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OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

残暑酷暑にオーティスを

2014-08-09 14:31:12 | Soul

愛しすぎて / Otis Redding (Reprise / ワーナーパイオニア)

さて、汗ダラダラの真夏のソウルレビューといえば、オーティス・レディングが1967年にやってくれたモンタレー・ポップ・フェスティバルの熱唱熱演も忘れられません。

その模様はイベント全体が映画として撮影され、これまでに様々な仕様で公開されて来ましたが、もちろん音源も同様に多種出回っている中でも、圧巻だったのはジミヘンとオーティス・レディングのパフォーマンスであった事は歴史が認めるところですし、件の映像も音源も、あえて件の二人に特化したブツが人気を集めるのもムベなるかな!

本日掲載したシングル盤も、全くその中のひとつして、オーティス・レディングの魂の歌が堪能出来る1枚であり、殊更A面曲「愛しすぎて / I've Been Loving You Too Long」は、これ無くしては人生の意味も……!?

サイケおやじは、そこまで思い込まされる事も度々です。

ちなみにオリジナルは、もちろんオーティス・レディング自作自演による1965年のヒット曲なんですが、それはあくまでもアメリカの黒人マーケットでの成果であり、しかも最初はB面扱いだったと言われています。

で、それがモンタレー・ポップ・フェスティバルに集まるような白人の音楽ファンに知られるようになったのは、ストーンズが1966年12月にアメリカ優先で発売したライブアルバム「ガット・ライヴ・イフ・ユー・ウォント・イット!」にカバーバージョンを入れた事による功績が大きいと思われますが、実はストーンズの「愛しすぎて / I've Been Loving You Too Long」はスタジオ録音のテイクに歓声等々をオーバーダビングした疑似ライブという真相も、なかなか意味深でしょうか。

そして本家本元のオーティス・レディングが白人主体の大観衆の前に登場した事も、おそらくは芸歴の中で最初のギグだったとすれば、あくまでも自然体にありながら、やはり熱が入っていたのは否定出来ないように思います。

そのあたりは皆様も、前述の映像作品等々を楽しまれて、再び音源だけの鑑賞に浸るのを吝かとしない状況に証明されると言えば、いやはやなんとも、本日もサイケおやじの独断と偏見ではありますが……。

また、今となっては伝説になってしまいましたが、故・忌野清志郎がステージのキメ台詞にしていた「愛しあってるかぁ~~い?」の元ネタが、実はこのモンタレー・ポップ・フェスティバルでオーティス・レディングが「愛しすぎて / I've Been Loving You Too Long」を歌い始める前のMCの一節「We all love each other, right?  Let me hear you say YEAH!」の日本語訳字幕であったという逸話も、なかなか眩しいですねぇ~~。

事実確認作業としては、昭和50(1975)年8月に放送されたNHKヤング・ミュージック・ショウにおけるモンタレー・ポップ・フェスティバルの映像が最良とされていて、それは現在出回っている公式映像ソフトでは、字幕が変わっているからなんですが……。

ということで、猛暑にギトギトの南部ソウルは、これまたひとつの我慢大会というよりも、自ら望んで激辛カレーを食するような、冒険的快感かもしれません。

サイケおやじは、例え愚行と言われようとも、好きです。

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悲しき願いの汎用と普遍

2014-07-10 14:56:28 | Soul

悲しき願い / Santa Esmeralda (Fauves Puma / フィリップス)

名曲は不滅という真実は、今更云々する事も無い、まさにこの世の理ではありますが、それにしても「悲しき願い / Don't Let Me Be Misunderstood 」ほど、何時の世も、また世界の何処でもウケまくる歌は稀じゃ~ないでしょうか。

そのオリジナルは黒人歌手のニーナ・シモンが1964年に出したバージョンと言われていますが、曲の最初のアイディアは彼女の担当プロデューサーであったホレス・オットの妻が口ずさんだらしく、それを職業作家のベニー・ベンジャミン等々、数人の合作として完成されただけあって、件のオリジナルバージョンは粘っこいスローテンポに仕上がられていながら、後にはアニマルズのロックバージョンや尾藤イサオの歌謡ロックバージョン等々、如何様にも転用可能な、所謂「使える」メロディと歌詞は秀逸の極みと思います。

それは本日掲載のシングル盤A面曲としても、1977年に堂々のディスコサウンドに変身させられ、世界中で大ヒットした事でも明らかなんですが、キメとなっているのがラテンのリズムやスパニッシュ調の彩りである点は目からウロコ!?

実はその頃、日本ではあまりブームにはなりませんでしたが、サルサと称されたジャズロックとラテンミュージックが融合したようなダンス音楽がニューヨークから世界中に広まっていましたからねぇ~~、それがあってこそのサンタ・エスメラルダ版「悲しき願い / Don't Let Me Be Misunderstood 」の大ヒット!

