Credo, quia absurdum.

旧「Mani_Mani」。ちょっと改名気分でしたので。主に映画、音楽、本について。ときどき日記。

「哲学マップ」「現代思想のパフォーマンス」

2008-02-28 04:43:01 | book
哲学マップ (ちくま新書)
貫成人
筑摩書房

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現代思想のパフォーマンス (光文社新書)
難波江 和英,内田 樹
光文社

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「哲学マップ」
「現代思想のパフォーマンス」

そもそも哲学ってどういう学問なんだろう?論理や理論が正しい/正しくないという判断は、なにに拠っているんだろう。なんだか根本的なことがわかっていない自分。そのへんのところの感覚だけでもつかみたい。
というような動機で読んでみたのですが・・・


「哲学マップ」のほうは結局西洋哲学史という趣で、いまひとつ哲学の原理というようなことはわからなかった。昔々倫理社会の授業でならったような著名人列伝のノリで百家争鳴、これにはさすがに恐れ入る。
でも一方で、哲学の歩みを思考の図式の変遷として整理してみせるのは面白かった。プラトンのイデアと現実の二項対立を哲学的思考図式1とするならば、デカルト主義における主観/客観という図式がその2。アプリオリなカテゴリーによって経験対象の存在と主体の成立を解明するカントがその3。超越的実態を否定しすべての差異が諸力のせめぎあいから生まれるという流動性を肯定するニーチェがその4。
そこから先は差異と流動性の多様で非定型な世界。

「主体」や「客体」と考えられていたものも、様々な世界のテクスチャーで織り成された「間テクスト」的プロセスなのだ、という認識は、この多彩な世界を生きてゆくのにとても魅力的な考えだ。この魅力の開花とともに、哲学は例えば自然科学の成果であるとか、東洋哲学であるとかとも混交し始め、下々ではいまや懐かしいニューアカブームとかが巻き起こる。
と同時に、それ以降哲学は多様で非定型なものをそのあるがままに記述しようとする、おそろしく困難な挑戦を強いられるようになったのだと思う。いや~お疲れ様です。

「現代思想のパフォーマンス」のほうは、ソシュール、バルト、フーコー、レヴィ=ストロース、ラカン、サイードの6人の思想を取り上げて、そのエッセンスを紹介するとともに、実際にその思想をケースワーク的に実践してみる、というふれこみ。実践というところに惹かれたが、なんとなくケースワークのほうはそんなにパワフルではなかったなあ。むしろアメリカなどではよくある思想潮流の勘所を要約したアンソロジーを編む、という、この本のもうひとつの目的のほうが重視されていたようだ。
特にソシュールはよくまとまっていてよかったな。言語学としてのアプローチから現代思想の構造的転換につながっていった面白さがよくわかる。
バルトなんかは、哲学者なのかエッセイストなのか微妙なところが面白く、まあ読む側としてはとっつきやすくていいんですけどね。。

てなわけで、結局哲学の拠って立つところを知りたい、という欲求は満たされぬまま終わった・・・というか、「拠って立つところがある」という発想自体が否定されて今があるのかもしれないなという、ようするに自分はもう徹底的になにもわかっちゃいないのよ的もやもや感を抱きつつ、これらの本を後にしたわたしなのだった(続く)

  (続きません)

面白かったが身に付いていません。(白状)


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「牡牛座 レーニンの肖像」アレクサンドル・ソクーロフ

2008-02-25 22:58:20 | cinema
牡牛座 レーニンの肖像

TELETS
2001ロシア/日本
監督:アレクサンドル・ソクーロフ
撮影:アレクサンドル・ソクーロフ
美術監督:ナターリヤ・コチェルギーナ
音楽:アンドレイ・シグレ
出演:レオニード・モズゴヴォイ、マリヤ・クズネツォーワ、ナターリヤ・ニクレンコ、レフ・エリセーエフ、セルゲイ・ラジューク


ソクーロフの謎とは、あの灰緑色のかすんだ画面と、なによりも脅威の音響設計ですよ。
静謐な画面運びにうっとりと耽溺しているうちにふと逃してしまうほとんどサブリミナルな音響。

かすかな木々のざわめき、誰かの吹く口笛、足音、椅子のきしる音、笑い声、それらが距離を変え立ち現れては消えてゆく。注意すればほとんどすべてのシーンでこうしたノイズに意識下が満たされている自分に気づく。

音楽についても入念にその響きがコントロールされている。エンドロールにさしかかるとき、初めて音楽はその存在を主張し始めるが、はじまりはやはりかすかで、次第にピアノの響きが近寄ってくる。ついには画面中央を占拠するピアノの響きが、やがて深いリバーヴの中に去ってゆき、管楽器にその場所を譲る。通常の音楽のレコーディングでは考えられないこうした操作は、ソクーロフがいかに音の響きにこだわっているかを表しているデスヨ。

思わずメガネの曇りをふきとりたくなるような霧の立ち込める画面とともにこうした音のテクスチャーで描き出すのは、このうえなく劇的な歴史上の結節点なのだ。その結節点はしかし一人の人間の緩慢な死の過程である。激動の大革命を率いた頭脳と肉体も、その終わりにファンファーレが鳴りはしない。生活に実はあふれかえっているなんでもないノイズに囲まれ、ひっそりと終わりを迎えるただの人間の姿だ。

政権交代を示唆するあの二人の対面も、印象に残るのは会話のほかに、松ぼっくりを踏みしだく訪問者の足の動きとその音だ。めりめり。人間の姿がこうであるならば、あの革命とそれに続く恐怖政治とはいったいなんであるのか?思わずこうした問いを抱かずにはいられない。なにがしかの文脈のなかにおさめない、永遠の問いの時空にとどめること、そうしたことを直感的にソクーロフは求めているのだと、強く感じた・・・・

****

・・・などと偉そうに言ってみるが、まさにあの映像と音響に直撃されて、ワタシに起こったのは、実のところあの忌むべき/幸福なウトウトである。心地よく音のさざなみにゆられて、1/fゆらぎのなかに幾度も気を失っては目覚めるワタシなのでした。
かんべんしてくれ~これぞタルコフスキー直系のマジックなのか??

