もみさんの一日一冊遊書録( 2011年9月1日 スタート!: メメント・モリ ) ~たゆたえど沈まず~

年とともに人生はクロノロジー(年代記)からパースペクティブ(遠近法)になり、最後は一枚のピクチュア(絵)になる

150215 衆参両院の「テロ非難決議」を非難する!「テロの本質」を真面目に語る政治家はいないのか!

 真面目に「テロの本質」を考えれば、その原因が、決して宗教の違いにあるのではなく、世界的に広がる富の偏在、極端な格差拡大、差別構造の継承、及びパレスチナ問題、それらによる<若者たちの絶望>にあることは、実は誰もがわかっていることだろう! それを「世界には凶悪なテロリストが大勢いて、こいつらを叩き潰せばテロが無くなる」なんて話に無理やりすり替えている。誰も、「テロの本質が、日本・世界の社会構造が抱える富の偏在・格差の拡大及びパレスチナ問題の<野放し状態>にこそある」という本質を語らないし、見させようとしない。そして、凶悪なテロリストへの恐怖ばかりを煽りたてている。これはまさにオーウェルの「一九八四年」の世界と同じだ。今回の国会の「テロ非難決議」に社民党・共産党まで加わっていたのには、あきれ果てた。「誰も本質を見ようとしない。」「武力で世界中の<絶望した若者たち>を封じ込めるべきではないし、不可能だ!」

秋原葉月さん「Afternoon Cafe」ブログから

※(1)「もちろん、普通の人間は戦争を望まない。しかし、国民を戦争に参加させるのは、つねに簡単なことだ。とても単純だ。国民には攻撃されつつあると言い、平和主義者を愛国心に欠けていると非難し、国を危険にさらしていると主張する以外には、何もする必要がない。この方法はどんな国でも有効だ」byヘルマン・ゲーリング ※(2)いつの時代も大衆をファシズムに煽動する手口は同じ。なのに同じ手口に何度も騙されるのは過去に学んでいないから。格差を広げ、セイフティネットを破壊し、冷徹な自己責任論が横行する社会を継続させるのは簡単だ。今よりもっと格差を広げ、セイフティネットを破壊する政策をとればよい。そうすれば人々に自己責任論がもっと浸透し、草の根から勝手に右傾化してくれる。

辺見庸さんのブログから

・権力をあまりに人格的にとらえるのはどうかとおもう。口にするのもおぞましいドブの目をしたあの男を、ヒステリックに名指しでののしれば、反権力的そぶりになるとかんがえるのは、ドブの目をしたあの男とあまり変わらない、低い知性のあらわれである。権力の空間は、じつのところ、非人格的なのだ。だからてごわい。中心はドブの目をしたあの男=安倍晋三であるかにみえて、そうではない。ドブの目をしたあの男はひとつの(倒錯的な)社会心理学的な表象ではありえても、それを斃せば事態が革命的に変化するようなシロモノではない。権力には固定的な中心はなく、かくじつに「われわれ」をふくむ周縁があるだけだ。ドブの目をしたあの男は、陋劣な知性とふるまいで「われわれ」をいらだたせ、怒らせるとともに、「われわれ」をして社会心理学的に(かれを)蔑視せしめ、またそのことにより、「われわれ」が「われわれ」であることに無意識に満足もさせているのかもしれない。ところで、「われわれ」の内面には、濃淡の差こそあれ、ドブの目をしたあの男の貧寒とした影が棲んでいるのだ。戦争は、むろん、そう遠くない。そう切実にかんじられるかどうか。いざ戦争がはじまったら、反戦運動が愛国運動化する公算が大である。そう切実に予感できるかどうか。研ぎすまされた感性がいる。せむしの侏儒との「ふるいつきあい」がベンヤミンのなにかを決定した。そう直観できたアレントほどするどくはなくても、研ぎすまされた感性がいる。けふコビトがきた。ミスドにいった。(2015/11/11)

5 043 伊藤理佐「やっちまったよ 一戸建て!! ②」(文春文庫+:2001)感想4+

2015年12月26日 22時30分53秒 | 一日一冊読書開始
12月26日(土):    

176ページ  所要時間 3:00(①も少し復讐した)   アマゾン379(122+257)円

著者32歳(1969生まれ)。マンガ家。

二度目。風呂でまったりとしながら読んだ。計画性ゼロ、行きあたりばったりで銀行から金を借り「購入した土地に一年半以内に新築をする」ことになった著者は、不動産業者や、建築士の先生、工務店主らと一緒に家づくりに臨む。第二巻では、いよいよ家造りにとりかかるが、まず最初に「なぜ家を建てるのか?」という問題に著者は直面する。家造りという大きな事業、買い物はすぐれて人生観・哲学が反映されるものなのだ。

