Credo, quia absurdum.

旧「Mani_Mani」。ちょっと改名気分でしたので。主に映画、音楽、本について。ときどき日記。

チェンバロでした

2010-09-28 02:50:04 | ちぇんばろ
というわけで、雨の降る2010年9月23日に
我が師匠一門による
チェンバロ演奏発表会がありました。

小さい会場でしたが
音の響きはよく
楽器もよく鳴る楽器で
なんというか
いつもの5倍くらい遠くに伝わっていそうな音がしました。

今回は前述の通り
バッハの平均律第2巻12番
主にプレリュードが醸し出す
「冬の日の薄日」感をなんとか現出させたい!
ということをメインテーマに頑張ったのですが、
午前のリハの感じはなかなかいいでないですか!という風で。
幸先よく。

板紙A4三枚を連結した楽譜立てには
緊張防止用にユニクロでもらったチョッパーのステッカーを貼って。
このチョッパーがなんとも間抜け面でいいんですよねー

お昼はちかくのマックでだらだらして
やはり近所のマルエツでメロンパンを買ったりして。
で控え室でもぐもぐしたりして。

このメロンパンは本気にメロンの香りを出そうとしたものらしく
なかなかのものでした。

とかいっているうちにあっというまに
本番時間になり。
ワタシは12人中5番目の登場でした。

なるべく天上と魂を繋いでいる音楽のことだけを考えるように努め
ほとんどそこにいながら別世界にいるような人間になりつつ
プレリュードを弾き始めると
緊張しつつもなんとなく指が意のままに動き
結果としては、今の自分で望める最良の演奏ができたように思えます。

これは感覚としては
自分人前演奏史上最高に上手く行ったって感じです。
録音したものをきくとどうかわかりませんが
このプレリュードでこの日はもう満足です。

プレリュードを上手く弾いてしまったものだから
次のフーガのときは、「これも上手く弾かねば」と思ってしまい、
そういう邪念を抱くと大概失敗するもので、
フーガは指がこんがらがってつっかえつつ転がるように終わってしまいました。

フーガもまた音楽にただ向き合えばよかったのですけどねー
これはできることならやり直したいですね。タイムマシンで戻って。


ということで、
すばらしき思い出となった発表会でした。

こんなヤツでして


終了後片付けを手伝いつつ、流れで
師匠夫妻のお茶タイムにお邪魔虫でついていき、
そのまま打ち上げ会場へごいっしょしてしまいました。

打ち上げもなんとも楽しいというか
上品というか
みなそれぞれまったくつながりのない人が
チェンバロを習っているという一点だけでつながって
その場にいること
その不思議をみな感じているようでした。

酒類がみなアルコール薄いぞ!とかいうクレームもあったようではありますがw
それはそれで。


よい時を過ごしましたのさ、
という報告でした。




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バッハ平均律クラヴィア曲集第2巻第12番へ短調

2010-09-23 00:56:46 | ちぇんばろ
バッハ:平均律クラヴィーア曲集第2巻(全曲)
レオンハルト(グスタフ)
BMG JAPAN

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今回はなんでピンポイントで平均律第2巻の12番なのかというと
明日(いやすでに今日)ワタシはチェンバロの発表会で
この曲を弾くことになっているのです。

内輪の会とはいえ鍵盤楽器はもう完全にアウェー感満載で
ききききき緊張するなあ^^;

平均律第2巻を選んだのは、単に最近はこれのレッスンを受けているから。
で、12番にしたのは、
●フーガが3声だから(笑)
●割と長めなのでこれ1曲でお役御免となるから(笑)
●曲が好きだから(これは笑わない)

特にプレリュードは好きな人が多いみたい。
それはもう憂いを含んだ曲調で、バロックの憂いの修辞法をしっかり用いている。

冒頭から八分音符のテーマが「ため息の音型」の連続で、
その下では「十字架音型」のバスがゆっくりと歩みを進める
といった感じです。葬送の歩みのよう。

それでも中盤16分音符でアルペジオがおずおずと動き出すと
そこになんともロマンティックな風が吹いてくるんだよねー。
7度とか減7度とかを含んだ和音が動いていくところは
それはもう魂抜かれる系の体験で。