ま、眠くなるクスリを常用しているからしかたないのかも?


あと、パンフがなかなか充実。ちょっと高いですが。
ソヴィエト時代の映画製作状況からのつながりのうえにソクーロフを捉える西氏の論考などがなかなか貴重。

それから、『モレク神』『太陽』でもそうであったが、実物によく似た俳優を連れてくる。というか、現物をそんなに知っているわけではないのに、かつ実はそんなに顔立ちはにていないのに、「本物そっくり~」と思わせる技をソクーロフは持っていると思う。なんだかそういうこだわりがすごいと同時にちょっとかわいく思うな(笑)
(ちなみにヒトラーやった人とレーニンやった人は同じ俳優さんだ。オドロキ!)

****

あ、そうそう。「レーニン」とか「スターリン」とかの名前がペンネームだとは、今の今まで知らなかった!こういうことを知らなかったのはなかなか衝撃的である。世の中にはいくらでも知らないことがあると改めて思ふ。。。

晩年のレーニンは脳梗塞の発作の合間にちょっと復帰してはスターリンの党書記解任を画策したが果たせなかったという。
歴史に「もし」はないと言われるが、やっぱり「もし」1918年のレーニン狙撃がなかったら・・・2000万人とも言われるあの大粛清も回避できたかもしれない・・・などとも思う。



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買うしかなかろう

2008-02-22 22:02:18 | cinema
ヤン・シュヴァンクマイエル コンプリート・ボックス

コロムビアミュージックエンタテインメント

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恐れていたものが出てしまった。
いちいち買っていては歯止めがきかんと思い自粛していた
シュヴァンクマイエルのDVD。
しかし、BOXで出てしまったらどうだろう?
買ってしまうのではないか?>自分

などとなんとなく思っていたら、まさにそのBOXが出てしまふ!!


「ルナシー」だけは持っているのでダブってしまうが
(しかも持っているものはまだ未開封だし^^;)
しかたがない。買いますよ。


皆さんも買ってください。(回し者)


内容はここに詳しい。


****

しかし。

今週は3回宅配便がきた。
みんなアマゾンから^^;
衝動買い+予約してて忘れてた分

宅配便のひとも「少しは計画的に買え!」とか思っているだろう。
ワタシだったら思うな。
思うだけでなく影で小声で言ってしまうかもしれない。


ま、当分映画館に行かなくていいだけのDVDがそろってしまい。。。
しかし『牡羊座~』は行きたいし。。。<(違)牡牛座でした^^;

ぶつぶつ・・・・



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バカラック日本公演【超ネタバレ攻撃】

2008-02-18 22:57:23 | music
バート・バカラック(紙ジャケット仕様)
バート・バカラック
ユニバーサル インターナショナル

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とりあえず一番好きなアルバムをトップにしてみました。
で、mixiと同内容です。

でもって、この先激しくネタバレでございますので、要注意!!

*****

An Evening with BURT BACHARACH and The Tokyo Newcity Orchestra
2008年2月16日@東京国際フオーラムホールA

行ってきましたよバカラック来日公演。

オケは日本で調達、リズム隊+キーボード+ペット+サックス+シンガーはツアーメンバー
御歳80でこいつらを率い、スタインウェイピアノを弾き、指揮をし、勘所ではあの枯れたボーカルも披露する活躍ぶりでありました。

会場もほぼ満席。異様にもりあがっているアングロサクソン人のグループが妙に目立っておりましたが、そいつらを中心に最期はスタンディングオベイションで大団円。

****

あのバカラックが数十メートル先にいる!というだけで感涙するワタシ、往年の曲が鳴り響くたびに体が揺れ、旋律を口ずさむのを止められないのでありました。
当然やるだろ、という曲はもちろん盛り上がりはするのですが、たとえば、One Less Bell to Answer、The World ls A Circleなんかをやっていただけるとは思いもしなかったので、それはもう滂沱。

でもね、やっぱり最近の曲は知らず、しかも未発表の新曲まで含まれているらしく。そういう曲たちは正直乗り切れず。曲の立ち具合も全盛期ほどの冴えは感じられず。
これはね~、やっぱり自分が年とっちゃったということなのかね~。新曲といっても知らない曲がいくつかあってどれがどれだか??

というわけで、くやしいので最近作もちゃんと把握すべく、ディスク蒐集を心にちょっとだけ誓うのでありました。

それから~、メドレーが大半だったので、ちょっと欲求不満。もうちょっとフルコーラスでじっくり聴きたかったな。特に古い曲^^;
で、数少ない古い曲でフルやったのがClose to You。なんだけど、不覚にもちょっとうとうとしてしまったよ(^^;爆)でもしっかりバカラックアレンジでした(カーペンターズ調でなく。)
しかしなんだかな~最近、ここぞというとこでうとうとしちまう習性が・・・

あんど、Raindrops~はバカラックさん、会場にsing with us!と振っていたが、あれって歌詞がけっこう難しいんだよね(笑)。大合唱にはならなかったですね。
ワタシは完璧に覚えているので歌いましたよぉぉぉおぉぉ!(自慢)

******

セットリストは強力ですよ~。

オープニング
1.What The World Needs Now is love

メドレー(初期のヒット曲)
2.Don't Make Me Over
3.Walk On By
4.This Guy's ln Love With you
5.I Say A Little Prayer
6.Trains and Boats and Planes
7.Wishin’& Hopin’
8.(There's)Always Something There To Remind Me