出たとこ勝負で家を建てることになった29歳バツイチ独身の著者は、建築士の先生に懸命に自分の家に対する希望を述べ建てるのだが、「今までの打ち合わせどおりいきますと、一人用一軒家になります」と指摘され衝撃を受ける。「いままでこんな悲しい日本語を見たことがあるだろうか!?/「家」の設計とはこれまたまさにキツイ「自分探し」の旅だったのでございます…」となる。そしてさらに「このままでいきますと…、ワンルーム一軒家になります」と宣告され「3階建てのワンルームの一軒家って…?」と絶句する。そしてついに3階建ての「なんとワンフロアー分あまってしまうんです…!!」と指摘され、「そそれは「いいこと」?、「悪いこと」?」となってしまう。

まあ他人が家を建てるのを眺めるのは面白い。当事者は必至なので本音や人間模様が赤裸々に出る。迷いに迷って最初の案に戻るのも当たり前、でもその迷う経験も貴重なのだ。しかしこだわり始めると地鎮祭、棟上げ、大工さんらへの日々のもてなし、手持ち資産のマンション売却、バス、トイレ、キッチン、壁の色、間取り、吹き抜け、他数えきれない選択の嵐が迫ってくる。ストレスの嵐であるが、ふと気が付くと棟上げ後はどんどん家が形を成していきあと少しと思うと淋しさも感じる。と思っていたら、家の引き渡しを受けた後も不具合の多発で毎日いろいろな業者が出入りする。まだまだ終わっちゃいなかったのだ。

ようやくすべてが終わった時、著者はふと「この家で終わりは嫌だ。もう一度家を建てたい!」と強く思うのだ。家造りは、奥が深い。間違いなく人生の句読点の一つである、と思う。本書に対して、たかがマンガと考える向きもあるかもしれないが、角度を変えてみれば29歳のチンコ・マンコ(ママ)で稼ぐ女性漫画家が7千万円をかけて描いた作品だと考えれば、凄みとともに作品の価値を見直すこともできるかもしれない。
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151226 朝日デジタル(フロントランナー)奥田愛基さん/再掲「150809 SEALDs奥田愛基さんスピーチ」

2015年12月26日 15時51分22秒 | 考える資料
12月26日(土):   
愚かな独裁者が一番恐れる者は、諦めないで前を向き行動し続ける若者と国民だ。いや「諦めない人間だ!」とつくづく思う。もみ。
        
朝日デジタル(フロントランナー)SEALDsメンバー・明治学院大学4年、奥田愛基さん デモを変え、社会を変える  2015年12月19日03時30分
写真・図版
SEALDsのパーカーで街を歩く=東京都渋谷区
  取材当日の11月、日曜日。待ち合わせ時刻を40分以上過ぎて、東京・代々木上原駅前に現れた。パーカーのポケットに両手を突っ込み、背中を丸めて走ってくると、小声で「すみません……」。低血圧で早起きは大の苦手なのだ。
  この青年こそ、今年、おそらく最も世間の注目を集めた大学生。安保法制に抗議し、国会正門前などで大規模デモを率いた学生団体「SEALDs(シールズ)」の中心メンバーだ。
     *
  6月から、法案成立の9月19日の明け方まで、毎週金曜日の同じ時間、同じ路上で、仲間と声を上げた。激しい雨の中も、うだる暑さでも。若者の輪は回を重ねるごとに膨らんだ。知識人を引き寄せ、高校生が繁華街を練り歩き、地方都市に波及した。「政権へ異を唱えたいと思う人が増えてきた時、彼らが“着火剤”の役目を担った」と作家で明治学院大教授の高橋源一郎さんはいう。
  北九州市生まれ。ホームレスの自立を支える活動で知られる牧師の父と、その人たちを家族のように受け入れる母。幼い頃から、炊き出しの手伝いなどをして育った。だが、地元の中学でいじめに遭って不登校になる。「自分が自分になるとは?」と独り悩んだ。世間の価値観とかけ離れた家庭にも、地元にも居場所がなかった。自分でネットで調べて、沖縄の離島へ転校した。高校は島根の小さな全寮制へ。テレビも携帯もネットも漫画も禁止という3年間が終わる前日、東日本大震災が起きた。
  被災地支援を始めた父のつてで現地に入り、大学入学後もボランティアに通った。だが当事者ではない自分の立ち位置に悩み、2年の秋、休学。カナダやアイルランドなどをバックパッカーのように旅した。同世代と酒を飲みながら政治や平和を語り、若者が大学の学費値上げや都市開発に反対するデモを目の当たりにした。
  そして帰国。2013年12月、特定秘密保護法に反対する学生有志の会「SASPL(サスプル)」を約10人で結成。これが後にSEALDsとなる。
  ヒップホップ音楽が流れる車の荷台に立ち、ラップ調に韻を踏むコールや、スマートフォンの画面を読み上げながらの演説など、従来にないスタイリッシュなデモを作り上げ、動画を交えてSNSで拡散、共感を広めた。保守の若手評論家古谷経衡(つねひら)さん(33)は「良く言えば、特別な才能の持ち主。悪く言えば、幼少から自由と民主主義に触れて育った“変人”」とみる。
     *
  法案成立目前の9月15日、参院特別委員会の中央公聴会。公述人席の一番端に、金髪を黒く染め直し、借り物のスーツを着て座った。「寝ている人がたくさんおられるが、よろしければ話を聞いていただきたい」。約15分間に及ぶ演説の冒頭、そう釘を刺すと、何人かの政治家たちは苦笑いして姿勢を正した。「何もない、誰も知らないところから、ひとりで考え、やってきた。だからあなたたちも個人として決断を」と思いをぶつけた。覚悟の上で動く一人ひとりの個人が、社会を変えると信じている。  (文・高橋美佐子 写真・関田航)

