Credo, quia absurdum.

旧「Mani_Mani」。ちょっと改名気分でしたので。主に映画、音楽、本について。ときどき日記。

ピエル・パオロ・パゾリーニ「アポロンの地獄」「カンタベリー物語」

2005-03-31 16:16:00 | cinema

 


パゾリーニ2本、まずは「アポロンの地獄」

オイディプス王の悲劇を題材とした、史劇+現代劇。

まず、言葉の扱い方がとても独特だった。
台詞はほとんど物語の核ではなく、核となる言葉は文字で表される。
つまり映像がすべてを語る。
かっこいい!

しかしこの不毛で異教的な王国の描写はすごい。
音源は日本ぽい笛と太鼓だったり、ケチャだったりするし、
イメージのゴッタ煮が、赤茶けた荒れ地と青い空をベースに繰り広げられる。
ギリシャ神話のイメージからするとビックリだわ。

そして、その歴史劇を通じて、冒頭と終盤でちょっとだけ出てくる現代の世界で
どんなドラマがあったかが暗示される。
終わりのシーンがすごく重みがある。
こんな構造の映画は観たことないぞ!
一つのドラマで二つの世界を描いちゃうなんて・・・

かっこいい映画でした。

アリダ・ヴァリの存在感がいいです。
よくみるとけっこうそうそうたる役者陣。



 


つぎは「カンタベリー物語」

チョーサー原作の中世寓話世界が、パゾリーニのやりたい放題の腕力を得て、
生々しく雑然と繰り広げられる。
この独特の質感はなんだろう。すべてが薄汚れ、じめじめして、古ぼけて貧相だ。
この質感を貫ける力量はさすがだな。

8つくらいの挿話からなっている作品だけれど、挿話間の区切りはあまり明確でない。
チョーサー本人が狂言回し的に登場して、なんとなく次の挿話へ移っていくのは
面白い。
話が進むについてれどんどん猥雑さと下品さに磨きがかかり、
最後に行く地獄のシーンは見物だ!
これまたなんだか異教的な風情。
この地獄のあと、いきなりFIN!というあっけにとられる終わり方も、
パゾリーニっぽいのかもしれない。

しかし、観た版がボカシだらけだったので残念。
無修正だとやっぱり伝わる物が違ってくるだろう。

パゾリーニ面白いです。
もっと前に観たかったなー

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J.S.バッハBWV216「満ち足りたプライセの町」

2005-03-31 11:18:27 | music

 

 


バッハのカンタータBWV216のパート譜のファクシミリ版が出版された。
欲しい。

バッハが1728年ライプツィヒ時代に、関税吏の娘の結婚式のために書いた
この結婚カンタータ、
1920年代にオリジナルパート譜が行方不明になり、そしてどういう経緯か、
2004年に、この日本で発見されたという逸話を持つ。(わお!大発見だ)

なので、晴れて日本でパート譜および、日独英3カ国語の解説書が
セットで販売される運びとなったようだ。


・・・私に必要か?
・・・まったく必要ない。
でもカンタータのスコアがなかなか手に入りにくいのも事実。
オリジナル譜のファクシミリ版+解説本として考えると、破格に安い気もするし・・・

でも必要ないから買わない。
・・・買わないんですっ!(T T)b


えー楽譜は、バッハ自身による総譜から弟子が筆写したパート譜。
1901年にウイーンでオークションにかけられた時は
バッハ直筆と思われていたようですが、実は違うそうです。
20年代ころ最後の所有者はメンデルスゾーンの遺族だったとか。
その遺族からここからスペインのチェリストの所有になり、
チェリストと結婚した日本人の手に渡ったとみられているらしい。

バッハ自筆じゃないからいいか(^^;)

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ヤン・シュヴァンクマイエル「オテサーネク」

2005-03-31 10:36:09 | cinema

 

 


チェコの映画・アニメ製作者?シュヴァンクマイエルの長編。

チェコの民話に基づく、グロテスクな作品。
ハリウッドとかだと簡単にホラーに位置づけられた味付けになっちまいそうな内容だけど、
この映画はあくまでシュルレアリスムな映画という微妙な位置づけを保っている。
そこがうれしいし、感心する。

