Credo, quia absurdum.

旧「Mani_Mani」。ちょっと改名気分でしたので。主に映画、音楽、本について。ときどき日記。

「My song Your song」いきものがかり

2009-01-31 01:56:50 | music
My song Your song

ERJ(SME)(M)

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いきものがかりの新しいアルバムを聴き込んだので書く。

トータルでいって、なかなかいいアルバムです。
聴くとわくわくうきうきするですよ。
この高揚感が音楽の生命ですね~~

チャットモンチーしばらく聴いてたんで、それと比較すると、
チャットはバンドの音にこだわったシンプルなサウンドだけど
いきものがかりのほうは、もう業界のプロがよってたかって作り上げた
今風のこてこてしたサウンド。
最初はちょっとそのオーバープロデュースが耳についたんだけど
(というか昔から業界職人の音は好きじゃなかった)
でも聴いているうちに慣れて、曲のよさがしみ込んでくるようになった。

業界くささで敬遠してたELTなんかも、もしかしたら今なら聴けるかもしれない。

***

いきものがかりを聴いて思ったのは、曲によってこれは歌謡曲のテイストなんだろうと思わせるものがあること。
歌謡曲の世界っていまはすっかり崩壊して、ああいうアイドルシステムのかわりに今はj-popという、インディーズを裾野に持った世界がかつては歌謡曲を聴いたような聴衆への音楽の供給源になっている。

で、インディーズ的曲作りの世界は、かつてはそういう歌謡曲的なものからは一線を画すみたいなところがあったと思うのだが、いきものがかりの何曲かは逆になつかしい歌謡曲風味をとりこんでしまっている。

かつて没落した演歌的世界にニューミュージック勢が接近していったように(古くは吉田拓郎が「襟裳岬」を供給し、あるいはアリスの面々のその後の活動とかを思えばいいだろう)、いまや没落した歌謡曲をインディーズ出身「アーティスト」たちが補完していくのだろうか・・

一方で、本当のインディーズの人たちは、カフェ的文化を中心に、おもいきり個の音楽とでもいうようなひとり歌いが広がっている。ギター1本でつま弾くようにして繊細な、でも新しい歌を歌っている。あれが10年後のメジャー音楽シーンのすがたなのかもしれないな。。


*****

さて~いきものがかりの「My song Your song」
1曲ずつ書いてみるかな~

1 プラネタリウム
これはいい曲ですねー。アルバム冒頭にいて十分貫禄ある名曲ですね。
なにしろイントロからリスナーをぐっとつかむつくりになっているし、そういうイントロには欠かせないハイトーンベースが泣けるよ。
そんなイントロのあとに満を持してはいってくるボーカルのまっすぐな声はいいし、リズム感もちょうどよいグルーヴで、一緒にベース弾くと心地よい高揚感に浸れます。最後の転調も効果的。

歌詞もあまりはずかしくなく、いい感じ。
「たとえひとときだけでもきらめくことができたら」っていうのは、いちどきらめいたら、次はどうしようって欲というか望みがさらにでてくるのが人間なんだよ~とか思わなくもないですが。。
それから「満天の夜空」で本物の夜空でなくてプラネタリウムを思ってしまうのも現代的か。

最後がフェードアウトなのもちょっと残念(って好みの問題ですけどね)


2 気まぐれロマンティック
タイトルがいいですねえ。これはこないだまでやってたTVドラマでタイアップしてた。子供が好きで観ていたのでこの曲も知っていた。
イントロがほとんどもつれる寸前の勢いよいリズム隊とブラスで、すごい元気あふれる録音になっているのがウレシス。
「本気であたしを叱ってくれる」とありますが、ワタシは最近よくみかけるこの「叱ってくれる」というなんだか受け身な湿っぽさが大嫌いで、あらあらこの曲も?と思ったけれど、歌詞をよく読むと、そんなふうに「ほめたりしない」とあるので、かろうじてセーフか?

3 ブルーバード
これはマイナー調の最近ではめずらしい新鮮な曲だなあとおもったんだけど、考えてみるとこれぞ歌謡曲テイストなんじゃないのか?
ここまでの3曲のなかにあると、キャラが立っているので歌謡曲でも全然大丈夫だな。
Aメロはまだそうでもないんだけど、Bメロはもろに歌謡曲で、Bメロからサビにいく「飛び立つ~」ってところのメロディとバッキングが特にね。

サビからはじまる定番な曲作りだけれど、なかなかよいよな。
間奏はaikoっぽい半音下降系。


4 スパイス・マジック
タイトルが意味不明だけど、イントロのアコギフレーズは秀逸なり。
こういうイントロを作りたい。
この曲の優れたところは、Aメロを7小節でまわすところですね。7個というのがいいね~
サビの真摯な感じのメロディもいいねえ.派手でなくて。
Cメロというのか、つなぎの部分の後半をバスドラ8分打ちにもっていくとこなんかもアレンジはよいねえ。どこかで使おうこの8分打ち。
小曲ながらいいですよ。スパイス効いてます。

5 かげぼうし
4曲目とこれは山下君の作なんだね。最初の三曲は水野君。
山下君のはあれかな、派手でないんだけどしっとり訴えかけるような感じなのかな。これも好きな曲だな。
Aメロのラインの半音使いが(「零れた」ってとこね)渋いね~
サビのおわり「あたし今 鳥になる」は心に残る

6 帰りたくなったよ
ここまでの5曲が結構キャラが立っていて、佳作ぞろいなせいか、この曲はなんだかちょっと面白くないんだな。半音うつってから2-5っていうコード進行はいい曲が出来るんだけれど多用するとどれも同じになっちゃうというのが問題で、プラネタリウムでその技を使っちゃったからねえ。
「気まぐれロマンティック」でかっこよく「この街を抜け出せる」って言ったのに、もう帰りたくなっちゃったのかなあ??という感じもつまらなさの一つかなあ。。
Bメロが「ほらみえてくるよ」だけっていうシンプルさはすばらしいし、みえてくるよ~~~」の最後のコードがまた渋いね。

7 message
ケータイ話の曲。昔はよく電話についてのうたなんかよくあって、受話器、とか、ダイヤル回す、とかいう歌詞になっちゃって、いまや古くなっちゃうという現象があるけど、この曲もそういう定めにあるのかなあ。
曲調はそんなに好きではないけれど、元気いい曲だし、まあいいのかな。
ああ、これは山下君の曲だ。派手な曲も書くのね。
若い人ってもーまんたい(無問題)ってボキャブラリーにあるの?
ハーモニカはちょっとねばっこすぎないかい?

