■Midnight Train / The Three Degrees (CBSソニー)
現在の状況には疎いんですが、昭和の芸能界では外タレに日本語の歌をレコーディングさせるという企画が度々あって、それが相当に大きなヒットになっていました。
例えばシカゴというリアルタイム最先端のグループにしても、自らの代表曲としてヒットチャートを振るわせた「Questiones 67 and 68」や「Lowdown」を日本語で歌ったシングルバージョンを残していますし、さらに特別に我国のソングライターが書いたドメスティックな新曲を歌った外タレ作品も以外に多く、それらは今や貴重なコレクターズアイテムです。
さて、そこで本日掲載のシングル盤A面曲「Midnight Train」は、1970年代前半に世界的なブームとなったアメリカはフィラデルフィアで作られていた黒人音楽、所謂フィリーソウルの人気グループだったスリー・ディグリーズが1974年に出したヒット作♪♪~♪
というよりも、これが「和製フィリーソウル」の最初の大成果として、当時も今も大きな話題を集める1曲かと思います。
なにしろ作詞:松本隆&作曲:細野晴臣(b)、そして編曲:矢野誠(key) の制作陣に加えて、バックの演奏が鈴木茂(g) や林立夫(ds) を含むキャラメル・ママ~ティン・パン・アレイの人脈であった事は既定の事実ですからねぇ~~~!?!
しかも松本隆の綴った歌詞が英語なんですから、いやはやなんとも、これは明らかに世界戦略(?)を考慮した企画と思われます。
そして前述のとおり、これは件のフィリーソウルを特徴づけるゴージャスなストリングスや流麗なメロディライン、そして心地良いジャズ系のソウルビートが混然一体になった仕上がりは、なかなか見事でありました。
ちなみにレコーディングされたのは、スリー・ディグリーズが1974年に来日した時で、この時には彼女達の人気ヒット曲「When Will I See You Again / 天使のささやき」の日本語バージョン等々も一緒に吹き込まれたと言われていますが、実は「Midnight Train」の発売順がその次であった事から、つまりは純然たる新曲扱いとして、全く違和感が無かったのは驚異的と思うばかりです。
ところがこれで驚くのは、まだ早かったんですねぇ~~~~~。
なんとっ! そのレコーディングセッションからは、もうひとつ、「にがい涙」というウルトラ級に素晴らしい和製ソウルの大名曲が作られていて、「Midnight Train」の次に発売されたのですから、たまりません。
不遜ではありますが、本当に素晴らしいと思っていた「Midnight Train」が、なんともイナタイ……。
そのあたりは以降、あらためまして「にがい涙」を取り上げますので、今回はここまでと致しますが、ただし、だからと言って、この「Midnight Train」がダメというわけでは、もちろんありませんっ!
まあ、慾を言えばポーカルパートが全面に出過ぎているというか、本当はバックのストリングスやパーカッション等々のミックスが薄味で勿体無い感もあります。しかしリズムのニュアンスやオカズの使い方等々、何よりも当時の流行最先端であった「フィリーソウルのサウンド」を、ここまでコピーして再構築した技術と情熱こそ、永遠に称賛されるべきと思いますねぇ~♪
うむ、流石は当時、上り坂にあった「ものづくり大国ニッポン」の底力、万歳!!
一人この前亡くなったそうです、寂しい。
昔より年月をとった頃にフィーリングがあったというのが実情です。
テンプテーションズと同じ現象です。
年をとってから理解出来る音楽の方が本物かもしれません。
コメント感謝です。
スリー・ディグリーズの衣装はスケスケとかセミヌード系が多くて、レコードジャケットはもちろん、ライブの現場でも凄いものがありましたですねぇ~♪
全ての嗜好は年齢と共に変化するのが自然、当然と思います。
それでも自分の過去を否定するのは、ちょいと哀しい気もしますよが(苦笑)。