パゾリーニ2本、まずは「アポロンの地獄」
オイディプス王の悲劇を題材とした、史劇+現代劇。
まず、言葉の扱い方がとても独特だった。
台詞はほとんど物語の核ではなく、核となる言葉は文字で表される。
つまり映像がすべてを語る。
かっこいい!
しかしこの不毛で異教的な王国の描写はすごい。
音源は日本ぽい笛と太鼓だったり、ケチャだったりするし、
イメージのゴッタ煮が、赤茶けた荒れ地と青い空をベースに繰り広げられる。
ギリシャ神話のイメージからするとビックリだわ。
そして、その歴史劇を通じて、冒頭と終盤でちょっとだけ出てくる現代の世界で
どんなドラマがあったかが暗示される。
終わりのシーンがすごく重みがある。
こんな構造の映画は観たことないぞ!
一つのドラマで二つの世界を描いちゃうなんて・・・
かっこいい映画でした。
アリダ・ヴァリの存在感がいいです。
よくみるとけっこうそうそうたる役者陣。
つぎは「カンタベリー物語」
チョーサー原作の中世寓話世界が、パゾリーニのやりたい放題の腕力を得て、
生々しく雑然と繰り広げられる。
この独特の質感はなんだろう。すべてが薄汚れ、じめじめして、古ぼけて貧相だ。
この質感を貫ける力量はさすがだな。
8つくらいの挿話からなっている作品だけれど、挿話間の区切りはあまり明確でない。
チョーサー本人が狂言回し的に登場して、なんとなく次の挿話へ移っていくのは
面白い。
話が進むについてれどんどん猥雑さと下品さに磨きがかかり、
最後に行く地獄のシーンは見物だ!
これまたなんだか異教的な風情。
この地獄のあと、いきなりFIN!というあっけにとられる終わり方も、
パゾリーニっぽいのかもしれない。
しかし、観た版がボカシだらけだったので残念。
無修正だとやっぱり伝わる物が違ってくるだろう。
パゾリーニ面白いです。
もっと前に観たかったなー