Credo, quia absurdum.

旧「Mani_Mani」。ちょっと改名気分でしたので。主に映画、音楽、本について。ときどき日記。

「ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン」ピーター・トライアス

2018-05-15 01:02:20 | book
ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン 上 (ハヤカワ文庫SF)
クリエーター情報なし
早川書房


ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン 下 (ハヤカワ文庫SF)
クリエーター情報なし
早川書房




ディック「高い城の男」の精神的続編と自称?ということで、
読まずには置けません的なピーター・トライアスの小説。

ディックの設定をほぼベースにした世界で、
「高い城の男」のその後の時代を描いているのだが、
その進化というか変化の方向はなんというか、21世紀日本向き。。。

サイバーパンクの後にゲームやロボットアニメの感覚を取り込んで
なんとなくどこかで見た感じのあるノリで進んでいく。

日系の軍人であり忠誠心もなくはないが、
複雑な出自を持ち、どこか醒めた現実認識を持ち、
無能な側面を発散しながらも一点突破的にやたら優秀な資質もある。
大切なものを守ろうとする気質を持ちながら、クールで諦念とともに笑いながら賭けに挑む。

みたいな、ピントの定まらない人物像をどんと中心に持ってくるあたりも非常に現代的。



てことで、よく考えられた設定や、想像上のテクノロジーが帰結する現実をしっかり描写する腕は大したもんであるが、
まあなんというか、若い作品て感じはしたな。。

いったい何が正義なんだよ?という葛藤はあるが、
そもそも正義とは何なんだ?と考える俺は一体何者なんだ?
みたいなディック的問いの続編ではないと思いました。


読後感がマルドゥックに似ている。。。。



一つだけ具体的な難癖をつけるとすると、、、
昭子さんが「左手はやめろ」っていうところは、
えーと、作者はバイオリンを弾く人ではないんだろうと思いました。
(本当のところは知らん)
左手が最重要みたいな考えは、バイオリニストは抱かないよねえ。。。


エンタメ読書には最適。
楽しくあっという間に読み終える。


↓こちらは銀背の新シリーズ版の同書
ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)
クリエーター情報なし
早川書房



最近さらにこいつの続編が出たので、そのうち読むです。
(こちらも銀背と文庫の2バージョンで出てますね〜)

本書と著者については
大森望先生によるちゃんとした解説がありますので、
そちらもぜひ。


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MISIA20180428横浜アリーナ行ってきました。

2018-05-10 01:29:20 | music
久しぶりにMISIAのライブに行ってきました。
20th ANNIVERSARY THE SUPER TOUR OF MISIA Girls just wanna have fun 最終日

最近のアルバムには今ひとつハマっていなかったのですが、デビュー20周年てことだし行くか。
と思ったんですが、結論的には、予想の256倍くらい楽しんでしまいました!

アリーナ花道横4列目といういい席だったせいもあり、
等身大MISIAが目の前を走り回るもんで、おじさんはもう感涙w

もう20年近く応援しているので、何というか、
親類の小さかった女の子が頑張ってここまできたみたいな心持ち(笑)
応援っても別に大したことはしていないのでいいきなもんであるがw


なにしろ冒頭、DJで引っ張って十分場を温めたところで(演出も心得たもんですなw)、
がーん!とinto the lightで登場するんだもんな。
いきなり大感涙。

こうして聴いていくと、やはり特別な曲ってのはあるよね。
into the lightもそうだけど、the glory dayとか陽の当たる場所とかbelieveとか。
知ってる〜っていうのを超えて、神々しいというか、細胞が反応してしまう。


席のせいか、音がとても良かった。さすがにベースあたりがクリアというわけにはいかなかったが、
特にボーカルはすっきりと自然によく通って、繊細かつダイナミックな歌をよく伝えていた。
歌が豊かにありありと目の前に?伝わってくるのが感動的。

技術をつぎ込んだ音作り。

バンドも一流。以前も一流だったけど、どこか仲間感のあるチームでやっていたが、
今回はもうひと回り超越的にスケールアップした感じ。
主にニューヨーク勢からなるジャズチームがいるせいもあるが、
とにかくドラマーが人間離れした精緻さなのがその印象を作っていたと思う。

「来るぞスリリング」などで、客席の手拍子が迷子になるくらいの
凝ったリズムパターンをまったく乱れなく叩き出すのは圧巻よ。

音楽は下手なことは問題ない、と日頃思っているが、
やはり上手い演奏というのは心に迫るというのもそのとおりだと思ったわ〜


中盤のしっとり系が続くところもよかったな。
ちょっとクールダウンのための長めのインストの後、
多分あの曲が来るだろうという雰囲気を高めて始まったあの曲。タイトルなんだっけ?w
冬の歌。

あれ好きなんだよねー。
フライミートゥーザムーンに似てるって?気にしない気にしないw

あと以前よくやっていたダンシングメドレー構成が今回はなかったのも好感。
曲の1/3くらいやってさっさと次の曲行って、
ビートはずっとおんなじみたいなメドレーは好きじゃないのよね。
1曲の中にドラマや起承転結を盛り込んで作ってあるのだから、
1曲をちゃんと全部やる方がよいわよね。


それと、ダンサーが2チームいて、片方は音楽系というかビートにのって踊る系で、
もう片方はアート的なダンス。

ゴージャスだわ。



リボンが発射されるとかアリーナ中を風船が舞うとか、ありきたりといえばそうなんだけど、
大きな空間で体験すると、夢のような空間なんだよね。
素になって空間を受け止めた。

まあお金をつぎ込んで夢空間を作り上げるディズニーランド的な楽しみではあるね。

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