メドレー(同じく初期のヒット曲)
9.One Less Bell To Answer
10.I'll Never Fall In Love Again
11.Only Love Can Break A Heart
12.Do You Know The Way To San Jose

シンガーの見せ場でフルコーラス(&最近の曲メイン)
13.Anyone Who Had A Heart
14.Heart Light
15.God Give Me Strength

メドレー(キャリア最初の曲たち)
16.Magic Moments
17.Story of My Life
18.The Blob
19.Tower Of Strength

最近の曲を中心にフルコーラス
20.Go Ask Shakespeare
21.ln Our Time
22.(They Long To Be)Close To You
23.For The Children

featuringトレンチャ
24.Falling Out of Love
25.Who'll Speak For Love

メドレー(映画音楽)
26.The Look of Love
27.Arthur's Theme
28.What's New Pussy Cat
29.The World ls A Circle
30.April fools
31.Rain Drops Keep Fallin On My Head
32.The Man Who Shot Liberty Velance
33.Making Love
34.Wives&Lovers
35.Alfie
36.A House ls Not A Home

締めのフルコーラス
37.That's What Friends Are For

アンコール
38.Any Day Now
39.What The World Needs Now is love

アンコール2
40.Rain Drops Keep Fallin’ On My Head

ああ、疲れた。
これ、終演後にロビーにちっちゃい紙で張り出されたんだけど、ものすごい人だかりになっちゃってね。紙で配るか、複数張り出さないとダメですね。
なんでちょっと間違ってるかもしれませんです。。。

参加ミュージシャンはのちほど書きます。

ああ、長!

【追記】
ミュージシャンはこんな感じ
singer:Donna Taylor John Pagano Josie James
Bass:David Coy Drums:David Crigger
Woodwinds:Dennis Wilson Trumpet/Flugelhorn:Tom Ehlen
Keyboards:Rob Shrock

キーボードのロブが実際バンマスって感じでしたね。
こっそりキュー出ししたりしてたので。

それから、書き忘れていたけれど、
バカラックの歌声、若い頃から枯れていたせいか、今回枯れ枯れでも全然違和感なかったです(笑)





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「日本映画と戦後の神話」四方田犬彦

2008-02-15 22:56:29 | book
日本映画と戦後の神話
四方田 犬彦
岩波書店

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1 日本映画と戦後の神話
2 <1968>以降
3 韓国の眼差し
4 日本が沈没するまで


「パレスチナ・ナウ」末尾で、我々は日本の70年代について今後総括することが必要であると述べ、本書では「1968年以降」の章立てをした著者の最近書のひとつを読む。
ワタシは四方田さんが70年代をどう論じるかに興味があるのだ~。

という観点からすると、本書はそれほど期待に応えるものではなかったな。今、世界の少なからぬところで映画監督たちはこの問い(70年代とは何だったのか)に向き合おうとしている、と指摘しいくつかの事例を挙げるにとどまっている。
あ、なあんだ、四方田さんも期待しているんだ。誰か表現者が総括するのを。映画史家として取り上げるに足る的確な表現が登場するのを。


とはいえ、もちろん著者も、70年代を含む戦後の歴史に映画史家としてのアプローチを試みる。
戦後の映画史の事始として、1945年8月15日の表象を持ってくるところは慧眼ですね。戦後の始まりの瞬間であるということもそうだが、そもそもその認識が、繰り返し繰り返し作られた玉音放送を聴く国民という表象によって形作られたひとつの神話であるということも含めて、本書の語り起こしにこれほどふさわしい題材はないだろう。

思うに研究者というのは、そういう最適なトピックやターニングポイントを捉えるという才に長けていないといけないのだろう。ワタシは大学の卒論のときに、そういう才能にはとことん恵まれていないことを思い知り、大学院進学をあきらめたことがある。指導教官に、「今度題材選びを間違えたら、君には向いてないということだよ」と恫喝?されたことも今では自虐的喜びを伴うよき思い出に変質している。
時の流れとはかくも偉大である。

・・・などということはどうでもよく(汗)

8月15日が歴史的には必ずしも特権的な位置づけとなる必然性がないことを傍証したうえで、なぜに国民はこの日を決定的分水嶺と心に刻むに至ったかを映画史的に論じたのが最初の章。
著者は大島渚『体験的戦後映像論』での「敗者は映像を持たない」という感慨に触れながら、玉音放送を収録する天皇の映像がなく、音声による宣託であったこと、その映像の不在が8月15日を厳粛な儀礼空間にしつらえ、その後の新たな天皇制神話のスタートとなったのだと看破する。

映像の不在=神話の醸成という命題にあたり、同じく決定的映像に欠けるホロコーストについて嘆いたゴダールについて触れることも著者は忘れない。ゴダールが映像の解体・脱構築による怪作「映画史」で映像による世界神話の解体を目論んだように、日本の戦後史における神話についても、映像による解体が待たれているのかもしれない。


その現代的な兆しを著者はソクーロフの話題作『太陽』に見る。そこでは玉音放送の音声は、日本の運命を決する分水嶺の瞬間としては用いられず、エンドロール、バッハのチェロ曲とともにバックグラウンドで流される。本編中での極めてプライベートな人間天皇像と相俟って、この映画では玉音をローカルな国家のターニングポイントから、世界平和を訴えるメッセージへと変質していると著者はみる。
(それ以前に、この映画の公開自体が、そして公開時の世論の奇妙な静けさが、戦後から今に至るまで天皇の表彰が禁忌であった映画界において十分になにごとかの変節をあらわしているともいえるだろう。)

