もみさんの一日一冊遊書録( 2011年9月1日 スタート!: メメント・モリ ) ~たゆたえど沈まず~

年とともに人生はクロノロジー(年代記)からパースペクティブ(遠近法)になり、最後は一枚のピクチュア(絵)になる

7 047 司馬遼太郎「燃えよ剣 下巻」(新潮文庫:1964)感想5

2018年04月22日 03時21分30秒 | 一日一冊読書開始
4月21日(土):  

438ページ    所要時間5:45    蔵書(1990年の42刷)

著者41歳(1923~1996:72歳)

読み終わると、改めて司馬遼太郎の代表作であり、名作だったのだなあ、と思った。この作品の値打ち・本題は新選組が落ち目の時期にこそある。鳥羽・伏見に徳川が破れて、落魄していく新選組、多くの隊士が死に、消え去ってゆき、沖田や近藤らとも別れていく。その中にあって、土方歳三ただ一人だけが、最期の死の瞬間まで、いやがうえにも異常なまでの光輝を放ち続ける

政論や理屈を拒否し、戦うことだけを自己目的化し続けていく土方歳三の不屈の強靭さが見事に描かれている。幕末、戊辰戦争の新選組にまつわる伝説の多くが本書に発しているのがよくわかる。その点では、司馬さんの創作と史実の部分の境界が分からなくなってしまい戸惑う気分になることも多かった。しかし、司馬さんに騙されて悔いなし!の名作中の名作だと思う。

新選組崩壊・消滅後、土方歳三の存在感はかえって輝きを増し、多くの人々を引き付けてやまない。奥羽越列藩同盟や函館五稜郭の戦いの際にこれほど大きな存在になっていたとは知らなかった。

終盤は息もつかせず土方の格好良い戦いぶりが描き続けられている。最後の4ページ、本を閉じる直前まで目が離せない名場面が続いた。その意味では、頭からしっぽの先まであんこの詰まったたい焼きのような作品である。

【内容紹介】*幕末の日本で、敵からも味方からも最も恐れられたのがこの男。/幕末の動乱期を、新選組副長として剣に生き、剣に死んだ男、土方歳三の華麗なまでに頑なな生涯。武州石田村の百姓の子“バラガキのトシ”は、生来の喧嘩好きと組織作りの天性によって、浪人や百姓上りの寄せ集めにすぎなかった新選組を、当時最強の人間集団へと作りあげ、自身も思い及ばなかった波紋を日本の歴史に投じてゆく。人気抜群、司馬遼太郎の“幕末もの”の頂点をなす長編。
*元治元年六月の池田屋事件以来、京都に血の雨が降るところ、必ず土方歳三の振るう大業物和泉守兼定があった。新選組のもっとも得意な日々であった。やがて鳥羽伏見の戦いが始まり、薩長の大砲に白刃でいどんだ新選組は無残に破れ、朝敵となって江戸へ逃げのびる。しかし、剣に憑かれた歳三は、剣に導かれるように会津若松へ、函館五稜郭へと戊辰の戦場を血で染めてゆく。


・斎藤一が、函館まで来ていたというのは本当だろうか。確か、会津で別れたのではなったか…。
・土方歳三の死に場所は、今もわかっていなかったのではないか…。


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