Credo, quia absurdum.

旧「Mani_Mani」。ちょっと改名気分でしたので。主に映画、音楽、本について。ときどき日記。

「グエムル-漢江の怪物-」ポン・ジュノ

2008-03-29 03:05:09 | cinema
グエムル-漢江の怪物-(スマイルBEST)

ハピネット

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2006韓国
監督:ポン・ジュノ
脚本:ポン・ジュノ、ハ・ジョンウォン、パク・チョルヒョン
出演:ソン・ガンホ、ピョン・ヒョボン、パク・ヘイル、ペ・ドゥナ、コ・アソン


遅ればせながら見ましたが、とても面白かったのだ。

なんというか、軸足が単一でないというのか。シリアスな復讐潭でありながら、ユーモアにあふれていて、ホラーでサスペンスでいながらどこか見せ物的、怪獣映画でありながら怪獣をオーラで彩らない。多元的な織物で、息をのみ吹き出し手に汗握り笑いながら泣きました。

印象的だったのは、最初に怪物が河川敷の人々を脅かすシークエンスで、本来大パニックに徹することもできる場面なのですが、そのかたわらでいきなり爪のアカをほじる指のアップからヘッドフォンで音楽を聴きひとり惨劇に気づいていない女性の姿へと引いていく(シャカシャカ音楽とともに)カットが入ったり、あるいは高架を走る列車の車内から怪物を静かに俯瞰するシーンが入ったり、と、パニックシーンらしからぬ不思議な距離感があったことです。

それはユーモラスでつい笑っちゃう場面でありつつも、実は妙にリアルで空恐ろしい感じもするのです。そうやって随所にユーモアとシリアスが混ざり合うのです。
これは大したことだと思うのです。


あとは、例えば、立ち入り禁止となった漢江の売店のなかで、家長のヒボンがちょっとぼんくらの息子カンドゥの幼少のときのことを家族に語り聴かせるところで、ヒボンの熱の入りように対して、当のカンドゥは熟睡中だし、ナミルたちも一応熱心に聞くけれども耐えきれずウトウト。それに気づかず熱弁するヒボン。笑いを取ったかなと思う間もなく、いつのまにかカンドゥは目覚めておりその視線の先に怪物が・・・・

ここはこの映画のテーマの一つである(で、おそらくは韓国のエンターテインメントにおいて通俗的なテーマである)家族愛について正面から語る部分であるとう点で重要なポイントなのだが、それに笑いによる関節外しをかけて相対化し、なおかつ次のアクションシーンへと緊張感を切り替えて行くためのシーンでもあるという、なかなかの芸の細かい匠のワザを感じさせるところなのです。


ペ・ドゥナLOVE!



というようにわりと全編、休み無く緩急自在に楽しめて、大好きなペ・ドゥナのきりりとしたジャージ姿も拝めるし(弓を引く一瞬の彼女の表情のみごとなこと!)、そのドゥナの存在すらも霞ませる少女コ・アソンの女優魂(すばらしい!)にうっとりできる、大変よくできた楽しい映画でありました。
ポン・ジュノは面白いぞ!!


泥まみれの名演




好き度:


ほえる犬は噛まない』もよかったよ
ほえる犬は噛まない

タキ・コーポレーション

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とりあえず近況とメモ

2008-03-28 02:11:56 | diary
もう書いたかもしれないけれど(それすら記憶になく)
4月に仕事がプチ異動することになって、
組織的にはプチなんだけど、仕事内容は大変動なので気が重いのです。

それ以前に今の仕事の引き継ぎ準備もしなければいけないので
残業だよなあ・・・
と思っていたら、今日は(昨日だよ)ちょっとしたシステム障害があって
ほぼ日中を棒に振ってしまった。

とりもどすべく残業してさっき帰ってきたところ
あ、いや、もう風呂入ってメシ食ったんだけどね。

で、なんだかな~気持ちのいい疲れではないのでこのまま寝るのもつまらんし、
だらだらとここに書くことに。

****

このところそれなりに映画観たりなどしているが、記事にする気力が無く。
で、忘れないようにめもめも

観たやつ
『赤軍ーPFLP世界戦争宣言』若松孝二
『ゆけゆけ二度目の処女』若松孝二
『叫びとささやき』ベルイマン
『グエムルー漢江の怪物ー』ポン・ジュノ
『パレスチナ1948・NAKBA』広河隆一
『ツイン・ピークス』第15話
『ラスト、コーション』アン・リー

読んだヤツ
「巨匠とマルガリータ」ブルガーコフ

来たヤツ
・シュヴァンクマイエル コンプリートボックス(DVD10セット)
・「ユキビデオ2」YUKI(DVD)
・「ラビリンス」マイラバ(CD)
・「宇宙人」ウズマキマズウ(CD)
・「白衛軍」ブルガーコフ(本)
・「モルヒネ」ブルガーコフ短編集(本)
・「悪魔物語・運命の卵」ブルガーコフ(本)
・「生物と無生物のあいだ」福岡伸一(本)
・Bind for weblife(ソフト)


積ん読本を書き始めるときりがないのでやめる。

若松孝二は「赤P」はちょっと別物とすると1作しか観ていないのでなんともいえないけれど、なかなかパワフルな作家のようです。と作家主義的にくくるべきではないのかもしれませんが。

ベルイマンは数作しかみていないのだけれど、この手触りはやっぱりヨーロッパ映画のひとつの典型であるのではないかしら。テイストは違えど、ドライヤーやヴィスコンティをみたときに感じるヨーロッパ!な感じが『叫びと~』にもありました。若き日のリヴ・ウルマンが決して若く見えないことに驚くとともに、同じ驚きをエルランド・ヨセフソンにも感じました(笑)

『グエムル~』は怪物を主役にしない、しかも主人公は誰でもなく、あくまで「家族」を全面に立てることで生じる奇妙な俯瞰的感覚がとても面白かったです。シリアス~ユーモア、リアル~ナンセンスと広い振幅を1作にもりこんだ面白い映画でした。ペ・ドゥナださかっこいい。




ああ、やばい、眠くなってきたので寝ます。
ブツッ





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ニール・アスピノール死去

2008-03-25 23:16:59 | diary
ビートルズのデビュー以来のロードマネージャーで
アップル社の取締役だった。

3月24日、ニューヨークで肺がんで亡くなったそうです。

どたばた騒ぎのあとを引き継ぎ、近年に至るまで
アップルをちゃんと経営してきた、
ビートルズ周りでは最もまともな人だったのではないでしょうか?