(フロントランナー)奥田愛基さん 「絶望を抱えながらも、希望を語る」  2015年12月19日03時30分
写真・図版
国会前で声を上げる奥田愛基さん=7月15日、東京都千代田区
 (b1面から続く)
 ――学生たちで抗議活動を始めたきっかけは?
  震災支援活動中、「自分たちはいつまで被災者と言われ続けるの?」と問われ、言葉を失いました。僕は一体どこにいるのだろうか、と。その後に原発再稼働反対のデモに行って、そんな簡単に反対と言えるのかと悩んだり、違和感にかられたり。考え続けて眠れなくなり、大学を休学して日本を脱出しました。
  帰国すると、同居の友人が「特定秘密保護法、ヤバくね?」と話しかけてきました。普通に考えておかしいことはおかしいと、学者や政治家じゃなくても言っていいんだと。それで、所属やアイデンティティーを超え、ダメな自分の現状もひっくるめて、一学生として、自分の言葉で、やれる範囲でやってみようと決意したんです。
 ――まったく新しい手法でデモを率いました。
  だれもやったことなくて、ネットで調べました。スタイルもすべて自分たちで考えた。シュプレヒコールではなく、ライブみたいな掛け合いで、「民主主義ってなんだ?」「これだ!」って自分たちに問いかけようと。告知はフライヤーや動画を作り、ツイッターやフェイスブックなどで拡散させる。スピーチは事前に原稿を準備し、みんなで読み合わせもしました。

 ■生と死考える
 ――今の活動の原点は高校時代にあるそうですね。
  平和教育に熱心なキリスト教系の全寮制で、僕が2年生の冬、授業で元BC級戦犯の飯田進さんの講演を聴きました。飯田さんは「人を殺した」と震える声で罪を告白し、明日世界が滅びてもリンゴの木を植え続けるという話を紹介しました。その後、ものすごく長い手紙が学校に届いた。僕らの感想文に対する返信で、とってもうれしかった。この人は絶対伝わらない戦争体験を、あきらめずに伝えようとしていると。
  高校の教育理念は「人は何のために生きるのか」。それは“生きるしんどさ”を抱え、いつも死にたい感じがしていた僕自身の問いでもありました。飯田さんの手紙を読み、絶望を抱えながらも希望を語る人がいる、僕は一人じゃないと思えました。
  昨年、80歳を過ぎた祖母が戦時中暮らしたフィリピン・ダバオへ、祖父母や祖母の妹、僕の妹弟ら総勢10人で行きました。無口な祖母は幼い日を過ごした土地に立った時、弟たちを亡くした苦しみと一緒に、花の美しさや楽しかった思い出も語り始めた。
  戦争は体験しないと、そのリアリティーはわからないという。でも不謹慎と口を閉ざしたり端折られたりしてきた体験者の言葉の中に、二度と繰り返してはいけないとのメッセージが感じ取れると思う。
 ――この1年は各メディアに引っ張りだこでした。
  国会前での抗議を始めた6月以降、取材は積極的に受けようと決めた。特定秘密保護法の時のように、安保法案も可決の際にちょっと報道されて終わりかねないという危機感からです。
  ただ9月に僕が通う大学へ、家族も対象とする殺害予告が届いた時、記者にたびたび「どんな気持ちか?」と聞かれ、うんざりしました。僕がどう思っているかは、そんなに重要ですか? それよりも、社会としてどう受け止めるのかをマスコミは語ってほしかった。SEALDsには批判も多くありますが、僕はしっかり耳を傾け、誠実に自分の言葉で説明することを心がけてきました。
 ――安保法案が通ったとき、取材に対し「悲壮感はない」と答えました。
  むしろすごくポジティブだった。政治の主権者は僕たちで、やることは変わらない。この大きな流れは今後も続いていくと思う。

