OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

ガールジャケットのザ・フー

2007-08-09 16:50:45 | The Who

今日も暑いです。

そして、こういう時にはジャズモードに入らなくなる私ですから、この前に発見した強烈な嬉しい復刻CDから、これを聴いてしまいました――

My Generation / The Who (US Decca / テイチク)

ザ・フーはご存知のように1960年代英国ロックのブームから生まれ、オリジナルメンバーの死去を乗り越えて現存している最高のロックバンドのひとつです。

しかし我国では全盛期での来日が無かったことに加え、レコード発売のイザコザがあったりした所為で、リアルタイムではイマイチ、人気がありませんでした。

しかし、それでもたまに出すヒット曲の威力は絶大でしたし、個人的にはストーンズが麻薬関連で逮捕~裁判という騒動の時に、支援のレコードを出したということで、何となく気になって親しみの持てるバンドでした。

肝心の彼等のレコードについては、まず1965年12月に発売された「My Generation」が史上最高のデビューアルバムとして英米で高い人気と評価を得たにも関わらず、その後の契約の縺れで宙に浮いた形となり、きちんとした形で市場に出回らないという悲劇が……。

で、我国では、昭和42(1967)年に、曲順とジャケットを変えて発売されたのが、本日の1枚です。

しかしバンド名表記が「ザ・フゥー」とされている上に、劣悪な擬似ステレオ仕様とあって、売行きは悲惨だったようです。実際、私も小遣いが乏しかった所為もあって、買う気にはなりませんでした。キッチュなジャケットも???です。

ただし後年、それが通称「ガールジャケット」と呼ばれてウルトラ級のコレクターズアイテムになったのですから、時の流れは恐いものです。その内容は――

A-1 My Generation
A-2 Please, Please, Please
A-3 It's Not True
A-4 The OX
A-5 The Kids Are Alright
A-6 Instant Party
B-1 A Legal Matter
B-2 Out In The Street
B-3 I Don't Mind
B-4 The Good's Gone
B-5 La La La Lies
B-6 Much To Much

以上の12曲ですが、なんと現在、これが紙ジャケット仕様のCDとして復刻発売中です。しかもモノラルマスターが使われているんですねぇ~♪

実は、この「My Generation」は既に1980年代からアメリカでCD化されていますし、オリジナルのイギリス盤を基本にしたリマスターCDもボーナストラックを満載した2枚組で出されているのですが、前者はモノラルと擬似ステレオが混在していますし、後者はステレオのニューミックスに加えて、余計なダビングもあったりして、私にはオリジナル盤の復刻とは認められないものでした。

ちなみにイギリス仕様のオリジナル盤の曲順は――

A-1 Out In The Street
A-2 I Don't Mind
A-3 The Good's Gone
A-4 La La La Lies
A-5 Much To Much
A-6 My Generation
B-1 The Kids Are Alright
B-2 Please, Please, Please
B-3 It's Not True
B-4 I'm A Man
B-5 A Legal Matter
B-6 The OX

――となっています。つまりイギリス盤から「I'm A Man」を抜いて、代わりに「Instant Party」を入れたわけですね。

そして演目・演奏では、まず永遠の代表曲「My Generation」が、やっぱり凄いです! 暴れまくりるキース・ムーンのポリリズムドラミングと豪快うねるジョン・エントウィッスルのリードベースが、強烈至極なんです。当時、こんな烈しいビートを出していたバンドが他にあったでしょうか!? これは今日でも珍しいぐらいのブッ飛び方だと思います。

また限りなくポップでマージービート丸出しの「The Kids Are Alright」や「It's Not True」「A Legal Matter」は1960年代ロックの楽しさに満ちています。そしてR&Bのコピーで強烈な黒っぽさを披露した「I Don't Mind」と「Please, Please, Please」では、ロジャー・ダルトリーの粘っこいボーカルとコーラスワークのポップな対比が楽しく、せつない雰囲気で、たまりません。重たいビートの演奏も最高です。

また直線的なロック魂を表現した「A Legal Matter」や力強いフォーロック調の「Much To Much」、さらにサイケな「Instant Party」や「The Good's Gone」でも、けっしてポップな雰囲気を忘れていない姿勢は、素晴らしいと思います。

さらに個人的に大好きな「La La La Lies」では、モータウンサウンドとビーチボーイズの幸せな結婚のような、最高のポップスが楽しめます。バックの演奏もゲストのピアノ奏者が加わっていますが、とても3~4人で作り出しているとは思えない厚みが凄いです!

そして中心人物のピート・タウンゼントは、リズムカッティング主体のギターワークに加え、ソングライターとしての冴えが抜群です。こんなにポップで力強く、クールに不貞腐れた曲を書ける人は稀でしょう。

ということで、ロックの力強さを持ちながら完璧にポップなバンドのザ・フーを聴くなら、この復刻CDが最適です。なにしろアメリカ経由のモノラルマスターを仕様した音質がド迫力! それゆえに「The Kids Are Alright」が編集バージョンになっているんですが、それもご愛嬌♪

オリジナル盤と異なる曲順については、CDブレイヤーならば簡単に変更出来ますから、好きなように楽しめるはずです。これで「I'm A Man」がボーナストラックだったら最高だったんですが、それは言わないお約束ということで、ご理解願います。

ザ・フーは最高です! 全てのロックファン、音楽ファンは必聴ですよっ! と本日は断言させて下さい。

コメント
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