マックのアップルが音楽事業に乗り出したときも
しっかり商標権に基づいて立ち回り、しかるべき契約関係を結んだのも
ニールだと聞きますね。

マル・エヴァンス、デレク・テイラーに続き
生き証人がまたひとり去っていきました。
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「パレスチナ1948・NAKBA」広河隆一

2008-03-25 02:57:31 | cinema
NAKBA公式サイト

2008日本
監督・撮影:広河隆一
音楽:飯利友季子


1948年5月イスラエル建国を機に、パレスチナで420の村が強制移住/掃討/虐殺により消えパレスチナ難民がうまれる。その跡づけを村の痕跡と元住人の証言で綴る、映像作品としてというよりは、まさに草の根の事実としての歴史の証言としてまとめあげてある。

現地映像と故郷を失ったパレスチナ人の証言、掃討を指揮したユダヤ人軍人の証言など、個別具体的なものの集合体なので、逆に「大きな歴史」についての予備知識がないとなにがなんだかわからないという気もしないでもない。
この「わからない」ことを契機に問題にとりくむというのもよいだろうし、予習してから観るというのもよいだろう。
コンパクトなパンフレットに相当する書籍も売っていたので、上映前にさっと読むのもよいですね。

ここであれこれ書くよりも、関連書籍等をよみ、第1次世界大戦から9.11まで続くパレスチナの問題について考えてみることを勧める。

***

特に心に残ったのは、ユダヤ人でテルアビブ大学教授の言葉
「シオニズムとは一種のナショナリズムだ。アメリカのユダヤ人がこの国家(イスラエル)に帰属することはできても、この地に住むアラブ人が属することが出来ないとしたら、シオニズムのなかに人種差別が組み込まれていることは否めない。」
単純で穏健な表現だが、問題の本質の一端をとらえていると思う。
国家というものは、開かれたコスモポリタニズムを実現すべきなのか、民族自決的な単一共同体を目指すべきなのか、という問いは、私の中でいつまでも結論が出ない問題の一つなのです。

***

「NAKBA」はこの作品だけに終わらず、全40~50時間に及ぶ「アーカイブス版」を製作中とのことで、このことからも、記録を残し広める活動を目指していることがわかる。

アーカイブス版制作についてはいま募金と先行予約募集中だそうです。
募金は1口2万円~
先行予約は1セット18万円

うむむむ・・・苦しい金額だよ

募金と予約の宣伝は上映館にあるチラシだけなのかな?


パレスチナ紛争史 (集英社新書)
横田 勇人
集英社

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「スキャナー・ダークリー」リチャード・リンクレイター(リベンジ)

2008-03-19 04:29:53 | cinema
スキャナー・ダークリー 特別版

ワーナー・ホーム・ビデオ

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A Scanner Darkly
2006アメリカ
監督・脚本:リチャード・リンクレイター
原作:フィリップ・K・ディック
出演:キアヌ・リーヴス、ウィノナ・ライダー、ロバート・ダウニー・Jr 他


以前劇場で観たけれど8割がた眠ってしまったので、リベンジ。
で、あれ?こんな結末だったかなあ??^^;
まあ大筋はしっかり原作を守っているので、おそらく私のほうの記憶がワヤなのに違いない。

細かなエピソードはかなり省略されていると思われるが、ディックの特徴である「なにが現実かが怪しくなる仕掛け」とその中を生きる人間の「底のない悲しみ」の二つはしっかり保たれている。ということでは、他のディック原作モノ映画のなかでも、かなり「原作に忠実な」部類に入るだろう。(『ブレードランナー』が原作とはかけ離れていてもなお琴線に触れるのは、このディックの基調線を守っているからだ。)

ということで、ワタシの賛辞はこれで終了。
ディックファンとしては原作に忠実だという以上の賛辞があろうか?(笑)


とはいえ、最後に明らかになる、ドナが実は×××だった!というネタと、ボブが実は自覚なく巨大+善の組織の陰謀を暴くために送り込まれている、という二重のアイデンティティネタについては、ちょっと記憶になかった。割と最近原作を読んでいるにも関わらず。ワタシの記憶はまさにダークリー(おぼろげ)&ファン失格。

*****

映画としてはどうなのかな~見かけとは違ってSFでもサスペンスでも犯罪モノでもないので一般的には退屈しちゃうんでないかな。そういう意味では、「底のない悲しみ」のほうの描きこみがちょっと足りないのかもしれない。プロットだけでは魅了しきれない作品だけに、もう一方の深みに観客を引き込む必要があると思うのだ。

それは思うに、ドナの人物像を描ききれなかったことにあるのでは?
ディックの小説においては実は女性の存在が常に大きな問題なのであって、女性像だけで作品の構造の半分くらいを担っていることだってあると思う。
ドナは、ヤクの売人であり、ボブの恋人未満の存在であり、自らも中毒で、不感症、でも人に情けをかけることや、正義に対する思いもある、ディックには珍しくアンビバレンツな人間味を見せる。
ドナは自らの荒廃のためにボブを突き放さざるを得ないけれども、その上で最大限にボブをいたわろうと努力もする。その悲しい優しさは、ボブ自身のジャンキー/捜査官としての二面性の中での崩壊と対になるものである。
しかし映画では視点がボブの悲劇のほうに傾きすぎだったかもしれない。

残念です。

勝手に憶測+糾弾するならば、これは、製作総指揮にジョージ・クルーニーとスティーヴン・ソダーバーグがいるせいではないのか?(笑)
彼らのせいでドナはおざなりになっちゃったのではないのか??(笑)
まあ総指揮だから金だけ出したんでしょうけどね。

その他の感想はだいたい前の記事のとおり。

***

ああ、そうそう!
特典映像にディックのインタビュー映像がある!!
動きしゃべるディックを初めて見てしまったかもしれない!!!


ああ、そうそうそう!
やっぱり自転車ネタのオチは描かれておらず。
ありゃなんでしょうねえ??
オチまで出さんでも十分変だということかなあ??