ロマンティックといっても絢爛豪華なロマンじゃなくて
過ぎし日を思う冬の朝の薄日~みたいな?w
何も動くものはなく、魂だけがすっと永遠の世界と繋がっているような

この感じ、この感じの曲はほかにもあるよねえ?
と思い起こしてみると、
●平均律第1巻の同じくf-mollプレリュード
●シンフォニアの同じく3声f-moll
●オルゲルビュヒラインの「Ich Ruf zu Dir, Herr Jesu Christ」Bwv639
他にもあるかなあ・・・
見事に3曲ともf-mollなんですね~~

まちがいなくバッハはそういう曲はf-mollで、というかf-mollならそういう曲、つって書いてましたよね。
(バッハは平均律で調律していたのではない、調性の「民主化」の開拓者なのではないのだなと、こういうところでもわかりますねー)

というわけで、
冒頭にはレオンハルト大師匠のCDを掲げてみました。

明日はこの「冬の日の薄日」を醸し出すべく心身を捧げ、
間違っても、大勢の前で弾くとか間違ったらどうしようとか緊張するよなとか
そういう個人的な些事からは遠く離れて
ただ音楽のために弾くんだもんね。

もんね。
(どきどきどきどき)



****

BWV639というのはあれですよ
タルコフスキー「惑星ソラリス」のあの曲ですよ。
思えばバッハに接近したのもあの映画がきっかけだったかもしれません。

オルガンコラール前奏曲集である「オルゲルビュヒライン」に入っている曲です。
オルゲルビュヒラインの入ったCDは、おそらくワタシが最初に買ったクラシックのCDだったと思います。

J・S・バッハ:オルガン作品集 第3巻 (2CD) [Import]
Hans Fagius
Bis

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惑星ソラリス [DVD]

アイ・ヴィ・シー

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「ブラームス交響曲第2番」バルビローリ+VPO

2010-09-18 16:01:01 | music
ブラームス:交響曲第2&3番
バルビローリ(ジョン)
EMIミュージック・ジャパン

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「ブラームス交響曲第2番・第3番」バルビローリ+VPO

なんか最近ここクラシック音楽ブログになってきたなあ。



ワタシが勝手に考えているブラームスの特徴の一つは、「キャラが立たない」ことなのだが(笑)。

もちろんほぼ例外なくブラームスの作曲したものには濃厚にブラームス印が押されていて、その意味では十分キャラ立ちしているのだが、ここで言わんとするのはですね、曲に聴く人にまちがいなく明確に伝わるような目だったモチーフとかメロディとかが少なく、どちらかというとメロディなんだか経過句なんだか和声なんだかわからないモチーフがずっしり積み重なって、結果としてはなんかすごい全体が出来上がっている、という曲が多いと思うのだ。

交響曲第1番などはむしろ例外的で。特に第4楽章のあのホルンのアルプスなモチーフや、ベートーヴェン第9を想起せずにはいられない弦のテーマは、それはもうキャラが立っていてわかりやすい。そういう点も含めて第1番は代表作となっているのだろう。

しかしそれ以外の曲をずらりと並べてみると、むしろそういうキャッチーな箇所を有する曲は意外と少ないような気がする。
室内楽曲の(ジプシー起源の楽章を除く)ほとんどがそうだと思うし。交響曲第3番の第3楽章などは立ちすぎで心なしか浮いてしまっているような気がするほどだ(笑)

どちらかというと、茫洋とした旋律群でしかしかっちり構成された全体を楽しむしかないような曲が多く、それがまたブラームスの「重厚で渋い」と形容したくなっちゃう魅力を形作っているだろう。

で、交響曲第2番は、キャラ立ちしない曲の代表例ではないかなと思う。いちおう構成としては明確に第1主題だの第2主題だのとちゃんとあるわけなんだけど、なんかこう、メリハリがないというか。
ブラームスの「田園交響曲」とか呼ばれてしまうような全体のほんわかした雰囲気も茫洋な感じに一役買っている。

