もみさんの一日一冊遊書録( 2011年9月1日 スタート!: メメント・モリ ) ~たゆたえど沈まず~

年とともに人生はクロノロジー(年代記)からパースペクティブ(遠近法)になり、最後は一枚のピクチュア(絵)になる

149冊目 野島博之「謎とき日本近現代史」(講談社現代新書;1998) 評価4

2012年02月11日 07時14分59秒 | 一日一冊読書開始
2月10日(金):

214ページ  所要時間4:45

著者39歳、駿台予備学校日本史科講師。奥さんは「それでも、日本人は「戦争」を選んだ」(2009)で小林秀夫賞をとった加藤陽子東大教授。日本近代史の学者さん夫婦である。「下世話でいけないなあ」と思いつつ、夫婦の日常会話に、井上準之助(金解禁)がどうの、石原莞爾(満州事変)がどうのという話が出てきたら、どんなことになるのだろう…。軍部大臣現役武官制(第二次山県→第一次山本→広田内閣)や天皇機関説をめぐって夫婦喧嘩とかしてたらすごいだろうなあ、ドキドキしてしまう…。………、m(_ _)m。まことに下品な想像をしてしまい、申し訳ありません。自分でも「俺ってほんま馬っ鹿じゃないのっ!」って反省しきりです。ほんとお許し下さいませ。 ※ただ、本書と、加藤先生のご本は、両方ともブックオフではなくて、きちんと身銭を切って高価な定価で買って読んでおります。

読み返すのは、3度目である。前々回、前回ともに1:00の流し読みで十分に頭に入らず評価3だった。今回は線を引き、ドッグイヤーをしながら、じっくりお勉強をしてしまった。前半と、後半でテーマ毎のまとめ方の巧拙があった。前半は、テーマの最後に、簡単なまとめがなくて読みにくかったが、後半はそこが改善されていて読みやすかった。内容は、高校の日本史(決して簡単ではない!)をさらに深く掘り下げた感じで、同時に学術書としても恥じない充実したレベルを保持している。歴史好きの若者には、日本史の醍醐味を十二分に堪能させ、歴史への憧れをかきたてる力があると思う。同じ日本史の講談社現代新書でも河合塾のイシカワ某の稚拙極まりない著作と比べれば、言うも愚か、全く次元の違うレベルである、と思う。

目次:
第一の問い 日本はなぜ植民地にならなかったか
第二の問い 武士はなぜみずからの特権を放棄したか
第三の問い 明治憲法下の内閣はなぜ短命だったか
第四の問い 戦前の政党はなぜ急成長し転落したか
第五の問い 日本はなぜワシントン体制をうけいれたか
第六の問い 井上財政はなぜ「失敗」したか
 「結果として井上財政が、社会の奥深くを突き動かす結果をもたらしてしまった点を無視するわけにはいかないでしょう。金解禁政策とアメリカ経済の転落との相互作用によって増幅された大恐慌は、近代の日本が積み重ねてきた、ある良質な精神的地殻とでも形容すべきものを、再生不可能なほどに変動させていきました。そしてそのなかから、ドロリとした非理性的な部分が大量に露出してしまったように感じられます。」
*この状況は、形を変えて、現在の日本でも進行している気がしてならない。
第七の問い 関東軍はなぜ暴走したか
 ・石原莞爾は、やはり見逃せない、興味深い。
第八の問い 天皇はなぜ戦犯にならなかったか
 ・マッカーサーの天皇に関する本国政府への電報は、大変興味深かった。天皇問題は、歴史のタブーであり、テーマとして取り上げた勇気は認めるが、もう一歩踏み込んで欲しかった。
第九の問い 高度経済成長はなぜ持続したか 
 ・ブレトン・ウッズ体制の記述は良かった。

もう寝ます。また、書けたら書きます。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 148冊目 池上彰「伝える力」... | トップ | 150冊目 東野圭吾「幻夜」(... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

一日一冊読書開始」カテゴリの最新記事