****

これを機に、買って積んである原作最新訳を読んでみるかな。
(ラストの顛末を確かめよう)

前に読んだときの感想はこちら




スキャナー・ダークリー (ハヤカワ文庫SF)
フィリップ・K. ディック
早川書房

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「Killing Time」massacre(単に思い出話)

2008-03-18 02:41:56 | music
Killing Time
Massacre
Rer Recordings

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「Killing Time」massacre国内盤(リマスター)

初めてフレッド・フリスを知ったのは、1982年頃のA日新聞コラムでのことでした。
ギターをテーブルに置いて、はじいたり引っかいたり、上から小麦粉を降りかけたりするインプロヴァイザーが来日公演をするとの記事。
小麦粉?
当時普通のビートルズ~メジャープログレギター少年だったワタシには、この演奏に対する既成観念を覆すヤツの存在は妙に気になったのでした。

その一方で親しかった(というか今でも親しいと思うが)友人が、すげえへんなギタリストがいる。といってしこたまレコードを仕入れてきて聞かせてくれた。そのなかには延々カリカリカリカリ、ぴょん、ぼよ~~ん、がしーん、・・・・・・きゅわんわんわん・・とか異音が鳴り続けるライブアルバムがあり、はたまた、高度に作曲+インプロヴァイズされたジャズロック風味の音楽もあった。このきゅわんわん・・があの新聞コラムと結びつくまでにはちょっと時間がかかった。

これがフレッド・フリスの音楽だった。
友人はそのライブに行ったんでしたっけ?

レコメンデッド・レコーズとかいう聞いたこともないインディーズ(なんて言葉もそのころは耳新しかったし)のレコードが、イースタンワークスという、代々木にある怪しげなレコード屋で買える、というのも友人に聞いて知った。

そのころ代○木ゼミ○ールとかいう巨大予備校に通っていたワタシは、わけもわからずその怪しげなレコード屋に行き、適当に目に付いた聞いたこともないアーティストのレコードを買い求めた。予備校通いで肩身が狭く金もないなかでの蒐集なので、当たり外れもありの全然体系的でないので、散々だったが。


話がそれたが、そのフレッド・フリスが、反体制ロック(RIO)の流れを汲む極度に濃密な音楽集団ヘンリーカウ解散後にニューヨークに渡り、試行錯誤の末、後にプロデューサ仕事が有名になるベーシスト・ビル・ラズウェルと、ドラマーのフレッド・マー(マハー?メイヤー?)と組んだトリオ「マサカー」の、唯一の(と思っていたら近年2ndが出ててびっくりの)スタジオアルバムがこの「キリング・タイム」なのである。

・・・ということも聴いた当時はほとんどわかっていなかったのだが。

で、このアルバムは一聴してびっくり、腰抜かして天を仰ぐようなインパクトが当時のmanimani青年にはあったのよ。こいつは、パンク以上にぶっ飛んでる。パンクが結局は既成のロックの枠組みを出ない曲作りなくせに気勢だけは盛んな気がして感情移入できなかったワタシには、この「マサカー」のほうが音はぺなぺなだしかっこつけてないけれども、よっぽどかっこよかった。

内容としては、枠組みを決めてリフとソロを繰り返す、まあ今にして思えば結構スタンダードジャズ的な手法と、あとは完全インプロヴィゼーションから構成したコラージュ。
これをギター・ベース・ドラムのロックトリオでやるのがかっこよかったのだ。


で、と、ずっとこれはその友人から借りたレコードをカセットテープに落としたもので聴いていたが、ここ20年ばかしは聴いてなかっただろう。それをいきなり新宿のタ○ーレコード店頭で国内盤を見かけてしまい、ついつい買ってしまったのです。なので、発売から27年くらい?してからのレビューと相成りました。
(全然レビューになってない。思い出話ですな)



で、聴いてみたらさ、やっぱりかっこいい。というか、この音楽の方向性は実はまだやりつくされていないのではないかしら?という思いを持ちました。もちろんこれをそのままやると、「それはフレッド・フリスが25年前にやったことでいまさら・・・」とか言われるのがオチなんだろうけど、じゃあこの手法が使い古されたかというと、結局フツウの人は誰もやっていないじゃないですか。ワタシはまだいけると思いますね。(それが証拠に?フレッド本人もマサカー名義で世紀末をはさんでアルバムを出しているではないですか。)

(という思いで、その当時ロックトリオ+サックスというインプロバンドをやっていたワタシなわけですが、あのバンド、もうちょっとみんなで話し合って真面目に方法論を検討すればもっと続いたかな~と今になって思うわけです。またやってみたい気持ちはいまだに抱きつつ・・・)




そういやこの時期、もうひとつはまったのが、同じくヘンリー・カウを古巣とするティム・ホジキンソン率いる「ザ・ワーク」でした。あれははまったなあ。あれはロックトリオにさらにボーカルが加わって、もう曲という枠組みをばりばり破壊し猛進するバンドだった。これもかっこつけてない。

といいながら、その後打ち続いた彼らの来日ラッシュにはほとんど立ち会っていない。元来出不精なのとお金がないのと東京に住んでいなかったのと芝居で忙しかったのと・・・とかいろいろ言い訳するわけだけど、まあレコードで十分満足していたわけです。
(唯一立ち会ったのは、フレッドがmassacre後にほぼ同じコンセプトで展開した「ゴールデン・パロノミス」というグループの来日公演)
【追記】↑というのはまちがいで、フレッド・フリス+ビル・ラズウェル+アントン・フィアー名義のPuls From NewYorkというライブでした。thanks to st/STさま。




その後もフレッド・フリス系では「アート・ベアーズ」とか「グラヴィティ」から始まるソロワーク(これがコミカル+シリアスでよい)とかは愛聴したけれど、いつしか熱心に追いかけるのはやめていた。
なんかそれまでの反動なのか、バッハに目覚めたり、ふつうにポップな世界に寄っていってしまったりした。
でもこのmassacre国内盤との出会いをきっかけに、またまた血が騒いでしまっている今日この頃なのですな。(散財散財)



マタイ受難曲に酔いしれ、猫沢エミのおっかけをやり、aikoの旧作を大人買いし、今マサカーを聴くワタシは果たして何者なのか?
(とだらだら自分語りで本稿を終えるのだ~~)