まあ、ワタシだけがそう感じるのかもしれまへんけれども、そんなこともあって、若い頃は「なんだかピンと来ない曲だよなあ」とスルーしがちだったのですね。第2番。


それでも繰り返しというのは面白いもんで、しばらく聴いてみて交響曲第4番に俄然開眼したあたりから徐々に、茫洋たる構築物を楽しむ快楽に目覚めて、「キャラ立たないブラームス」が妙に好きになっていき今日に至るわけです。

で、そうなるとこの第2番も俄然好きになっちゃんたんですな。
特に最近は2番大好き期なのです。

よく聴くと謎めいたフレーズも実によく考えられていてう~ん!とうならざるを得ず。お得意の小節線を飛び越えた変拍子感も随所にでてくるし。
2楽章や3楽章は渋いなかにもはっ!とするようなロマンティックな瞬間がありステキだ。聴けば聴くほど味のあるってやつですな。
全体ががっちり関連していてムダがない。(別にムダがあってもいいんだけども)

これだけかっちり構築されたものをブラームスは1年くらいで書いてしまったという話で、それもまたびっくりであるのです。




今回はイギリスの指揮者バルビローリの残した1967年の録音で、一言で言うと優しさに満ちた豊潤て感じ。
たっぷり歌い上げるのだけどそれがあざとくも下品にもならず、実にいい気分。フルトヴェングラーやワルターのような強烈な個性を聞かせるのとはまた違った奥ゆかしいロマン主義。

最近の傾向は、楽譜に忠実かつ中庸な表現が主流だと思うが、そういう演奏もワタシは好きだし評価もするのだけれど、でもバルビローリのような演奏もまた大好きだ。
音楽は本来こうやって奏でる音のもつエネルギーや抑揚が人の心に響いていくところに成立するもので、歌いたいところは豊かに歌ってみるとかそういう自然な感情の高ぶりを持つ演奏も、結果作曲者の意図したものと多少違ったとしても、再現芸術の面白さとしてまた十分ありなのだ。

こういう演奏習慣が廃れてしまうとしたらそれはそれでなんだかさびしいな。
ということで、今だからこそ音楽を考えるために聴く音楽。



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「ベートーヴェン交響曲第5番(DVD)」インマゼール+アニマ・エテルナ

2010-09-16 00:30:14 | music


「ベートーヴェン交響曲第5番(DVD)」インマゼール+アニマ・エテルナ


インマゼール+アニマ・エテルナによるベートーヴェン交響曲第5番演奏の映像。
彼らの演奏を観られるということはもちろん、「ロプコヴィッツ伯邸のホールでのプライヴェート・コンサートを再現する試み」ということでロケーション的にも見ごたえがあるのだが、なんといってもワタシ的には、ベートーヴェン時代の古楽器がずらりとならぶ姿と音が魅力的。
この魅力はなにやら理屈を超えたところにあって、こんなにも病的にわくわくしてしまうのはいったいなぜなのか、自分でもわからんのですが。

あのリコーダーチックなフルートの音色、ヴィブラートをあまりかけないまっすぐなオーボエの音、高域と低域しかないような野蛮な(笑)ファゴットの音なぞ聴くと、もうわくわくがとまらない。
管がくるくる巻いてあるだけのナチュラルホルンや、むやみに長いトランペットとかもいいねえ。

弦楽器群も視覚的になるとまた面白い。目立ったところではまず弓がモダンとは違うし。バイオリン、ビオラはみんな肩にのせて左手で楽器を支えている。顎ではさんで固定していない。よくあれで弾けるな。コンマスなどは、楽器のうえの顎の位置が通常の反対側にきちゃってるくらいで。
チェロもあの「地に足が着いていない」やつで(笑)楽器もかなり立てるように構える。

そういう視覚的快楽はさらに、演奏者たちのとてもヴァイタルな演奏態度によって感動的だ。みな体を動かし元気いっぱいだしピリピリした集中力を感じさせると同時に笑顔も見せる。かっこいいなあー。

