OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

ゴルソンハーモニーの明日はどっちだ!?

2007-08-28 17:36:22 | Weblog

昨日、今日と、メチャ忙しいです。

というか仕事が集中しているんですねぇ……。

どうして上手く分散しないのか、これが世の常・人の常ってやつでしょうか!?

どうしようもないので、本日は居直って――

Groovin' Wiht Golson / Benny Golson (New Jazz)

ベニー・ゴルソンといえば、あの3度ハーモニーが心地良い、通称「ゴルソンハーモニー」がウリなので、個人的にはソフトバップの人だと思っているのですが、否、やっぱりその本質はハードバップに有り! それを証明したのが、このアルバムです。

しかも相方に盟友のカーティス・フラーを起用しているんですから、ますます味わい深いですねぇ。

録音は1959年8月28日、メンバーはベニー・ゴルソン(ts)、カーティス・フラー(tb) 以下、レイ・ブライアント(p)、ポール・チェンバース(b)、アート・ブレイキー(ds) という超強力なリズム隊! 特にアート・ブレイキーの参加は、どうしてもベニー・ゴルソンが在籍していた「モーニン」時代のジャズメッセンジャーズを期待してしまう企画でしょう――

A-1 My Blues House
 ベニー・ゴルソンが書いたファンキーなブルースで、粘っこい演奏が展開されますが、その要は恐いリズム隊! アート・ブレイキーの強烈なバックビートとポール・チェンバースのブンブンベースが実に気持ち良いです。
 そしてアドリブ先発のカーティス・フラーが悠々自適のソウルトロンボーン♪ 持ち前のハスキーな音色とシンプルなフレーズの積み重ねが、否が応でもファンキーなムードを現出させています。
 もちろんベニー・ゴルソンもサブトーン気味の音色でジンワリとアドリブを始めながら、少しずつヒステリックな高音フレーズを交えて盛り上げていくところは、アート・ブレイキーのドラミングもありますから、完全にジャズメッセンジャーズ時代のノリが復活したところ!
 しかし続くレイ・ブライアントがブルースの塊のような演奏ながら、絶妙にソフトなセンスを発揮して場を引き締めています。あぁ、これは素晴らしいですねぇ~~♪
 ですからポール・チェンバースのベースソロさえも、なかなかモダンな響きに聞こえてまいります。なんかマイルス・デイビスが出てきそうな……♪ いや、これは幻想ですがっ! 如何にもモダンジャズという、雰囲気満点の演奏だと思います。
 そしてラストテーマの最後の最後で、ようやく漂うゴルソンハーモニーの妙でニンマリしてしまいます。

A-2 Drumboogie
 スイング時代から活躍する名ドラマーのジーン・クルーパーが自作自演で十八番にしているエキサイティングな名曲! それをこのメンツで演じてくれるんですから、たまりません。
 強烈なブギウギピアノでイントロを作るレイ・ブライアントからして実に楽しく、全体がグイノリの演奏ではカーティス・フラーが短くも充実したアドリブを披露しています。
 またベニー・ゴルソンがブリブリに吹きまくれば、レイ・ブラインアントは意想外のクールで洒落たスタイルを聞かせます。う~ん、もっとブギウギ系かと思ったのですが……。
 そして意外と言えば、アート・ブレイキーのドラムソロが極端な短さ! 完全に肩透かしの演奏になってしまいましたです……。否、これで正解なんでしょうねぇ……。

A-3 I Don't Know What Time It Was
 有名スタンダードを軽いタッチで演奏するところが、ゴルソン&フラーの持ち味かもしれません。ここでもリズム隊がライト感覚になっているのは、意図的なんでしょうねぇ……。
 しかしベニー・ゴルソンがアドリブに入ると状況が一変! ブリブリ&ブヒブヒに吹きまくってしまいますから、リズム隊も目が覚めたかのように重量級のグルーヴを出していきます。
 特にレイ・ブライアントのアドリブは力強さと歌心の両立が見事です。またアート・ブレイキーの大技・小技のコンビネーションも素晴らしいと思います。
 ただしテーマ吹奏がぬるま湯気味で勿体無く、カーティス・フラーも健闘していますが、ややマンネリかもしれません……。

B-1 The Stroller
 ベニー・ゴルソンが書いた激烈なアップテンポのハードバップです。もちろんアドリブ先発も作者が務め、グリグリとヒステリックに吹きまくり! 背後から襲い掛かってくるリズム隊との対決も強烈です。あぁ、このあたりはジョン・コルトレーンとは似て非なる音符過多症候群ですねぇ~。ついつい熱くなってしまいます。
 またカーティス・フラーが必死の追走! 細かいフレーズと単音の連発は、決して流麗とは言えませんが、ちょっと痙攣しそうな興奮度が高いと思います。
 そしてレイ・ブライアントが強烈な素晴らしさ! アタックが強いピアノタッチでガンガン攻め込んでいきます。
 さらに一瞬の静寂を突き破って始るポール・チェンバースのアルコ弾きは、悪趣味を逆手にとったアグレッシブなハードバップスタイルですから、これにも熱くさせられます。
 背後で煽るアート・ブレイキーはドラムソロに入ると、一層テンションが高くなります。もちろんクライマックスのソロチェンジも恐さがいっぱい!

B-2 Yesterdays
 1930年代に流行ったスタンダード曲ですから、ゴルソンハーモニーの哀愁モードは「お約束」ですが、まずレイ・ブライアントが弾くイントロが秀逸ですねぇ~♪
 そしてテーマメロディから存分に楽しめるゴルソンハーモニーの妙♪ 特にサブトーンを駆使するベニー・ゴルソンのテナーサックスは、この曲にはジャストミートでしょう。本当に和みます。
 そしてアドリブパートに入ると、あれっ、これはどっかで……? そうです、なんかベニー・ゴルソンのオリジナルに、こんな曲があったような……。ちょっと思い出せなくてイライラしていますが、実に良いですねぇ~♪
 もちろんカーティス・フラーもソフト&ブルージーな快演ですし、レイ・ブライアントが驚異的に素晴らしいですねぇ♪ 美メロのアドリブには哀愁がたっぷりです。しかも歯切れの良いピアノタッチが快感♪

ということで、何時ものゴルソン&フラーとは、ちょっと一味違った演奏が楽しめる名(迷)盤です。グッとハードバップ寄りになっているというか、アドリブ中心主義とでも申しましょうか、とにかく強靭なリズム隊の存在ゆえの成果かもしれません。

このあたりは狙ったものなんでしょうねぇ。ここにドナルド・バード(tp) でも入っていたら……、なんていう妄想もあながち不思議とは言えないでしょう。

ただし、あくまでもテナー&トロンボーンという編成に拘ったあたりにベニー・ゴルソンの意気地が感じられます。

コメント
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