OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

梅雨時にアソシエイション

2010-06-26 16:40:43 | Pops

かなわぬ恋c/wWindy / The Assoceation (Warner Bros. / 東芝)

今日ではソフトロックの王者とまで崇められているアソシエイションも、しかしリアルタイムで全盛期だった1960年代後半の日本では、それほどの人気グループではありませんでした。なにしろ時代はサイケデリック&ハードロック、あるいはブルースロックが主流でしたから、爽やかで幻想的なコーラスワークを活かした美メロ曲を歌うグループは、アソシエイションに限らず、次第に片隅へ……。

ただしアソシエイションは丸っきり忘れられた存在では決してなく、例えば我国の歌謡フォークでは不滅の人気を誇るチェリッシュは、アソシエイションの大ヒット曲「Cherish」からグループ名を頂戴したエピソードは有名でしょう。

そしてサイケおやじがアソシエイションに注目したのは、ウェス・モンゴメリーが1967年に出した、所謂イージーリスニングジャズのメガヒットアルバム「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」に収録されていた「Windy」という、実に楽しい楽曲のオリジナルバージョンがアソシエイションの大ヒットだという事実を知ったからです。

そして中古でゲットしたのが、本日ご紹介の1枚というわけですが、これはアソシエイションを代表するヒット曲として1967年に出した「かなわぬ恋 / Never My Love」と「Windy」をカップリングした徳用再発シングル盤♪♪~♪

両曲ともメロディの美味しさは言わずもがな、それを彩るコーラスワークの完成度、また決して甘く流されない演奏パートの躍動感は、まさにハリウッドポップスの真髄でしょう。

特に「かなわぬ恋」はスローな展開ながら、タメのあるリズム処理が絶妙のビート感を生み出し、それをバックに従えた浮遊感満点のコーラスは、ビーチボーイズやフォーフレッシュメンの影響をサイケデリック的に再構成したが如き、実に深みのあるものですし、演奏パートで絶妙の合の手を入れてくるキーボードのフレーズが、なんとも素敵です。

また、お目当ての「Windy」は、ウェス・モンゴメリーが聞かせてくれたとおり、ラテンリズムを内包した楽しいビートが躍動し、美しいコーラスワークが冴えまくりの名曲名演♪♪~♪

もう、この2曲で完全にアソシエイションの虜になったサイケおやじは、真剣になってレコードを集め、また少しでも情報を得ようとしたのですが、時代は既に1970年代とあって、それは困難を極めました。なにしろインターネットがありませんでしたから、今ほど簡単に情報が得られる時代ではなかったですし、中古でもアソシエイションのアルバム&シングルに邂逅することは、なかなか稀でしたからねぇ……。

ちなみにアソシエイションは最初、フォークソングのグループとして出発し、徐々にスタイルをフォークロックからポップスの領域へと発展させた、なかなか時流に敏感なバンドでした。

メンバーはゲイリー・アレクサンダー(vo,g)、ラス・ギグアー(vo,g)、テリー・カークマン(vo,key)、ジム・イエスター(vo,key,g)、ブライアン・コール(vo,b,g)、デッド・ブルーチェル(vo,ds) という6人組で、各々がボーカリストとしても優れ、しかも演奏が上手いという理想的なグループだったんですが、スタジオレコーディングには当時の超一流セッションプレイヤーが起用されていたことから、ちょうどこの2曲が制作されていた時期にはゲイリー・アレクサンダーが脱退していたという裏話もあるようです。

ちなみにアソシエイションの歌と演奏の実力は、後に発売されるライプ盤でしっかりと証明されていますから、彼等にしてもレコーディングに外部の者が携わるのは屈辱だったのかもしれませんね。しかし実はアソシエイションだけで制作された楽曲がこの二大ヒット曲の前に発売されていたんですが、それは残念ながら大きな成功には至らず、そこで仕切り直しとしてハリウッド伝来の手法が再び用いられたというわけです。

尤も、そうした経緯や事実を知ったのは、決してサイケおやじの努力によるものではなく、1970年代のある日、某大学のポップス研究会の集まりに参加した折、ゲストとしてお話をされた有名コレクター&評論家の先生に教えられたものです。

実際、そこでは名前だけは知っていた気になる人物達の業績やプロフィール、またハリウッド芸能界やレコード会社の仕組み等々、本当に目からウロコの真相ばかりに触れることが出来て、大変に勉強になりました。

しかしそれは当時、あくまでも好事家の狭い世界の話であって、まさかソフトロックのブームがやって来るなんて、想像も出来ませんでした。だいたい「ソフトロック」なんていう言葉そのものが当時は一般的ではなく、しいて言えば洋楽ポップスという、至極当たり前で無意識なジャンルだったのですから、時の流れは偉大です。

ということで、梅雨の鬱陶しさと晴れ間の蒸し暑さが混在する今日この頃には、アソシエイションのハーモニーに彩られた美メロのヒット曲が似あいます。

リアルタイムで幾枚か作られたアルバムが現在、きっちりCD化されているかは不明ですが、当時からベスト盤の類は今日まで途切れたことがありませんから、爽やかにお楽しみ下さいませ。

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2 コメント

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先日の記事に (みゅう)
2010-06-27 13:42:26
日が過ぎてしまいましたが~ユーミンという文字をみかけましたので、お邪魔します。長年『朝陽の中で微笑んで』の出だしの旋律がどこかで過去に耳にしている旋律に違いないのに、それが何であったか中々思い出せずに苦しんでおりました。先日偶然、結びついたのがジャズで演奏されていた『Cry me a river』でした。ちなみに八代亜紀さんが歌っているバージョンもなかなかいいです。
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八代亜紀のジャズも最高 (サイケおやじ)
2010-06-27 16:42:46
☆みゅう様
コメント、ありがとうございます。

ユーミンのジャズスタンダード系パクリは、旦那の趣味かと思いますが、いかがなもんでしょう。「チャイニーズスープ」とか♪

それと八代亜紀の歌うジャズの上手さは絶品ですよね♪♪~♪ ほとんど認知されていないのは悔しいほどですが、以前にテレビで「Cry Me A River」と「リンゴの木の下で」を歌った時は、悶絶するほどシビれました。
そういえば八代亜紀は歌手デビュー前のバスガイド時代から、歌が上手くて人気があったそうですよ。熊本出身の先輩から、当時の話をうかがいました。バス旅行の時、ガイドよりも歌いまくってくれたとか!?
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