その点は否めない事実だと思います。

ちなみにサンタ・エスメラルダは皆様ご推察のとおり、スタジオで作られた「実態の無いグループ」のひとつで、スタジオミュージシャンのリロイ・ゴメスがリードボーカル、他にニコラス・スコースキーとジーン・マヌエル・デ・スのソングライターコンビが共同で制作していたプロジェクトだったんですが、そりゃ~、もちろん売れるように努力した結果とはいえ、ここまで爆発的に世界を熱狂させるなんてこたぁ~、意想外と書けば失礼千万、でもねぇ~~~~♪

そこで業界の慣例として、忽ち営業用のサンタ・エスメラルダが結成され、露出度の高い衣装も魅力の女性ダンサーを2~5人ほど連れた羨ましき野郎が熱唱するスパニッシュディスコの「悲しき願い / Don't Let Me Be Misunderstood 」は、現在でもネット等々で映像がご覧になれるはずですが、この分かり易い衝撃度は温故知新の影響力も絶大で、前述した世界的なメガヒットに準ずるように我国でも、同曲を最大の持ちネタにしていた尾藤イサオが女性ダンサー&コーラスの2人組を連れた尾藤イサオ&ドーン名義の新バージョン「悲しき願い」を出したり、筒美京平が中原理恵の「東京ららばい」や山内恵美子の「太陽は泣いているセンセーション '78」等々を世に送り出した企画も忘れられません。

ということで、実はサイケおやじは今朝、某国への出張から帰ったんですが、その訪問先が失礼ながら、なんとも後進なところで、ほとんどの住民がケイタイを使っているのに、設置型の電話は無いに等しく、それゆえにネット環境も脆弱の極み……!?

もちろん高速回線なぁ~んてものは不安定状態で、どうにかネットには繋がっても、書き込みは不可能に近いんですからねぇ~~!?

言い訳になりますが、拙ブログの更新もストックを入れるのがやっとで、それゆえにレスも遅れてしまった事は、どうかご容赦下さいませ。

で、なんで本日がサンタ・エスメラルダ版「悲しき願い / Don't Let Me Be Misunderstood 」かと言えば、そういう土地柄ゆえかもしれませんが、これが現在でもディスコもどきの遊び場で、こちらが驚いたほど人気が継続していたからなんですよっ!

いゃ~、まさに OLD WAVE なサイケおやじは嬉しいやら、せつないやらの苦笑いだったというわけです。

そして当然ながら、そこで使われていたのは、LP収録のロングバージョンであった事を付け加えるのは、余計なお世話でしょうか。

それもまた、懐かしき1970年代の風情と思うばかりです。

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永遠の渚の誓い

2014-06-26 14:37:15 | Soul

なぎさの誓い / The Tymes (Parkway / 日本ビクター)

所謂オールディズの定義のひとつに、古くても良い歌、良いメロディーという条件があるとすれば、サイケおやじにとってのオールディズの中には必ずや常備されるのが、本日掲載シングル盤A面曲「なぎさの誓い / So Much In Love」です。

今となっては、この1963年に大ヒットしたタイムズのオリジナルバージョンよりも、1982年に某映画のサントラ扱いでリバイバルヒットした、元ポコ~イーグルスのティモシー・シュミットのカパーバージョンが良く知られるところかもしれませんが、それも「なぎさの誓い / So Much In Love」が基本的に持っている、胸キュンにしてハートウォームなメロディがあればこそっ!

本当に何時聴いても、琴線に触れまくりの泣きメロが素敵なんですよねぇ~♪

ちなみに件のタイムズは、アメリカのフィラデルフィア周辺で活動していた黒人コーラスグループなんですが、黒っぽさよりは黒人芸能ならではの粋な甘さを得意技にしていたようで、マニア用語では「甘茶」に属する魅力と白人にも自然に馴染めるポップスフィーリングがウケた要因かと思います。

メンバーはリードを歌うジョージ・ウィリアムス、アルバート・ベリー、ジョージ・ヒリアード、ノーマン・バーネット、ドナルド・バンクスを当時のレギューとする5人組なんですが、この「なぎさの誓い / So Much In Love」を作曲したのはジョージ・ウィリアムスということで、自作自演の気持が入ったボーカル&コーラスにも納得されるものがありました。

そして同時に特筆するべきは、レコード化されたシングルバージョンには波の音がSEとして用いられている事で、邦題「なぎさの誓い」はそこからの連想と思わざるを得ません♪♪~♪

これはレコーディングプロデューサーのビリー・ジャクソン、そしてアレンジャーのロイ・ストレイジスの合作アイディアらしく、楽曲クレジットも彼等3人の名義になっているのは、如何にも音楽産業の舞台裏が興味深いところですし、アメリカのヒットチャートでは堂々のトップに輝いたのもムペなるかな、今日ではスタンダードの人気曲になっているのは言わずもがなです。

ただし、タイムズにとっては、実はこれが特大のヒットになり過ぎたわけでして、一応は1964年までに2~3曲ほどをチャートインさせたものの、後は泣かず飛ばず……。

ところがタイムズは冒頭に述べたとおり、フィラデルフィアで活動していた人脈を活かし、そうした暗黒時代(?)に自らのレーベルを立ち上げ、そこで地道に制作していた諸々のレコードには、後に世界を席巻する「フィリーソウル」の礎的な感触が記録されているのですから、侮れません。