・・・とまあそんな調子で、映画史から説き起こして表象と心性という人間の問題に切り込み、神話の構造を解明しよう、というのが、この本の一貫したブレない動機である。

ときには「ほんまかいな?」と茶々をいれたくなるようなノリ一発な文章もあるのだが(例えば『春琴抄』は日本国民の代表的なメロドラマとしての地位を獲得した、とか断言してたりして、ほんまかいな?)、四方田さんの著作はそういう眉唾的姿勢を持って臨む緊張感を楽しむのが正解なのだ!と思ったりなんかして(笑)

***

他に、
李香蘭、ゴジラ、寅さん、狸御殿、ATG、三島由紀夫、山口百恵、村上春樹、韓国、在日朝鮮人、ヨン様、ドキュメンタリーの隆盛、
といった切り口で縦横無尽。
です。



体験的戦後映像論
大島 渚
朝日新聞社出版局

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ジャン=リュック・ゴダール 映画史 全8章 BOX

紀伊國屋書店

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YUKIとMY LITTLE LOVER 目白押し

2008-02-12 04:21:29 | music
まずYUKIちゃんから。
彼女のソロアルバムをたどると、年々エヴァーグリーン度が高まっていると思うので、今後に大期待なんだけど、まずはクリップ集とライブDVDが出ます。

ユキビデオ2

エピックレコードジャパン

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↑クリップ集3月19日発売
「長い夢」「ドラマチック」「歓びの種」「メランコリニスタ」「ふがいないや」「ビスケット」「ワンダーライン」の7本のビデオクリップに加え、期間限定やWeb限定で公開されたレアクリップ、メイキング、TV-SPOT集などを収録だそうです。


YUKI LIVE “5-star”~The gift will suddenly arrive~

エピックレコードジャパン

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↑で、こちらはライブDVD。4月16日発売~
2007年11月2日に日本武道館でおこなわれたライブ「YUKI LIVE “5-star”」の模様を中心に、YUKIが出演する撮り下ろしのアートビデオ、インタビューなどで構成された映像作品。だそうですよお。撮りおろしビデオっていうのも気になりますねえ。

で、Amazonにはまだあがってないけど4月にまたシングル出すそうです。
わたしは次のアルバム待ちですが。




で、My Little Loverは3ヶ月連続リリース!

ラビリンス(DVD付)
My Little Lover
エイベックス・トラックス

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↑シングル3月12日発売~

イニシャル(DVD付)
MY LITTLE LOVER
エイベックス・マーケティング・コミュニケーションズ

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↑同じくマイラバシングル4月2日発売~

あとは5月にアルバムリリースだそうです。
映像も3作連動リリースだそうでこれは3つ買うしかない。

しかも楽曲とアレンジが小林武史ということで。
離婚後もコラボ続けるとは思わなかったので、大期待。


Amazonさん、はやく画像つけてね。
いやレコード会社のほうかな?





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南大門

2008-02-12 03:34:11 | diary



piaaさんのところで知りました。
えらいこっちゃです。

いつかソウルに行って南大門をみてやろうと思っていたので
ショックです。

日本人が、日本が、関与していないことを願います。
コメント (2)
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ツイン・ピークス エピソード12

2008-02-11 02:36:34 | TWIN PEAKS
ツイン・ピークス ゴールド・ボックス【10枚組】【初回限定生産】

パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン

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1990-91アメリカ
監督:グレイム・クリフォード
製作総指揮:デヴィッド・リンチ、マーク・フロスト
脚本:バリー・プルマン
音楽:アンジェロ・バダラメンティ
出演:カイル・マクラクラン、マイケル・オントキーン、ジョアン・チェン、パイパー・ローリー、シェリル・リー、シェリリン・フェン、ララ・フリン・ボイル、メッチェン・エイミック、ジャック・ナンス、エヴェレット・マッギル、キミー・ロバートソン、グレイス・ザブリスキー


ツインピークス・エピソード12
オープニングは早朝のクーパー
寝癖も強烈なクーパー。
傷の状態についてダイアンに報告するとともに、逆立ちをする。
と、とうとうベッド下に落ちていたオードリーの手紙を発見する。

やっとみつけてくれたかクーパー

オードリーの身代金運搬者としてジャン・ルノーに指名されたクーパーだが、
オードリーの居場所の手がかりを得ると、
先手を打ち片目のジャックへの潜入を試みる。

迷路のような娼窟の奥の奥にクスリでへろへろのオードリーはいた。
my special argent!

オードリーを抱えて逃げるクーパーとハリー
しかし用心棒に見つかってしまい危機一髪!
銃を捨てろ!
ハリーが銃を捨てると、突然倒れる用心棒。
背中にナイフが刺さっている。

「とっくにばれてるよ」
向こうから現れるのは、ネイティヴアメリカン・ホーク

かっこいいねえ




一方では、どうしてもローラの日記オルタナティブが欲しいドナ。

ハロルドの小説の題材となることと引換に、ローラの日記を読んでもらう約束をするローラ。
しかしドナはなんとしても現物がほしい。

マディと組んでハロルドの家から日記を盗み出すことを企てる。

ドナはハロルドに13歳か14歳のときの出来事を話す。
ローラに誘われて、タイトスカートをはき、20歳くらいの男たちとデートしたこと。
ロードハウスで飲んだ後、夜、車で外へ。
湖のほとりで踊るローラ
ドナは、みんなで裸で泳ごうと言う。
服を脱ぎ泳ぐ。
男のうちの一人がドナの手を取り、そっと口づける。

これは確か小説の「ローラの日記」にも出ていたエピソードではなかったかな?
それとも記憶の浸出か?


ドナが色仕掛けでハロルドを家の奥に呼び寄せている間に、マディが忍び込み、書棚の隠し棚から日記を盗み出そうとするが、結局手間取ってハロルドに見つかってしまう。

傷つくハロルド。
そりゃ傷つくよな。
このためにボクを??

