Credo, quia absurdum.

旧「Mani_Mani」。ちょっと改名気分でしたので。主に映画、音楽、本について。ときどき日記。

「黒猫白猫」エミール・クストリッツァ

2007-09-22 01:52:37 | cinema
黒猫白猫

パラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパン

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CRNA MACKA, BELI MACOR
1998フランス/ドイツ/ユーゴスラビア
監督: エミール・クストリッツァ
脚本: ゴルダン・ミヒッチ
撮影: ティエリー・アルボガスト
出演: バイラム・セヴェルジャン、スルジャン・トドロヴィッチ、ブランカ・カティッチ

クストリッツァによる、わりと純然たるコメディ。

ジプシーのマトゥコとその息子ザーレは山っ気のあるお調子者。川べりに住み、行商人から冷蔵庫を買って川に落としてしまったりと、日々落ち着かないヤツ。ある日彼はロシアの密輸船から石油を買うが、見事に騙されて大金を失う。金に困ったマトゥコは、息子とともにゴッドファーザー・グルガに石油列車強奪の計画を持ちかけ資金援助を乞うが、自体はろくでもない方向へ・・・

この列車強奪が話のメインになるかと思いきや、思いっきり肩透かし。息子は惹かれあう村の娘がいるのに、ひょんなことからうさんくさい悪党の娘と結婚するはめになる。この流れを食い止められるのはグルガと、ザーレのおじいちゃんだけ。なのにおじいちゃんも頼みのグルガもいきなり死んでしまう。
う~ん、このただでさえドタバタな設定を、思い切りドタバタな人物たちが、ドタバタな衣装、ドタバタな身振りで、ドタバタと転がしていく。
すごくほこりっぽくて、酒やタバコにまみれ、泥にまみれ、猫や鳥がうろつきまわり、水浸しになり、ついには糞尿まみれでウンがつく(笑)

クストリッツァとしては手放しで笑える作品でした。

クストリッツァは本国(というのも微妙だが、ボスニアとかヘルツェゴヴィナとか?)ではかなり微妙な立ち位置なよう。ボスニア人でありながら動乱期をアメリカで過ごし、セルビア資本で映画を撮ったりするという、政治的な節操のなさが批判の対象になるというようなこともさることながら、あの猥雑なタッチが問題で「彼の映画をみていると旧ユーゴ諸国にはジプシーしか住んでいないように思われる」というのも批判の的らしい。
この映画なんかはまさにそういう感想を抱かせる(笑)バルカン半島ってこんなに大騒ぎなの?


コメディとしては意外に様式的で、主にドタバタを担当する親父と悪党、祖父とゴッドファーザー。それに対してメロドラマを構成する息子と娘。ドタバタのなかに愛が幸福に成就するハッピーエンドは、やはりどこかで観たなつかしの映画という感じがする。キートンやマルクスブラザーズとチャップリンのちょうど中間のような感じかな。
そういう意味でも安心できる作品で、でもちょっと物足りない面でもあるな。


村の娘を演じたブランカが、奔放でありながらいじらしいロマの娘をワイルドかつ愛らしく演じていたのが印象的。


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