特に1974年の「You Litlle Trustmaker」の大ヒットによる復活は、件の「フィリーソウル」の世界的なブームと重なったことで、実は既にRCAに移籍していたとはいえ、タイムズの魅力を再認識させた実力は流石と思います。

ということで、そのあたりの「フィリーソウル」のあれこれについてを追々に書いていきたいと目論んでおりまして、その端緒のひとつとして本日はタイムズを取り上げてみました。

素敵な音楽は時を超えて、リスナーの心を揺さぶる真実を痛感している次第ですが、この「なぎさの誓い / So Much In Love」は黒人R&Bやソウルミュージックに分類するのがバカらしくなるほどの普遍的な存在として、大衆音楽の典型なのかもしれません。

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ラストダンスに辿り着き

2014-05-11 15:24:21 | Soul

ラスト・ダンスは私に / The Drifters (Atlantic / 日本ビクター)

さて、キング・トーンズによって、そのルーツたる黒人R&Bのコーラスグループに興味を惹かれたサイケおやじが、どうにか最初にゲットしたのが本日掲載のシングル盤でした。

それはもちろん中古だったんですが、何よりも手を出せたのは、A面収録の「ラスト・ダンスは私に / Save The Last Dance For Me」が知っている曲だったという事が大きいわけで、当然ながら越路吹雪の日本語詞バージョンに馴染んでいましたからねぇ~♪

だからでしょうか、結論から言えば、黒人グループが演じていながら、それは今日の一般的な認識による所謂黒っぽさとは無縁というか、そこには越路吹雪が歌っているのだから、それはシャンソンのカパーなのか?

なぁ~んていう、とんでもない勘違いの先入観念かサイケおやじにあったのは確かです。

さらにドリフターズの「ラスト・ダンスは私に / Save The Last Dance For Me」が、1960年に全米チャートのトップに輝くメガヒットになっていた事実を知ってみれば、その洗練されたボーカル&ハーモニーとサウンドの魔法が黒人音楽のひとつの魅力である事を認めざるを得ない気持にさせられました。

そして後追いで探索したドリフターズの歴史において、実はグループが初期のドゥー・ワップからポピュラー系コーラスのスタイルに変遷する過程には、メンバーチェンジとグループ名の権利諸々という音楽ビジネスの内幕があり、つまりは黒人音楽と言えども、世界的なヒットになる歌や演奏には、それが必須という真相には深いものを覚えましたですねぇ~。

なにしろ最初期のリードシンガーだったクライド・マクファターが在籍した1953~1956年頃でさえ、幾つかのヒットを放ちながら、本人が軍隊にとられた事から、その間にリードシンガーを含めて数次のメンバーチェンジがあり、ついには「ドリフターズ」というグループ名の使用権を持つマネージャーの画策(?)から、ベン・E・キングをリードシンガーに据えた新生ドリフターズの登場が、1959年と言われています。

で、既に述べた洗練されたスタイルは、当然ながらクライド・マクファター在籍時にも強く感じられますが、それがさらにモダンなフィーリングへと彩られたのがベン・E・キング加入後である事が、残された音源を時代順に聴けば納得でしょう。

しかし、この時代のドリフターズは決して白人音楽に迎合していたのではありません。

むしろ白人音楽へ与えた影響力の凄さこそをビートルズを筆頭とするブリティッシュピート勢の活躍の中に感じるのですが、いかがなものでしょう。

「ラスト・ダンスは私に / Save The Last Dance For Me」を書いたのはドグ・ポーマス&モート・シューマンという、アメリカの音楽史にその名を刻する偉大なソングライターコンビであり、プロデュースを担当したのが、業界では神様的な存在のジェリー・リーバー&マイク・ストーラーであれば、それが後年の美しき流れに連なっていくのもムペなるかな!

そうした脈流が根底にあってこそ、大ヒット曲の永劫性も証明されると思うばかりです。

ということで、いよいよサイケおやじは黒人ソウルグループを聴いていく、その端緒に巡り会えたわけなんですが、既にその頃にはウィルソン・ピケットオーティス・レディング等々の本当にネチネチのディープソウルが我国でもヒットしていましたから、ドリフターズあたりのレコードは軽くて、未だ夢中になれるものではありませんでした。

ところがそれでも気になってしまうのは結局、それだけキング・トーンズの「グッド・ナイト・ベイビー」の存在が強かったからという逆説に!?