曲後にはいるバイブの音はmp3に落としたらちゃんと聴こえないという・・・


8 Happy Smile Again
サビがいいね。サビのバッキングギターとベースがいい。
水野君はやっぱりTwo-Fiveで曲を作っていくのだなあ・・
あと、間奏後のサビのバッキングを白玉静か系で始めるというのも
ここまででちょっと使い過ぎかもね
まあ王道なアレンジだからいいんでしょうけどね

9 くちづけ
うーむマイナーロッカバラードかあ・・あんまりすきじゃないんだよね
これもまた歌謡曲世界の1曲
なんどか繰り返し言っているけど、CD時代になってアルバム収録時間が長くなっちゃもんだから、一枚に14曲とか入っている。これを1年に一枚以上のペースで出さなきゃいけないというのは結構酷なんではないかなあ。。
というわけで、アルバムは45分以内でいいという持論のワタシ的には、この曲はボツ曲でどうでしょう(笑)

10 僕はここにいる
あら、吉岡さんの曲だ。
これはいい曲だと思うんですけど。
「愛があるから僕もお」と語尾が上がるところが好きです。
ベースが好みですね。派手でなく渋い。
編曲が渡辺善太郎さんじゃないですか。ということは演奏も彼ですね。

11 ブギウギ
あらら。この曲はいらないね(笑)
曲はよく出来てますね。「愛の 愛の メッセージ」というとこなんかね。
一音ずつ上がりのコード+うえから駆け下りるボーカルラインなんかよいね。
でもいらない。ボツ。

12 幻
これも歌謡曲界のものでしょう。Aメロはよくできているけどね。
「ゆらゆらまいちる粉雪たち 切なげに溶けてゆく愛は何処へ・・」って
きみたち何歳よ??
これもボツにさせていただき。

13 心の花を咲かせよう
おお、山下君の曲かあ。
なかなかに感動的です。曲も感動の名曲モードをしっかりつかんで作られている。まさにアルバム最後のために作られたような曲です。
歌詞も他の曲に比べてもいっそう硬派で、感動的。
でもなあ、ちょっとなんかかっこ良すぎるし悟り過ぎではないのか??
「一瞬迷うけど必ず道がある 届かないようなゴールなんてない」
う~世の中そこまで見通せるのか君たちは~~そりゃすごい
迷ったらひたすら迷っちゃうのがワタシなので、こりゃすごい
なんだか達観した教師が生徒にいいさとすみたいな言葉だ。

今の若者、達観しちゃってるんでしょうかねえ
曲にすると感動的だが、あとでよく考えるとなんとなくもやもやする曲です。



ふう・・・・


あれれ?もう1曲入ってる~


14 帰りたくなったよacoustic version
これは、いわゆる蛇足では??^^;
せっかく13でいい感じに終わったんだから、その余韻を響かせるべきでしょうに。しかもなぜかキーが半音下がっている^^;フルート対策かなあ

まあ、こういうおまけトラックを入れるのが今の業界の皆様のじょうしきなんでしょうから、常識には逆らえないですよね。大御所じゃない限りは。
ということで最後に業界人にちょっと踏みつけられたアルバムでした。

**********

ああ、長かった
ボツ曲を抜くと、ええと、10曲になりますね。
これでもアルバムとしては長いんで、2曲くらいは次のアルバムのためにとっておきましょう。で、8曲でどうですか?



ところで、いきものがかり、演奏にかんしてはボーカルの吉岡さん以外はものすごく影がうすいんですけど~~大丈夫かなあ・・・
バッキングボーカルすらものすごく目立たないし
目立つのはあのねばっこいハーモニカだけ
大丈夫かなあ~男の子たち



というわけでした。

いま前に出た「ライフアルバム」も聴いてます
そのうちにまた書くかもしれません。




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クエイはなんとBOXが?!

2009-01-29 22:14:28 | cinema
先日ブラザーズ・クエイのDVDがでますね~
とのんきにお伝えしたところですが、
ショートフィルムスとピアノチューナー~の他に
「ベンヤメンタ学院」も含めたBOXが出る気配です!

http://www.imagef.jp/commodity/d_0905.html

amazonではまだっぽいんですけど..

どうしよう・・・もうバラで発注してしまったよ
う~~む う~~む
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「ひかりのまち」浅野いにお

2009-01-29 21:46:04 | book
ひかりのまち (サンデーGXコミックス)
浅野 いにお
小学館

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「ひかりのまち」浅野いにお

本を持つのを忘れて家を出てしまったある日、帰りのスタバで読む本を求めて書店で小一時間悩んだ末買った本。そんな無理してまでスタバで読書しなくてもよさそうなもんだが・・だから散財してしまうのだ。

浅野いにおを読むのは「虹ヶ原ホログラフ」以来で二作目。ここでも若い世代(浅野いにお自身も結構若いが)10代の抱く底なしの絶望を軽味のある暗さで描いている。その軽いがゆえにどこまでもつづく救いのなさは、まさに半端にぬるま湯でありつづけることの贅沢な恐怖社会が成立しつつあるどこぞの国における子供をよく描いていると思う。

新興住宅地である通称「ひかりのまち」を舞台に、そこに住む少年少女の日常的底辺を毎回読みきりで描く短編集なのだが、印象的なのはやはり中盤のほとんどを費やされる小学生タスクの物語だろう。彼をとりまく大人たちは、みなそれぞれにいかれてしまっている。母親はすでにいなく、父親は枯れたプチトマトの木に水をやり続ける変人。学校にも行かずタスクは、携帯電話によって見届け屋と称する自殺幇助ビジネスを行っている。依頼人はみなやはりどこかこわれてしまった大人などの年長者。タスクは彼らに死ぬための手順を教え、実行を促す。
タスクと心を通じ合わせる高校生(の歳の)ハル子もまた殺伐とした心を持つ両親のもとで暗い過去を抱えながら鬱屈する少女だが、彼女の父親も職場のゴタゴタの末殺人を犯し、命を絶つ壊れた大人である。
一連の事件を捜査する刑事もまた、どこかいかれた頭の持ち主で、状況を混乱させタスクの父親を殺害する。
ハル子が待ち続ける「三つ目」はいかれた青年で、大人未満であるが、これまたろくでもない仲間とつるんで誘拐事件を起こしたりする。

人はおとなになればなるほどことごとく陰惨な存在となる。
そんな大人たちに囲まれ、子供たちはその陰惨を自らの現在と未来として正面から受け止めている。それゆえに陰惨の種はいっそう深く埋め込まれている。この陰惨を生きるには何を頼ればいいのだろうか。ハル子とタスクは互いの種の深さに惹かれあいながら、ともに生きるという未来を見出すことができない。もしかしたら唯一生命線となるかもしれない愛情が、またゆっくりと失われてゆく様をこの作品はかすかな輝きで描いてみせる。

