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名取市議会は謎の迷走

2011年10月11日 | ブログ

 始まりは同じだったが2週間も前に終了した岩沼市議会と違い、名取市議会の9月定例会は今日が最終日でした。議会傍聴に出かけた理由は市長への「不信任決議案」が出されると新聞記事があったからです。

 9時に市役所へ到着し、テレビカメラは狭い全員協議会室に3台、報道関係者は3社集まり10時から議会は始まりました。そこから延々と一つずつ日程の議案を消化するのですが注目の議案は午後3時頃、報道関係者はもっと増えました。

 議員全員による「情報システム専門官採用に係る調査特別委員会」が発足したのは6月定例会の最終日で、それから10月まで12回も委員会が開議されています。

 委員会の内容は市長が管理職の採用に関し、便宜を図ったのではないかという疑惑でした。7月には百条委員会まで行使し、9月定例会に50ページにおよぶ報告書が提出されています。ある関係者からは、この震災時期に議会は何やってんだか、とも聞こえてきました。

 市長不信任決議案は7名の提出です。写真を見て下されば分かると思いますが、地方自治法178条の規定によりと書かれておりません。議会が市長に「辞めろ」と言う文書にしてはお粗末です。不信任決議は議員数の3分の2以上の出席で、4分の3以上の賛成で可決します。

Photo

 記名投票の結果は賛成8,反対9,無効は1で否決されました。しかし、その後、10名で市長辞職勧告決議を出しました(写真割愛)。辞職勧告は法的拘束力の持たない決議で可決されても辞職することはありません。しかし、賛成15,反対1,無効1で圧倒的な可決です。

 傍聴していて名取市議会の進行が問題だと思いました。まず、「一事不再議の原則」ということがあります。一度審議・決定したことは再度審議することを否定されています。これは議事の効率的な処理を目的にしているからです。

 同一の議題に際し「不信任案」「辞職勧告決議」の双方を議決することを採用したのです。先に不信任案が否決された時点で辞職勧告は行わないのが「一事不再議の原則」を議会は型破りな方法で突破しました。

 通例であれば、拘束力のない辞職勧告決議を出し、可決されても辞職しない場合に拘束力のある不信任案を次回の議会に出すのが通例です。それをいきなり2つ一緒に出すことが問題でした。

 ところが最後に茶番が待っていた。今度は「議会の自主解散」が動議として出され議決したのです。これまで市長は悪いから辞めろと主張した議会が、悪くないけど議会(議員)が自ら辞めます、というのです。(これっておかしくないですか)5分の4の可決が必要ですが、賛成11,反対7で否決されました。

 背景には11月の県議選で市議選の補欠選挙も予定されています。補選は5人追加され19人から24人に戻る。しかし、来年1月は市議選の任期満了の上、定数削減で21人になることが決定している。そのことから震災で費用が掛かる選挙を軽減したかったことは理解できるが、あまりにも道理の通らない動議ではなかったか。

 午後6時半過ぎまで掛かりましたが、辞職勧告決議を受けた佐々木市長は取材陣に「この震災の大変な時期に辞職は出来ない」ときっぱり。議会からボロクソ叩かれた市長は、議会に配慮する言葉で締めくくった。

 「私を否定する不信任は過半数も取れていないし、辞めさせると言うよりは猛省を促すことで、お灸を据えるという意味合いだ」みたいな主旨で答えていました。

 理解しがたい迷走議会は、市長の言葉で救われた。

コメント (2)
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