クレジットからすると外国資本も入っていそうなのに・・・なんだイギリスか納得(笑)。

**

W不妊症で子供が欲しい強迫観念にとらわれた奥さん。
慰めるために掘り起こした木の根っこを赤ちゃんに見立てる旦那。
それに本気になっちゃう奥さん。引っ込み着かない旦那。
かいがいしく世話するあいだに根っこは何でも食いまくるトンデモ赤ちゃんに大成長する。

そして夫婦は、隣人たちに隠して育て続けるが、次第にとんでもないことに・・・

隣人の娘アルジュビェトカ(覚えらんないよこの名前)の存在が、
この映画を単なるホラーでなく、おとぎ話と現実の地続き感を持った
不気味なものにしているように思う。
彼女だけは鋭い直感と、まっさかりの内なる好奇心で、身の回りの不思議な出来事を理解し、
ついには「赤ちゃん」と交流し、養護する。
この「幼い母性」の存在がなければ、単なる怪物ものになってしまうだろう。

また、常軌を逸しちゃった奥さんの発する「母性」も不気味な説得力がある。
あくまで「子供」の汚点を認めず、将来へ希望を繋ぎ、障害となるものを断じ切る。
(郵便屋は退職寸前、保健婦は傲慢ゆえに、社会的損失はないとまで言うし)

いよいよ思い切った旦那の最期の「父性」もまた理不尽に胸を打つ。

というわけで、なんだか「母性と父性」のグロテスクという見方で観てしまった。
もちろんファンタジーなんだからどんな受け取り方もありだ。

結末は「描かずして描く」という、最近のグロ物では失われた奥ゆかしさというか、
突き放した感性があって、また納得。

**

ボーナス映像で、この少女役のオーディション・リハーサル風景があった。
なかなか利発そうな女の子だ。変にかわいらしくなく、この役にぴったりだ。

他の長編も観たいなあ。シュヴァンクマイエル中毒。

コメント (6)
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歌録り顛末

2005-03-31 09:31:01 | recording日誌
昨日14時にスタジオ集合。
時間がないのでひとり10分前に強行入室をしてセッティングを始める。

14時にKさん到着。その瞬間、二人で、
開始を13時に変更すればなんの問題もなかった
と気づく。これがいい大人の頭脳だろうか(しかも頭脳2個)

そして今回、やっとマイクとポップガードのセッティングの仕方を理解する。
マイクは上から逆さまにセットするんだよこれ。(こんなことも知らない私たち)
→写真は「理解前」のセッティング(Kさん未承諾画像m(__)m)

今回は2週間くらい前に初めて渡した歌の録音なのでちょっと不安ー
と思っていたら、
ややっ、なかなかいい味出てるよっKさん。
さすがぁ。

途中私のクスリタイムを挟んで(笑)、正味1時間で8テイクくらい録れた。
これだけあればいいバージョンができるでしょ(^^)v

ここでKさんは仕事のため退場。いやお疲れ様ですー。

残り2時間弱を、私一人で、「コーラス」に挑戦。
自慢じゃないが私、歌は完膚無きまでに下手である。

今回は間奏部分のハミングなので自分でやってみる気に・・・
これも全然ダメなテイクは潰しながら、2パート分8テイクくらい録る。
聞き返してみると「うおえぇぇ~」な印象・・・ボツかも・・・

のどもかれてきたしあきらめて撤収にはいる。
20分かけてのんびり機材をばらし、
「終了5分前お知らせストロボライト」を待つ。

いつもはライトが点滅中もまだ演奏してたりして、撤収も本気モード
てっっしゅ~~う!!」ってやつなんだけど、今回は余裕。

しかし今回はオケを全部自宅で仕込んじゃうので、自分は現場で楽器を弾かない。
これはとっても気が楽かもしれない。
うたうほうは大変だな。よくちゃんと歌ってると思います。
感謝->Kさんm(_ _)m

さーて今日からまた恐怖の「テイク選び」あーんど「切り張り」だ。
疲れるんだよなー

しかしくだらない割に長い日誌だよな・・・
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