絶望の深さが極端でかえって図式化してしまっている(大人はダメ的)ようなきらいもあると思うが、こういう絶望に一度は立ち共感し成長していくことが、若いうちは必要なのかもな~自分もそうだったよな~と、年寄り臭く思ったりするのです。


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子供A合格で一安心

2009-01-27 22:12:00 | diary
いきなり日記ですが
先日上の子Aの滑り止め志望校の試験があり
無事合格したのです。(あ、高校受験です)

志望校のしぼり方が結構狭めというんですか、
あまりランクに差をつけずに選んだので、
滑り止めといってもそんなに安全圏だったわけでもなく。
無謀かなあと思いつつの受験でしたが、
いや~とりあえう行くとこが確保できて一安心
あとはのびのび第1志望をウケてください。

自分が高校受験のときなんかまったく勉強しなかったので
苦労した覚えもなく
親はどんな気持ちでいたものか想像もできませんが、
まあそれなりに心配だったのでしょうね~




しかし
今どきの試験て、受験したその日のうちに合否がわかるのね!
こりゃびっくりですわ
ちなみに私立の併願推薦というやつで、推薦だけど試験もあるというやつでした。
試験受けにいった日の夕方にネットで合否がわかり
職場のワタシにもケータイにメールが届きましたよ。

やった~ひゅーどんどん
うっほうっほうきーうきー
わんわんわんわん
ぱお~んぱお~ん
ひひ~ん
ぱからんぱからん
ぶうぶう!

とかいう内容のメールをAちゃんとやりとりしました(笑)


これで、あとお父さんも10年くらいガンバって働けば
家庭円満言うこと無しですがね~~
これがいちばん怪しいな・・・



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「ディエンビエンフー」西島大介

2009-01-27 00:35:52 | book
ディエンビエンフー 1 (1) (IKKI COMICS)
西島 大介
小学館

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西島大介「ディエン・ビエン・フー」1~4

ベトナム戦争終結の新聞記事をなんとなくまだ覚えている。物心付くとすでにアメリカと北ベトナムは戦争をしていて、「北爆」などという言葉がTVニュースから聞こえてきた。その頃住んでいた場所は日本ではやや南に属するので、「北爆」にはあわずにすむな、などと、状況をまったくわかっていなかった。ベトナムはワタシにとってのデフォルト戦争イメージだったので、これが終わる日がきたとき、根拠なくちょっとびっくりした。へえ、終わるんだ。

その後は例えばマイケル・チミノ『ディア・ハンター』、コッポラ『地獄の黙示録』ティム・オブライエン『本当の戦争の話をしよう』などでベトナムのイメージは形作られた。そうした具体的な作品のほかにも、いわゆる反戦運動の動向やら、ロック/ヒッピームーヴメントの発信するもの、ジョン・レノンの政治活動などを知り、そのころの気分を追体験してきた。ベトナムは戦争と反戦の私的象徴なのだ。

で、『ディエン・ビエン・フー』。というマンガがあることは書店店頭で知っていた。ベトナム戦争ものらしい。しかし、絵が異様にかわいらしいでないですか。戦争とマスコットキャラ。このギャップがなければ手には取らなかっただろう。
ディエンビエンフーはベトナムの地名だが、ディエンビエンフーの戦いはベトナム戦争より前、フランスと戦ったインドシナ戦争の逸話だ。この時代的な違いがなにを意味するのかも興味を惹いた。
なので突然マンガ読みたい症候群に襲われた折に、1~4巻を大人買いした。

読んでみると、やはり不思議な魅力がある。まったく戦記的なものではないし、史実を踏まえていながらその設定には不謹慎なまでにいい加減なところがある。「んくく?」としかしゃべらないベトコンの少女戦士の戦いっぷりはそれはもう人間離れしているし、それに恋する米軍かけだし従軍カメラマン(が主人公?)という存在もありえない。
なのに、なんだか惹かれる。ここには戦場を生きるということに関わる諸相が、いちいち極端にデフォルメされているのだと思う。グリーンベレーの面々はもはや妖怪軍団ともいうべき変人たちだが、それぞれの戦場での生き様を派手に披瀝して散るし、ベトコン側の少女、老婆、僧侶ももはや怪人の領域に踏み込むまで戦争付けになっている。グリーンベレーによって組織されるベトナム山岳民族も、ベトナムの支配民族への反感という歴史的背景を持って屈折している。それぞれの死は壮絶でいながらまったく唐突で意味を欠いている。生き延びる者もあれば登場してたちまち肉片と化す者もある。
そしてそれらはすべてが、絵柄から事象からありとあらゆることがデフォルメされている。デフォルメへの強い意思が、この作品を凡庸さから一歩外へ踏み出させている。そこは理屈ではとらえきれない効果。そのなかでなお戦争は異様で怖い。

冒頭ティム・オブライエンの小説からの引用がある。戦場の本当の話をしても誰も信じない。あまりにありえなさそうな話になってしまうからだ、という主旨のことだ。
この作品はそれを逆手にとって、いかにもありえなさそうな逸話ばかりを並べる。チョコレートばかりかじり、ヘリに乗れば高所恐怖で失禁し、地上では敵司令官を空へ放り投げヘリのローターでミンチにしてしまう。こんなグリーンベレーの指揮官がいる。こんなことは信じられないが、実は本当の話なのかもしれない。ありえなさそうなことだから。

後半では舞台をときおりベトナム文化の黎明期、中国の大国との軋轢の時代にさかのぼったりと、物語の水脈を広げていく。ディエンビエンフーの戦いもここで絡んでくることになる。これからが期待だ。

5巻は2月に出るそうです。

******

ところどころで小技がきいていて、ロバート・キャパについて(ヤツは臆病者だった)とか、「地獄の黙示録」への言及(音楽をかけろ!曲目は?ワルキューレの奇行だぁ!)とかがブラックに笑わせる。
腕が伸びるグリーンベレーは、兵士を一撃で輪切りにしてしまうプランセスたちの斬撃とともに、ワンピースのルフィとゾロを思い出してしまうのはワタシだけ?