モダンオケの感覚でいくと、管楽器に対して弦楽器が少ないと感じるのだが、出音ではバランスに問題がない。観ると弦楽器はかなり弓使ってばりばり弾いているので、そういうこともあるのかもしれない。

演奏は例によってテンポの速い粒のそろったもので、この緊密さが集中力のある元気さから生まれていることがよくわかる。できることならこのチームに混ざってベートーヴェンを弾いてみたいものである。

つうわけで、演奏がどうこうよりももう快楽に酔ってしまってねー。


****

このDVDにはドキュメンタリーも収録されているが
そちらはまだ観ていない。そのうち書くかも。

そしてアマゾンではどうも取り扱っていないようで
いつものところではないとこにリンク貼ってます。



ところで【私信】

りつかさーん

元気にしてますか?
ここ見てたら、かつ気が向いたら
反応してくださいーー





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「ブラームス:交響曲全集(DVD付)」サイモン・ラトル+ベルリンフィル

2010-09-14 02:31:08 | music
ブラームス:交響曲全集(DVD付)
ラトル(サイモン)
EMIミュージックジャパン

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「ブラームス:交響曲全集(DVD付)」サイモン・ラトル+ベルリンフィル

最近ずっと聴いていたのがこの全集でして。2009年発売のほやほやの全集。
内容は一言で言うと「ザッハリヒカイト」という感じで、楽譜にとことん忠実に、余計な抑揚は極力つけずにストイックな情感をこめたというところですかね。

フルトヴェングラーのブラームスで育っちゃったワタシとしてはもちろんラトルの演奏に物足りなさは感じないわけではないですが、逆にフルヴェンさんがいかに自由に曲を我が物にし飛翔した存在だったかをつくづく知ることにもなり、そういう面白さがあります。

それにこのストイックな演奏も、よく聴くとなかなか熱のこもったところもある。第2番の2楽章テーマのなにやら濃厚なコーヒーみたいな渋さとか、4楽章のミディアムテンポながら音圧とグルーヴを維持し続ける感じとか、なかなかいい具合である。

派手な表現はわかりやすく伝わりやすく、そういう面はほとんどないので、音楽で激しく感動したり心揺さぶられたりしたい人にはまったく薦められないのです。
だけれど楽譜の本来持っている情熱のようなものを知りたい人とか、あるいは自分で演奏をする人には向いているかもしれない。スコアを見ながら聴くと、あ、ここはこういう指示なのかーと改めて自分の見落としに気づく。そういう感じで、ワタシはこの全集は結構気に入っているのです。

ひとつ気に入らない点があるとすると、フォルテからフォルテッシモのクレッシェンドの時に、クレッシェンド開始部分で音量をふっと下げるとこですかね。クレッシェンド効果は高まるのですが、そこはやはりフォルテのままさらに大きくなって欲しい。それを正直に書いちゃうチャイコフスキー張りに、気持ちではfffffくらいまで気張って欲しいな。
(最近この手法はよくきく気がするけど、はやっているのかな??)

あともうちょっと弦が太く聴こえるといいな。特にビオラが埋もれ気味で残念。これはこれまた最近はやりのバイオリン対向配置のせいなのかもしれないが。

全曲DVDのおまけがついているのもうれしい。音の処理は悪い気はするが、とにかく動くオケをみるのは楽しいからいいのだ。

****

弦の音がいいのはベーム+ウィーンフィルのブラームスだと思うけれどどうだろう。解像度がよく表情が伝わってくる。ちょっと伝わりすぎかも。その代わり木管がちょっと沈み気味。
オケの録音のMIXは大変なんだなあ。。。


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ブラームス「ピアノ協奏曲第1番+ピアノ四重奏曲第1番」ラトル+バレンボイム+BPO

2010-09-12 05:36:53 | music
Piano Concerto No 1 / Piano Quartet No 1 [DVD] [Import]