こいつが2ndらしい。ドラムがチャールズ・ヘイワードになってるそうな。
Funny Valentin

Tzadik

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こいつは同じくヘイワード参加のライブ盤だそうな
Meltdown《オープンプ

Tzadik

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ツイン・ピークス エピソード14

2008-03-17 01:09:47 | TWIN PEAKS
ツイン・ピークス ゴールド・ボックス【10枚組】【初回限定生産】

パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン

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1990-91アメリカ
監督:デヴィッド・リンチ
製作総指揮:デヴィッド・リンチ、マーク・フロスト
脚本:マーク・フロスト
音楽:アンジェロ・バダラメンティ
出演:カイル・マクラクラン、マイケル・オントキーン、ジョアン・チェン、パイパー・ローリー、シェリル・リー、シェリリン・フェン、ララ・フリン・ボイル、メッチェン・エイミック、ジャック・ナンス、エヴェレット・マッギル、キミー・ロバートソン、グレイス・ザブリスキー


ツインピークス・エピソード14

リンチ監督の回。
いきなり冒頭に保安官事務所ロビーで壁一列にならんで
コーヒーとドーナツをむさぼるみなさんに大笑い(笑)(笑)
しかもジェラード改め片腕のマイクもそこに混じっている。
アナザーワールドの住人もドーナツ食うのか~わきあいあいと。

そのマイクの宣託に従い、グレートノーザンの支配人であるベンを逮捕する彼ら。
あれ?なんで逮捕に踏み切ったのか?忘れちまったな。
メモには
「ボブは父の友人」と書いてある、が・・・
何のことだったっけ?^^;

とにかく「薬品なしで男は指差す」という
ちょっと前にクーパーに巨人が言ったなぞの言葉が成就するのだ。
が、おそらくそれはちょっと的外れ。クーパーしっかりしろ!

・・・・
しかし、ドラマ的展開をすでに忘れてしまっている。
なにしろ、この回では、とうとうボブ~リーランドの繋がりがはっきりと示されるのだ。
それも、もうリンチ的としか言いようの無い不安感あふれる展開のウチに。

突然床をはうカメラ。なんでもないリビングルームの家具が妙に禍々しいものに見える。これは何かが起きている、と何の説明もなしに感じ取らせるマジックだ。

一方でロードハウスで歌うジュリー・クルーズを見るクーパーの前に、
突然あの巨人が現れ、ただならぬ警告を発する。
It is happening again
白い馬の映像。
不安な空気を感じ取り泣き始めるドナ
ドナのこの空気を感じ取る力は独特だ。すでにパイロット版から登場する霊感だ。

パーマー家の居間を這うカメラには、ボブとリーランドの映像が入れ替わり映し出され、凶行が繰り広げられる。
やっぱりそうだったのか。
ボブはリーランドに巣食う。
リーランドの残虐はボブに由来する。
しかしそれは、ローラの再来であったマデリーンを再び失うことの破格の悲しみがボブを呼び寄せているということでもあるだろう。

セカンドシーズンの基調はもしかするとこの「巨大な喪失と結びつく邪悪」なのかもしれない。
クーパーも過去のおおきな喪失を抱える人物であることが既に明らかになっている。とってつけたようなシリーズの最終回をここで想起してみると、それは意外に的確な直感にみちびかれた幕引きだったのかもしれない。

というわけでラスト数十分の大好きな緊張感のせいで、ストーリーが吹っ飛んでしまっているワタシです。(単に忘れっぽいんですけど)

****

あとタジムラの正体が明らかになるよ。
怪しすぎ!

このあと、アンディとルーシーのその後
とか
赤い部屋
とかホワイトロッジにブラックロッジ
だの
ウィンダムアールだの
まだまだ盛りだくさんだよなあ・・・



ツイン・ピークス―ローラの日記 (扶桑社ミステリー)
ジェニファー リンチ
扶桑社

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********************

ページトップ↑にあるのは全作パックのゴールドボックス。
下↓はシーズン別バラ売り。
特典がそれぞれ違うので要注意


ツイン・ピークス ファーストシーズン

パラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパン

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ツイン・ピークス セカンド・シーズン Part1 スペシャル・コレクターズ・エディション 【3枚組】

パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン

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ツイン・ピークス セカンド・シーズン Part2 スペシャル・コレクターズ・エディション 【3枚組】

パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン

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映画版前日談
ツイン・ピークス ローラ・パーマー最期の7日間

パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン

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「闇のバイブル 聖少女の詩」ヤロミール・イレシュ

2008-03-15 04:07:59 | cinema
闇のバイブル 聖少女の詩

エプコット

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チェコ怪奇骨董幻想箱 vol.1 GOTH-BOX

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VALERIE AND A HER WEEK OF WONDER
1969チェコスロヴァキア
監督:ヤロミール・イレシュ
脚本:ヤロミール・イレシュ
音楽:ヤン・クルサーク
出演:ヤロスラバ・シャレロバ、ヘレナ・アニェゾバ


知人に勧められ全く予備知識なしの衝動買い鑑賞。
しかしすごい邦題をつけたもんだな(笑)

チェコ産少女幻想潭。
初潮をむかえた少女ヴァレリエが出会う不思議な出来事たち。
旅芸人の一座とともに村にやってくる謎の司祭。
笛吹きのやさ男
老いを嘆きヴァンパイアになる老婆
ヴァレリエに迫るエロ神父
・・・あらら?