しかしハロルドの台詞は謎めいている。
目的は秘密か?
では手伝ってやる。
秘密は、誰が自分を傷つけるかだ。
といって彼は自分自身の顔に傷を付ける。
(っていうか、赤ペンキを顔に塗っただけのように見えちゃうけどね(笑))

どこまでも気味の悪いハロルド。


あとはなんだ?

そうそう
アンディの検査(笑)

ルーシーは妹だか姪だかに会うためしばらく留守にするらしい。
で代わりに電話交換台に座ったアンディ。
検査センターにスペ○マの検査の結果をきくために電話をしている。

結果は「あなたは精子欠乏症でした。」
えっ?
「しかし今は治りました」
おいおい、まぎらわしい奴。

女性にむかっていく男はもう3人だけじゃない
ウヨウヨいるぞ。
ワ~オ!!(叫ぶアンディ)

慌ててルーシーの連絡先に電話をするアンディ。
しかしメモに残された番号に電話すると、出たのは「妊娠中絶センター」

た・大変だ!

****

あとは、タジムラが合同事業を持ちかけ、前金500万ドル小切手をもってベンの前に現れる。
ベンはオードリー人質事件でそれどころではないけれど、500万はしっかり受け取る。

怪しすぎるぞ。これがヤツらの日本人のイメージなのか?

わかれぎわぼそっと
「アリガトウゴザイマス タジムラサン」と日本語でつぶやくベン
すげえ、ベンは日本語もできるのか(笑)



あと、冒頭近く、リーランドの留置とレオの裁判実施をめぐる法廷が
なぜだかしらんがバンバン・バーで開かれる。
なんでバーなんだ?

と思ったら、
休廷する!と宣言したとたん裁判官はカウンターで一杯
なんだそういうことか・・・ありえん。。


****

つうわけで、オードリーが無事(ではないか)救出されて一安心だけど、
ジャン・ルノーはだまってないだろう。
ヤツはどさくさでブラッキーを殺してしまったし、悪いヤツだ。


これからどうなるんだっけ??
よく覚えてないが、しばらくは
ディック・トレメインのアホ芸が展開するのだけは覚えてる(笑)


またハリーがドーナツ食ってるシーンがあって、
ああ、コーヒーとどーなつが食いたいよ!!

ツイン・ピークス―ローラの日記 (扶桑社ミステリー)
ジェニファー リンチ
扶桑社

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********************

ページトップ↑にあるのは全作パックのゴールドボックス。
下↓はシーズン別バラ売り。
特典がそれぞれ違うので要注意


ツイン・ピークス ファーストシーズン

パラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパン

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ツイン・ピークス セカンド・シーズン Part1 スペシャル・コレクターズ・エディション 【3枚組】

パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン

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ツイン・ピークス セカンド・シーズン Part2 スペシャル・コレクターズ・エディション 【3枚組】

パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン

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映画版前日談
ツイン・ピークス ローラ・パーマー最期の7日間

パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン

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「ヒトラーのためのソナタ」アレクサンドル・ソクーロフ

2008-02-10 21:27:55 | cinema
ヒトラーのためのソナタ
1979ソ連
監督:アレクサンドル・ソクーロフ
脚本:アレクサンドル・ソクーロフ
音楽:クシシュトフ・ペンデレツキ・ヨハン・セバスチャン・バッハ


ヒトラーの映像と音声の秀逸なコラージュ。
演説し談笑し休息するヒトラーの映像に、シンクロしない彼の音声、バッハの無伴奏フルートソナタ、ペンデレツキによる不安な音楽、意識下をなぞるようなノイズ。
ドラマ性はなく、ひたすら残された映像と音像による独裁者の肖像。
そうだこれは現代の肖像画だ。時間と記憶と共示を動員する現代メディアによる肖像画。ヒトラーとバッハとペンデレツキ、それぞれの指し示すイデオロギーや文化的コノテーションがミックスされて、ほとんど悪酔いのような気分にさらされる。
直接示されなくても、歴史の悲惨と無常/無情を思い知らされる。
10分程度の作品だが、ずっしりと重い。

***

同様の素材でたとえば「裕仁のための奏鳴曲」は作れるだろうか。四方田氏の著作によると、ソクーロフは「太陽」を撮る際に、多くの記録映像を観たそうである。そして、戦争終盤にかけて映像がまったく残されていないことを知り、「太陽」を撮る確信を得たという。また、遺された映像はいずれも無表情に軍服にくるまれた儀式の1コマであるとも。
日本版ソナタは難しそうである・・・

と思ったら、裕仁の記録映像をモンタージュして軍服から背広姿へ移行していく天皇像を描いた作品が日本にあるという。(「日本の悲劇」1946亀井文夫)そういう作品を「ヒトラーのための・・」と併映するような企画もあってよい。
(と思うが、禁忌に触れるようでなかなか実現は難しいのかもしれない。っつーかホロコーストの独裁者と並置ってのも過激かも。)



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わからんちょ

2008-02-09 11:17:10 | diary
Amazonからメールで。
アソシエイトECS3.0サービス終了のご案内というのがきたよ。

ふ~ん
て、なんのこっちゃ??

お客様のアソシエイトiDが最近のECS3.0のリクエストに含まれていますが、このサービスは3月で終わるので4.0へ移行しろ。

ということらしい。
て、なんのこっちゃ??

まさかgooのアフィリエイト投稿でアップデートされてないとは思えん。
とすると・・・

あれか?
いつも「お買い物はこちらで」とかいってつけてるAmazonへのリンクか??

