もみさんの一日一冊遊書録( 2011年9月1日 スタート!: メメント・モリ ) ~たゆたえど沈まず~

年とともに人生はクロノロジー(年代記)からパースペクティブ(遠近法)になり、最後は一枚のピクチュア(絵)になる

4 043 想田和弘「熱狂なきファシズム」(河出書房新社:2014) 感想4

2015年02月10日 00時26分56秒 | 一日一冊読書開始
2月9日(月):副題「ニッポンの無関心を観察する」

290ページ  所要時間 2:50    図書館

著者44歳(1970生まれ)。自ら「観察映画」と呼ぶドキュメンタリー映画監督。1993年からニューヨーク在住。

 縁結び読書のつもりで1ページ15秒のペースで眺め読み。付箋をしながら読んだので、実際には30秒弱、特に終盤は読むのが遅くなった。

 本書は、著者初の評論集。すべてが良いわけではなく、玉石混交だが、確かに玉が存在する。眺め読みだが、著者の立ち位置、考え方はおおよそわかった。ノーマルなコモンセンスの持ち主であると同時に、映像表現者としてのアブノーマルさ(過度の価値観追求)を併せ持つ。当然だが、橋下徹や安倍政権に対して強い反対意識を持つ。感想4が妥当かどうかは分からない。再読しようとまでは思わない。

 対談で、大阪大学教授でもある平田オリザが、2012年の時点で、橋下徹に牛耳られた大阪府・大阪市をヒトラーに占領されたフランスに例えて、レジスタンスを呼び掛けていた。橋下徹という存在は、法律家で、憲法違反を仕掛ける確信犯的ファシストである。

・[自民党改憲案]第百二条 全て国民は、この憲法を尊重しなければならない。
そもそも、憲法が縛る対象が、国家権力ではなく国民になっている。自民党改憲案は、立憲主義に基づく近代憲法の体裁さえなしていない! 49ページ


 安倍晋三は、極右の本音を口にしないで封印しながら、ずるずるじわじわコソコソと静かに強引にファシズム体制を推し進めている。日本国民は低温火傷のように侵されていく。「私たちはレジスタンスの時代に生きている。/まずはそのことをはっきりと自覚することが必要である。」(2013年12月)

・この本で描かれた「日本政府と水俣病とチッソと患者」の関係を折っていくと、奇妙な既視感にとらわれる。「日本政府と福島原発事故と東京電力と被災者」の関係を思い起こさずにはいられないのである。/実際、「水俣」と「福島」の構図は、吐き気をもよおすほどよく似ている。私たちが構成する日本社会は、「水俣」からは何も学ばなかったし、「水俣」のことは忘れた。だからこそ、私たちは「福島」を防げなかったとも言えるのだ。(256ページ)

と本書で紹介された若き日の是枝裕和監督が描いたノンフィクション作品「雲は答えなかった 高級官僚 その生と死」(PHP文庫:原題「しかし…ある福祉高級官僚 死への軌跡」1992年)をアマゾンで注文してしまった(442円)。

 ちなみに、「永遠のゼロ」を「忠臣蔵」の翻案だという指摘は、少しずれている。私は、浅田次郎「壬生義士伝」の剽窃だと確信している。汚らわしい百田某は、故桂枝雀師と桂米朝師との有名過ぎるやり取りの言葉すら、新聞一面ぶち抜きの大広告のコメントで、お二人のやり取りを恥知らずにも自分の言葉として載せていて呆れ果てたことがある。百田某の場合、オマージュなどという上品な言葉はあてはまらない。この似非自称ウルトラ愛国者は、卑しい盗作・剽窃野郎である!

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