そのあたりの続きは、追々に書かせていただく所存です。

 

 

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ここから始まるミーターズ中毒

2014-03-12 15:25:38 | Soul

Cabbabe Alley / The Meters (Reprise)

 A-1 You've Got To Chaged
 A-2 Stay Away
 A-3 Birds
 A-4 The Flower Song
 A-5 Soul Island
 B-1 Do The Dirt
 B-2 Smiling
 B-3 Lonesome And Unwanted Poeple
 B-4 Gettin' Funkier All The Time
 B-5 Cabbabe Alley

全てを詳らかにする事が、決して良いとは思えないサイケおやじではありますが、だからと言って、モヤモヤを残しておくのも精神衛生上、好ましくないはずです。

例えば1973年末に初めて聴いた「ディキシー・チキン」というリトル・フィートのアルバムにおける摩訶不思議なリズム的興奮や捩れたピートの快感については、その理由がど~しても知りたくてたまりませんでした。

もちろん、今となっては、それが所謂「ニューオリンズ・ファンク」と称されるセカンドラインのリズムとピートの魔法云々について、広く評論家の先生方から教えていただけるわけですが、当時は……。

しかし、そんな状況の中で一番に有用だったのが、先輩諸氏が集う楽器屋、あるいはロック喫茶の存在でありました。

そして前述の疑問の答えのひとつとして邂逅出来たのが、ミーターズと名乗るニューオリンズのバンドで、掲載したアルバムはサイケおやじが初めて聴いた彼等のLPです。

いゃ~、とにかく、A面ド頭「You've Got To Chaged」からブッ飛ばされましたよっ! だって、ここまでヘヴィなファンキーロックには接したことがありませんでしたからねぇ~~♪ カッコ良過ぎるギターのキメのリフはもちろん、演奏全篇で縦横無尽に絡み合うベースとドラムスのズレまくったピート感は、しかし結果的にビシッと合っているという摩訶不思議であり、そのリアルタイムだった1974年春のサイケおやじには未体験の恐怖と歓喜でした。

しかもその気分の高揚が冷めもしない次の瞬間、続く「Stay Away」がさらに強烈なファンキーロックの大攻勢! 渦を巻くが如きギターとベースの絡み合うキメまくり大会に加え、スットコドッコイのドラムスが超激ヤバッ! そして地味ながら味わい深いキーボードの彩りがあるんですから、ちょい聴きには単調なコーラスシャウトにも飽きがきません。

う~ん、ミーターズ、恐るべしっ!

この当時のメンバーはアート・ネヴィル(key)、レオ・ノセンテリ(g)、ジョージ・ポーター・ジュニア(b)、ジョー・モデリステ(ds,per) の4人組で、各々はニューオリンズ周辺のライプセッションやスタジオレコーディングの現場で活躍していた実力者であり、ミーターズとして集合する過程には、アート・ネヴィルの実弟であり、全国的なヒットを飛ばしていたアーロン・ネヴィル(vo) のバックバンド的な仕事から、ネヴィル兄弟がメインのグループ結成等々、後追いで知るほどに様々あるんですが、基本的にミーターズはインストバンドで、ちょうどメンフィスのスタックススタジオで働いていたブッカーT&MGs みたいな立場であったと思われます。゜

そして実際、正式にミーターズとしてレコード契約が成り立った1969年頃からはインスト曲のヒットを幾つか出していくのですが、それは追々ご紹介するとして、バンド全員が暗黙の了解によってポリリズムの演奏を遂行していくスタイルは、既にその時点で完成されていた事は間違いありません。

また、音楽的充実を追求すれば、ミーターズが自ら歌うという選択肢も当然あって、メンバー全員による掛け声~コーラスはもちろんの事、いよいよアート・ネヴィルがリードボーカリストの立場を鮮明にしたのが、このアルバム「キャベジ・アレイ」からで、中でもニール・ヤングがオリジナルの「Birds」における、そこはかとないホノボノ感が滲み出る味わいは、ちょいとクセになりますよ。もちろんバックの演奏パートの緻密さも職人技の証明でしょう。

ですから、ミディアムスローの力強い仕上がりになっている同系のボーカル曲「Lonesome And Unwanted Poeple」が、決してロックではありえないファンキー&ソウルという黒人音楽本来の要素を失っていないのは言わずもが、これこそ冒頭に述べたリトル・フィートの音楽性に伝播したフィーリング!?

さらに続けて始まる「Gettin' Funkier All The Time」にも、それをダイレクトに感じてしまいますし、オーラスに配置されたアルバムタイトル曲「Cabbabe Alley」のシンコペイトしまくった陽気なグルーヴは、丸っきりリトル・フィートであり、また後に登場するニューヨーク派のスタジオミュージシャンが集合した、あのスタッフにも感じられたノリがたまりませんよ♪♪~♪

う~ん、やっぱり基本的にミーターズはインストバンドとしての矜持がありまからねぇ~~♪

「The Flower Song」におけるソフト&メロウな雰囲気の良さには身も心もトロトロにさせられますし、トロピカルに弾みまくった「Soul Island」では、思わず一緒に、そ~だぁ~よぉ~♪ と歌ってしまうですよ♪♪~♪

そこで気になる各メンバーの演奏の実力やテクニックについては、本当に凄いの一言! ちょい聴きには簡単そうな「Do The Dirt」にしても、そのシンプルさゆえに、終始ノリを維持していく事の難しさは言わずもがな、幾分のアップテンポで相当にアブナイ綱渡りをやらかす「Smiling」にしても、そこに絶対の自信があるからこそ、各人バラバラの余裕で暗黙了解を貫いているのでしょうか。

