3月16日(日):
吉田戦車と伊藤理佐夫妻(2007年再婚)
① 173ページ 所要時間 3:00 アマゾン388(131+257)円
② 176ページ 所要時間 3:00 アマゾン379(122+257)円
著者32歳(1969生まれ)。マンガ家。
今日は読書できないと思っていたが、本書2冊をもって入浴。風呂の中でマッタリしながらpm7:45~am1:45まで、途中何度か意識を失いそうになりながら6時間延々と読んでしまった。むちゃくちゃといわれると困るが、けっこう面白おかしく読めた。
著者は行きあたりばったり、出たとこ勝負で流されるみたいなところがある。「土地を買うなら今しかない」という言葉に踊らされて活動開始。怪しい(実はいい人)不動産屋と出会い、気に入った土地との出会いを結婚に例え、銀行にカネを借りようとするが相手にされない。一行だけ貸してくれた銀行から「購入した土地に一年半以内に新築をする」という条件を追加されて大慌て、10年ぐらいかけて家を建てようという予定が一挙に崩れる。いきなり1999年中、30歳で家を建てることになった。
とは言え、家を建てる金なんてない。結局、2年半前に5540万円で購入して住んでいる、まだ1700万円ローンが残っているマンションを泣く泣く4100万円で売って工面するはめになる。新築に3000万円の費用がかかるので、差し引き600万円の借金に追われる状態だ。
不動産屋のつてで、怪しい一級建築士と工務店(実はいい人たち)を紹介されるが、ミサワホームの提示する建築プランと両天秤にかけ、自分を「悪い女」に例える。結局、王道のミサワホームを袖にして、個性の一級建築士を選ぶ。そこから、マンション売却の広告を出し、4500万円から4100万円まで値引きを迫られ、2年半の家賃計算でひと月40万円近い家賃で生活していたことになると愕然とする。
施主である著者の要望を聴き、家が完成するその日まで、どこまでも希望にこたえようと努力し続ける建築士の先生と工務店さんには少し感動した。しかし、三階建ての家の基本構想が固まるはじめの重大な質問が建築士の先生から発された時には笑えた。結婚、出産など将来設計の全くない施主に対して「このままでは一人用一軒家になる。ワンルーム一軒家になる」と警鐘を鳴らしたのだ。
もともと銀行のローンの条件で予定のなかった家を建てるのだから、確かにおかしな家になっていくが仕方がない。それでも、地鎮祭が行われ、基礎工事が念入りに始まり、棟上げ式の日、一気に柱の骨組みが組み上げられ、その日は施主、建築士、工務店、大工他職人さんたちの宴会が盛大に行われる。一方で、キッチン、ふろ、トイレ、洗面台などを決めるショールーム回りに建築士、工務店と一緒に出かける。
一旦、建築が始まると家は3カ月ほどで出来上がる。その間、家が日々形を成していく中、施主もいろいろやることがあって忙しい。著者は、いま住むマンションを売りに出しながら、家の完成と同時に買い手に引き渡すためのせわしない引っ越しをせねばならず大変な思いをする。
引っ越したあとも新居にはさまざまな不具合があり、それをいちいち直してもらうように申告し続ける。入居した後も、建築は終わっていないのだ。家を建てるというのは、本当に多くの人々との関わりの中で大変な事業だ。読んでいて、「きついなあ」としり込みするような気分になったが、著者の最後の言葉が、「大変だったけど、土地とお金を誰かが用意してくれるなら、今すぐにでももう一度家を建ててみたい。楽しかった。この家が最後になるとは思わない(またいつか新しい家を建てる気がする)」というものだった。これも家造りには、やはり他では味わえない醍醐味がある、というのも真理なのだろう。
家を建てるというのは、さまざまなトラブルを面白がる精神的タフさが求められれが、逆に日常では味わえないさまざまな人たちとの共同・協力によってひとつの目標を成し遂げる快感が、事後にも忘れられない、ある意味「癖になる」ような思い出を残すのだろう。
アマゾン紹介文:
①男なし、お金なし、信用なし。そんな三十路に突入した著者が7千万で家を建てることを決意!不動産屋は敵なのか?銀行へお金を借りに行くと、どんな応対をされるのか?理想の間取りは実現するのか?「人生最大の買い物」を実行に移すべく大奮闘の日々を綴った爆笑ドキュメントコミックがついに文庫化!これを読めば、あなたも家が建つ。 ②ゼロからの家造りもいよいよ後半戦に突入!工務店や設計士らと密に話し合いながら、部屋のデザイン、防犯やシックハウス対策など、ひとつひとつ丁寧にクリアー。厳かな「地鎮祭」や意外に楽しい「棟上げ」の行事も新鮮。大工との付き合い方など、素人の目から家造りを分かり易く綴った爆笑ドキュメントコミック。「近況報告」を新たに収録。