比べる必然性は何もないが、「小さな悪の華」と比べると、こちらはずっと安心してみることのできるエロティックゴシックファンタジー(エロゴス?笑)タッチとしてはたとえば『まぼろしの市街戦』からユーモラスな部分を少し除いてエッチとヴァンパイア要素を注入したような感じではないかな。(って全然別ものでは?)
ヨーロッパ辺縁臭にあふれた幻想感とチープな画面の肌触り、そしてなにより音楽がヨーロッパのものだなあ。いいなあ。


さして中心的なストーリーで押す映画ではなく、異形の父親、若さを求める老いた女性、はなればなれだった兄との近親相姦的出会い、といった関係性のなかに、初潮を向かえる時期の少女ヴァレリエが、その芽生え始めた色気と無垢の狭間で世界を再発見していく様が、吸血鬼と化した父親と祖母によりグロテスクに味付けされて静謐に展開していく。

ヴァレリエのエロ度がなかなかよい。服も慎重に選んであると見え、チラリズム的でしかし清楚な薄着系だ(なんだそりゃ?)。途中でお色直しまでしているし、ここぞというところで小さい胸がさらりとあらわになる。祖母と関係があったらしい神父さんがトチ狂ってヴァレリエに迫るのも無理はない。(この神父さんの迫り方が妙にホモっぽくて気色悪いのがまたすごい)


一方このエロ度に幻惑されず、根源的つながりを求めて歩み寄るのが、若い男(名前忘れちまったよ)。男はヴァレリエを守るものとして真珠?の耳飾を彼女に渡す。この耳飾がヴァレリエをめぐる大人のぐちょぐちょな影響から身を守ってくれるわけだが、同時にヴァレリエにとって男は慕い守るべき存在になっていく。
そう。彼はけっこう情けないヤツなのだ。彼は謎の司祭の下僕のように使われていて、なんだかしらないが噴水にくくりつけられたり川中にしばりつけあれたりして虐げられている。そのたびにかわいいヴァレリエに助けられ、なんだかシスコンのような気持ちを抱く。
と思ったら、なんと、司祭は実は彼の父親であり、かつヴァレリエの父親でもあった。エロでない心からのつながりとは実は血のつながりが呼ぶものだったのか?

ここで、愛し合う二人は実は兄妹だったのか!ご~ん!!と一気に悩み盛り上げるのがメロドラマの定石だろうが、この映画はメロドラマではないので、近親相姦的思慕もものともせず、むしろ怪しさを増幅するエッセンスのひとつとしてしみわたる。


なわけで、これは鬱屈しかつどこかなつかしい異国白日夢として、意識/無意識をさらけだしつつひとり楽しむべき映画であったろう。

****

先に書いたとおりヤン・クルサークによる音楽がよい。ライトモチーフ的にテーマが繰り返されるが、繰り返しに耐えるコード進行とメロディで浸れる。クルサークは参加作品は少ないながらシュヴァンクマイエルの『アッシャー家の崩壊』、ヒティロヴァ『天井』で音楽をやっているようで、チェコアヴァンギャルド中堅どころに使われたという感じなのでしょうか。


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いろいろな予定

2008-03-14 03:21:56 | diary
なんだかいろいろとあってあたまがごちゃごちゃになってきたので
列挙。

3月12日(水) aiko旧アルバム再発(初回限定版仕様)
3月12日(水) My Little Lover「ラビリンス」発売(予約済)
3月13日(木) Emir Kusturica & The No Smoking Orchestra LIVE先行予約e+
3月14日(金) カイロプラクティク
3月15日(土)~『実録連合赤軍・あさま山荘への道程』
          テアトル新宿11:30 15:20 19:10
3月15日(土) 病院~バイオリンレッスン
3月19日(土) YUKI「ユキビデオ2」発売(予約済)
3月20日(木) マユルカLIVE@ボブテイル 19:45~
3月21日(金) 小西康陽サイン会@青山ブックセンター六本木店 20:00~
3月22日(土) マユルカLIVE@恵比寿ギャラリーsite 13:00~
3月22日(土)~『パレスチナ1948・NAKBA』
           ユーロスペース10:20 13:00 15:40 18:20
3月23日(日) 『赤軍―PFLP・世界戦争宣言』
           シネマヴェーラ13:40 17:40
3月23日(日) マユルカLIVE@下北沢mona records 12:00~
3月26日(水) ヤン・シュヴァンクマイエル コンプリート・ボックス発売
         (予約済)
4月 2日(水) aikoアルバム「秘密」リリース
4月 9日(水) My Little Lover「イニシャル」発売(予約済)
4月12日(土)~My Little Loverチケット発券
4月16日(水) YUKILIVE "5-star" ~The gift will suddenly arrive~
         (DVD)発売(予約済)→延期5/28(水)
5月 1日(木) My Little Loverアルバム発売(タイトル未定・予約済)
5月 1日(木) My Little Lover LIVE@CCレモンホール18:30開演
6月26日(木) Emir Kusturica & The No Smoking Orchestra
           LIVE@JCBホール19:00~
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電子チェンバロ!?

2008-03-14 02:42:59 | ちぇんばろ
これはどうでしょう??

ローランドでは以前も電子チェンバロを発売していましたが、
これは内容を見るに、まさに次世代のものという感じがします。

本物の?楽器に比べてしまえばおそらく全く別物なのでしょうが、
チェンバロを弾くために家でピアノを弾いている&家が狭い身としては、
これがあるだけでも大分違うのではないかなと。。。

しかしな
いくらなんだろうHow much??
(おそらく買えない)


3月19日ころ発売だそうです。
誰か、プレゼントしてくださいm(__)m







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「小さな悪の華」ジョエル・セリア

2008-03-12 03:21:06 | cinema
小さな悪の華

video maker(VC/DAS)(D)

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MAIS NE NOUS DELIVERZ PAS DU MAL
1970フランス
監督:ジョエル・セリア
脚本:ジョエル・セリア
撮影:マルセル・コンブ
音楽:ドミニク・ネイ、クロード・ジャーメイン
出演:ジャンヌ・グーピル、カトリーヌ・ヴァジュネール


う~む、邪悪な映画ですな。
悪人を描く映画はたくさんあるけれど、
人の邪悪というのをピリリとつまみ上げる映画というのはあまり思い浮かばない。
(まあ観ていないだけかもしれないが。)

パッケージには「トラウマ映画の金字塔」とあるが(笑)言い得て妙であるよ。
これに10代で出会ったら間違いなくトラウマであろうし、
そのまま犯罪者か映画好き(もしくはその両方)に成長しちまうかもしれんですわ。
ワタシ的想像力のなかでは、学校をサボって誰もいない家にいて、午後2時頃にテレビ東京にチャンネルあわせたらこの映画をやっていて、つい観てしまう・・とかいうトラウマシチュエーションが思い浮かぶよ。
ワタシの映画体験って多分、昼や深夜のTVでやる名も無い作品群からはじまっているのだと思うな。