ディエンビエンフー 2 (2) (IKKI COMICS)
西島 大介
小学館

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ディエンビエンフー 3 (3) (IKKI COMICS) (IKKI COMICS)
西島 大介
小学館

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ディエンビエンフー 4 (4) (IKKI COMIX)
西島 大介
小学館

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本当の戦争の話をしよう (文春文庫)
ティム・オブライエン,村上 春樹,Tim O'Brien
文藝春秋

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ブラザーズ・クエイ ショート・フィルム・コレクションDVDが出ますね~

2009-01-22 10:42:32 | cinema
ブラザーズ・クエイ ショート・フィルム・コレクション [DVD]

東北新社

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ピアノチューナー・オブ・アースクエイク [DVD]

東北新社

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ブラザーズ・クエイの作品集日本版DVDがとうとう出るようです。
内容ははっきりわかりませんが『ストリートオブクロコダイル』は収録されているようです。
イギリス在住アメリカ人ながらどこか東欧的な暗さとユーモアを持つクエイ兄弟のアニメーションが楽しめるのです。

輸入ものでこういうもの↓がありますが、
内容がかぶるのかどうかはいまだよくわかりません
Phantom Museums: Short Films of the Quay Brothers [DVD] [Import]

Zeitgeist Films

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たいていはセリフ無しアニメーションなので、考えようによってはこういうものでもよいのかもしれませんね。(ただしこちらはリージョン1ですが)


先日公開された『ピアノチューナー・オブ・アースクエイク』も同時発売です。

もちろん買いですね。
年度末はこういうリリースが多いような気がするのですが・・
(例年出費が多いような・・・)




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風邪ひいた

2009-01-21 03:14:44 | diary
うげげ
のどがいたくて
体中がだるく
節々が痛く
熱が37.6度

寝てても辛い
特に腰が痛くてすぐ目が覚めてしまう

インフルエンザの疑いもあるかも??

子供Aが来週受験なのに
親失格のていたらくである~~



しかしな~
平成17年1月以降一度も風邪をひいたことがなかったので
ナントカは風邪ひかないのとおりですわ~と高をくくっていたのが
よくなかった

手洗いとうがい
あと飛沫感染なので
顔を洗うと効果的なんだそうだ
くそ~
ちゃんとやっておけばよかった

皆様もお気をつけ遊ばせ~~

ではまた寝ます

明日(今日)仕事休むのかなあ・・・
休暇があまりないんですけどしくしく;;



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「サンライズ」F.W.ムルナウ

2009-01-20 00:02:53 | cinema
サンライズ クリティカル・エディション [DVD]

紀伊國屋書店

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SUNRISE-A Song Of Two Humans
1927アメリカ
監督:フリードリヒ・ヴィルヘルム・ムルナウ
脚本:カール・マイヤー
原作:ヘアマン・ズーダーマン
撮影:チャールズ・ロシャー、カール・ストルス
出演:ジョージ・オブライエン、ジャネット・ゲイナー他


ムルナウの映画を見るのは実は初めてで。
かつ、ヌーヴェルヴァーグの連中がこの上なく褒め讃える「サンライズ」で初体験というのは、もしかしたら至上の贅沢なのかもしれない。

想像と違い、人情たっぷりで、感情の起伏に富み、景色や振る舞いに時代は感じるにしろその本質は少しも古びることがなく、それでいて随所で実験的であって・・・・古い映画を古典として観るという感じではなく、いまここで生起している映像をわくわくしながら新鮮に堪能したという感じだ。
ヒロインの落胆ではそれに寄り添い涙し、感情の高揚にあわせてこちらも体を揺らして喜ぶ。これぞ映画の楽しさ。映画はこんなに早い段階で完成していたのだ。

とにかく設定や物語や舞台や感情の振れ幅がう~んと広くとってあるのは圧巻である。

舞台について言えば、湖をわたる船が着く田舎のシーンから始まり、途中若い夫婦が湖をわたり、森の中を走り、列車に乗ると、その列車は森を抜け、どんどんにぎやかな都会へとすすんでいく。この移り変わりが本当に見事だ。特に列車の中から次第に開けていく風景を夫婦越しに写す長回しはちょっとしたスペクタクルだ。わくわくする。

感情という点でも、この若い夫婦は最初失意のどん底にいて、この世も終わりという表情ででてくるが、都会へ行き、心持ちが変化していくにつれ、表情も振る舞いも晴れやかになっていき、とうとう感極まったところでは達者なだんすまで披露してしまう。この起伏の激しさにまたまたわくわくする。

この感情の高揚にあわせるように舞台も派手やかな遊園地へと移っていき、なんと象まで出て来てしまう。映画のはじめのほうからは想像もつかない展開だ。


映画黄金時代の20年代初めにドイツで名声を確立したムルナウが、ウィリアム・フォックスの招きで渡米して撮った映画は、破格の労力と財力をつぎ込んだ、しかし心温まるヒューマンドラマだったのだ。

****

実験的(というか、むしろ映画黎明期のメリエスなどからするとむしろ実験色が薄まったとすら言えるのかもしれないが)というのは、たとえば二重焼きによる想像の風景の投影なんかが多用されていて、これは最近のリアリズム映画では滅多に観られない。湖での凶行を思う夫がウトウトしながらイメージする波立つ水なんかがぼんやり画面の上半分に写ったりする。

これを観て、ふと、最近のゴダール、とくにヴィデオ技術を多用する作品ではこの手のそうとうにいい加減な効果がよく見られるのを思い出した。ゴダールはこれを、この映画創成期の手つきを模倣しているのではないのだろうか。まるで蘇生後に生前の習慣を無自覚に模倣するゾンビ君のように・・・



なわけで、非常に幸福な映画体験をしてしまった。
ある意味アメリカ映画の原点になった作品の一つであろうから、楽しくないわけがないのかもしれない。

第1回アカデミー賞で芸術作品賞/最優秀女優賞/撮影賞だそうですよ。




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猫沢エミLive Lecon 3-Bonne annee 2009 a boiserie

2009-01-17 22:10:28 | 猫沢エミ
猫沢エミさんのライブに行ってきました。
Lecon 3-Bonne annee 2009 a boiserie 1/17sat
目黒のアンティークショップ「ボワズリー」でのライブも
これで3回目だそうです。
確かに3回行ったような気がする。。

昼の部と夜の部とあって昼の部に出席。

開場前に入口から外の通りにずらっと一列に人の列が出来ていて、
なんだかとても行儀がいいなあと思う。
ライブハウスの周辺って昔はほんとに迷惑施設ってくらい小汚い若者がたむろったものですが、今日の会場はそもそもライブハウスではないし、猫沢さんの客層もほんっとにおしゃれな女子ばかりで、なんというか???やっぱりお行儀がいい!!