あれが使えなくなるのかな?
ふ~ん

・・・って、もしかして、ワタシ全部の記事にあのリンクつけてるから、
ぜ、ぜ~んぶ直さなきゃいけないんとちゃう??!!

うううう~~~~~っ?!?!


しかし、今のAmazonアソシエイトで提供しているリンクって、全部iframeタグを使うやつなんだけど、iframeはどうやらgooでは使えないみたいだし。
goo提供の個別リンク以外使えなくなるのかなあ??
個別リンクでのお買い上げは実はほとんどなくて;;
一般的なリンクがなくなるとつらいなあ・・・

ど お す れ ば い い の ?


****

メガネの鼻のところが壊れてとれてしまった。
う~む
なんとかかけられなくはないがかっちょわるし。

このさいメガネつくるかなあ 度も合わなくなってきたし(老眼)



今日はこれからバイオリンのレッスンに。
明日かあさってには「牡羊座・・」を観たいなあ。。


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これはどおよ?

2008-02-08 04:36:37 | diary
NASAが撮影した火星の地表写真に
こんなものが(笑)

ほんとかな~

1 火星に類人猿がいた!

2 火星というのは嘘で、地球で撮影したものだ!

の両面で盛り上がりそうだ。

楽しい。


それはさておき、写真は美しい。。。。(←注意!サイズでかいです)

新聞屋さんの記事
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「日陽はしづかに発酵し・・・」アレクサンドル・ソクーロフ

2008-02-07 04:34:13 | cinema
アレクサンドル・ソクーロフ DVD-BOX

紀伊國屋書店

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日陽はしづかに発酵し…
1988ロシア
監督:アレクサンドル・ソクーロフ
脚本:ユーリ・アラボフ


悪夢系。非常に好みです。
しっかり観てそれなりによく覚えているのだが、ディテールも時系列もどんどんあやふやになっていく。覚えていようとすればするほど輪郭のわからなくなっていく映画。切なく悲しい夢のよう。

原作はストルガツキイ兄弟の小説「世界終末十億年前」だというが、表面的にはこの原作の素材やテーマをほとんど用いていない。しかし、まさにこの悪夢感はストルガツキイ的であり、ストルガツキイ原作という余計な?知識を逆手にとってあえて深読みしてみたくなる、そんな欲望が沸き起こる作品でした。

****

中央アジア(と思しきところ)の寒村に住む若い医師。冒頭この村の暮らしぶりがひたすら音楽とノイズを背景に提示される。経済的には相当貧しい村。猛暑。土ぼこりにまみれた男たち。歯の抜けた老人。裸足の子供たち。医師の家だけがぽつんと電話・ラジオ・TVといった文明の空間だ。

この医師と、少数のロシア人からなる小さなコミュニティにひっそりと不思議なことが起きるのが筋といえば筋。

まず心当たりのない荷物が医師の家にとどく。どうやら姉からの荷物だが、その中身は箱型に凝固したゼラチンにくるまれた大きなエビだ。なんだこりゃ、と思いつつとりあえずエビを食う医師たち(笑)

食い物を狙ってやってくるオオトカゲ。

と、そこへまえぶれもなく姉がやってくる。緊急事態なので来いという電報をもらったという姉だが、そんな電報を打った覚えはない医師。

医師が診察をしていた向かいに住むロシア人が、前触れなく急死する。彼とはなにかやりとりがあったが、忘れてしまった。

もう一人の友人の家では、朝起きたら居間が荒れ果て、壁には粘着質の黒い物体が焼け焦げのように張り付いている。物体をつつくとおぞましい汁が垂れる。

そして医師の家の入り口に子供が倒れている。どこからきたのかもわからない子供を医師は面倒見るが、ある日訪れた謎の男が子供を連れ去ってしまう。



こんなエピソードがメリハリなく発生しては、猛暑の辺境のよどみに溶けるかのように謎は解明されずに消えてゆく。謎に放り込まれ、そのことに自分自身気づいてすらいないし、解決も見られない。これこそストルガツキイのテイストだ。

そもそもこの村は存在するのだろうか?

冒頭の謎めいたショットが気にかかる。痩せた土地を空から俯瞰する視点が、加速度的に速度を上げながら降下し、ついには地面に激突する。
これはなにものかがこの土地に降り立ったもしくは墜落したということを示す視点ではないのか?降り立ったものは何者なのかはまったくわからないのだが、この降下から一連の事件は始まったのだ。降り立ったものによって村は一種のデンジャーゾーンになったのかもしれない。

が、この降下のシーンはもう一度、映画の終わり近くに再現され、その後に、禿山に囲まれた集落を俯瞰するショットが実はミニチュアのセットであることが、そこを歩く医師(建物よりも身長がある)の姿で表される。
ならば、実は村自体が人為的に作られた虚構なのではないか?とすると、医師を含めた村まるごとが冒頭地球に降り立ったのではないか?村自体ひとつの現象あるいは誰かの実験だったのではないのか?

中央アジアに忽然と現れる複数の社会構造・・・といえば、それはまさに共産主義的国家形成の戯画であるだろう。。。というようなテーマを見つけるとしたら、それはまたいかにもストルガツキイ的だ。

????