そういう意味でも、この映画はまさにそういう「名も無い群」の一員たる香りをぷんぷんさせていて、まったくもって古巣感いっぱいである。心地悪い内容なくせにとことん心地いいのは、これが平日昼間や深夜に映画を見るなんともいえない解放感とつながっているからだろう。。

***

当時は映画の脚本段階で検閲があったそうだが、その段階ですでにこれは公開の見込みがないとされ、それでも作ったら、やっぱり本国で上映禁止に、かつ輸出禁止となったそうです。なぜかアメリカと日本では上映され(72年)、それ以降お蔵入りとなっていた幻かつ伝説の映画。
で、近年突如話題となりリバイバル上映&DVD発売とは。

で、観てみると、いやーラストはやっぱりインパクトありますね~。質は違えどこういう衝撃の与え方はラース・フォン・トリアー『ダンサー・イン・ザ・ダーク』などに受け継がれているのかも。
それでいて、全体として決してA級になりえないアンダーグラウンド感はTV深夜映画族には実にこたえられない資質だ。監督も本作デビューのほとんど素人、主演のアンヌ役ジャンヌも素人ということ。いやーよいよ。

***

構図としては、カトリックの寄宿学校に象徴される厳格な規範のもとで抑圧された人間性が、エロスとタナトスの衝動にのみこまれ、生よりも死に、善よりも悪に魅入られる、という物語。

でも、この邪悪な感じの根源はどこにあるのかというと、非カトリックなワタシの立場から見ると、彼女たちの悪への衝動が、主に弱者に向けられていることにあるように感じた。
主人公であるアンヌは明らかに中流以上の家庭の子女であり、瀟洒な調度の家に住み一家で夕食後を居間で過ごし、母親はおそらくだデザイナーである。その彼女が餌食に選ぶのは無学な牛飼いの男であり、庭師である。いずれも年長の男だがその立場は社会の底辺に属する。牛飼いを色仕掛けでからかった後に、今度は庭師がめでている小鳥たちを毒殺したり圧死させたりし、庭師が嘆く姿を盗み見て忍び笑いをする。
抑圧された生が弱者への暴力へ向かう姿は、まさに今の日本における暴力の構図だろう。厳格なカトリック社会の抑圧と同等の圧力が日本の社会で機能している。子供社会のいじめ、大人社会の高度ないじめと驚くほどその心性は似通っている。

****

などという社会論的な話はまあ置いとくとして、しかしまあ考えてみるとこういう背徳の伝統?というのはとてもフランスっぽくないですか?映画中に引用されるロートレアモンにしろボードレールにしろ、思えばフランスというところは冒涜モノにはいとまがないですな。ジャン・コクトー、ジャン・ジュネ、ジョルジュ・バタイユ、セリーヌ、アポリネール、サド、モリニエ、マンディアルグ・・・いくらでも出てくるんでない?
「小さな悪の華」もその系譜に属すると考えるとよいのかも。

それと、題材のわりに意外なほど人物の「内面」が描かれない。ほとんど人物は記号だ。修道女は裏で同性愛的性向を持つ、親は画一的に無批判に権威的である、男は女におそいかかる、少女は背徳的で残酷でエロチック。ラストシーンでさえ生々しさを欠き演劇的である。
ステレオタイプを再確認するような判で押したような人間像は、同時代のアメリカンニューシネマや、ちょっと前になるヌーヴェルヴァーグなどともまったく違った、寓話の世界の話法だろう。
「女の子ダークサイド映画」としてみるよりも、おとぎ話の謎を解きほぐすような接し方がおそらく面白かろう。なぜ男に襲われるのがアンヌではなくロールばかりなのか?とかね・・

***

1954年ニュージーランドで起きた少女二人による殺人事件を題材に構想された映画ということだが、あくまで少女二人という枠組みを借りたもので、内容的にはまったく別物。監督はこの事件の報道がずっと脳裏に残っていて十数年後に映画を作る。どんだけ残ってたんだろうか??
(この事件はのちに『ロード・オブ・ザ・リング』で有名なピーター・ジャクソン『乙女の祈り』‘94でも取り上げられる。こっちも観なきゃ)


で、どうやらセリア監督と主演ジャンヌはその後くっついたらしい。末永くお幸せに?



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広川太一郎さん

2008-03-10 02:58:44 | cinema
2008年3月3日逝去。
68歳と69歳説あり。

ワタシ的にはやはり「ムーミン」初代アニメのスノークだったりして
それと「チキチキマシン猛レース」の・・・なに?・・えと・・・
キザトト?だったっけ??

「空飛ぶモンティパイソン」も好きだけど実は日本語版あまりみたことなくて。

それでもなんというか、耳の奥のほうでその絶妙な節回しが常に再生可能というような、空気のような存在でした。なんていってみちゃったりなんかして~;;

ご冥福をお祈りいたします。


しかし、これで「モンティパイソン日本語吹き替え版」買うべきか悩んでいたが買っちゃうかも?!?!(字幕版を既に持っている・・・)




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ツイン・ピークス エピソード13

2008-03-08 21:30:01 | TWIN PEAKS
ツイン・ピークス ゴールド・ボックス【10枚組】【初回限定生産】

パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン

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1990-91アメリカ
監督:レスリ・リンカ・グラッター
製作総指揮:デヴィッド・リンチ、マーク・フロスト
脚本:ハーレイ・ペイトン、ロバート・エンゲルス
音楽:アンジェロ・バダラメンティ
出演:カイル・マクラクラン、マイケル・オントキーン、ジョアン・チェン、パイパー・ローリー、シェリル・リー、シェリリン・フェン、ララ・フリン・ボイル、メッチェン・エイミック、ジャック・ナンス、エヴェレット・マッギル、キミー・ロバートソン、グレイス・ザブリスキー


ツインピークス・エピソード13

鮮烈で妖艶な蘭の花のアップと
おびえるドナとマデリーン
ハロルド・スミスからローラの日記を奪うことには失敗した。
ドナの裏切りに怒り悲しむハロルド。
そこへ助けにくるのはジェームズ。
助けられてやっぱりジェームズとの絆を確かめるドナ
なんだよ、めでたしめでたし何じゃないのよ。。

