカバー物です。

しかし、これがなかなかサイケおやじの好みにジャストミートなんですよ♪♪~♪

結論から言えば、ほとんど歌謡曲仕様とでも申しましょうか、要所で味付けられたコブシがたまらなく北山和美の存在感を誇示していると言えば、大袈裟でしょうか?

ビクターから発売されている麻里圭子のバージョンがハキハキとした明快さに魅力があるとすれば、北山和子の歌いっぷりは如何にも昭和の大衆芸能という感じで、サイケおやじは大好きです、これがっ!

しかも麻里圭子のバージョンがクライマックスに向けて歌も演奏も徐々に盛り上がっていくのとは対照的に、北山和美は演奏共々、最初っからノリが全開! 両バージョンに共通するパックの演奏パートにおけるドライヴしまくったベースの躍動感も、個人的には後者に軍配です。

ということで、どうにか皆の努力によって、我が国の公害はそれなりに抑え込まれたという事になっていますが、そんな油断は禁物以外の何物でもなく、現に福島の破壊された原発や予測を超えて頻発する自然大災害にさらされてみれば、ゴジラやヘドラは決して空想の産物とばかりは言えません。

むしろそういう危険と不条理に苛まれているからこそ、自嘲と客観が必要と思うばかりです。

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4 コメント

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ゴジラ対ガイガン (アンディP)
2014-11-24 21:51:30
本作の次の「ゴジラ対ガイガン」をCTVで見ました。
お目当ては、勿論、ひし美ゆり子さん。空手有段者の姐御役は中々お似合いでした。アクションもキレがありましたです。
意外な収穫は、もう一人のヒロイン、梅田智子さん。
現代でも通じるお顔とプロポーションの持ち主。ミニ・スカ姿を惜しげもなく披露、アリガタヤのパンチラ・シーンは必見です。この方、「金メダルへのターン」の速水鮎子役で、マニア間では有名な方らしいのですが、私は寡聞にして存じ上げませんでした。
怪獣映画としては、ゴジラとアンギラスが吹き出しで会話したりして、イマイチだと思います。
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俺のゴジラ (ちんたろ男)
2014-11-24 22:54:16
ゴジラは日本の文化遺産ですね。ちなみに私はザ・ピーナッツが唄った「地上最大の決戦」の「幸せを呼ぼう」が大好きです。子供の頃に見た映画ですが、冒頭から流れる(違ったかな?)この切ない歌に胸がチクチクしました。ところでゴジラ映画ですが、初作の「ゴジラ」を起点にどんどん子供向けになるとともにクオリティを下げ続けていったと思います。逆説的に言うと初作の「ゴジラ」が打ち立てたブランド力に依存して何十年にもわたりシリーズが展開されたと思うのです。稚拙な技術を極限まで引き上げた「ゴジラ」は映像的にも世紀の傑作だと思います。今の技術を持ってしてもあの高圧線を切るドキュメンタリーのような迫力はでないでしょう。逃げ遅れた母子が「お父さんのとこへ行こう」と言っているシーンこそ“無慈悲”なゴジラの本質です。日本はこの手の映画をリメイクする度に余計な解釈や意味を持たせようとして駄作になる傾向が強いです。同じような怪獣映画にガメラがあります。ガメラは初作にたいしたブランド力がありませんでしたが、平成時代では圧倒的にガメラ映画の方がクオリティが高かったと思います。先般のゴジラも観に行きました。色々批判的なコメントも多かったですが、ちんたろ男は良くできていたと思います。むしろアメリカ資本でやってくれて良かったなあと思ったくらいです。まあ、現在五~六十代の方には色んな思い入れがあるでしょうね。
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百合子と智子 (サイケおやじ)
2014-11-25 12:07:11
☆アンディP様
コメント、ありがとうございます。

ご存じかもしれませんが、まずはこれをご覧下さいませ♪

http://blog.goo.ne.jp/anneinfi/d/20140722

「ゴジラ対ガイガン」のラストシーンが蘇ってまいります。

ちなみにゴジラがガイガンによっておでこをカチ割られた場面はトラウマという、それが当時の子供達の印象だと言われています。

「金メダルへのターン」も最高でしたねぇ~♪
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ゴジラの昨日今日明日 (サイケおやじ)
2014-11-25 12:14:24
☆ちんたろ男様
コメント、感謝です。

最初のゴジラ、品川駅で暴れた場面は強烈でした!
まさにアナログでも、ここまでやれていたという証かと思います。

私は最初にリアルタイムで観たゴジラは「キングコング対ゴジラ」でしたら、以降の子供向け作品にも、それほどの違和感は無いんですが、作りそのものが低予算モロ出しになっていったのは、悲しかったです。

しかし「ゴジラの息子」は、サービス満点の前田美波里が拝めますし、少数精鋭の出演者の達者な芝居がありますので、もっと評価して欲しいですよ。
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