とにかくミーターズの凄さは、聴く度に恐ろしくなるほどで、しかし同時に何度でも聴かずにはいられない中毒性が確かにあります。

ということで、ミーターズに邂逅したサイケおやじは、ここを足掛かりとしてニューオリンズ系のレコードを聴き漁り、参加人脈のあれこれを探求する奥の細道に入ってしまったんですが、もちろん既に聴いていたザ・バンドのアルバム「カフーツ」に秘められたあれこれにハッさせられ、また同時期に活動していた日本のロックバンドの中でも、加藤和彦のミカバンドや鈴木茂のバンドワゴン等々が、如何にこの路線を狙っていたのかにも愕然とさせられた記憶は今も鮮烈で、それについても追々ここで書いていく所存です。

そして皆様にも、ミーターズをぜひとも楽しんでいただきたく思っていますが、もちろんこのアルバムを彼等の代表作と断言するつもりはありませんし、実際、他にも素晴らしいレコードをどっさり残しています。

ただし、一般的なロックファンからの聴き易さというポイントにおいては、なかなかのオススメというわけです。

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ポップコーンはソウルフードだぜっ!

2014-01-18 15:11:42 | Soul

Mother Popcorn part 1 c/w part 2 (king / 日本グラモフォン)

昨日の大失態から、どうにもテンションが上がらないので、今日は早朝から、思いっきりジェームス・ブラウンを鳴らしてます。

あぁ~、ここは雪国の木立に囲まれた一軒家♪♪~♪

ズバァ~~ッとボリュームをデカくしたって、何の問題もありませんからねぇ~♪

その屈強にしてバネの効いた帝王のファンクに浸っていると、心身に力が漲ってくる幸せをありがたく痛感です。

中でも1960年代後半から深化していくシンプルでありがながら、シンコペイトしまくったリズムとピートの暴風ブラックミュージックはサイケおやじが最も好むところで、およそ1973年頃までに出されたレコードならば、どれも間違いがありません。

ジェームス・ブラウンのレコードは、どうにも数が多すぎて、何から聞いていけば云々は巷間頻繁に囁かれる疑問のひとつですが、殊更ファンク、つまりイケイケのソウルミュージックを堪能するのであれば、上記の時期の諸作は全盛期として激オススメ!

例えば本日掲載のシングル盤は1969年6月にアメリカで初出となった代表名的ファンクヒットなんですが、全篇ドロドロのカックラキンピートが単純明快に繰り返される中、ジェームス・ブラウンは「ウォォォォ~~」とか「カッマァ~~ン」とかの掛け声&合の手を叫んで歌う(?)だけで、メインはズレる寸前でガチッとタイトなリズム隊とイカシたリフをぶっつけてくるホーンセクションの鬩ぎ合い!

ちなみに収録B面の「part 2」では、おそらくはメイシオ・パーカーと思われるテナーサックスのピートブロウが展開されるんですが、基本線は一緒なんで、そういうところがジャズファンには物足りないと見下されるんでしょう。

しかし1960年代末頃からの電化したマイスル・デイビスだって、同じ地平でプレイしていた事実は、同時期のスライ・ストーンも含めて、ジェームス・ブラウンを決して卑下するものではないのです。

むしろジェームス・ブラウンがやり続けてきた事の延長に乗っかっているミュージシャンの夥しさは、言うまでもありません。

ということで、ジェームス・ブラウンを楽しむことは、何も掲載したシングル盤を筆頭にする必要は無く、一番有効なのはライプ音源、さらにはライプ映像、そして実演ステージに接することが最高!

決して大きくない体から全身で作り出すファンクの境地には、接するこちらのテンションも天井知らずというわけです。

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出たっ! ニッポンのフィリーソウル

2013-10-19 13:25:57 | Soul

Midnight Train / The Three Degrees (CBSソニー)

現在の状況には疎いんですが、昭和の芸能界では外タレに日本語の歌をレコーディングさせるという企画が度々あって、それが相当に大きなヒットになっていました。

例えばシカゴというリアルタイム最先端のグループにしても、自らの代表曲としてヒットチャートを振るわせた「Questiones 67 and 68」や「Lowdown」を日本語で歌ったシングルバージョンを残していますし、さらに特別に我国のソングライターが書いたドメスティックな新曲を歌った外タレ作品も以外に多く、それらは今や貴重なコレクターズアイテムです。

さて、そこで本日掲載のシングル盤A面曲「Midnight Train」は、1970年代前半に世界的なブームとなったアメリカはフィラデルフィアで作られていた黒人音楽、所謂フィリーソウルの人気グループだったスリー・ディグリーズが1974年に出したヒット作♪♪~♪

というよりも、これが「和製フィリーソウル」の最初の大成果として、当時も今も大きな話題を集める1曲かと思います。

なにしろ作詞:松本隆&作曲:細野晴臣(b)、そして編曲:矢野誠(key) の制作陣に加えて、バックの演奏が鈴木茂(g) や林立夫(ds) を含むキャラメル・ママ~ティン・パン・アレイの人脈であった事は既定の事実ですからねぇ~~~!?!