ざっと見渡して男性は30人中6人くらいと思われ。
これは高校のときに所属したオーケストラでの比率にかなり近い(笑)
しかし、ワタシは小学校の時図書委員になって集まりにでてみたら
男は自分一人だけだったという経験をもつくらいで、ジョシ率高いのは全然苦にならん・・というかむしろ居心地がいい(笑)



と、ドオでもいい話ばっかりしてる場合ではない。

猫沢さん、今回は前置きトーク無しで、登場と同時にいきなりライブに突入。
そのせいかちょっとヒートアップするのに時間がかかったように思われた。

小さなスペースでかつオールスタンディングなので、お客さんも目の前に壁のように立ちはだかっているし、この関係に慣れて音楽が生き生きとしてくるのにはやっぱりちょっと探りをいれつつという感じになるだろう。

猫沢さん、ロシア人?な帽子を頂き、でも服装は南国系?という、なにやら不思議ないでたちでした。



1曲目は思い切り意表をついて、アルバム「チェルシーガール」から「Bath Room」
これはジャジーなノリとコードにのせてエミさんが語る曲なのです。
うーむ、誰もこれが1曲目だとは予想していなかったはずだ・・

その後はLes cafes、Mon petit chatとおなじみ曲が続きます。
やっぱりc'est vous sur le pontは名曲だと思いつつ。
久しぶりにやった「TABACの森」もいいです。なんかこれをやるような予感がしていたんですよ~

途中、チケット予約のときに猫沢さんに質問を募集していて、
集まったうちのいくつかに回答するコーナー!(長い)があり、

●パリでのタバコ情勢について
 自販機は存在しない。タバコを売っているところも一部のカフェとかしかなく
 運悪くタバコを切らしてしかも変えない状況にある人は、そこらのムッシュに一本ねだったりするとか
 カフェとかでもすえる場所が少なくなって来ているとか
 ちょっと上の世代が小さい頃は「タバコすうと頭が良くなる」とかいって、親も平気で子供に吸わせていたとか(笑)
 そんな話でした。

●世界同時株安+ユーロ安ですがエミさん周辺での反応は?
 ヨーロッパは慢性的不況なので、一部の上流階級をのぞきみんな貧乏である。
 だから金融危機といっても別にかわらないじゃん?というのが実感ではないかということ。
 日本のニュースを見ると金融不安とか不安一色であおっているけれど、個人としてみるならそういう不安な面もあるけどそうでない面もあるので、マスコミの不安感に飲まれてしまうのもよくないことではないか、てなことを。。

●パリで好きな場所はどこですか?
 いろいろ仰ってましたがワタシはパリに不案内なので、全然記憶できてません。
 最近短期のアパルトマンをあちこち渡り歩いたそうで、普通なら住めないようなところ(お金持ちエリア)にも住み、結果そういう生活感のないところは自分には合わないと思ったとかいうことでした

あとなんだっけ??
あ、そうそう
●日本の男とフランスの男の違い
(こういう質問からも女子率高いのわかりますね~)
なんだっけな、、薄情なのは圧倒的にフランス人だよということで
個人主義が徹底していて、一人で生まれて一人で死んでゆく~みたいな感覚があり、離婚率も高いし、女は死ぬまで女、男も死ぬまで男ですって

ふ~ん


後半はZobi la moucheとかでがーんとぶっ飛ばしつつ
T'en va pasで涙をさそい
マシュマロワルツでしめ
アンコールもこれぞという2曲をやってくださいました^^


新曲も聞きたいなと思わないでもないですが、
こうして毎回おなじみの曲たちが、時を追う毎に
あるいはそのときによってちがう表情を見せるのを味わうのもいいもんです。
音楽ってそもそもはそういうもの
時を経ることで深くなり身に付いていくもので、
絶えず新しいもの新しいものというものではなかったはずですもんね。

T'en va pasやノワイエが毎回新鮮に泣けるのもいいですね


あ、ノワイエといえば、日本語にすると土左衛門ですよという話になり。
なんで溺死者を「土左衛門」というようになったかという講義あり(笑)
気になる方は各自調べてみるとよいのでは??


終わったあと、さすがに足いてえ~~
となったんですが、そのあとさらに用事で新宿に出て
足が文字通り棒になったmanimaniでした
体重ヘラさんと・・・・

*****

【セットリスト】

Bath Room
Les Cafes
c'est vous sur le pont
TABACの森
レントゲン
JANE
Mon petit chat
羊飼いの少年へ
Zobi la mouche
Zo-wa-zo Oiseaux
T'en va pas
Marshmallow-Waltz
----
ノワイエ
Mandarin World


Zo-wa-zo Oiseauxって
何に入っている曲?
今度エミさんに訊いてみよう

猫沢さんに訊いてみたかったこと
・Zo-wa-zo Oiseauxって(以下省略)
・フェミナンな髪型を楽しみにしていたんですが披露しませんでしたね~
・親指の絆創膏はどうしたんですか?
・ノワイエの日本語詞を書いた人は誰?あれは原詞に即しているの?

そんなとこですかね

ワタシとしてはもっとミュージシャンの猫沢さんを味わいたい
とふと思いつつ帰ってきましたよ

ではでは

ギター円山天使さん(またお話できなかった)


ベース岩見圭吾さん(guru(笑))




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「ナチスと映画」飯田道子

2009-01-16 22:29:47 | book
ナチスと映画―ヒトラーとナチスはどう描かれてきたか (中公新書)
飯田 道子
中央公論新社

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ナチスと映画
・・・という切り口で来られるとつい買ってしまうじゃないですか。

内容的には、映画でのナチス・ヒトラー表象の変遷に触れつつ、ナチス台頭・政権獲得・戦線拡大と縮小・ナチス政権崩壊に至る20世紀ドイツ史を復習してみるといった趣だ。映画の本というより歴史の本である。
おおまかにナチス現役期と戦後の二つの期間に分け、それぞれの歴史的トピックをさらい、その時期の映画におけるナチス・ヒトラー表象がどのようなものであったかに触れている。

ナチス台頭期の分析については、まず、ナチスが早期からプロパガンダの手段としての映画の有効性に着目し、映画作品の政治的格付け、ニュース映画の製作、新作映画製作の事前検閲を積極的に行った、つまりナチスが映画を利用したという側面を指摘する。
しかし慧眼であるのは、その一方で、ナチスをさまざまに特徴付けた要素の成り立ちが、実は映画からの影響もしくは映像にしたときの祝祭的効果を見越して、意識無意識に作られたものではないかと指摘する点である。