 ■新たな活動へ
 ――卒業間近ですね。
  今、政党政治をテーマに卒論を書きつつ、大学院に進むために勉強中です。
  SEALDsは来年の参院選で解散予定で、14日に政策を提言するためのシンクタンク「ReDEMOS(リデモス)」を弁護士や学者と設立しました。市民が参加し、安保法や特定秘密保護法の改正を求め、本当の立憲民主主義を実現する法の整備を与野党に働きかけます。
  人間は皆ひとりで生きるしかなくて孤独だけど、ひとりじゃ生きられない。そんな自分やあなたが個人として認められ、一緒に生きることを支える仕組みが、民主主義じゃないですか。
  最近、母方の祖父が「やっと奥田愛基になったな」と言ったんです。悩んでいた中学生の僕に「奥田愛基になれ!」と繰り返したじいちゃんです。やっと認めてもらえたのかな。
 
 ■プロフィル
  ★1992年、北九州市で生まれる(写真は6歳ごろ)。中学で不登校になり、2年生の冬から、都会の子どもらを受け入れる沖縄・鳩間島へ転校。
  ★2008年、島根県江津市のキリスト教愛真高校に入学。自然に囲まれた寮生活を送る。
  ★11年、明治学院大国際学部に入学。高橋源一郎さんの講義を受講。
  ★12年秋に休学。カナダなどへ留学。留学前に被災地の人らを撮影した5分間の短編映画「生きる312」が、13年、国際平和映像祭グランプリを受賞。
  ★同年12月、特定秘密保護法に反対する学生有志で「SASPL」を結成。14年2月、新宿で初の抗議デモ。費用は自分のバイト代でまかなった。7月、集団的自衛権の行使容認の閣議決定を受けて活動本格化。12月、解散。
  ★15年5月3日、「SEALDs」(自由と民主主義のための学生緊急行動)創設。
  ★12月、市民のための政策提言シンクタンク「ReDEMOS」を設立。
  ★好きな音楽はラップ。ラッパーが好むセレクトショップ「12XU」(東京・代々木上原)がお気に入り。店長は活動の支援者でもある。


再掲「 150809 SEALDs奥田愛基さんスピーチ(前編)「利己的個人主義」発言(後編)単純におれは現実を変えたい。」         2015年08月10日 01時06分22秒 | <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
8月9日(日):
IWJ Independent Web Journal自民党議員の「利己的個人主義」発言で「戦争法案だとバレた」SEALDs奥田愛基さんスピーチ(前編) ~「安保法制反対」国会前抗議で  2015.08.07 
 「戦争をしたくないっていうのが『利己的な発言』であると本当に思うんだったら、そう言ってくださいよ。言ってみてくださいよ、国民に」——。
 猛暑のなか、2015年8月7日に10回目をむかえた安保法制反対の国会前抗議。主催するSEALDsの奥田愛基さんは抗議の冒頭、自民党・武藤貴也衆議院議員が「『だって戦争に行きたくないじゃん』という自分中心、極端な利己的考えに基づく。利己的個人主義」とSEALDsを名指しで批判したことに触れ、「これは自民党として許容される発言なのか」と問いかけた。
記事目次
・「戦争に行きたくないのが利己的な発言だなんて、まるで戦争中、戦前の発想」
・戦後の民主主義・立憲主義を否定する武藤議員は「お辞めになられたほうがいい」
・「国会の前でこうやって声をあげることが民主主義なんだよ!」
【奥田さんのスピーチ全編動画】

「『利己的』発言で戦争法案だとバレた」SEALDs奥田愛基さんスピーチ(前編)
■「戦争に行きたくないのが利己的な発言だなんて、まるで戦争中、戦前の発想」
 「これ自民党はちゃんと説明してほしい。これ自民党として許容される発言なのか。自民党として戦争に行きたくない、戦争をしたくないっていうのが『利己的な発言』であると本当に思うんだったら、そう言ってくださいよ。言ってみてくださいよ、国民に。
 そしてもし、おかしいと思っているのなら、きちんと謝罪をした方がいいんじゃないでしょうかね。戦争に行きたくないのが利己的な発言だなんて、まるで戦争中、戦前の発想じゃないですか。
 だいたい『戦争法案じゃない』とか、『戦争をしなくなる法案です』とか言っておきながら、そんなこと言ったら、『(やっぱり)戦争法案だ』ってバレるじゃないですかね。バレるっていうか、そういう法案なんですけど。そういうふうに自爆したってことなんで、思い切って『戦争法案廃案』と声出していきたいと思います」
 奥田さんは、武藤議員の発言をはじめ自民党議員から、またネット上などで「就活できなくなるぞ」「どこかの政治政党がバックに付いてるんだろ」などと誹謗中傷が巻き起こっていることで、毎日のように取材が来ていることを明かした。
 「毎回思ってるんですけど、記者の方が『どう思われますか?』って言われるんですね。毎回聞き返しますよ、『どう思います?』って」
■戦後の民主主義・立憲主義を否定する武藤議員は「お辞めになられたほうがいい」
 武藤議員は、7月23日の自身のブログで、日本国憲法の「三大原理」である「国民主権・基本的人権の尊重・平和主義」について、「私はこの三つとも日本精神を破壊するものであり、大きな問題を孕んだ思想」だとし、「基本的人権の尊重」については「これが日本精神を破壊した『主犯』だと考えている」などと持論を展開している。
 奥田さんは、こうした武藤議員の戦後の民主主義、立憲主義を否定する姿勢について、「この3つの原理は国家の根幹なんですよ。3つの原理っていうのは。それを認めることができないなら国会議員をお辞めになられたほうがいいのではないでしょうか。それが嫌だったら、もうこの国で国会議員はできないと思います」と批判した。
■「国会の前でこうやって声をあげることが民主主義なんだよ!」
 「『学生が煽動して集まっている』って言い方されていますけど、冗談じゃない。馬鹿にするな。集めているのはお前らだ!
お前らがここまで国民を怒らせて、人々を怒らせて、毎週毎週ここに集めてるんだよ!