などと妄想は広がるが、実はそういった意味づけはほとんど無力な気がする。医師がなぜか持っている書類を焼き、そこから一部を救出するが、それは何でなぜなのかはわからない、といった、とことん謎まみれの細部細部を夢のように受け止めてやっとこの作品の味わいは「わかる」のだろう。
意味やテーマを超えたところでうごめき羽ばたこうとするのが彼らの映画であり小説なのだ。


できることなら劇場で、繰り返し浸りたい。そういう時間が人生にあるといいと思う。

一般的にはまちがいなく「なんだこりゃ?」系作品ですけどね。




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「モレク神」アレクサンドル・ソクーロフ

2008-02-04 22:36:19 | cinema
アレクサンドル・ソクーロフ DVD-BOX 2

紀伊國屋書店

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モレク神MOLOKH
1999ロシア/ドイツ/日本/イタリア/フランス
監督:アレクサンドル・ソクーロフ
脚本:ユーリー・アラボフ
撮影:アレクセイ・フョードロフ
出演:エレーナ・ルファーノヴァ、レオニード・モズゴヴォイ

ものすごい楽しみにして観に行ったのに寝てしまったのだ(苦笑)
というわけで、断片の感想のみ。

おそらく全編、ちょっと粒子の粗い感じの青を基調とした画面で、ほとんど音楽的盛り上がりはなく、しかしどこからともなく聞こえるノイズなどが、これまたどこからともなく漂ってくる霞と呼応するように、画面に不思議な緊張感を与えている(ように思えた。寝てたし。)。
「太陽」はセピア調の、歳を経て色あせた和紙のような肌触りだったのに対し、この青と霞は、どこまでも寒々しい石造りの建物の温度を感じさせるヨーロッパの肌触りだ(と思う。ヨーロッパで暮らしたことはないからね)。

この温度感のなか、冒頭なにやらアクロバットな体操を見せるのはエヴァだったのかな?あれは。これからして、20世紀を圧倒した独裁者のイメージとは離れたところから始まる(あ、いや、体操というのはナチユーゲント的か?)この映画、おそらくは全編、エヴァや側近と過ごすプライヴェートなヒトラーの世間話と独白とで成り立っている。(と思う)。世間話や独白には内容的には緊迫した国際情勢が語られていても、どこか実感のない別世界のことのようだ。緊迫をよそに山中をピクニックするヒトラー一行を包むのは、やはり青白い山肌と霞。

独裁者の人間としての姿=神性の終焉を描くのに、こうした質感や音響の特殊技術にこだわるところが面白いと思うのだ。「太陽」においても前述のセピア調や、夢と廃墟のぬかるみめいた青緑が、日本のある種の文化の終焉にふさわしい質感だったことを思い出す。
バーバルなコミュニケーション以上のものを信じ、目指している作家の作品として堪能に耐えるね。(寝ちゃったけどね)

*****

同じくヒトラーの最期を描いた作品にオリヴァー・ヒルシュビーゲル「ヒトラー ~最期の12日間~」があるが、あちらは実際起きたであろうやり取りをあますところなく活写する、能動的な迫力を持っていた。
あちらが人間としての独裁者像を結ぶことに尽力したとするならば、ソクーロフのヒトラーは、神性の終焉のポイントがどこにあったのかを探すことを主眼に置いているのだと思う。両者は結果驚くほど違う像を結ぶ。もしヒルシュピーゲル版が前に存在していたら、ソクーロフは「モレク神」を撮っただろうか。(撮ったと思うな)

あと、ヒトラーと、同じくソクーロフによるレーニンの肖像が、彼らの人生の終わりを描いているのに対し、「太陽」での裕仁では、彼の人生の終わりではなく、終戦のときを神性の喪失のときととらえているのも的確であっただろう、とも思う。


なとこでおしまい。

もっかい観たい!^^;



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「グロテスク」桐野夏生

2008-02-02 18:23:20 | book
グロテスク〈上〉 (文春文庫)
桐野 夏生
文藝春秋

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グロテスク〈下〉 (文春文庫)
桐野 夏生
文藝春秋

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「グロテスク」~凡庸な価値観から育つ怪物

本を持って出るのを忘れてお出かけしてしまった週末、スタバで読む本を途中で買うベエと思い、20分くらい悩んだ末買った文庫版。

読んでみると、読者の生にひそむグロテスクを根こそぎかき出してでろでろと陳列するような、鮮烈ではないけれどじっとりボディブローを効かせるような小説だった。
実際の出来事に取材しつつ、読む者が傍観者でいられない地平へと引きずり込むフィクションとなっているあたりは、まさに小説という名にふさわしい力をもっているだろう。

「わたし」、その妹ユリコ、級友佐藤和恵、ミチルの4人の女性と、木島(父)、木島タカシ、チャン、百合雄の4人の男性。彼ら彼女らの半生を、それぞれ互いに関わりつつも驚くほど違う観点から描き分ける。しかも著者はその観点のどれにも組しない。冷ややかに突き放す。その構成がまた全体の負のエネルギーを増幅させる。ぐるぐるに渦巻く負の力場。

そもそも正も負も、善も悪も、ほんとうに対立するものなのだろうか。堕落の果てが孤高の高みであることがあるように、至高も堕落も表裏一体、どちらにころんでもおかしくない混沌として人の生のなかに、人の世のなかにどっしりと巣食うのではないだろうか。
そんな風に思わせて誰もが人事ではいられない居心地の悪さを誘う。生の明かりも暗闇も等しく汲み上げて価値判断の虚しさを提示する。恐ろしい冷徹。

***

登場人物の誰もが、自分なりの生きる論理を持っているのに、なにものかにさいなまれいびつである。

「わたし」の独白を中心に物語は進むが、「わたし」は語り部ではない。怪物的な美貌を持つ妹との絶対的な差異に一生をさいなまれ、極度に世間や男社会と決然と距離を保つゆがんだ者の一人だ。

その美貌が引き起こす強力な引力の渦のなかで、男に抱かれることに自身の存在の根拠を置くようになったユリコも、40代になって人並み以上に容姿の衰えが進むことで存在の空虚を生きることになる。

