Credo, quia absurdum.

旧「Mani_Mani」。ちょっと改名気分でしたので。主に映画、音楽、本について。ときどき日記。

「映画の構造分析」内田 樹

2011-04-28 01:27:43 | book
映画の構造分析―ハリウッド映画で学べる現代思想 (文春文庫)
内田 樹
文藝春秋


映画を分析するのではなく、映画によってバルト、ラカン、フーコーなどの思想をわかりやすく説明することを目的とした本であると、巻頭に宣言されるこの本は、確かに読みやすく、映画が好きならばとっつきのよい本でした。

ただ、導入や前置き的な概説(現代思想における主要問題を噛み砕いたような部分)はそれなりにわかりやすいのだが、いざ映画を分析する節になると、どうも「映画の分析を通じて現代思想を理解する」という実感は得られない感じがする。

バルトの間テクスト論や(疑似?)記号論のサンス・オブヴィ/サンス・オプチュを導入にした「エイリアン」論は、それ自体ではとても面白いのだが、どうもバルトの思想に迫れた感じがしない。

バルトのいう「鈍い意味」を映画における明示的でないメッセ-ジととらえ、明らかな表のストーリーに反するような裏の説話を見て取るという分析であり(具体的には触れないでおく。読んでのお楽しみ)、その裏ストーリーが表の説話のメッセ-ジを裏切るような内容であることを取って「反-物語」と形容してみるのだが、結局はもうひとつの説話次元を見いだしていることに過ぎず、表と裏の違いはその明示性の相対的な違いだけのように思える。

そうして抽出した表裏の物語がたまたま相反する内容を持っているのを「反-物語」ととらえてしまっているのだが、それはバルト的な「反-物語」としての映画の鈍い意味とは少し違うようにワタシには思える。

バルトが記号論を応用してサンス・オブヴィ/サンス・オプチュと言っていた段階では確かにそれは明示性の相対的違いを指しているととらえても間違いではないのかもしれない。
しかし、このバルトの発見?は、ぐずぐずとくすぶり続け、やがては『明るい部屋』での写真論において展開するストゥディウム/プンクトゥムに発展していくものとして見ないと、なんというか、面白くないのだな。

「反-物語」と言ったときには、それはメインストーリーと異なる説話の生成には違いないのだが、その説話はもしかしたら世界で自分ひとりにしかわからないものかもしれない。もしかしたら自分が生涯それに拘泥して行くことになるかもしれない。そういった意味空間の不可逆な亀裂のようなもの、それを指して「反ー物語」というべきなのではないかしら??


ということで、面白く読んだ割にはなんか釈然としないのでした。

フーコーの例の監獄のモデルの引用についても、なんだか唐突な気がするし。

このもやっとした感じは以前どこかで味わったような希ガス・・・・・・
と思いを巡らしていたらたどり着いたのがこの本。

現代思想のパフォーマンス (光文社新書)
難波江 和英,内田 樹
光文社


ああ、そうか、この本の著者のひとりであられたか、と。



やっぱバルトの思想はバルトの著作を読んだ方がいいのかも・・・・




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Quand la femme tient la barre de sa vie N°4-猫沢エミライブ&トーク@TRAUMARIS 行きました。

2011-04-23 03:06:28 | 猫沢エミ
Quand la femme tient la barre de sa vie N°4
-猫沢エミライブ&トーク@TRAUMARIS
2011.4.16sat


ちょっと前になりますが
行ってきました。

震災の後、被災していないのに精神的に疲れてしまって
(エア被災)
ブログる気力がないのですが、
このライブのトークでもやっぱり
震災のこと、それをめぐる東京の人・パリの人もろもろの行動について
阪神淡路のときのボランティア経験のこととか
ミュージシャンがこういうときにやれることとはどういうことであるのか
いろいろと話が展開し
みんなやはりいろいろ考えているんだなと
思いました。

いろいろと思うところあったのですが
なんだか思い出せないのですw
なにを話したっけ?