いい加減にしろよ。国会の中に民主主義が収まっているわけじゃないんだよ。国会の前でこうやって声をあげることが主権在民の意味なんだよ。それが民主主義なんだよ」
 奥田さんは国会に向かって声を張り上げてこう訴え、「憲法守れ!」「勝手に決めるな!」「国民なめんな!」のシュプレヒコールを響かせた。   (取材:原佑介・阿部洋地・遠田哲也、写真:原佑介、記事構成:佐々木隼也)

 日刊ゲンダイ 2015年8月9日
IWJ Independent Web Journal「単純におれは現実を変えたい。この法案を廃案にしたい」――SEALDs奥田愛基さん、「こんな日本で悔しい」と涙(後編)~「安保法制反対」国会前抗議で   2015.08.08
 「8月6日の新聞で『核兵器を日本は運ぶことが可能だ』って書かれている日本が悔しい」――。
 SEALDsの奥田愛基さんが2015年8月7日、安保関連法案に反対する国会前集会で悔し涙をにじませた。
 中谷元(げん)防衛大臣は5日の安保法案の国会で、他国軍への核兵器の運搬について、「全く想定していない。あり得ない」と強調しながらも、「法文上は排除していない」とし、核兵器も運搬が可能であることを認めた。
 翌6日の紙面には、「広島原爆投下から70年」の見出しの横に、「核兵器も輸送可能」の見出しが並んだ。同日、広島の平和記念式典でスピーチした安倍総理は、1994年以降、毎年言及されてきた「非核三原則」に触れず、会場からは大きな野次が飛んだ。
 「なんでおれたちの国ってこうなんですかね?
 奥田さんは声を荒らげる。
 「単純におれは現実を変えたい。この法案を廃案にしたい。次の世代の人たちが、こんなことに悩まなくても済むように、『核兵器は武器か、弾薬か』とか、国会で悩まなくて済むように、もっと声をあげていきたい」
 以下、奥田さんのスピーチ動画と発言を掲載する。
【奥田さんのスピーチ全編動画】
■奥田愛基さんスピーチ全文 
 「このあいだも『何が武器で弾薬か』っていう基準が実は議論されていなかったってことがよくわかりましたよね。
 手榴弾は武器ですか? 弾薬ですか? 『弾薬です』
 ミサイルは武器ですか? 弾薬ですか? 『弾薬です』
 え、じゃあもしかしたら核兵器はどうなんですか? 
 核兵器は『Nuclear weapon』ですが、武器じゃなくて『弾薬です』
 まともに議論してない。新3要件の歯止めがあるってずっと政府は言っていますよね。『3要件あるから大丈夫だ』って。このあいだ、法律の専門家の人とみんなで勉強会しながらこの法案どうなってるんだ、って話し合いました。
 新3要件の1個目についてはみんな議論しているんですけど、2個目、3個目は法案上、明文化されていない。これ国会で今すぐ議論してください。2個目、3個目の新3要件の要件が書かれてない。
 こんなめちゃくちゃな法案で、全然、自国が攻撃されていないのに戦争に行くんですか? 日本は。アメリカに『運べ』って言われたら核兵器運ぶんですか? 
 悔しいですよ。8月6日の新聞で、『核兵器を日本は運ぶことが可能だ』って書かれている日本が悔しい。式典で日本の首相が挨拶して、ブーイングされるような国に生きているのが悔しい。高校生とか大学生も、大人の方も戦争に反対したら『利己的だ』と言われて、しかも国会議員から言われるような国に生きているのが悔しい。
 これから長崎の式典もあるし、8月15日もくるし、そして安倍さんは談話を出すって言っているし…全然期待してないんですけど。なんでおれたちこんな生き方しているんですかね? なんでおれたちの国ってこうなんですかね? 
 負けてられないですよ!
 いいですよ、こんなの理屈は聞きたくない。ネット・ウヨクがどうだとか、そんなのおれは聞きたくない。自民党がどうだとか聞きたくない。単純におれは現実を変えたい。この法案を廃案にしたい。
 次の世代の人たちが、こんなことに悩まなくても済むように、『核兵器は武器か、弾薬か』とか、国会で悩まなくて済むように、もっと声をあげていきたい。
 最近、インタビューとかでも、『これ通ったあとが大事だよね』とか、そんな話ばっかりで、まぁそれも大事なんだけど、次の選挙に勝つっていうのもね。だけどさぁ、まだ通ってないんだよ。
 ふざけんじゃねぇぞ。怒ってるぞ。
 おれは諦めきれないし、絶対に国民主権とか基本的人権の尊重とか平和主義を守ったほうがいいと思っている。誰がどう言ったってそれはそうだとおれは信じている。
 8月15日の前の日、8月14日が今度の金曜日だけど、お盆の時期で人数も減ると思うけど、ちょっと実家帰らずに、今年は国会前にこようと思います。けど、実家帰って友だちと、今、大阪とか神戸とか色んな地元でやってるんで、そっちにもぜひ行ってください。
 憲法守れ!(憲法守れ!)」 (取材:原佑介・阿部洋地・遠田哲也、写真:原佑介、記事構成:原佑介)
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151226 朝日デジタル:(回顧2015)論壇 安保法、建国理念も命も 等身大の社会実像、多様に