しかしもっとも印象深いのが佐藤和恵だろう。中流家庭に生まれ、「ミスター世間」と呼ばれる父親の価値観を信じ、努力が人を向上させると信じ、実際努力して有名高校に進学し、やや自己を客観視する能力に欠け、それでも努力を積み重ねればいつかはその溝を埋められると信じる少女時代。すなわちどこにでもいる凡庸な存在。その少女がその資質そのままに長じて有名企業の社員となるが、その資質を突き詰めて自らの置き場を定めていった結果が、社内ではトイレで弁当を食べる変人となること、そして外では娼婦として街に立つこと、そうした自分を孤高の存在と考えること、すなわち怪物となることだったとは。

凡庸な価値観を突き詰めることで異形の怪物となる。それがこの小説の恐ろしいところではないだろうか。
彼女たちそれぞれのグロテスクが、少女時代に自らの内外にまかれた種とそこに与えられた水によって濃密なジャングルのように育っていく様は空恐ろしい。そしてその出自と環境は、日本のこの時代を生きるものならば程度の差はあれ共有している時空であろうことがまた恐ろしい。

特にいま中年にさしかかっているワタシのような(いや、わたしは中年まっただなかか?)年代の読者は、まさにここで提示される「世間」の価値観を素朴に信仰してきた者ではないのか?佐藤和恵たちのような怪物になっていく資質が自分にもあることに目をつぶることができるだろうか。(特に女性の読者)

****

特に女性、と書いたが、同じくこの世代の男性についても凡庸な価値観~怪物化の物語が書けるように思う。この本でも、不法滞在中国人であるチャンの想像を絶する苦労の軌跡や、世間と隔絶した感覚のある学園の教師であった木島の空を掻くような思索で、男性の空疎にも触れるが、彼らが怪物化するところまでは筆は及びきらない。
「グロテスク男性版」は例えばミチルの存在が示唆するように、某悪名高い教団の教祖のような存在が主人公となったりするのだろうか。それも「普通」の価値観を突き詰めて生きた結果の存在として描かれるだろうか。。




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「ドリー・ベルを覚えてる?」エミール・クストリッツァ

2008-02-01 04:58:54 | cinema
「ドリー・ベルを覚えてる?」
1981ユーゴスラヴィア
監督・脚本:エミール・クストリッツァ
脚本:アブドラ・シドラン
出演:スラヴコ・スティマチ、リリアナ・ブラゴエヴィチ


クストリッツァの長編第1作にして81年ヴェネツィア映画祭金獅子賞受賞作。

サラエヴォ郊外のムスリムの一家。父親は熱心な共産主義者。子供は主人公ディノに、兄と弟、それから小さい妹。
父は夜な夜な家族に共産主義的お説教をぶつ。それはひとつの会議であり、小さい弟が書記である。
しかしディノは、教義よりも個人の精神性に興味があり、催眠術や心理学を独学しているような十代の若者。離れの掘建て小屋の二階に、裸電球の下うさぎと暮らす。

あるときディノはイタリア製のドキュメンタリー映画を観るが、そこに登場するストリッパー、ドリー・ベルに心奪われてしまう。愛と性の理想型、聖と卑の混じり合った魅惑。
そんなとき、地域のワルであるポグ(だったっけ?)が若い女を連れてやってきて、ディノの小屋にしばらく住まわせろという。そして女はドリーベルと名乗るのだ。あのドリーベルなのか?
ドリー・ベルはどうやらポグのために娼婦として働くことになっているらしい。
小屋で暮らすうちに互いに心引かれ合うディノとドリーベルだが、彼女は結局地域のガキどもと次々と寝ることになり、ディノは心痛める・・・

***

思いがけないドリー・ベルとの出会いと同居。それがもたらす淡い心の交流と性の目覚めと、喪失の悲しみが少年を成長させる。
それを軸に、父親の権威との衝突、父親の死による意識の変容、地域の青年活動の一環で編成されるバンドの活動、悪いヤツとの交流、念願の公営住宅への移住などなどのエピソードが重層的にディノ少年の生活を織り成していく。

そういう描き方は実はこの監督は上手だ。生活とは重層的で矛盾をはらみながら総括的なものなのだ。
それはエピソードを並行して描くということだけではない。たとえば父の死のエピソードは、肉親との別れということのほかに、父が信奉した共産主義と出自であるイスラム世界とが矛盾しながらも同居する人間の関係の面白さを浮き彫りにもする。例えば日本でも過酷なまでの合理主義の波の一方でムラ社会的共同体も維持されているように(うえ~嫌な社会だよ?)、人の世は単純ではない。そのことをしっかり盛り込んでいる。

後年の作品も含めて考えるに、クストリッツァはおそらくは本当に人間が好きであり、興味津々なのだろうと思う。まなざしはひたすら人間とその生活と活力に注がれる。その注ぎ方に才能を感じる。これはこれでひとつの映画のあり方なのだと認めたい。(なんてワタシが認めてどうなるってもんではないす)

***

主人公Dinoを演じたスラヴコ君は、後に「アンダーグラウンド」でも印象的な動物園員を演じ、「ライフ・イズ・ミラクル」ではついに父親役を演じるようになる、クストリッツァとともに成長した役者である。
お抱え男優というと・・・?ティム・バートンとジョニー・デップとか?タルコフスキーとアナトリー・ソロニーツィン?
ああ、トリュフォーとレオがいたじゃない。

スラヴコ君は実はこの前年に「歌っているのは誰?」に若い花婿役で出ていたことにあとになって気づいた。この二つの映画はキャストがほかにもダブっていたりして関連が深い


あとドリー・ベルを演じたリリアナ・ブラゴエヴィチ(と読むのか?)はなかなかの美形で萌えるワタシ。娼婦っぽいというよりはもっと普通の清楚なひとりの女性像でした。この人の役者歴はくわしくはわからないが、現在に至るまでユーゴ圏で主にTV作品で活躍しているらしい。





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