しかも松本隆の綴った歌詞が英語なんですから、いやはやなんとも、これは明らかに世界戦略(?)を考慮した企画と思われます。

そして前述のとおり、これは件のフィリーソウルを特徴づけるゴージャスなストリングスや流麗なメロディライン、そして心地良いジャズ系のソウルビートが混然一体になった仕上がりは、なかなか見事でありました。

ちなみにレコーディングされたのは、スリー・ディグリーズが1974年に来日した時で、この時には彼女達の人気ヒット曲「When Will I See You Again / 天使のささやき」の日本語バージョン等々も一緒に吹き込まれたと言われていますが、実は「Midnight Train」の発売順がその次であった事から、つまりは純然たる新曲扱いとして、全く違和感が無かったのは驚異的と思うばかりです。

ところがこれで驚くのは、まだ早かったんですねぇ~~~~~。

なんとっ! そのレコーディングセッションからは、もうひとつ、「にがい涙」というウルトラ級に素晴らしい和製ソウルの大名曲が作られていて、「Midnight Train」の次に発売されたのですから、たまりません。

不遜ではありますが、本当に素晴らしいと思っていた「Midnight Train」が、なんともイナタイ……。

そのあたりは以降、あらためまして「にがい涙」を取り上げますので、今回はここまでと致しますが、ただし、だからと言って、この「Midnight Train」がダメというわけでは、もちろんありませんっ!

まあ、慾を言えばポーカルパートが全面に出過ぎているというか、本当はバックのストリングスやパーカッション等々のミックスが薄味で勿体無い感もあります。しかしリズムのニュアンスやオカズの使い方等々、何よりも当時の流行最先端であった「フィリーソウルのサウンド」を、ここまでコピーして再構築した技術と情熱こそ、永遠に称賛されるべきと思いますねぇ~♪

うむ、流石は当時、上り坂にあった「ものづくり大国ニッポン」の底力、万歳!!

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リズムギターでグルーヴ天国

2013-03-17 15:24:13 | Soul

Sing A Song / Earth Wind & Fire (Columbia / CBSソニー)

黒人音楽の心地良さは、そのリズム的興奮も大きな要因だと思いますが、それを司っているのがリズムギターの存在であろう事は、例えば1930年代からのカウント・ベイシー楽団におけるフレディ・グリーンの役割を持ち出すまでもなく、今では至極当たり前過ぎる事象のはずです。

逆に言えば、ファンクでもディスコ歌謡でも、それが鳴っていないと雰囲気が作れないほどの必要十分条件じゃ~ないでしょうか。

本日掲載のシングル盤A面曲「Sing A Song」は、まさにイントロからゴキゲンなリズムギターが楽しめるのですから、大ヒットしたのもムペなるかな、決して縁の下の力持ちに終っていない存在感があればこそ!

1975年末、これをぶちかましてくれたアース・ウインド&ファイア=EW&Fにしても、それまで着実に積み上げて来た実績を大きく飛躍させた記念碑であった事にちがいなく、もちろん同年には「Shining Star」や「暗黒への挑戦 / That's The Way Of The World」のメガヒットを放っていたところから、ますますポップなフィールドに躍進出来たのは、極みの一発!

それほど「Sing A Song」はウキウキと楽しく、心から躍動出来る名曲名演であり、さらに決して黒人音楽ファンばかりを対象にしていない、白人を含む全人類への素敵なプレゼントだったんですねぇ~~♪

ちなみに当時のEW&Fはリーダーのモーリス・ホワイト(vo,per,ds,etc) 以下、実弟でムードメーカーでもあったヴァーディン・ホワイト(b)、同じく兄弟として途中参加したフレッド・ホワイト(ds,per)、名参謀のチャールズ・ステップニー(key,arr)、実力派のラリー・ダン(key)、一座のスタアとして女性ファンも多かったフィリップ・ベイリー(vo,per)、そしてシャープなリズムカッティングのグルーヴメイカーだったアル・マッケイ(g)、さらにはラルフ・ジョンソン(ds,per,vo)、アンドリュー・ウールフォール(ss,ts) 率いるフェニックスホーンズ等々、多士済々が一致結束していた上昇期でしたから、1960年代末の結成以来持ち続けてきた本格的なジャズ指向と享楽的なブラックファンク、また厳かな神秘主義が宇宙的に広がっていくが如きスケールの大きさが見事に融合された音楽性は、唯一無二だったと思います。

平たく言えば原始的リズム衝動を煽るダンス曲も所謂甘茶系歌物も、同じ地平でやれた稀有のバンドであり、しかもポップな要素を堂々と全面に出す事に躊躇しない時期だったのですから、ウケないわけがありません。

当然ながらライプステージにおける長尺なアドリブパートも、メンバー各々の驚異的な演奏能力があればこそ、決して飽きさせないのは要所でキメを入れるホーンセクション主体のスピード感に満ちたビバップ系リフをニューソウル的用いる方法論が確立されていたからと思います。

そして肝心のリズムギターの魔法については、アル・マッケイの存在が絶対的で、思えば1970年代後半から1980年代のスタジオ系ミュージシャンは揃ってアル・マッケイをモロ出しのリズムギターをやっていましたですねぇ~♪

また過言ではなく、それが出来なければ仕事が入らなかった真相さえあるほど影響力が絶大なのは、この「Sing A Song」のヒットがあったからにちがいありません。

ちなみにリズムギターと言っても、素直にルートのコードだけをカッティングしていればOKというわけでは絶対に無く、変換&代理コードの細かい選び方にはミュージシャンのセンスと資質が求められるわけですし、何よりもノリとピートを持続させていくリズム感が必要十分条件!