2015年12月26日 14時27分38秒 | 考える資料
12月26日(土):

朝日デジタル(回顧2015)論壇 安保法、建国理念も命も 等身大の社会実像、多様に 2015年12月15日16時30分
写真・図版
国会前で安保法案反対を訴える人たち=8月30日、東京都千代田区

  「安倍総理 長期政権への抱負を語る」という見出しが月刊WiLLの表紙トップを飾ったのは秋のことだ(11月号)。同じ表紙に「中国は今も昔も『パンツ製造所』」との見出しが並んでいた。
  近隣の国や民族を見下すような言葉が公然と世を流れる傾向は、今年も変わらなかった。新しい傾向があるとすれば、それらの国々を「敵」とみなす言説の台頭だろうか。歴史認識をめぐる近隣国との対立部分に焦点を合わせ、「歴史戦」(産経新聞)や「歴史戦争」(月刊Voice)へ読者を誘う動きが浮上しつつある。
  いま私たちが取り組むべき重要課題は、歴史での近隣国との闘争なのだろうか。論壇を見渡せば、実際には、等身大の社会実像をつかもうとする多様な考察が提起されている。
  たとえば、平山洋介の「住宅資産所有の不平等」(世界5月号)は、暮らしの足元にある経済格差や住宅問題に光を当てた。日本では住宅資産額で上位1割の世帯が同資産の52%を占有しているとの実態をデータから分析し、「持ち家促進」政策の見直しを訴えた。
  渡辺努「『東大指数』でわかった デフレ退治は進んでいない」(文芸春秋5月号)は、独自の物価指数を使うことでアベノミクスの現状認識を批判した。坂井豊貴『多数決を疑う』(岩波新書)は、通常の多数決とは異なる「意思集約」の可能性を提案した。
  政治が自浄作用を果たし得るとの実例を示したのは、ブレイディみかこのネットコラム「スコットランド女性首相、現地版ネトウヨの一掃を宣言」(6月28日)だ。スコットランド国民党の党首は、ネットで民族差別をする党員たちを批判し、「私たちの政治ディベートのレベルを……(そのような)低みにまで下げることは是認できません」と述べたという。
  戦後70年の今年は、戦争や戦後を問い直す機会になった。新しい安保法制をめぐる考察がそこに重なった。世論調査では有権者の半数以上が反対する中で成立した経緯もあり、議論は熱を帯びた。
  日本ではなぜ、安全保障と憲法をめぐる議論という形をとりがちなのか。小熊英二は、それらが日本の「建国理念」にかかわる問題だからだと説いた(中央公論12月号)。戦後に新しい国家が「建国」されたという感覚が根付いており、安保法案に対しても〈実は建国理念を否定しようとする動機があるのではないか〉という疑念が寄せられていた、とする。
  法案に反対した運動団体SEALDs(シールズ)からは、先行世代の持つ戦後日本イメージを揺さぶるような言葉が表出された。
  「すでに数え切れないほどの命を見殺しにしてきた政権が、『安全』を『保障』すると謳(うた)う法案に無邪気に賛成できるほど、私をとりまく世界はすでに安全ではない」(現代思想10月臨時増刊号)。大澤茉実(まみ)は「SEALDsの周辺から」と題した論考にそう記した。妊娠した友人に寄り添い、彼女が多額の奨学金を返済しながら子どもを育てられる方策を探したが、今の制度ではシングルマザーでは無理だろうとの絶望しか見えず二人は泣き、友人は子を堕(お)ろした――体験に根ざした「命を馬鹿にする政治」への憤りが、参加の根底にあったという。
  最後に2点。ベネット・ランバーグ「中東原子力ブームの危うさ」は、原発へのテロという危機を告発した(フォーリン・アフェアーズ・リポート7月号)。慰安婦問題で産経新聞が行った「元朝日新聞・植村隆氏インタビュー詳報」(ネット)は、厳しく対立する両者の間でも対話が一定の意味を生み得ることを示した。(編集委員・塩倉裕)
 ◇私の3点
■開沼博(福島大学特任研究員・社会学)  
  ▼池内恵『イスラーム国の衝撃』(1月刊)…(1)
  ▼松本春野の反原発統一行動でのスピーチ(3月、https://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=ZlAc2UcumAk別ウインドウで開きます)…(2)
  ▼舛添要一・増田寛也の対談「『首都集中』 東京は地方を殺すつもりか」(文芸春秋2月号)…(3)
    *
 (1)ISと(2)3・11。全体像を見渡しづらい問題に知識と想像力を供給し継続的議論を促す。(3)は近年の地方論の範囲を東京にまで広げた。
■高橋源一郎(作家)
  ▼映画「野火」(塚本晋也監督、7月公開)…(1)
  ▼大澤茉実「SEALDsの周辺から」(現代思想10月臨時増刊号「安保法案を問う」)…(2)
  ▼岸政彦『断片的なものの社会学』(6月刊)…(3)
    *
  戦後70年と安保法制反対運動の1年を象徴するものといえば(1)と(2)が思い浮かぶ。その上で、社会全体の未来を見据えた「ことば」が(3)だ。
■松原隆一郎(東京大学教授・社会経済学)
  ▼森山高至「建築エコノミスト 森山のブログ」(http://ameblo.jp/mori-arch-econo/別ウインドウで開きます)…(1)
  ▼渡辺努「『東大指数』でわかった デフレ退治は進んでいない」(文芸春秋5月号)…(2)
  ▼苅谷剛彦「スーパーグローバル大学のゆくえ」(アステイオン82号)…(3)
    *
 (1)は昨年に続き新国立競技場問題を追及、白紙撤回を勝ち取った。(2)は日銀とは別の物価指標でインフレ未達を指摘。(3)は大学の混迷を解説。
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151225 中井貴一主演・森崎東監督作品 「ラブ・レター (浅田次郎原作)」(1998)感想4+

