ウクライナの悲しい情勢でありますが、
その事態となる前にたまたま観ていたのです。
リストア版です。
戦争に翻弄された夫婦と周りの人々。
彼らのあり方を淡々と見せるだけの
シンプルなリアリズム。
なぜ彼らは別の道を歩むことになったのか
なぜこんなことにならないといけないのか
戦争の不条理が
声高に指摘されるのではなく
説明されるのでもなく
人物のありようの中に染み込んでいて
それが無言で伝わってくる
主人公の二人の動と静の姿も良いが、
アントニオの母のほぼ無言の佇まいや
イタリアやロシアの人々の朴訥とした存在感や
ロシアで妻となった彼女の純粋な気丈さとか
に染み込んでいる。
そういう虚飾のないやり方を
もっと大事にしなければいけないのではないかと思いました。
一方で極寒の戦争場面はやや象徴的な表現。
小屋に這うようにたどり着いて戸を開けると
人が密集していて皆無言とか、不思議な場面も多し。
こういう映画が伊仏ソ米合作で撮られたこともよく考えないといけないかも。
ひまわり畑はウクライナのどこどこということで、時節的には話題ですが、
作品中では、地理的なこととかここが平和の象徴とか殊更には描かれていない。
さらっと映る。
観る方がそれぞれの思いをそこに映し出す感じ。