久々に観て、やはり面白いよなぁとしみじみ思ったり。
色彩やら構図やら質感やらは、
ヌーヴェルヴァーグやらフイルムノワール的なものの反映を感じるものの、
同時に他ではあまり観られない独創性も常にあるような気がする。
あの喧嘩のヘンテコなシーンはもちろん
人物がやや奥にいて手前を人影が通っていくとか、
寝ているショットのやや斜め上から見下ろしている角度がなにか不思議だったり、
光があたったり当たらなかったり、
あるいは鮮明でなかったり見えそうで見えなかったり、
とかさまざまな奇妙な絵が積み重なっている印象。
ここでしか観れないものを見てるという面白さ
音楽の使い方は基本的には現場主義的というか、フィルム中で誰かが歌うとか、ラジオでかかるとかそういうことに伴って音楽が流れるやつ(そうでないところも)
鼻歌や留守電の音がいちいちプロコフィエフだったりとかいうのがなぜか面白い。
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飛行場の彼セルジュ・レジアニは
もはやいにしえのイケメン俳優という存在だが、歌手でもあって、本作ではボリス・ヴィアン詞による彼の歌が使われている
終盤に車で皆で歌う歌は誰の作なのか
ざっくり調べた範囲ではよくわからなかった。
そのあたりはゴダール的な雰囲気がありつつ、アンナと思われていた女性が歩いているのが見えるなどの謎感覚も喚起され、最後の引用を伴うシークエンスからのラストカットという流れで、とてもよい。
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カラックス、パワハラ的というか芸術至上主義的な感じらしいのはよろしくないとは思うが、映画としては大変好みだよなあ。
ジュリー・デルピーはとてもよいが、結構辛い思いをしたようでもあり気の毒である。
その後の活躍があってよかったと勝手に思ったり。
ゴダールがまた後にデルピーとカラックスを共演させたり、本当にこいつらときたら(苦笑)
ただデルピーはゴダールとの関係は良好だったと言っているようで、意外な感じw
「映画史」にも出てるしそうなんだろう。
デルピーといえば、小品だけど「スカイラブ」がとてもよかったのだが、また観る機会はあるかしら。。
(と話が逸れる)