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「哲学マップ」
「現代思想のパフォーマンス」
そもそも哲学ってどういう学問なんだろう?論理や理論が正しい/正しくないという判断は、なにに拠っているんだろう。なんだか根本的なことがわかっていない自分。そのへんのところの感覚だけでもつかみたい。
というような動機で読んでみたのですが・・・
「哲学マップ」のほうは結局西洋哲学史という趣で、いまひとつ哲学の原理というようなことはわからなかった。昔々倫理社会の授業でならったような著名人列伝のノリで百家争鳴、これにはさすがに恐れ入る。
でも一方で、哲学の歩みを思考の図式の変遷として整理してみせるのは面白かった。プラトンのイデアと現実の二項対立を哲学的思考図式1とするならば、デカルト主義における主観/客観という図式がその2。アプリオリなカテゴリーによって経験対象の存在と主体の成立を解明するカントがその3。超越的実態を否定しすべての差異が諸力のせめぎあいから生まれるという流動性を肯定するニーチェがその4。
そこから先は差異と流動性の多様で非定型な世界。
「主体」や「客体」と考えられていたものも、様々な世界のテクスチャーで織り成された「間テクスト」的プロセスなのだ、という認識は、この多彩な世界を生きてゆくのにとても魅力的な考えだ。この魅力の開花とともに、哲学は例えば自然科学の成果であるとか、東洋哲学であるとかとも混交し始め、下々ではいまや懐かしいニューアカブームとかが巻き起こる。
と同時に、それ以降哲学は多様で非定型なものをそのあるがままに記述しようとする、おそろしく困難な挑戦を強いられるようになったのだと思う。いや~お疲れ様です。
「現代思想のパフォーマンス」のほうは、ソシュール、バルト、フーコー、レヴィ=ストロース、ラカン、サイードの6人の思想を取り上げて、そのエッセンスを紹介するとともに、実際にその思想をケースワーク的に実践してみる、というふれこみ。実践というところに惹かれたが、なんとなくケースワークのほうはそんなにパワフルではなかったなあ。むしろアメリカなどではよくある思想潮流の勘所を要約したアンソロジーを編む、という、この本のもうひとつの目的のほうが重視されていたようだ。
特にソシュールはよくまとまっていてよかったな。言語学としてのアプローチから現代思想の構造的転換につながっていった面白さがよくわかる。
バルトなんかは、哲学者なのかエッセイストなのか微妙なところが面白く、まあ読む側としてはとっつきやすくていいんですけどね。。
てなわけで、結局哲学の拠って立つところを知りたい、という欲求は満たされぬまま終わった・・・というか、「拠って立つところがある」という発想自体が否定されて今があるのかもしれないなという、ようするに自分はもう徹底的になにもわかっちゃいないのよ的もやもや感を抱きつつ、これらの本を後にしたわたしなのだった(続く)
(続きません)
面白かったが身に付いていません。(白状)
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