2015年12月26日 04時33分37秒 | 映画・映像
12月25日(金):    

17年前の映画。何度見返してきたことだろう。主演の中井貴一は37歳。山本太郎は24歳。

300万円という大借金をして偽装結婚し、金を稼ぎに日本に来た若い中国女性康白蘭(カン・パイラン)が死んだ。知らせを受けた戸籍を貸した形だけの夫高野吾郎は房総の片田舎へ遺体の引き取りに向かう。誰もが偽装の事実を知っていて知らぬふりをして流れるように手続きが進んでいく。次第に違和感を募らせていった吾郎は、遺骨と一緒に吾郎宛の白蘭の手紙を読み、日本社会の最底辺で水商売・売春をしながら金を稼ぐ白蘭が紙切れだけのつながりの夫にすぎない吾郎に対する愛を支えに日々を懸命に生きていたことを知る。この社会と自分自身のあり方のおかしさを思い知った吾郎は、心のバランスを完全に崩して東京を去る。白蘭の遺骨を抱いて故郷北海道佐呂間に帰るのだ。

若き中井貴一の演技に、高倉健さんの片鱗を見た。俺が中井貴一の大ファンになったのは、その2年前「ふぞろいのリンゴたちⅢ」(脚本山田太一)を見た頃からだったと思う。良いドラマだった。また、24歳の現参議院議員山本太郎氏も非凡な存在感を発揮していた。

それにしても最近の中井貴一の演技力はずば抜けている。今一番演技力で見せてくれる俳優さんだ。特に「最後から二番目の恋」は、スペシャルも含めて第一シリーズ、第二シリーズともにすべてDVDにして、何度も何度も観返している。とにかく小泉今日子との掛け合いの演技が絶妙で本当に洒落ているのだ。何度観ても気持ちよくしてくれる演技力で勝負できる数少ない役者である。

高野吾郎 - 中井貴一/康白蘭 - 耿忠/中山サトシ - 山本太郎/佐竹義則 - 根津甚八/穴吹樟雄 - 大地康雄/醍醐ミサオ - 倍賞美津子/伊藤常夫 - 柄本明/質屋の亭主 - 名古屋章/警官 - 佐藤B作、大杉漣/吾郎の兄 - 平田満/偽ダイヤモンドをセールスする女 - 洞口依子/火葬場職員 - 笹野高史/スナックのマスター - 浦田賢一/他
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150329 タガ外せば歯止め失う 長谷部恭男・早稲田大学教授/「未来志向」は現実逃避 杉田敦・法政大学教授