それは例えばストーンズにおけるブライアン・ジョーンズの存在を鑑みれば明白でしょうし、フリーのようなパワーコード勝負と思われがちなハードロックバンドが何故に味わい深いのかを考察すれば、前述したような代理コードの選び方が巧みだった事によると思っています。

いゃ~、とにかく持続するリズムギターの快感って、筆舌に尽くし難いものがありますよっ!

レコードでも好みの演奏を聴きながら、思わず一緒にリズムカッティングしてしまうサイケおやじのザマは痴態と決めつけられても、それは言い訳出来ないんですが、本人が独り悦に入ってしまうところにリズムギターの喜びもあるというもんです。

ということで、最後になりましたが、「Sing A Song」が大ヒットしたのはファンやリスナーが一緒に歌えるパートがある事も大きな要因ですし、シカゴ等々のブラスロックの影響から、一般ロックファンが受け入れていたキャッチーな要素を忌憚なく採用出来た、所謂度量の大きさは、ガチガチのブラックファンク信者からは節操の無さを指摘されていましたが、結局は売れた者が勝ちというのは大衆音楽の掟であります。

そして何よりも、「Sing A Song」は楽しく気持の良い歌と演奏になっているのですから、タイトルどおりの潔さ♪♪~♪

否定するよも、素直に歌って、ノレればOKでしょうねぇ~♪

リズムギター、万歳っ!

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絶対最高なボビー・ウーマック

2013-01-31 15:01:51 | Soul

110番街交差点 / Bobby Womack (United Artists / 東芝)

今やラストソウルマンの尊称も輝かしく、なんとっ! 「ロックの殿堂」入りも果たしているボビー・ウーマックは、しかしサイケおやじにとっては、長らく名前先行型のソウル歌手でした。

それはストーンズやロッド・スチュアートがカパーヒットさせた「It's All Over Now」の本家本元であり、またギタリストとしても、1960年代後半から世に出た名盤レコードに名前が出てきたり、ついにはジョージ・ベンソンとの関連云々までもが熱く語られるという、非常に気になる存在であったのですが、しかし本人名義の歌や演奏については、なかなか真髄に触れる機会が無かったのです。

しかし一度でもボビー・ウーマックのソウルフルな魅力の虜になったが最後、死ぬまでついていきますっ!

そういう覚悟をさせられてしまうんですねぇ~~♪

本日掲載したシングル盤A面曲「110番街交差点 / Across 110th Street」は、サイケおやじにそうした熱烈な思いを抱かせる契機となった名曲名唱で、ジャケ写からも一目瞭然、これは同名映画(1972年・バリー・シアー監督)の主題歌でありました。

つまりサイケおやじは昭和49(1974)年、名画座でこの作品を鑑賞し、もちろん本篇のハードボイルドなムードにも感銘を受けましたが、それよりもグッと惹きつけられたのが、このテーマ曲とそれを自作自演したボビー・ウーマック!

告白すれば、この主題歌に限らず、劇中で使われた歌と演奏が最高にカッコ良すぎて、失礼ながらフィルム本篇よりも、サントラ音源にシビれてしまい、誰が担当しているのかを確認すれば、そこにあったのが「ボビー・ウーマック」という、サイケおやじにとっては未だ見ぬ「幻の強豪」だったというわけです。

ちなみにジャズファンクに染まりきった演奏パートを担当していたのは、モダンジャズ最高のトロンボーン奏者にして、映画音楽も得意分野であったJ.J.ジョンソンだった事も、流石の驚きでしたねぇ~♪

で、肝心のボビー・ウーマックは、ここでもナチュラルに聞かせてくれる漆黒のボーカルと熱血の節回し! その密度の濃さは自作自演の強みを超越した唯一無二の迫力に満ちています。

もちろんピースと命名されたバックバンドが演奏するファンキー&ソウルフルなカラオケパートも充実の極みで、ギターもキーボードもストリングスの響きも、当然ながらリズムアレンジも、全てが当時最先端のニューソウルでありながら、原理主義的なR&B感覚も強く滲んでいるのですから、何度聴いても心が揺れてしまいますっ!

