FLYING SAUCER 1947ハリー細野&ザ・ワールド・シャイネス,細野晴臣ビクターエンタテインメントこのアイテムの詳細を見る |
細野さんの音楽は悦楽と困惑の間にある。
細野さんは、音楽はとても力が抜けていて気楽な印象を与えるが、それをやる姿勢の面では、人並みはずれて突き詰めてやってしまう人であるらしいことは、著書なんかを読むとわかる。
思えば、はっぴいえんどでの最初のチューンで、「アメリカから遠く離れたこの地でこんな歌を誰が喜ぶか?」みたいな歌を披露しているくらいで、音楽もどのアルバムもよくよく聞くととても根詰めたような気分になってしまう。
で、今作はもともと還暦記念CDというのが話の始まりらしく(笑)針を落とした・・・いや、CDが回り始めた瞬間もスットンスットンな脱力リズムで始まるこのアルバム。このお気楽脱力は今の日本のメジャー世界にはありえない。このCD、いったいどうすればいいのかしら?ほんわり楽しめといわんばかりの音だが、それを楽しむことが素直に許されない世界だってことも承知の上だよとも言わんばかりである。
たとえばアプローチのひとつの方向である「40年代カントリー」にしたって、ライナーの対談にもあるように、それは日本から見たら空白の敵性音楽史であるし、この浮かれとんちきな音楽性の一方でマンハッタン計画を準備していたという強烈な事実の光と闇に接するということでもある。
このような屈折を自らの音楽的肉体として内包し表出する一日本人の音楽とは、いったいなんでんねん?
この「なんでんねん?」のところにいくばくかのアイデンティティとかオリジナリティを意識しようとしたのが「HOSONOHOUSE」以降「はらいそ」までのソロだったとするならば、この新しいアルバムは、それとも違う。
オリジナリティもアイデンティティもとうにかなぐり捨てている人の音楽。それはその二つを(建前上)金科玉条としている現代ポップスの中では、想像以上に異質である。
そんな玉条は虚構だよ、とうそぶく人は多いけれど、実際それを捨てたときの異質を自分でも意外なほど享受できない人も実は多いのではなかろうか?
と、そんな思いのアルバムですよ。
***
とか言いながらも、なんだかんだ聞き込んでみると、これは楽しい。一聴して、これは最近のボブディランに似てる。。と思った。音楽からの距離感が似ている。
「BODY SNATCHERS」が好きだな。かっこいい。元ネタはジャック・フィニィの50年代SF古典小説で、4度(たぶん)映画化されている。
「POM POM JOKI」は細野さんよほどお気に入りらしく、「泰安洋行」のほか「Road to Louisiana」でも取り上げられている。
「CLOSE ENCOUNTERS」はアイディア勝ち。未知との遭遇世代には感涙。
「SHIAWASE HAPPY」忌野さん参加の民謡調。このアルバムのなかでは一番落ち着きがいいのがこれかもしれない。日本のトラディショナルとは意外なほど私たちの血縁は濃い。
しあわせ~~はっぴい~~~♪
しかし、ですね、おじいさんがタイタニックに乗っていたというのは有名な話だけど、誕生日がロズウェル事件の日であるというのも驚きだ。細野さんという人はどこまで非凡な星めぐりなんだろか。
あ、そうそう。ベースの伊賀さんとはちょっと話をしたことがある。エレベのブリッジにスポンジを挟み込んでウッドベース風味にする技を教えてもらった。その技はまだ試してないけど。
思えば細野さんの前でベースを弾くのはプレッシャーだろな。
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