 杉田 先日ドイツのメルケル首相が来日しました。戦後ドイツも様々な問題を抱えていますが、過去への反省と謝罪という「建前」を大切にし続けることで、国際的に発言力を強めてきた経緯がある。「建前」がソフトパワーにつながることを安倍さんたちは理解しているのでしょうか。  / /長谷部 そもそも談話が扱っているのは、学問的な歴史の問題ではなく、人々の情念が絡まる記憶の問題です。記念碑や記念館、映画に結実するもので、証拠の有無や正確性をいくら詰めても、決着はつかない。厳密な歴史のレベルで、仮に日本側が中国や韓国の主張に反証できたとしても、問題はむしろこじれる。相手を論破して済む話ではないから、お互いがなんとか折り合いのつく範囲内に収めようと政治的な判断をした。それが河野談話です。  / /杉田 談話の方向性や近隣との外交について「未来志向」という言い方がよくされますが、意図はどうあれ、それが過去の軽視という「見かけ」をもってしまえば、負の効果は計り知れない。安倍さんたちは、未来を向いて過去を振り払えば、政治的な自由度が高まると思っているのかもしれません。しかし政治の存在意義は様々な制約を踏まえつつ、何とか解を見いだしていくところにあります。政治的な閉塞(へいそく)感が強まる中で、自らに課せられているタガを外そうという動きが出てくる。しかし、それで万事うまくいくというのは、一種の現実逃避では。  / /長谷部 合理的な自己拘束という概念が吹っ飛んでしまっている印象です。縛られることによってより力を発揮できることがある。俳句は5・7・5と型が決まっているからこそ発想力が鍛えられる。しかし安倍さんたちは選挙に勝った自分たちは何にも縛られない、「建前」も法律も憲法解釈もすべて操作できると考えているようです。  / /杉田 俳句は好きな字数でよめばいいのだと。  / /長谷部 あらゆるタガをはずせば、短期的には楽になるかもしれません。しかし、次に政権が交代したとき、自分たちが時の政府を踏みとどまらせる歯止めもなくなる。外国の要求を、憲法の拘束があるからと断ることもできない。最後の最後、ここぞという時のよりどころが失われてしまう。その怖さを、安倍さんたちは自覚すべきです。 =敬称略(構成・高橋純子)朝日新聞『考論』

0015 オルテガ「大衆の反逆 (桑名一博訳;久野収解説)」(白水社イデー選書;1930)評価5

以下は、オルテガ所論の久野収による抜粋の抜粋である:///  オルテガによれば、政治のなかで「共存」への意志を最強力に表明し、実行していく政治スタイルこそ、自由主義的デモクラシーである。共存は、強い多数者が弱い少数者に喜んで提供する自己主張、他者説得の権利である。敵、それも最も弱い敵とさえ、積極的に共存するという、ゆるがない決意である。/その意味で、人類の自然的傾向に逆行する深いパラドックス(逆説)であるから、共存を決意した人類が、困難に面してこの決意を投げ出すほうへ後退したとしても、それは大きな悲劇ではあっても、大きな不思議とするには当たらない。/「敵と共存し、反対者と共に政治をおこなう」という意志と制度に背を向ける国家と国民が、ますます多くなっていく1930年代、オルテガは、「均質」化された「大衆」人間の直接行動こそが、あらゆる支配権力をして、反対派を圧迫させ、消滅させていく動力になるのだという。なぜなら、「大衆」人間は、自分たちと異類の非大衆人間との共存を全然望んでいないからである。略。///  「大衆」人間は、自分たちの生存の容易さ、豊かさ,無限界さを疑わない実感をもち、自己肯定と自己満足の結果として、他人に耳を貸さず、自分の意見を疑わず、自閉的となって、他人の存在そのものを考慮しなくなってしまう。そして彼と彼の同類しかいないかのように振舞ってしまう。/彼らは、配慮も、内省も、手続きも、遠慮もなしに、「直接行動」の方式に従って、自分たちの低俗な画一的意見をだれかれの区別なく、押しつけて、しかも押しつけの自覚さえもっていない。/彼らは、未開人―未開人は宗教、タブー、伝統、習慣といった社会的法廷の従順な信者である―ではなく、まさに文明の洗礼を受けた野蛮人である。文明の生み出した余裕、すなわち、贅沢、快適、安全、便益の側面だけの継承者であり、正常な生存の様式から見れば、奇形としかいいようのないライフスタイルを営んでいる新人類である。略。///  「自分がしたいことをするためにこの世に生まれあわせて来た」とする傾向、だから「したいことは何でもできる」とする信仰は、自由主義の自由の裏面、義務と責任を免除してもらう自由にほかならない。/われわれは自由主義の生みだした、この「大衆」人間的自由、自己中心的自由に対し、他者と共存する義務と責任をもった自由を保全しなければならないが、一筋縄でいかないのは、この仕事である。(160626:イギリスEU離脱について思うところ=もみ=)