その日暮らし

田舎に暮らすこの虫は「カネ、カネ、カネ」と鳴くという。

雲と自由が棲むという里で百姓に成りきれるかな?

じっと手を見る

2014-10-09 19:07:12 | 暮らし

何という名の花なのでしょう?

台風18号の余波で降った雨は畑を潤し、秋野菜は少しだけ勢いを増したような気がします。これから約1ヶ月でどれだけ成長するのでしょうか…その一方で、この夏に恵みを与えてくれた夏野菜の残渣を片付ける季節でもあります。『夢屋水田』のハセ掛けした稲は脱穀調整を終えましたが、稲わらが残りました。しかも、雨に濡れてしまって…。
このまま放って置くわけにも行かず、もう一度、杭にかけ直して乾燥させ、数本の稲わらで「ツナギ」を作り、2束(にそく)=12束(たば)をひとまるき(ひとまとめ)にして結束し、最後は隣町の畜産農家で敷き藁として無償で使って頂く予定です。『エコファーム夢屋』を目指すのであれば、稲わらをビニールのマルチ替わりに使うべきでありますが、如何せん保存場所が無いのであります。昔であれば、有畜…ヤギや羊程度は、各農家で飼育しており、その家畜の敷き藁や農業用の資材…「ツナギ」や縄として活用もしたのでありましょうが、今は石油製品に取って替られてしまっています。
農家専門の量販店では、マルチ(敷き藁)用に綺麗に「すぐった(葉をすいた)」状態のわら束が、ひと束300円位で販売されています。『夢屋水田』の稲わらが総て売れるならば、今年の米価と比べれば、米代金以上の売上になるのではないだろうかなどと考える『夢屋国王』であります。このように、循環型の社会を目指そうなどと宣言しても、労力や金銭的な問題から、循環(再生産)サイクルの一部がぷっつりと途切れているのでありますよ。


五稜郭前の道路に置かれた彫刻

誰もがやることを、みんなと同じようにやっていたのでは、みんなと同じように貧乏な百姓で終わってしまう。だから、何か他所様とは違った方法論で作物に他所様とは違った付加価値を付ける必要があるのですが、そのためには、それなりの労力というものが必要になってくるのであります…労働生産性の低下…そんなつまらないことをしているのであれば、即、現金収入につながる勤めに出れば良い…こうして『百姓道』は衰退していくのであります。(こんなことを書いていても、肌寒い朝に、金にならない雨に濡れた稲わらを杭に掛けている姿は、決して格好の良いものではない。)
これから収穫する里芋の「ずいき(葉柄)」も手間を掛けて「ずいき干し」にすれば、山形の味覚「納豆汁」には欠かせない食材となり、スーパーでは高値で取引されるのでありまして、「手間 = 金」という簡単な数式は見えるのでありますが、納豆汁さえ作り方を知らない若奥様に、「ずいき干し」は美味しいですよと講釈しても使って頂ける訳もなく、食文化の衰退もまた『百姓道』の衰退の一因であると考える『夢屋国王』であります。

「はたらけど はたらけど猶(なほ)わが生活(くらし)楽にならざり ぢっと手を見る」と詠った「石川啄木」…函館を愛したと言われる彼の作品をパロッたブロンズ像にいたく心を惹かれた朝…やっぱり、アイディア勝負で行くしかないかなどと、無い知恵を絞りだそうともがき苦しむ『夢屋国王』でありますよ。

コメント
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