政権を奪取しての最初のニュルンベルク党大会は、シュペーア設計の壮大な建築による会場で行われ、膨大な数の群集、カーキ色の制服の兵士の行進、それに映える赤地に黒のハーケンクロイツ、と、視覚的スペクタクルに有効な要素がふんだんに織り込まれている。著者は、こうしたイメージが、ナチス以前の映画であるラング『ニーベルンゲン』におけるイメージと類似することを指摘している。またこの党大会は後にベルリンオリンピックの記録映画を監督するリーフェンシュタールのナチスでの初仕事『意思の勝利』として映像作品となる。映像を利用したナチスはまた映像によって作られたものでもあるのだ。

戦後のナチス・ヒトラーの表象は様々であるが、戦後すぐは連合国側(というかアメリカ)の戦争映画において描かれるドイツ軍という形で現れる。ドイツ人がそれらを表象するのはもっと後になってからのことで、戦時の傷の深さがうかがえる。
ホロコーストに関しては、レネ『夜と霧』のような記録的映像によって初めて世界はその蛮行の実際を知ることとなったという。その後『ショアー』『シンドラーのリスト』と変遷することになるのはおなじみのこと。
ヒトラー個人については、戦後にはほとんど描かれることはなく(『パリは燃えているか』のように電話の声だけの登場など)、最初は狂信的人物像として、近年には一個の人間として描かれるようになってきたという。最近ではソクーロフ『モレク神』やヒルシュビーゲル『ヒトラー最期の12日間』でのヒトラー像が波紋を広げている。

ヒトラーに関する映画はこの本が上梓された以降も製作され公開されている。あの時代は決して清算されることがなく、中東の問題にもつらなる地続きの歴史としてこれからも時代を反映しつつ映像はさまざまに変奏されていくだろう。

****

あれだけ映像に固執したナチスであるからには、ガス室の映像が残っていないはずはない、というのが、ゴダールの持ち続ける意固地な発想である。いうまでもなくゴダールなのでそこには信念も根拠もないのだが、そういうことにしないと映画を撮り続けることができないといわんばかりである。
引用映像を除きゴダールがナチスを直接映像化することは(おそらく)なかったが、しかしほとんどの作品で?ファシズムについてふれているといってもいいのではないだろうか。特に90年代以降はあからさまにそうしたものへのほのめかしがあるし、『決別』『映画史』『アワーミュージック』などでくりかえし強制収容所の映像について言及している。
ゴダールの提示するのは、ナチズムがなんであったのかという問題ではなく、映画とはなにかあるいはなにが映画であるのかという問いであるとするなら、その問いにファシズムが無関係でないことをくりかえし考えるゴダール作品をこの本で分析しないのはちょっと残念な気もする。
まあ一般向け新書であればそこまで踏み込むことも不要なのかもしれない。

ソクーロフ「ヒトラーのためのソナタ」への言及がないのも残念。。


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「アドルフに告ぐ」新装版1・2 手塚治虫

2009-01-15 20:48:58 | book
アドルフに告ぐ 1 新装版 (1) (文春文庫 て 9-1)
手塚 治虫
文藝春秋

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アドルフに告ぐ 2 新装版 (2) (文春文庫 て 9-2)
手塚 治虫
文藝春秋

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かつて読んだのだが、文春文庫から新装版が出たのを期に再読。
見事なまでにすっからかんに内容を忘れていたので新鮮に読める自分に驚くほかなし。

とりあえず今出てる1・2巻読後の段階で感想を。

**********

手塚治虫の特徴は、作品全体から滲み出る汎メッセージ性にあると思う。端々にまるでとりつかれでもしたように、本筋の説話とは次元の異なる総体的な大きな物語を指し示す記号を入れずにはいられない、その強迫的手つきは、それがうっとうしかろうが意識されなかろうが、作品のサブリミナルな言説として読むものを育んでしまう。特に初期の作品には、本筋の充実そっちのけでサブリミナルなメッセージさえしっかりしていれば作品は成り立つのだといわんばかりの大胆なものがみられるように思う。

彼のメッセージとは大概の場合は自由平等博愛なトリコロール的世界であることはすぐにわかる。時には皮相的とすら感じられるほど無邪気な彼のヒューマニズムは、しかししばしば悲惨・恐怖・グロテスクとともに表象される。反面教師的に対置されるのではなく、悲惨のなかにすらそれを生きる人間の博愛を信じる、そんなつくりかたをするのだ。だから彼の作品は読者をエモーショナルな方法で博愛主義者に育てるのだといえる。そしてしばしばその成長にはトラウマを伴ってしまい、それがゆえに、恐怖とともに博愛が、忘れがたく深層に刻み込まれてしまうのだ。
そう考えるとなんだか恐ろしい教育装置である。

ワタシの最初期の手塚記憶は「落盤」という短編で、炭鉱の落盤事故にからむ過去の犯罪を追い詰める心理サスペンス的復讐劇である。筋立て自体はすっかり忘れてしまっているのだが、犯罪を暴かれ陥れられた場長の恐怖の表情と、逆に彼を追い詰める若き炭鉱夫の切迫し両極に揺れる思いが、40年近くも前の読書体験なのに、いまだに断片的なコマとともに生理的レベルで思い出される。あの日、ワタシの中でなにかが育まれたのだ。

*********

「アドルフに告ぐ」は晩年の作で、ドイツナチス台頭期に、さる重要機密文書をめぐり一介の日本人がまきこまれる壮絶な事件を描いたものだ。それにユダヤ人とドイツ人それぞれのアドルフという名を持つ人物の少年期からの生い立ちを絡める。
大きな物語としては、狂気のナチス及びヒトラーのもたらした圧倒的なうねりに対する、それに翻弄される個人の悲痛な生涯、という図式なのであるが、例えばナチスの蛮行は蛮行として描きながら、それに関わる個人たちは大きな物語の下にありつつも人間として千差万別の個性=物語を持っている、という点で作品の深みを生み出している。提示されるヒトラー像はエキセントリックな雲の上の人物という感じで疑問がないではないが、末端の、例えばドイツ人アドルフの父親である神戸領事館職員は、総統に心酔しナチスの方針ならば殺人や拷問も辞さぬ男であるが、その心持は悪辣というよりは純粋であり、妻子を愛し息子の将来を案ずる普通の父親である、というように、大方はきわめて普通の人物たちが若干の誇張をもって描かれている。
ナチスの教義についての素朴な疑問(なぜユダヤ人が劣等なのか?等々)は、主人公峠がニュルンベルクでの党大会に参加する席で同行したリンダ(ロッテ)への問いなどにより提示されるが、そうした理屈の上での理不尽への疑義を随所で表明しつつ、一方で理不尽をになうのもまた普通の人間なのだということをも提示し、手塚はその創作のひとつの目標であるヒューマニズムの布教を、情緒的な方法によりその希望と困難(もしくは複雑性)において余さず体現しているのだといえよう。