ワタシの頭の回転速度より話は早く展開していたからでしょうか。


トークはこんなふんいきです



印象にのこっているのは・・・・
阪神のときにまだ支援体制が整っていない段階でのボランティアに参加した方(お客さん)の話。
いろいろな人がボランティアで来るんだけど、
体勢が整っていないなかで支援物資の割り振りとかしているうちに
そういう采配を振るうことができ、信頼を集める人がしだいにリーダーとなっていって
まさに組織が出来上がる過程をみたということ。
いろいろな肩書きを持ってボランティアにくるけど
そういう実力のない人は淘汰されていなくなっていく。
肩書きではなく本当の実力社会がそこにあったと。

それに対比してたとえば今回の震災における政府の対応とか
東電の対応とか
そういうところで偉くなっている人には
どうも本当のリーダーシップを持って実力で信頼を集めてというのとは
違うものを感じるよねえ。

どんなに肩書きや学歴があっても
結局有事のときなどに、人前で愚にもつかない表情で不可解な説明をする。
そこには内容はさておいて、まず人間的な魅力や説得力がまるでないじゃないか。

対してフランスは(フランスがよいので学べということでもないのだけれど)
もう真っ先にフランス人を日本から退去させた。
それは過剰な反応かもしれないが、
フランスという国は、有事のさいはこれだけのスピードで自国民を救いにくるのだと言う
体制とリーダーシップ/判断力を持っていることを
実に効果的に(特に自国内に向けて)アピールしたわけで、
それはサルコジやスタッフの力でもあるけれど、
なんとも心に訴えるものを持っているよな。

日本にはそういうなんというか
動物的な瞬発力や
強く気持ちに訴えようという精神力のようなものが
社会全体に欠けている。

それはよくも悪くもということで
これは猫沢さんが言っていたのだけれど、
フランス人と日本人はそういう点では対極にあって、

フランス人は仕事するにもものすごい集中力でやって
それは夕方定時であがるという明確な目的のためで、
夜は自分のために色恋のために使う。
偉い人に気を使って残業とかそういうことをいっさい考えない。
そういう割り切りが自分の人生を自分のものとして生きるという考えとともに
身に付いている。
そういうところは日本人にはないので、日本から見るとうらやましくもある。

でも一方ではフランスではかゆいところに手が届くような
細やかな気の使い方というのはなくて、
とにかく物事がスムースに進まないことがあたりまえのようなところがあり
逆に過剰なくらいサービスの行き届いた日本の仕事っぷりは
フランス人から見ると奇跡のように見える。

それぞれによいところも悪いところもあるわけだけど
たとえばそういう社会、和をもって尊しとする社会で出世する人間と
個人主義的で皆が生活を謳歌して不満があれば即デモ行進という人々の信頼を得ようとする人間とでは
やっぱりだいぶ違いが出てくるだろうな。



と、とりとめもなく書いて、ライブレポートにかえさせていただきますww
ワタシも「エア被災について」マイク握って発言しちゃったんだけどね~w


*******

出演:猫沢エミ(vo.per)+円山天使(g)+坂和也(kye)
トーク:Sino (illustratrice)

まるさんと猫さん


Noah's Ark
C'est vous sur le pont
PARADOX
Mon petit chat
Attends
私の世界
TABACの森
madrigal
Zo-wa-zo Oiseaux
K
死んだら土になる
Marshmallow-Waltz

The end of the world
Mandarin world


カリンバ


ライブにはいろいろな思いが詰まっていて
その思いの中には
震災で亡くなったかたや失われたものを悼む気持ちも込められていて、
音や歌にそれは伝わってきたと思う。

猫沢さんのふるさとは福島なので
心痛む思いがあることだろう。

曲も生と死を見つめた選曲になっていた。

前半の段階で
猫沢マニアなワタシには
「K」はやるなと確信が持てたし
締めくくりはマシュマロで行くだろう、
アンコールにはマンダリンワールドをやるだろう、とまで読めたのには
自分でもビックリだのよw
雰囲気が曲の記憶を芋づるで引っ張ったのだな



オドロキ的には
「PARADOX」をやりましたね
アルバムBROKEN SEWING MACHINEに入っている曲で
渡辺善太郎さんが作曲ですよね?



キーボード坂さん(のシルエット)



おともだちKさんがついにバンド参加の瞬間!



うりゃっ!



あそうそう、TRAUMARISの方から猫沢さんへ誕生日ケーキが!




猫沢さんのライブ情報などは
こちら
てか、今日もライブあるんじゃん!ワタシはイケナイけれど・・・




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演奏会のお知らせ/バッハ・カンタータ・アンサンブル

2011-04-02 03:42:09 | LIVE告知
こんばんは

このたび下記演奏会にバイオリンにて参加することとなりましたので
謹んでお知らせ申し上げます。

チケットをお渡しできますので
行ってもよいよ!という方は
なんらかの手段により(笑)manimaniまで連絡をください。

*************
バッハ・カンタータ・アンサンブル第31回演奏会
曲目:J.S.Bach ミサ曲ロ短調
2011/5/1(日)13:30開演
行徳文化ホールI&I


詳しくはチラシをクリック





バッハ・カンタータ・アンサンブルのページ

**********

よろしくお願いします。




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