ハロルドは錯乱して蘭になにやら吹きかけて叫ぶが、もしやこれで退場??
かわいそうなやつ。。


と一方で、とうとうゴードン・コール(by David Lynch)が登場する。
補聴器をつけ、割れんばかりの大声だ。
保安官事務所の部屋でクーパーと内密の話しをするが、声はすべて事務所内に筒抜けだ(笑)
結局ハリーもまきこんで、ゴードンが開示したのは、一葉の手紙。
「P to k-4」と書かれた手紙はチェスの次の一手を示す。
ウィンダム・アールだ・・・

ウィンダムはクーパーのもと相棒で、なにやら事件を起こした後病院に収容されたが逃げ出したという、危なそなヤツ。
で、その昔の事件でクーパーはどうやら心身ともに傷を負ったらしい。

とらわれの身になったオードリーを命がけで救うのも、クーパーにそういう過去の負い目があるからだ。「過去に自分の行いのせいで大切な人を傷つけてしまった」と思わず独白するクープ。

このFBI捜査官が意外にナイーブな内面を見せるころからドラマは斜陽になってきたと言えるだろう(笑)ドーナツを食い、コーヒーを所望し、チベットに傾倒し、ボトルに石を投げて、親指を立てて、だむふぁいんこふぃー!とうなっているうちはよかったのだが。

エキセントリックなソープドラマが、普通の犯罪劇になっていく。。。。

***

そんななかで変わらずピークスの雰囲気を保持し続けるのは、意外にも?リーランドである。ベンを補佐する弁護士として復帰を望んでいる彼は、ベンの復帰テストにも頭の切れを見せ、これは復帰なるか?と思いきや、夜のグレートノーザンで、ピアノ伴奏でミュージカルソングを異様な熱の入れようで披露してしまう。
あの、危うさ、あの白髪、あの額の油(笑)危ないぞ!リーランド!


若い連中は今回あまりパッとしないす。

オードリーはパパ・ベンの秘密をいろいろと知ったので、これからどうするんだろうか。。そこまではまだ描かれず。

マデリーンはいろいろな騒動で疲れちゃって、明日家に帰る、とジェームズにいう。
この何気ない別れが後にじんわり効いてくるんだが。。。。

シェリーは、レオを引き取ることで保険金週7000ドルを手にするはずだったが、結局保険屋からは700ドルしかもらえないことがわかり、憤慨。
だいたいなまじ強欲なヤツはうまく行かないもんだ。ベンやジャン・ルノーのような悪いヤツクラスでないとね。

いちおう毎回少しは必ず顔を出すピークス3人娘だけれど、なんかぱっとしないな。

***

最後に片腕の男ジェラードが連行されてくる。
おびえるジェラードだが、クスリが切れてくると、とんでもないことになってくる。
字幕がちゃんと「統合失調症」となっているのが新しい。
現れた人格はマイクと名乗り、人に宿る霊であるという。
マイクはボブの元相棒であり、人の恐怖と悪意を糧に生きたが、神の前に改心したものである。目下ボブを探し出し、災禍を押しとどめようとしているらしい。

ボブはどこにいる?とのクーパーの問いに、
木でできた、大きな家にいる、そこには同じような部屋がたくさんあり、毎晩違った魂がやってくる、と。

ん?それはあそこだ!!

ボブがあそこにいる、というのは、結構重要な示唆である。
このエピソードをずっと覚えてラストを見た人が当時どれだけいただろうかねえ(笑)




ツイン・ピークス―ローラの日記 (扶桑社ミステリー)
ジェニファー リンチ
扶桑社

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********************

ページトップ↑にあるのは全作パックのゴールドボックス。
下↓はシーズン別バラ売り。
特典がそれぞれ違うので要注意


ツイン・ピークス ファーストシーズン

パラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパン

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ツイン・ピークス セカンド・シーズン Part1 スペシャル・コレクターズ・エディション 【3枚組】

パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン

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ツイン・ピークス セカンド・シーズン Part2 スペシャル・コレクターズ・エディション 【3枚組】

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映画版前日談
ツイン・ピークス ローラ・パーマー最期の7日間

パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン

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「イッツ・オンリー・トーク」絲山秋子

2008-03-05 02:29:49 | book
イッツ・オンリー・トーク (文春文庫)
絲山 秋子
文藝春秋

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芥川賞受賞作家だそうで、そのデビュー作だそうで、映画化もされているそうで。
全く知らなかったですわ。

もともとあまり賞モノには興味がなく、かつ星の数ほど書店に並ぶ新しい小説にほとんど魅力を感じず(根拠なき敬遠)。だっていちいち読んでられないじゃないですか。みんな読むのかな?

ワタシはどっちかというと読むのに1ヶ月もかかってしまうような迷路のような小説が好みであって、わりとスピード感が重視されている(勝手な思い込み)自分より年若の作家の(屈折したコンプレックス)今の小説にはどうも触手が動かんのよ。(食手?)

・・・とはいえ、もともと村上春樹好きだし、この間読んだ「グロテスク」とか「半島を出よ」とかはおもしろかったし、歌恋さんが仰っているように、食わず嫌いはダメよ、と思い直し、歌恋さんがお奨めていたこの本を手に取りました。
1冊がスタバのトールモカよりも安いしねえ。。。

*****

で、読んでみましたが。
う~ん
ワタシ的には表題作よりも併録の「第七障害」のほうが好みでしたね。


「イッツ・オンリー・トーク」はその名のとおりシンプルな語り口のシンプルなエピソードの寄り合いで、単なるお話だよ的軽さを持っている。その軽さと抽象度はなんとなく村上春樹の「風の歌を聴け」の風合いを思い出させるが、あれもデビュー作だった。デビューにはこういう軽さが求められるのかもしれない。

内容も本当は重く苦しいことかもしれないのに、どこまでもノリが軽く。主人公の女性は、職を失い、ある病に悩み、周囲に男の影は絶えないけれども実は孤独で、画業に精出すも売れず経済的にも苦境、年齢的にもどんずまってきたし、エッチ生活のほうも屈折&不毛。なのに、ろくでもない従兄弟に居候までさせることになる。

でも、そんなこと何でもないかのように話は進む。
苦境のありようがすごく今風で、それは物質的苦境ではなくてやっぱり精神的な苦境なのだな。
だから、今はタフネスとは違う苦境の生き方というのがあるんだなと思う。そこんところがいちばん感じたことかなあ。