ゲシュタポの残忍な活動家ランプの娘はナチス心酔者であり、恋人である峠の弟を秘密警察に密告し、また好意を寄せた峠についても父の命で監視をするが、結局正義と感情の狭間で絶望し命を落とす。
その父であるランプもゲシュタポの指令として行動しながら、最終的には娘の敵としての峠を狙うという個人的な意図を隠そうとしない。
日本の特高刑事である赤羽は、職権以上に陰湿な性格を以って峠を追い込むが、事故により脳障害を持ち人格が破綻する。
峠自身もまた、ナチスへの人道的な疑問は抱きつつ、そういうレベルとは別の弟への信義に基づく行動として政府を敵に回し行動する。
ドイツ人の純潔を教えられるアドルフ・カウフマンは、そうした教義に基づく社会に帰属しながらも、自分の体験としてのユダヤ人アドルフとの交流から得られる実感(ユダヤ人のどこが劣等であるか?)のほうにリアルを感じる、多感な少年である。
かくも人物たちは個であり数奇な運命の元関わりあった、無数の物語のうちの一つである。ことさらに新しいとか独創的なスタイルではない、むしろ小説的ストーリーテリングの手法に忠実な作風であるが、この個である人物たちの生き様こそがこの作品に息づいている何物かの本質であると思う。



すでにいろいろな版が出ていて入手可能であるが、成り行き上ワタシはこの新装版で揃えようと思う。
なので、早く3巻以降を出してくれ!!>文春さん



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「地球に落ちてきた男」ニコラス・ローグ

2009-01-14 21:31:18 | cinema
地球に落ちて来た男 [DVD]

ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン

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地球に落ちて来た男THE MAN WHO FELL TO EARTH
1976イギリス
監督:ニコラス・ローグ
原作:ウォルター・テヴィス
脚本:ポール・メイヤーズバーグ
出演:デヴィッド・ボウイ、リップ・トーン、キャンディ・クラーク



ウォルター・テヴィス原作のSF小品。
いや、完全版で約140分という長編なのだが、どこかしら小品と言ってみたくなる風情があるのはなぜだろう(笑)


【以下ネタバレでございます!】



この映画の好きなところはですねえ、全般的に「説明不十分」なところですね。
そういう映画は大好きです。
まずもって冒頭からいきなり荒れた丘を細っこい男がよろよろ降りてくる、その男についての説明がまったくないのがよいですね~。少なくともタイトルによって観客は予備知識を持っているわけですが、この映画においてはその知識はまったく邪魔なものだと思うのです。いかにも浮世離れしたこの男はいったい誰?という困惑をもってこの映画は始められるべきなのでしょう。

こいつが誰かはおいおいわかってくるのですが、それも後半になってから。
前半でこいつが怪しげな指輪を20ドルに換金するところから初めて、大企業の社長兼アイディアマンに納まるまでの間は、その謎が続くのです。

謎が解け始めるのは、社長が突如隠遁を始めたかのように見えるところから。辺境に家を立て情婦ところがりこみ、TVの台数が次第にふえてゆき、成功している特許をコダックに売り、宇宙開発に手を染める。
ああ、そういうことなのかと思いつつ観ていると、いよいよホームシックと現地妻(笑)に隠し通すのが心苦しくなってきたことにより、彼女にだけ自ら正体をあらわすわけです。その後信頼できるわずかな人には正体を明らかにするのだけれど、怪しいと思っていたのは彼らや観客だけではなかったようです。ここでも怪しげに「国家」が策謀してきます。国家は彼を拉致し、周辺人物の口風時を行い、彼に対しては医療行為と見せかけた「帰還妨害作戦」に出るのです。このへんの権力の「笑顔の裏に陰謀有り」という戯画的感覚は、どことなくキューブリック『時計じかけのオレンジ』後半部を思い出させます。
財力も技術力も奪われ、身体的アイデンティティである黄色い猫目もコンタクトを蒸着されてしまい失い、地球で愛した女性とも別れ別れになり、結局異星にただ一人降り立った彼は孤独で無力な存在に成り果て、可笑しいことにThe Visitorというレコードを出すミュージシャンになるのです。なんともおかしな結末ですが、この寂しさへの収斂は、なにやら時代の欝とした無力感を表しているような気がしてなりません。寂しい最後を迎えるアンチヒーローものは60年代終わりから70年代によくみられたと思うのですが、そうしたものたちの一環としてこの映画もあるのでしょう。

これまた説明的でないのですが、彼以外の地球の人たちが、登場のたびに老けていくのは見事としか言いようがありません。時の推移を人物の年齢でのみ表しています。老け役を同じ俳優のメイクによってやり通しているのも好感が持てます。同じ俳優がやっているのでうっかりすると見過ごしてしまう。この説明過多にしないぞという製作者たちのひねくれた奥ゆかしさがよく結実した映画でしょう。

いかにも張りぼて的な故郷の回想シーンや、おそらくは性行為を表すウエットな人物の舞踏?などのSF的シーンが、異様なまでにチープなのも不思議です。チープなあまり異質すぎるのです。これがまたこの映画の全体的B級感をかもしだしていい感じです。

異質すぎるのは、異星人を演じるデヴィッド・ボウイの肉体とたたずまいにもいえることですが。あれはほんとに「異物」ですね。彼のたたずまいが実は一番説明的機能を果たしていたのかもしれませんね。映画史に残る異形の人物です。


あと、荒野を生きるものの物語ということでは、同じローグの『美しき冒険旅行』と通じる質感を持っているように思えます。説話に直接与しない荒野や廃墟や路傍のショットなどは、この映画の「荒野感」を担っています。


説明不足、チープ、無力感、異形、荒野、イギリス映画
こんなタグをワタシはこの映画につけましょう。



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「愛の世紀」再観 ジャン=リュック・ゴダール

2009-01-13 21:58:27 | cinema
愛の世紀 [DVD]

紀伊國屋書店

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2001フランス/スイス
監督・脚本:ジャン=リュック・ゴダール
撮影:クリストフ・ポロック、ジュリアン・ハーシュ
出演:ブリュノ・ピュジュリュ、セシル・カンプ、ジャン・ダヴィー他


ゴダール作品の幸運は、ほとんどの作品が世界の何処かしらでしょっちゅうソフト化されていることにあるのだと思う。もはや所在すらあいまいな60~70年代アジビラ映画を除けば、たとえば『ヒア&ゼア』をはじめ『ウラジミールとローザ』『楽しい知識』までが入手しようと思えば入手できてしまうのだ。あんな映画のくせに(笑)