Euroarts

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ブラームス「ピアノ協奏曲第1番+ピアノ四重奏曲第1番(シェーンベルク編曲版)」ラトル+バレンボイム+BPO(DVD)

2004年のベルリンフィル「ヨーロピアンコンサート」の模様を収めたDVD。アテネの野外劇場(ヘロデス・アッティコス奏楽堂)での、青空の下開放感あふれるライブ。

なにしろときおり鳥のさえずりが聴かれるし、演奏者の譜面が風でめくれそうになるし(笑)
お客さんも石造りの半円形の急斜面ベンチ席にクッションを敷いてぎっしり。あのクッションは何枚あってどこが所有して普段はどこに収納されているんだろう??とかいらぬことを考えてしまったりする。
演奏の背後に写るお客さんも野外なせいかときおり隣の人とひそひそ話してる人もいて、なんか開放的。

でも録音はしっかりしていて、バランスもよくかっちりミックスされている。画面の開放感と音のよさがミスマッチで最初はとまどってしまう。
そのうえ曲もよりによってブラームスでしかもピアノコンチェルトのしかも1番という(笑)重厚な曲想はまたこの野外の開放感とはなんともミスマッチなんだよねーー

そのミスマッチのめまいに慣れてくると、演奏はなかなかよいと思う。カメラも結構台数があるようで、いろいろなアングルから演奏者や会場風景に迫る。演奏者はみな生き生きとしてよく歌う。こういう生命感があるよね欧米のオケって。全体の調和の中でも個人個人がはっきり主張し生きているという感じ。

バレンボイムのピアノは他と比べてどうかはわからないが、抑制のきいた手堅い演奏かな。1楽章の長い長いオケテーマのあとにそっと入ってくるピアノが好きですね~。


シェーンベルク編曲版のほうは、ものすごく久しぶりに聴いたので、ほぼ初くらいなもんですけど、なんというか、かなり華々しい曲に仕上がってますねー
たくさんのパートが大体常になにかしらやっているというイメージで、楽しめるのだがちょっとせわしない感じもなくはない。
ブラームスらしい静謐な瞬間ももっとあっていいのかもしれない。
もともと室内楽編成なのでモチーフの素材としては少なめなんだよね。それを大編成で使いまわすので、音数が多いわりにあまり多層な感じにはならないのもちょっと物足りない点。

演奏は、指揮者のラトルが暗譜で指揮台なしで振るので、その動きがもはやダンスの域なのが面白い。管も弦も早いパッセージをカリカリときっちり合わせて出してくるのはさすが。やっぱりうまいよなーベルリンフィルは。



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ベートーヴェン交響曲全集・序曲集 インマゼール&アニマ・エテルナ

2010-09-03 00:36:32 | music
Complete Symphonies

Zig Zag Territories

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ベートーヴェン交響曲全集・序曲集 インマゼール&アニマ・エテルナ
(2008)

20世紀末から21世紀初頭を生きてよかったなと思うことの一つは、クラシック音楽の演奏における「古楽」の充実を聴くことができることだよなあ、と時々思う。

個人的な印象に過ぎないのだけれど、50年代から70年代くらいの古楽はまだカオスな感じで、主流だったロマン主義的重厚壮大な演奏習慣に対するカウンターカルチャー的な面が強いものが多かったように思う。

作曲者の意図に忠実な響き。楽譜と作曲当時の演奏習慣と楽器の研究に基づく「オーセンティックな」演奏。そういう御旗を振りつつ実際のところ十人十色のセンセーショナルな演奏を披露して我々をビックリさせた。

とりあげる作品もバッハからそれ以前という感じで、時代が古くなるほどその演奏の「正当性」は怪しくなり(笑)、内容もフォークロアなものや即興演奏など、アカデミックな世界からはみ出した活動が目立ったのもそのころ。

それはそれで大変面白く楽しんだので好きなのだが、80年代以降は研究内容も演奏技術も洗練されてきて、ぐっと充実した感じがする。

古楽陣営の水準が上がったということもあるだろうけれど、古楽の内部で「オーセンティック」の旗印は所詮は文献調査と楽器からの類推と、それらの解釈の結果に過ぎないという相対的な自覚を真摯に持ち始めたことにも充実の理由があるように思う。

