■危険な関係のブルース / クリエイション (東芝)
昭和40年代後半からの10年ほど、日本映画界でひとり勝ちしていた日活ロマンポルノには、出演スタア女優や監督&スタッフへの賛辞と共に、その劇伴サントラや主題歌等々にも素敵な音源が夥しく残されてきました。
本日掲載のシングル盤A面曲「危険な関係のブルース」は昭和53(1978)年に公開された「危険な関係(藤田敏八監督・宇津宮雅代主演)」のサントラ扱いとして発売されたものですが、演じているのが、なんとっ!
当時の日本のロックを牽引し続けていたギタリストの竹田和夫が率いるクリエイションなんですねぇ~~~♪
もちろん、リアルタイムを体験された皆様であれば、それは不思議でも何でもなく、しかし同時にある種のショックもあったに違いなかろうと思います。
なにしろ映画本篇がコデルロス・ド・ラクロの同名小説を原作に何度も映画化されてきた人気作のロマンポルノ版ですし、その中では我が国で一番に知られているロジェ・ヴァディム監督の1959年版をベースにしている趣向があるのですから、そのまんま同作の劇伴としてアート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズが大ヒットさせた「危険な関係のブルース」を再利用しているわけですよ。
つまりバリバリのハード&ブルースロックが一般認識のクリエイションにモダンジャズをやらせたという、先入観年としての「あざとさ」が聴く前から滲んでしまうのは避けられないでしょう。
ところが実際に聴いてみれば、これがなかなかイケイケの仕上がりで、しかもギターかサックスか、? あるいはキーボードか? どうにも正体不明のエフェクターを用いた楽器でガンガンに弾かれる、あのファンキーメロディーがたまらないんですねぇ~~♪
ちなみに竹田和夫は十代半ばで既にプロの道に入っていた天才ギタリストで、既にGSブームが去り、我が国のロックが壊滅状態になっていた昭和45(1970)年頃には自らのバンドであるブルース・クリエイションを率いていたんですが、翌年にはロックに転向したカルメン・マキとの共演アルバムを作ったにせよ、決して表舞台で売れていたわけではありません。
ですから彼等のライブに接するのは高校生ぐらいじゃ~、大学の学園祭とか何かのイベントしか機会がありませんでしたし、だいたい日本のロックバンドがちゃんとした(?)レコードを作れる環境が無かったんですからっ!?
しかしその頃に音楽が好きで、自分でもやりたいという日本の若者が歌謡フォークに拒否反応を覚えた時、そこに屹立していたのが竹田和夫のバンドであり、不肖サイケおやじもそのひとりでありましたから、ブルース・クリエイション及び発展形であるクリエイションの動向には、常にドキドキさせられたものです。
ただしバンドメンバーの推移はイマイチ、サイケおやじには分からなくて、それでもこのレコーディングが行われた当時は竹田和夫(g,vo) 以下、飯島義昭(g)、松本繁(b)、樋口晶之(ds) あたりがレギュラーだったと思うんですが、するとここに参加しているキーボードは奥本亮でしょうかねぇ~?
もしかするとスタジオ系のミュージシャンが脇を固めているのかもしれませんが、一説によると当時の竹田和夫はジャズやフュージョンにも傾倒していたらしいので、さもありなんです。
尤もプロデュースがロマンポルノにも幾つか出演していた内田裕也なので、もしかしたらバックも務めていた竹田和夫の起用は、そのラインからの経緯があるのかもしれません。
ということで、今となっては日本のロックの悪戦苦闘を伝説にしている感も強い竹田和夫とクリエイションが、こういう演奏も残していたという記念碑(?)なぁ~んていう聴き方もあるんでしょうが、リアルタイムではロマンポルノを封切で鑑賞しまくっていたサイケおやじとしては、それ以上でも、それ以下でもありません。
ただただ、好きな音楽、素敵なレコードを蒐集していく中で出会ったシングル盤のひとつを竹田和夫のクリエーションが演じていたという、そんな縁を強く感じるというわけです。
しかし、えっ、そんなの書いて無いじゃん~。
と仰る皆様の声がはっきり聞こえておりますで、そんなこんなは何れ、拙ブログで告白させていただきとうございます。
最後になりましたが、演奏の中でのエフェクターを用いた楽器については、個人的推察として、トーキングモジュレーターを使った竹田和夫のギターかと思っているのでした。