4K完全無修正版公開ということで、
行かざるを得ず。
過去のリバイバル時も観る機会を逸していたので、
全くのお初でした。
4K版になるにあたって、どの程度の修復があったのか、
もしくは無かったのか?
など、プログラムにも公式サイトにもその辺りの情報があまり無い感じ。
せっかくこの機会にプログラムつくるのであれば、
そのへんの事情も載っていると面白いのであるがちと残念。
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もしかしたら4Kになったことにもよるのかもしれないが、
撮影と編集がとてもしっかりしていて、
予想以上に骨太な印象。
ゴミ処分場の辺境感というかスティクス感が、絵として立ち上っていたと思うし、
そこに出来た池の、美しくも汚くもあり
幸福なようなどん底のような、天国のようの地獄のような
てな感じが、色彩や質感としてあらわれていると思ったり。
その辺境にポツンとある酒場なんだかの見た目もとても良い感じだし、
その内部から掠れた文字の書かれたガラス窓越しに外を写していると
そこに彼らの汚れたトラックが迫ってくるアングルとか
良い感じ。
ちょっとハリウッドか、あるいは
アメリカンニューシネマに大資本も手を出したみたいな
本格的な質感がある。
あの気色悪い不吉なポリ袋を彼がずっと持っているのは、
こういうことのサブリミナル的な前振りだったのかーとか
なかなか考えられている。
一方で、というか、
いろいろ考えられているにも関わらず(?)
そこにつぎ込まれるのは直感的なというか本能的というか
宿痾みたいな生のあり方で、
これぞゲンズブール。
ということで、つまりポリコレにこだわる方には辛いかもしれません、と。
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エンドクレジットでジリアン・ジル?とかアレン・デイヴィッド?とか
そういう感じの名前が続けて出てきたので、
なんかGONG臭い感じがする(笑)まさか変名で出てるとか?
と思ったので少し調べてみたところ、
全然そんなことはない模様(笑)
アレン〜と思ったのは、Alain Davidさんで、
本名(かどうかはわからん)はDavid Gabisonというらしく、
ポランスキー「テナント」にも出ているそうです。
あとあのちょっと怪しい感じのするワル一味の若者は
すごいどこかで見た感じ〜と思ったら、
パトリス・ルコント「仕立て屋の恋」のあの人だそうですよ。
ただ彼のような不気味な端役というのは、
アメリカ映画とかマカロニウェスタンとかにはしばしば出てくるような気がする。
あるいはブアマン「脱出」みたいな。
そういう色々な印象を背景にした「みたことある〜」だったような気もする。
不気味と言えば、ジェラール・ドパルデューが不気味
なんだけど、馬連れてたりしてどこか虚構の安心感みたいなのもある。
とりあえずは今は奴は気にしなくて大丈夫みたいな笑
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サントラCDを持っている気がするのだが、発見できません。。
サントラは歌のないインストのみで構成されているのだが、
あのサウンドとメロディだけで完全に連れて行かれてしまうのがゲンズブールだよなあ。
「アンナ」のときも思ったけど、あの力はいったいなんなんだ・・・
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「ゲンズブール」か「ゲンスブール」か、はたまた「ゲーンズブール」か?
のようなカタカナ表記どうする?というのがありますが、
映画プログラムの監督名クレジットが「ゲンズブール」なので、
ここではそれにしました。
プログラム内でも執筆者によって表記が違っているし、
フランス語の発音としては〜とか、曲中での彼自身の発音では〜とか
いろいろあって正解はあるようなないような。
@k's cinema