上海への往復の飛行機で鑑賞。上海、近すぎて、行きだけで全部見られなかった。
マイケル・マン監督の、「コラテラル」に続いて、話題のスターを使ったギャング映画!という位置付けだと思うんだが、いつのまにか宣伝で“ラブ・ストーリー”になっている・・・。
違うだろ。マイケル・マンだぜ。“男の死に様(行き様)”と銃撃戦を楽しみに見る映画でしょ。
恋人のビリーだって、一番最初の脱走シーンで、一味に着替えの場所と食べ物を提供する子持ちの農夫の妻が、ジョン・デリンジャーに「私も連れて行って」と言うシーンがあるけど、その農夫の妻とどこが違うんだ?
現状の閉塞感から逃れて、自分の人生をジョン・デリンジャーに賭けてみようとしたのは、農夫の妻と同じだろう。
ジョン・デリンジャーの、仲間への友情。とくに運転手役の彼とのやり取りはカッコいい。
FBIの創成期、フーバーが州を越えた組織を作ろうと、やっきになり、最終的には持ち駒としてその犠牲(?)になるクリスチャン・ベイル。好きで人を殺してる訳じゃない。なんか甘ちゃんだったのが、どんどん育っていく。
今じゃ科学捜査とは言えないけど、遺留品からの容疑者割り出しや、電話の盗聴など、現代捜査のベースとなっていく方法が確立されてうまく回っていく様が丁寧に描かれる。
そして、スティーブン・ラング演じるベテラン捜査官が来てから、FBI側がいきいきと描かれる。ビリーを拷問したりミスばっかりしてるデブ君も含めて。ジョン・デリンジャー側の落ちぶれと対比して、いい感じ。
ラストの、ジョン・デリンジャーの遺言をビリー届けるメッセンジャーとしてのスティーブン・ラングの役割は、もう主役級の扱いでしょ。このラストで曲(サントラ)が生きてくる。
ジョニー・デップは確かにカッコいいけど、それで女性客を呼ぶのはなんだかなあ。男の映画だと思うんだけど。