以降、サイケおやじが本格的にボビー・ウーマックを意識して聴くようになった事は言わずもがな、レコードを集めていく過程おいて、前述したストーンズとの関連からロン・ウッドとの子弟(?)関係も含めて、とにかくロックに対する影響力の強さも認識させられましたし、本人の芸能活動の紆余曲折も様々な動機はあれど、結果的に更なる進歩へと導かれていった軌跡も興味深いところでした。

そのあたりについては、拙ブログでも今後の課題(?)にしておりますが、ひとつだけ述べさせていただければ、音楽的な実力と共に、ボービー・ウーマックには人望と似たような、何時も気を逸らさない何かがあるんじゃ~ないでしょうか。

まあ、本人がそれを意識しているか、否かは知る由もありませんが、人種の壁をあまり感じさせない行動力があってこそ、幅広いリスペクトを捧げられているように思います。

ということで、最後になりましたが、肝心の映画本篇「110番街交差点」も相当に素晴らしい作品で、ストーリーのネタはシンプルながら、1970年代初頭のニューヨークのハーレム周辺の景色や人間模様、あるいは警察内部の腐敗や悪人なりの道理を描いた内容は、まさにハート&ソウルなサスペンスが満点!

現在ではDVD化もされていますので、ボビー・ウーマックやJ.J.ジョンソンの音楽共々、ぜひともお楽しみ下さいませ。

そしてシングル盤だけでなく、主要音源がきっちり入っている同名LPアルバムも最高♪♪~♪

と、あえて付記させていただきます。

とにかく最高!!

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タワー・オブ・パワーでぶっ飛ぶ!

2013-01-29 14:58:36 | Soul

What Is Hip? / Tower Of Power (Warner Bros. / ワーナーパイオニア)

タワー・オブ・パワーはブラスロックとブラックファンクを融合した、なかなか独自のグループでしたが、我国では必ずしも一般的にウケていたとは言えません。

しかし一度でも虜になると、これが抜け出せない魅力の塊であり、特に重厚でアタックの強いホーンセクションとシャープでメリハリの効きまくったリズム隊が提供してくれる快感は唯一無二!

そのデビューはアメリカにおいては1970年、オークランドやサンフランシスコ周辺をメインに活動しながら、ホーンセクションだけがスタジオセッションや有名ミュージシャンの巡業ステージに助っ人参加する事も多く、次第に存在の凄さが認められるようになったのが、本日掲載のシングル盤A面曲「What Is Hip?」を出した頃の1973年でした。

ちなみにメンバーは結成時から流動的だったんですが、タワー・オブ・パワーを特徴づけるホーンセクションはエミリオ・カスティーヨ(ts,vo) とスティファン・クプカ(bs,vo) が中心となり、このレコードを制作した時期にはグレッグ・アダムス(tp,vo,arr)、ミック・ジレット(tp,tb,vo)、レニー・ピケット(as,fl,vo)等々が参加!

そして強烈な16ビートや変態(?)ファンクロックを打ち出すリズム隊の要がロッコ・プレスティア(b) とデヴィッド・ガリバルディ(ds) の奇跡の黄金コンビであり、そこへブルース・コンテ(g,vo)、チェスター・トンプソン(org,vo)、ブレント・バイアス(per,vo) 等々が加わっていたのが全盛期の顔ぶれでしょう。

気になるリードボーカルは、レニー・ウィリアムスという、まさにこの時期が旬の人気者が入っていた事も大ブレイクの要因かと思います。

つまりタワー・オブ・パワーと言えば、圧倒的なリズム的興奮を煽る演奏力ばかりがウリではなく、ボーカル&コーラスと言うよりも、合の手気味の疑似ラップみたいな人間の肉声と楽器の対立軸があってこそ、楽しく聞ける部分もあるのです。

その意味でヒットした「What Is Hip?」は極めてロックっぽいファンクであり、ジャズっぽいヒップホップでもありますから、ジェームス・ブラウンを始祖とするファンキー&ファンクに拒絶反応を示す洋楽ファンにとっても、すんなり受け入れられたんじゃ~ないでしょうか。

もちろんブラスロックのストレートな醍醐味が入っている事は言うまでもありませんが、それにしてもデヴィッド・ガリバルディのドラミングは凄すぎますねぇ~~♪

それゆえでしょうか、この人はスタジオセッションで活動出来るような融通(?)が無かったようですから、真髄を堪能するにはタワー・オブ・パワーに浸りきるしかありません。

ということで、このバンドの魅力は多様な音楽性を持ちながら、常に一点集中主義による楽曲単位の完成度の追求から、その凄味を発揮出来たように思います。

なにしろスローなソウルパラードや熱血の泣き節ソウル、あるいはジャズファンクなインスト演奏、さらにはニューソウルやハードロックなウケ狙いまでもストレートにイヤミなくやってくれましたから!

当然ながら、バンドメンバーの人種の雑多性も、それに大いに関係しているはずです。

ちなみに掲載シングル盤は吉例「来日記念盤」ではありますが、今も悔やんでいるのは、サイケおやじに全盛期タワー・オブ・パワーのライプ体験が無いこと……。

もちろん彼等は数次のメンバーの入れ変わりを経て、現在でも堂々と活躍していますが、その過程には急速に落目になった1980年代からの逼塞期がありますから、1970年代に作られた諸作盤に執心わけですが、それについては後に譲るとして、今日はここまでと致します。

いゃ~、こういうグリグリに強いビートの音楽って、本当に気合が入りますねぇ~♪

落ちた運気や様々なゴタゴタも、スカッとぶっ飛ばせるような気がしています。

コメント (4)
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