ゴダール作品の悲運は、ほとんどのソフト化された作品もすぐに絶版になってしまうことだ。ここぞというときに入手しておかないと手に入りにくくなってしまう。しばらくすると中古市場に出てくるが、結構高値がつく。字幕作成が恐ろしく難儀そうなゆえか日本版などは大概もともと高価なものなのに、さらに高くなる。見る機会を得るにはレンタル屋にモノが並ぶのを根気よく待つか、高価な中古品を買うか、たまさか幸運にもときおりもたらされる劇場リバイバルを待つか、と、ソフトが出回っている割には見ることがムズカしい。

何が言いたいのかというと特にないのだが、鑑賞する機会があれば迷わず観よう、というのがワタシのゴダールに対する基本姿勢なのです。かなわぬことも多いけれども。
で、なんとか入手が間に合ったこの『愛の世紀』も、ゴダール21世紀の最高傑作ともてはやされた割にはいまやDVD販売は終了しているようで、中古か在庫残を狙うしかないようです。残念なことです。

****

今年1発目の鑑賞作品はこの映画となりました。
実は以前劇場で観ている。

もはや希少となったモノクロフィルムによる黒白の質感と、老練の域に達したカットのテンポとそれに無関係に侵入しては消えてい行く音楽には非常に心打たれたのだけれど、観終わって内容を思い出そうとしてもどうしても思い出せない。

この映画、ゴダールにしては恐ろしくまれなことに、登場人物が非常に筋の通ったことを話し行動する。にもかかわらず、思い出すのは冒頭の噴水の彫刻、小さな絵を交互に示す男の手つき、都市の雑踏、夜のベンチで本を読むゴダールの姿、突然カラーになるときの海の怪しい色彩、深夜の列車を掃除する女性・・・そのような断片でしかない。

ワタシにとってはそれらの断片が雄弁であることがここでの重要なことなのかもしれない。3つの世代による愛の物語を、小説か舞台かオペラかなにかで実現しようとしている登場人物の思惑とその先行きなどとは全く別に、濡れそぼるパリの街路に雨に打たれながら眠るホームレス(だと思う)の冷たいカットが語る無言の物語のほうが突出している。無言の物語に打たれ涙するワタシがいる。
思えば80年代以降のゴダールをワタシはそういう見方で観ているように思う。それはあまりに情緒的にすぎるのかもしれないが。

****

無言劇の突出は、中盤以降の「二年前」とのテロップとともに極度に色処理したカラー画面になって以降は急速に感じられなくなる。映像の不思議。過去であるのに生々しい現前はどうしたことか。
この映画、過去のほうがあきらかに生き生きと現在性を持っており、現在の部分はモノクロであるが故か、記憶の奥底のような抽象性を持っている。
そのせいかカラーパートの記憶はモノクロのそれに比べて非常に少ない。
突出する物語もない。

この映画を時系列に組み直してみるとどうだろうと空想する。
全く違うものになる、というレベルを越えて、もはや映画として成立しなくなるのではないか?
順を追ってエドガーの創作の動機から出会いから並べてみると、それは全く意味のない、説明的プロットになってしまうのだろう。
現在を提示してから過去を提示すること。それをモノクロとカラーで区分けしてみせること。理由はさっぱりわからないが、そうでなくてはいけなかったのだと強く思わせる。それがゴダールの恐ろしさであり、無闇にふりまかれるうさんくささなのである。

******

劇場で1回、DVDで2回観た。
最低でももう一回くらいは観たい。

過去記事


【追記】
あそうそう、この映画中で驚くべきことに、スピルバーグへの言及があるのが妙に浮いている。
ひとつは「スピルバーグ商会」が40年代の物語の制作権を買いたたく、という寸劇。もうひとつは、ぽつりと「シンドラー夫人は一銭も受け取らず南米にいる」とかいうつぶやき。
『映画史』でも徹底的にゴダール以降の映画作家を無視したゴダールだが、ここで思いあまってかうっかりしてか、アメリカのユダヤ人作家の名を挙げている。
『愛を讃えて』(原題)という作品ににつかわしいのかどうか・・?


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今日の天気とは正反対だけど

2009-01-09 23:29:13 | diary
まったく関係ない写真ですが

一応1月5日から仕事に復帰し
最初の週を終えました。
5日間でしたが

すごおぉぉぉおぉぉおおぉぉおく
疲れました
最悪

5日のうち2日くらいは眠くて仕事どころではなく
眠くない日も仕事をしようとしう意欲がまったくわかず

これは気力とか努力とかそういう次元ではないですね
生きる気力というのが枯渇してしまったかのような
根性でどうなるという次元ではないです。
根性なんて言ってるうちは甘っちょろいですよ。

と自分を甘やかしてみる

これも体力回復と慣れと
投薬による症状改善が進めばよくなるんでしょうか??

この生命力の枯渇感は
なってみないとわからない。
断言しよう
どんなに想像しても
こればっかりはわからない。


とりあえず、
気力なくてもいいんだよ
昔の5割くらいの働きで十分だ
脳の化学作用がいかれちゃってるんだ
しょうがない

と言い聞かせて
出勤し、耐え、退社する
これを5回繰り返せば休みだ。。


ふうう・・・
ゆっくり寝るとする。
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aiko liveDVD「DECADE」3月発売だそうです

2009-01-09 03:29:53 | music
DECADE プレミアムエディション(完全限定生産) [DVD]

ポニーキャニオン

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aiko liveDVD「DECADE」3月発売!!
だそうです。
最近やや新作が低迷気味のような気もしないでもないですが、
ワタシはaikoチャンを応援します。

完全予約限定版と通常版と出るそうです。
予約限定?!

内容は・・・
○8月に「サザンビーチちがさき」で開いた一夜限りのフリーライブ
 「Love Like Aloha vol.3」を全曲
○9月のホールツアー「Love Like Pop add.vol.11.5」の「日本武道館公演」と、「大阪城ホール」の模様
○ライブハウスツアー「裏Love Like Rock」の「赤坂BLITZ」公演をほぼノンカット(限定版のみ)

それぞれバックステージの様子や、ゲームを攻略すると見ることが出来る特典映像などが収められている。

だと。


むふふ^^
amazonnだとちょと割引で買えるようですし、がんばって出勤皆勤賞のお祝いに買っちゃおう(まだ皆勤してないのに・・・)


こちらが通常版↓
DECADE スタンダードエディション [DVD]

ポニーキャニオン

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