主人公の車(車を持っている時点で本当の苦境とは言えないのかもしれないが)で流れるのはおそらくはキング・クリムゾンの「エレファント・トーク」。あの曲の持つアグレッシヴな側面とこの小説の平静さとの異化効果が心地よく、また、あの曲のどこか間の抜けたばかばかしさが、この小説の非タフネス的身過ぎ世過ぎと通じるところもあり。
(It's only talkはこの曲でエイドリアンが叫ぶ歌詞ですね)


あとは舞台が蒲田で土地勘がなんとなくあるのが楽しかったのと、薬ネタが身近すぎて笑った。

****

「第七障害」はもうすこし登場人物たちの心に寄り添った小説で、その点でまあよりフツーなのかもしれないが、ワタシは好きでした。

馬術の競技で人馬転(転倒するのをこう言うんだ~)をやり、馬は結局安楽死となったのだけれど、そのことに強い負い目を抱く女性の心の傷の癒しの過程をそっとたどった小説。

それは転居や転職やライバルとの再会や友人との同居などを通じて揺れ動きときには大粒の涙になってあらわれたり、やさしく思い出として主人公を力づけたりするけれど、結局「癒えました」という結末ではなく、主人公も乗馬を再会するには至らない。この物語の解決(反解決)の手管がなかなかによいと思った。

悲しい事件の地である群馬の田舎を離れながらも、そこを出身地でないのに帰るべき場所と思っている主人公の心のありようは、人は結局傷には直面しなければならず、でもその方法や過程はゆっくりで穏やかでいいんだ、という、なんとなく現代的なメッセージを含んでいると思う。

そしてその立ち向かいは、恩師の死で二度と戻らない時空が主人公にもたらされたことに象徴されるように、もしかしたらずっと解決に至ることは無く、一生をかけてつきあっていくようなものなのかもしれない、とも。

***

で、絲山さんの小説、他も読むかなあ>自分・・・
・・・なんとなく読まない気がするなあ
解説の書店員さんには申し訳ないけど~(すんませんね)


ディシプリン(紙ジャケット仕様)
キング・クリムゾン
WHDエンタテインメント

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↑「エレファントトーク」だけでも聴く価値があり・・・




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「悲劇のロシア」亀山郁夫

2008-03-04 03:10:58 | book
この人この世界 2008年2-3月 (NHK知るを楽しむ/月)
亀山 郁夫
日本放送出版協会

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ロシアの現代芸術史を「悲劇」という切り口で眺めてみるというスタンスになにか非常に惹かれたので手に取る。
著者はロシア文学の研究家であり、話題の「カラマーゾフの兄弟」新訳の訳者である。著者は19世紀末から20世紀前半のロシアの代表的な芸術家(ドストエフスキー、マヤコフスキー、ブルガーコフ、エイゼンシテイン、ショスタコーヴィチ)について論じ、この時代のロシアの悲劇とはどのようなものであったのかを説き起こす。

その時期のロシアは、過酷な権力支配が民衆の生活に大きな影響をおよぼした時代であって、権力との関わりを考えずにその時代の芸術を捉えることはできない。著者は巨大なイデオロギーや権力者へのすりよりの一方で、個としての真実を求めざるを得ないという芸術家のアンビバレンツな在り方にロシア芸術の悲劇の源泉をみる。
芸術家におけるこのせめぎあいは、特にスターリン政権下においては文字通り「命を賭けた」せめぎあいであり、一歩間違えれば奈落が待っている。その緊張のなかで具体的に作品の形が定まっていったことを忘れて彼らの作品を鑑賞することはできない、と読んだワタシは実感する。

たとえばショスタコーヴィチの作品について、「二枚舌」と著者が形容する特質を考えることは重要であるようだ。ロシア・アヴァンギャルドの流れを汲み自由で革新的であると同時に、ロシアの気分である「不意の暴力」を表現した初期の作風は、オペラ「ムツェンスク郡のマクベス夫人」批判を契機にスターリン政権下では「形式主義的」として強い批判にあう。
ショスタコーヴィチはそれに対して、表面的には革命賛美的な作品を書き名誉を回復するが、その一方で、密かに個の上に存立するような作品を書く、あるいは作品中に密かに個の痕跡をしのばせるという、二枚舌路線を歩む。
たとえば名誉回復作として有名な交響曲第5番第4楽章で執拗に繰り返されるA音はなにをあらわすのか??第7番第1楽章のレハールのオペレッタとの引用関係は?などという謎を考えながら聴くならば、スターリン期の作品を「政権と迎合した作風」と分類して済ませてはいけないのだ。そこにこそこの作曲家のロシア的悲劇が内在しているのだ。


・・ということでなんかショスタコのことばかりが印象に残ってしまったが、冒頭多くの章を割いているのはドストエフスキーについて。
スターリン時代に限らず権力による鬱屈というのがロシア的血であること・・は、ドストエフスキー作品の持つ一面なのであって、ドストさん理解には4つのレイヤーで理解していくのがいいと筆者は提案するのが面白かった。表象層・歴史層・自伝層・象徴層。それぞれの要素が重層的に融合しているのがドストさんの作品だという。この重層性によってその作品は深く多様な問題を現在にいたるまで放射しつづけるのだ。
なるほど~

そして、現代の日本でドストエフスキーやショスタコーヴィチの受容が進んでいるとすると、それは現代人が目の当たりにする「不意の暴力」的世相で受ける傷からの回復の体験なのだ、という主旨の筆者の指摘も、なるほど~


というわけで、軽く読めて面白い本でした。

****

ここに挙げられている人たちが、いずれもスターリンの大粛清を免れた人々であるところも選択の妙である。(ドストエフスキーとマヤコフスキーはそもそもその前に没しているのだが)
エイゼンシテインやブルガーコフが明確に反スターリン的資質を持ちつつも当のスターリンによって庇護されたという事実も、また権力者の不気味な嗅覚を感じさせて恐ろしい。

しかし、ロシアの社会主義国家というのはなんだったのだろうか。今の我々はそれを総括しきれているだろうか。200年後くらいの歴史家はどういう風にそれを位置づけるだろうか。知りたい。



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