研究的態度から演奏スタイルを見出すというやり方が、実は現代的な演奏習慣なのだという自覚は、いにしえの響きを求めるとともに現代的な音楽を作るのだという発想につながる。音として現在を切り開けるのか、というあり方。

一方でそういう意識の変化は、「古楽でない」側にも影響する。
19世紀の音楽だって今や当時の演奏習慣を知ることは難しい。伝承による習慣から、それを含めた批判的な研究に基づく演奏へ。そういう意識の上では古楽もモダンも同列なのだ。両者間の垣根はおそらくなくなったといってよく、抗うべき権威もなく、ともに現代の演奏として同じ土俵で演奏し聴くことができるようになったのだ。

歴史の発明と「クラシック」の成立によって整理体系化されてきた音楽は、その整理の成果を踏まえたあり方「響き方」を模索する「批評の演奏の時代」というメタレベルに入ってきたのだろう。(??)

****

と、適当なくせに長い前振りはさておき、最近の古楽勢の成果の一つがこのインマゼールとアニマ・エテルナによるベートーヴェン。

新ベーレンライター版にさらに独自の研究成果を加えたという版については、ワタシの耳では全然判別しかねるので他に譲るとして、聴いてみたうえの特徴といえば・・

まず音色が印象的。
古楽器であるせいか管楽器は全体的にまろやかで丸い感じ。しかしファゴットやホルンなどはノイズを含む素朴な響きも。ティンパニは締まった「革」の音で「ばーん」というより「ドン!」という印象。弦楽器は・・・形容が難しいが・・・ヴィブラートを用いない倍音の少ないまっすぐな音。そして人数が少ないこともあり像にぼやけた感じがない。

それとテンポ。「ベートーヴェンの書き込んだメトロノーム指示って早すぎね?問題」ってのはいにしえからずっとあるのだけれど、他の多くの古楽勢と同様にここでも指示通りに速いテンポが採用されている。揺れもほとんどない。

ダイナミクスも振幅が大きめで、これもデジタルな扱い。フォルテに向けて自然に大きくなったり溜めたりはしないで、突然ガツンとフォルテを聴かせる。

編成も小さく、弦楽器は管楽器とのバランスがぎりぎりな線まで少ないようである。弦が少ないことで高速かつ粒のそろったぼやけないアンサンブルが成立しているように思える。

そんなわけで、丸めで倍音の少ないストレートな音で、きっちり縦の線をそろえ、高速でメリハリの聴いたベートーヴェンが提示される。
凝縮され骨格のはっきりした音楽という印象だ。

こういう音はワタシは基本好みなので大筋ウレシイのだが、演奏としてのよさという点では、曲によって大分違いが出ているように思う。

5番などはいい感じになってると思う。もともと骨格しかないような曲だし(笑)ストレートに八分音符が積み重なって構築される1楽章はなかなかスリリング。
6番も意外にいい感じがする。全然牧歌的でないけれども(笑)

7番と9番がちょっといまいちな感じ。演奏にグルーヴィーなところがなくて推進力に欠ける気が。9番の4楽章は演奏の問題もあるが、方法論がマッチしていないというか、ベートーヴェンのなかでも他の曲にはない世界にはみ出ちゃってる楽章だということかもしれない。3楽章もそうなのかも。

その他の曲は・・・聴いてのお楽しみということで。
あとあれだ、解説が分厚く面白いので、日本盤を入手することをおすすめする。
(といいつつ、上のリンクは輸入ものなので要注意w)

*********

ちょっとぐぐってみたら、あるブログではワタシと正反対の感想を述べていた。
それはもうみごとに反対で、えーと、「5番が一番つまらなく6番もそんなによくない。7番は特に終盤よく、第9の4楽章が面白い」という感想でした(笑)

よくまあこんな相反した意見が出るなあと感心する。
音楽はこれだから面白いのだな。



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