Credo, quia absurdum.

旧「Mani_Mani」。ちょっと改名気分でしたので。主に映画、音楽、本について。ときどき日記。

La Voce Del Violoncello-Solo Works of the First Italian Cellist-Composers

2014-09-15 22:37:09 | music
La Voce Del Violoncello-Solo Works of the First Italian Cellist-Composers
クリエーター情報なし
Passacaille


チェロをすこしがんばって練習しようと思い、
気分を盛り上げるために購入してみました。

1665年頃から1750年頃までのチェロの黎明期に書かれた
チェロのソロのための曲を集めた録音です。

チェロという言葉が文献上出て来るのが1665年頃ということですが、
それがどういう楽器を指していたのかはよくわからないところで、
楽器の大きさ、調弦、構え方、弓の持ち方などは、
いろいろなスタイルがあったようです。

この録音でいわゆるバロックチェロで演奏されていて、
曲によって変則チューニングを用いているようです。

無伴奏のものもあれば通奏低音あるいは伴奏を伴ったものもあり
多彩で豊かな曲が並んでいて
練習意欲はそれはもう高まり。

楽譜欲しい!
探してみよう。

どれも魅力的なんだけど、特に
ジュゼッペ・マリア・ダッラーパコ(1710~1805)の作品は深みがあっていいですねー
バッハより少し前の時代だけど、
バッハの無伴奏に比肩できるソロ曲がいくつか収録されています。
楽譜ほし~

チェロ好きな方にはオススメ物件です。

マーキュリーから日本盤(というか日本語解説付きのもの)が出ています。



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「ボブ・ディランは何を歌ってきたのか」萩原健太

2014-09-14 02:13:32 | music
ボブ・ディランは何を歌ってきたのか (ele-king books)
萩原健太
Pヴァイン


こういう本を読むと必ずや温故知新的な散財が運命付けられるわけだが、
今回もやはり読後にディランの古いアルバムを何枚か買ってしまった。

ディランはライブとアウトテイクに凄いものがあるというのがまあ定評なんだけど、
しかしこの本を読むとブートレグシリーズも踏まえつつもオリジナルな?アルバムが欲しくなる。

ボツテイクが凄いのがディランならば、どういうわけかその迫真のテイクを押しのけて
凡庸な出来のものをアルバムに収めてしまうのもまたこのうえなくディランらしい彼の痕跡なのだ。

だいたい、ものすごいものを残さなければならない、すごいものに価値があるという考えを、
ディランは持っていないのではないだろうか。
広範なアメリカンミュージックをルーツとして、自らもその系譜に立つものとしての自覚を深めていく過程では、
おそらくそうしたショウビズ的な価値観とは違ったところで彼のアルバムは発想されているんだろう。
古のフォークやカントリーやブルースの奏者たちがたぶんそうだったように、
ディランはその場その時の思いをただ形にして音楽をやりアルバムにしたのだろう。

となると、ワタシの問いは、この本のタイトルと同じ。
この充実した、あるいはスカスカな、あるいはヨレヨレなアルバムを作った時のディランは何だったのか。

それを、伝記的なものを含めつつも、ワタシがそうであったように主にアルバムを聴く以外に
ディランにアプローチする手段のなかった日本のファンを代表するように、
アルバムに含まれた歌に向き合い、解析する本書。
自分の聴いてきたもの、あるいは聴いてきたという行為の意味を再び考え、
振り返ってみるということを、本書を導きとしてやってみた、という感じだ。

すごく楽しい。

『欲望』やライブ盤『激しい雨』を聴いた時の高揚が蘇って盛り上がりつつも、
そのときディランはこんなことだったのか、その現象はいま振り返るとこういう位置づけなのだな、
とかいろいろ認識を新たにする。

そう。振り返り位置づけるということが21世紀も10年が過ぎた今に許された極上の楽しみなのである。

**

ということで、読後に買い求めたのは、『アナザーサイド』『セルフポートレイト』
『ナッシュヴィルスカイライン』『ニューモーニング』という地味路線。
4枚が4枚、まるで違う手触りなのが微笑ましいよね。

近くベースメントテープスの公式盤が出るというし、
どこまでも目が離せないですねー。


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「SFマガジン700【海外篇】」読みました

2014-09-12 01:22:57 | book
SFマガジン700【海外篇】 (ハヤカワ文庫SF)
クリエーター情報なし
早川書房


早川書房のSFマガジンの通巻700号を記念して編集されたアンソロジーを読みました。

原則的には、SFマガジンで紹介され、かつ作者の日本で刊行されている短編集には未収録の短編を納めたものということです。
特にグレッグ・イーガンとテッド・チャンが収録されているので、間違いなく買い。

ほかにもクラーク、ティプトリーやル・グィンなどの大御所、
最近ではコニー・ウィリスとバチガルビ
なつかしいところでマクドナルドとかスターリング

こうして読んでみると、SFというのは実に多様な想像力の産物なんだなと実感する。

冒頭のクラークは大時代的なもってまわった文体を駆使して未知の存在のありかたを示して、他者とはなにかというSF的思考の原点のようなものを堂々と立ち上げる。
ティプトリーは例によって説明のない内省で読者にめまいをもたらしつつも、奇想天外な設定でありながらどこか純朴な冒険譚を展開する。
ル・グィンもユニークな他世界との邂逅。異文化を理解するということはどういうことかを残酷に示している。
イーガンもいつものハードな手触りで、宇宙ではほんとうに起こるかもしれないミニマム劇。

どれもこれもおもしろいんだけど、
驚愕はラストに登場するテッド・チャン
なんたる奇想か。。
読んでいるうちに唖然として目を丸くしてしまう。
こんなことがまだSFでは残っているんだなー
もうサスガとしか言えません。


という感じで、煮え切らない感想ですが、
とにかく本書ではテッド・チャンいちおし
あとは読んでみてのお楽しみということで!

***

シェクリィの『危険の報酬』のノリは既視感あるんだけどなんだろう
『華氏451』のあそこに似ているかもしれない。
ディックのものにもあったかもしれない。
監視と生のゲーム性というテーマはディック的だしね。

マクドナルドの詩的というか静謐な世界も惹かれたな。
普段こういうのは読まないので新鮮。
『火星夜想曲』読みたい~


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